悪役令嬢ですが、ヒロインを愛でたい

唯野ましろ

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悪役令嬢の可愛い婚約者

4 悪役令嬢ですが、婚約者母(美人)を助けたい

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 「アニエスさまは、どのようなしょうじょうなのですか?」




 あのあと、公爵さまが寝室から応接室にお戻りになり、お菓子やお茶をいただいた。
 1、2時間お話し少しでいいからとわがままを言いルカと一緒にアニエス様の寝室にやって来ていた。



 「前々から体は丈夫な方ではないのだけれど、
 最近は咳き込んだり、立とうとするとフラついてしまったりするわ……ごほっ

 ごめんなさいね………」


 アニエス様は手で口元を覆うと申し訳なさそうに視線を下げ、近くにあった水を飲む。


 「風邪の菌を体の外に出すために咳がでてしまうのか……
 やっぱり体のめんえき力が弱ってるのか………
 このままだと肺炎にも………
 フラつきは足の………弱っているからか……
 だとしたら………ごにょごにょ」


 私がアニエス様から聞いた症状を分析し、解決策を考え自分の世界に入り込んでいると

 「リリィ、(きん)とか(めんえきりょく)ってなに?」


 思わず口に出てしまっていたらしい……

 「こほん、きんというのは、めにはみえませんがちいさくて、からだのなかでわるさをするものもいるのです。
 ひとはだれでもわるいきんをたおせるめんえきというものを、もっているのですがそのちからがアニエスさまはよわいのかもしれません……」


 「きんをたおせないととどうなるの?」

 「どんどんからだがよわくなってしまい,さいあくのばあい……
 いのちをおとしてしまうかもしれません…………」

 続けて、まだやれることがあると口を開こうとしたところで、

 ルカを見やると目は潤み、顔の表情が崩れていく。
 目一杯に涙を貯め、今にもこぼれ落ちるというところでアニエス様はルカを抱き寄せると

 「大丈夫よ、ルカ。
 お母様はあなたを置いていなくなったりしないわ。
 それに、これからよくなるかもしれない」




 「なりますよ」


 「「えっ」」



 「おしょくじをみなおすのと、たいりょくをつければ、きっとよくなりますよ」


 「ちゆまほうやお医者さまでも治せなかったのに、
 本当にそれでお母さまはよくなるの?」

 ルカは疑うような目で私の顔を窺う。


 ——体が弱いのは病気ってわけではないし、風邪は魔法や薬で一時的には治っても、免疫がなかったらまた病気になってしまうのは日本だったら普通にわかることなんだけどな………


 「ルカ、治癒魔法やお医者様でも治せなかったのだからお母様ができることはやってみるわ!」





 私はまず、料理長を呼んでもらい免疫力を強くためにバランスの良い食事の提案をする。
 アニエス様には好き嫌いを確認し少しでも克服できるように料理を工夫することにした。


 「おやさいはなぜほとんどたべれないのですか?」

 アニエス様に質問を投げかける。
 さっきまでやる気満々だったアニエス様だったのに弱々しく

 「お野菜は苦いでしょ?幼い頃からあまり口にしなかったから……」

 ——子供かっ!…………子供なのか!……
 でも可愛い……

 まあ小さい頃から苦手意識があれば無理に食べることなんてしないよね…………

 「おやさいにはめんえきりょくをアップさせるこうかがあります。
 にがみがすくないものもありますし、ひをとおしたりちょうりすると、あまみがでたりもします。
 はじめはそのようなものからすこしずつめしあがるのが、いいかとおもいます!
 それにびようにもとてもいいんです!」

 料理長はすかさずメモをとっている。


 「…………美容にもいいんですのね」


 アニエス様は美容にもいいと聞いてからすこしお顔が明るくなった。

 やっぱり女の人は綺麗で健康的に輝いて欲しいと思っている私から見たら、思わずニヤリとしてしまうくらい嬉しかった。


 「おにくやおさかなはたべられますか?」

 「お肉もお魚もにおいがダメで硬いですし……
 それに太ってしまいますわ……」

 「おにくやおさかなはハーブやおさけ、くだものなどといっしょにおりょうりするとくさみもとれますし、やいたときのしょっかんがやわらかくなります。
 たべすぎはよくないですがアニエスさまはしょうしょくですし、おにくやおさかなはおはだのちょうしをととえてくれて、かみのけもツヤツヤになります!」


 調理長はメモを取ることに集中していたので、いくつか簡単なレシピを書く。


 レシピを書いていると、前世の記憶を思い出す——





 可愛い麻里ちゃんをさらに可愛く美しくさせるために食事管理は私が朝昼晩徹底して献立を考え作ってたなー。
麻里ちゃんの為に作ったのにバカなお兄ちゃんが

 『梨々の……梨々の手料理だ!!お兄ちゃんの為にありがとーー!!
 それにお兄ちゃんの好きなハンバーグじゃないかーーー!!さすが俺の妹!!!』
 とか言ってたっけ………
 世の兄というものはみんなシスコンなのか………



 「リリアンヌちゃんは物知りなのね…………」

 ぼーーーっと思い出していると、私が書いたレシピを覗き込むよう見ながらアニエス様が呟いた。

 ——ま、まずい……
 普通こんな幼児がレシピなんて知っている訳がないよね………


 ルカがジーーっと見てくる。


 「えっ………と、おにいさまが!

 おにいさまがおしえてくださいました!!

 アニエスさまがおからだがじょうぶではないのをしっていまして、もしかしたらさきほどおおしえしたことを
してみるといいかもしれないと! このレシピもおにいさまが!!」



 冷や汗がこめかみをつたう。


 ——結構無理があったかな、この言い訳……



 ルカが目を離してくれない………


 「さすが!さすがおにいさまですわ~~~ははは」


 ジーーーーーーーーー


 「まあ! エリックくんね!
 目見麗しくて、とても優秀とお聞きしているわ!
 神童と噂されているんでしたわよね!
 さすがだわ~」

 「そうですの!シスコ…………じゃなく
 いもうとのわたくしにもとってもおやさしいです!ははは」


 アニエス様が会話に入ってくれたお陰でなんとかルカの視線を逸らすことに成功した。


 ——許せエリック。




 それから軽めに体を動かし体力をつける為に簡単なストレッチとお散歩を勧め、先ほど書いたレシピを料理長に渡しノルマンディー領を後にした—————






 ——これで、アニエスさまが亡くなるなんてことが起きなければルカもリリアンヌ以外の女の子とも
仲良くできるかもしれない。

 そうしたらこの容姿だもの女の子がたくさん群がるだろうし……………ふふふ



 ——私もついでに女の子に囲まれたいなーーー!!!


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