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disease.1
2.sorcery
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どうしてこうなったのかわからないが、私は現在進行形で金髪美青年の隣にいた。
結局ここがどこなのかわからないが何か日当りのいい窓際に座り、お互いに食事をとることになった。それはいいのだが。
「……」
「……」
……怖い。
もそもそとあんぱんを食べながら隣にちらりと視線を流すと、金髪美青年が弁当を食べているのが見える。
「……ん?」
こそこそ彼を見たりあんぱんを見たりを繰り返していると、私の視線に気づいたのか青年がこちらを見てきた。
「ひっ」
「さっきからどうしたの? 俺を見たり視線を逸らしたり。今日は一段と様子がおかしいね?」
「イエ……そんなことは……ないと思いま」
「あるよ?」
「あっはい」
私が頷くと、彼は微笑んだ。どうしてここで笑う。怖い。
「ねぇ、突然イメチェンした理由、聞いてもいいかな?」
「へっ……」
「イメチェン。髪とかスカートとかさ。思わず見違えたよ、小猫ちゃんじゃないのかと思ったくらい。何せ君、金髪だったりピンクだったり緑だったり、色々髪の色変わってたでしょ。スカートも凄く短かったし、」
「あっえっ……あぁ、はい……」
だよね、そういう認識なんだね。お姉ちゃん後で怒るからね。
「えっと……風紀委員の方に……怒られたので……染め直しました……」
染めたことないけどね! 一度も染めたことないけどね! これ地毛だけどね!
「ねぇ」
「はいっ」
私が竦み上がるようにして背筋をピンと伸ばして返事をすると、彼は「ふはっ」と笑った。
「喋り方までおかしいな。何か悪いものでも食べたの?」
「えっ、あっ、ぅ、えー……」
大体このひとは同学年? 先輩? いや、お姉ちゃんならどっちでも構わずタメ口だろう。
でも私にそんなナメた真似ができるはずもなく。
「えっと……心を入れ直したというか、ですね……」
「へぇ。きっかけは?」
「うっ……えっと……あ。妹。妹に、その、良くないよって言われたので……」
ここはそういうことにしておこう。どう考えてもあの姉が私の苦言程度で治るわけもないのだが、そういうことにしておこう。
「ふぅん、妹さんね。君に似てるの?」
「えっと……一卵性の双子で。顔は似てる……かな。性格が、真逆に近いですけど……」
これは事実だ。まぁその妹がまさか目の前で姉の振りをしているだなんて思いもしないのだろうが。
「そっか。君がそんなに変わっちゃうような妹さんなら、会ってみたいな」
「いえ……会うほどの……子じゃないです。えっと、頭も悪いし……運動神経もダメだし。特技とか、全然なくて。可愛くもないですから」
自虐はポンポン浮かぶ。何て皮肉だろうか。姉の振りをして自分を貶めるとは。
「……。でも君を改心させちゃうような女の子なんでしょ? 気になるね」
なぜそうまで気になるの。他人の妹なんてどうでもいいでしょう。と言うか本当、もう解放してもらえないかな。
「じゃあ……私、あんぱん食べ終わったので……お暇しま」
「だーめ」
「ひぃ」
立ち上がりかけたところで腕を掴まれ、バランスを崩した途端に何故か彼の足の間に座る形で抱き込まれる。
「……へぇ。あれだけ染めてたわりには随分綺麗な髪だね」
「へぁっ?」
首元に青年の吐息がかかり、おかしな声が出た。すると青年は爆笑する。
「まったく、君の妹さんは本当に凄いね! あれだけ俺を追いかけてた君を諌めて、まるで初心な女の子みたいにしちゃうなんて。どんな魔法を使ったらこんなに変わるのかな」
「……うぇええ……」
もう登校初日から予想外すぎて軽くパニックだ。辛い。お姉ちゃん許さない。絶対怒ろう。
「と、とりあえず……私はその……妹の説教で軽く生まれ変わったので……これからはお互いに関わり合わない方向で……」
「そうだね。そろそろ昼休みも終わるし」
もう昼休みは終わるのか。何て無駄で嫌な汗をかく時間を過ごしたのだろうか、私は。虚しい。
何にせよこれで解放されるならそれでいいとしなけれ、
「じゃあまた放課後会おうか。ここで」
「……」
は?
「放課後はもう少し人を集めておくからさ。例の人たちを、ね?」
「いえ、お気遣いなく……」
「ん? いいよね?」
「あ……はい」
全然解放なんてされなかった。
絶望。
結局ここがどこなのかわからないが何か日当りのいい窓際に座り、お互いに食事をとることになった。それはいいのだが。
「……」
「……」
……怖い。
もそもそとあんぱんを食べながら隣にちらりと視線を流すと、金髪美青年が弁当を食べているのが見える。
「……ん?」
こそこそ彼を見たりあんぱんを見たりを繰り返していると、私の視線に気づいたのか青年がこちらを見てきた。
「ひっ」
「さっきからどうしたの? 俺を見たり視線を逸らしたり。今日は一段と様子がおかしいね?」
「イエ……そんなことは……ないと思いま」
「あるよ?」
「あっはい」
私が頷くと、彼は微笑んだ。どうしてここで笑う。怖い。
「ねぇ、突然イメチェンした理由、聞いてもいいかな?」
「へっ……」
「イメチェン。髪とかスカートとかさ。思わず見違えたよ、小猫ちゃんじゃないのかと思ったくらい。何せ君、金髪だったりピンクだったり緑だったり、色々髪の色変わってたでしょ。スカートも凄く短かったし、」
「あっえっ……あぁ、はい……」
だよね、そういう認識なんだね。お姉ちゃん後で怒るからね。
「えっと……風紀委員の方に……怒られたので……染め直しました……」
染めたことないけどね! 一度も染めたことないけどね! これ地毛だけどね!
「ねぇ」
「はいっ」
私が竦み上がるようにして背筋をピンと伸ばして返事をすると、彼は「ふはっ」と笑った。
「喋り方までおかしいな。何か悪いものでも食べたの?」
「えっ、あっ、ぅ、えー……」
大体このひとは同学年? 先輩? いや、お姉ちゃんならどっちでも構わずタメ口だろう。
でも私にそんなナメた真似ができるはずもなく。
「えっと……心を入れ直したというか、ですね……」
「へぇ。きっかけは?」
「うっ……えっと……あ。妹。妹に、その、良くないよって言われたので……」
ここはそういうことにしておこう。どう考えてもあの姉が私の苦言程度で治るわけもないのだが、そういうことにしておこう。
「ふぅん、妹さんね。君に似てるの?」
「えっと……一卵性の双子で。顔は似てる……かな。性格が、真逆に近いですけど……」
これは事実だ。まぁその妹がまさか目の前で姉の振りをしているだなんて思いもしないのだろうが。
「そっか。君がそんなに変わっちゃうような妹さんなら、会ってみたいな」
「いえ……会うほどの……子じゃないです。えっと、頭も悪いし……運動神経もダメだし。特技とか、全然なくて。可愛くもないですから」
自虐はポンポン浮かぶ。何て皮肉だろうか。姉の振りをして自分を貶めるとは。
「……。でも君を改心させちゃうような女の子なんでしょ? 気になるね」
なぜそうまで気になるの。他人の妹なんてどうでもいいでしょう。と言うか本当、もう解放してもらえないかな。
「じゃあ……私、あんぱん食べ終わったので……お暇しま」
「だーめ」
「ひぃ」
立ち上がりかけたところで腕を掴まれ、バランスを崩した途端に何故か彼の足の間に座る形で抱き込まれる。
「……へぇ。あれだけ染めてたわりには随分綺麗な髪だね」
「へぁっ?」
首元に青年の吐息がかかり、おかしな声が出た。すると青年は爆笑する。
「まったく、君の妹さんは本当に凄いね! あれだけ俺を追いかけてた君を諌めて、まるで初心な女の子みたいにしちゃうなんて。どんな魔法を使ったらこんなに変わるのかな」
「……うぇええ……」
もう登校初日から予想外すぎて軽くパニックだ。辛い。お姉ちゃん許さない。絶対怒ろう。
「と、とりあえず……私はその……妹の説教で軽く生まれ変わったので……これからはお互いに関わり合わない方向で……」
「そうだね。そろそろ昼休みも終わるし」
もう昼休みは終わるのか。何て無駄で嫌な汗をかく時間を過ごしたのだろうか、私は。虚しい。
何にせよこれで解放されるならそれでいいとしなけれ、
「じゃあまた放課後会おうか。ここで」
「……」
は?
「放課後はもう少し人を集めておくからさ。例の人たちを、ね?」
「いえ、お気遣いなく……」
「ん? いいよね?」
「あ……はい」
全然解放なんてされなかった。
絶望。
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