悪役令嬢ですが、ヒロインを愛でたい

唯野ましろ

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悪役令嬢の可愛い婚約者

5 悪役令嬢ですが、婚約者母(美人)の為に料理したい

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 あれから半年間、私は足繁くノルマンディー家に通いアニエス様の体調管理を続けていた。
 咳も止まり、少しずつだがフラつきなどもなくなってきているようだった。

 今日はエリックも付いて行くと張り切っていたため、一緒にやって来ていた。
 最近、エリックの私への溺愛度が増している気がする………


 「これでよし!」

 私はノルマンディー家の料理場に行き、出来上がった料理の味見をしていた。
 度々ノルマンディーノルマンディー家に訪れ、料理の指導をしていた。というのも、伯爵家令嬢で3歳児の私には包丁を持つことも危ないからとお許しが出なかったため、味見をするのが役目である。ちなみに自宅でも料理をするようになった。


 「盛り付けてお部屋にお持ち致しますので、リリアンヌ様はお戻りください」

 とセレナさんから声がかかった。
 調理長のセレナさんは努力家で、こんな幼児からでも勉強になると色々意見交換して行くうちに仲良くなった。
 料理には一切妥協しない姿勢とか、できるお姉様オーラが神々しい!
 暗めの髪の毛を一つに結び、キリッとした綺麗な顔は安定の無表情。
 セレナさんはこのクールな感じがたまらなく素敵!!!



 「では、あとはよろしくお願いいたします。セレナさん」



 アニエス様のお部屋に戻ると、ルカとエリックが椅子を取り合うように言い争いをしていた。
 食堂もあるのだが、アニエス様のために四角い4人掛けのダイニングテーブルを置いていた。



 「リリの隣は兄である僕が座るべきだ!!」

 「僕はリリィの婚約者なのですから、僕が隣です!!」


 アニエス様があたふたしながら、二人を宥めていた。

 ——アニエス様………可愛い……!!!

 言い争っている二人が私に気づくと

 「「リリはどっちの隣がいいの(んだ)!?」」

 と言葉が交差する。


 言い争いをしている二人に構わず一目散にアニエス様の隣を陣取った。
 私は満足げにアニエス様に笑顔を向ける。アニエス様も柔らかく微笑み返してくれる。

 ——あ~、やっぱりアニエス様素敵!

 「さあさあ、そろそろリリアちゃんが作ってくれた料理が、運ばれてくるわ席について」

 さっきまでの勢いを余所に撃沈している二人もアニエス様の一声で席に着く。

 最近アニエス様は私のことをリリアちゃんと呼んでくれる。少し恥ずかしいけど、なんとなく近づいてる感があって嬉しい。ニヤニヤしていると、丁度よくお部屋に料理が運ばれて来た。


 今日のお昼は野菜たっぷりのスープに、ハーブの入ったハンバーグとトマトとレタスのサラダそれからパンだ。



 「「「わーーーおいしそーーう」」」


 「では、皆様ご一緒に!?」


 「「「「いただきます!!!」」」」


 みんな一斉に口に運ぶ。口々に美味しいという言葉が聞こえ、心がほっこりした。


 「リリアちゃんの教えてくれるお料理は、いつも美味しいわ。スープに入っているお野菜も柔らかくて口でふんわり甘さが広がるし、このお肉も噛むと弾ける肉汁とお野菜を煮詰めたソースが絡みあって食欲をそそるわ。それに食べた後にハーブの香りが残って後味もとてもいいわ。それに生野菜もドレッシングがかかっていれば食べれるようになったのよ。ふふふ」


 嬉しそうにアニエス様が料理の感想を言ってくれた。

 「いや、教えたと言ってもセレナさんが作ったのですし、私は味をみただけです……」


 それにしても、アニエス様の食レポ技術が上がっている気がする…………
 下手な料理は出せないな………

 ——でもでも、アニエス様の幸せそうなお顔が見れれば私は幸せです!!

 「そんなことないわ。レシピはリリアちゃんが教えてくれているのだもの。
 セレナもいつもありがとう、美味しいわ」

 「もったいないお言葉です」

 セレナさんがクールに口を開くと、若干はにかんでいた。

 ——いつも無表情のセレナさんが!!!ギャップ萌えとはこのことか!!!


 「リリの……リリの手料理だ……なつ……か……
 それに……ハン……グ……うまい……』

 エリックが食べながらボソボソと呟く。


 「リリィ、今日の料理は何と言う食べ物なの?」

 セレナさんのお顔をポーーーっと眺めているとルカから問いかけられた。

 「えーっと、今日の料理は————」


 私はみんなに今日の料理のことを説明した。
 パンにハンバーグと野菜を挟んだハンバーガーも教えて作ると、黙々と食べ続け、あっという間に平らげた。


 「あー美味しかった!さすが僕の妹だね!!!」

 エリックが食べ終わったようで、ナイフとフォークを置く。
 ルカも食べ終わったようで、カトラリーを置くと口をふく。


 「そういえば、数々のレシピはお兄様がリリィに教えた料——」


 「先生ですわ!!!こちらのハンバーグとハンバーガーは最近私についてくださっている、家庭教師の先生が教えてくださいました!!なんでも他国の料理だとか!!」


 ——まずいまずいまずい。
 なんでエリックが教えたと言ってしまったんだ過去の自分!!!


 「お前にお兄様と呼ばれたくないぞ!僕はリリだけの兄だ!!」

 ——え?そこなの?


 「婚約者なのですから、ゆくゆくは僕のお兄様になりますよ!」

 「僕はお前とリリの婚約を認めた覚えはないぞ!!」

 「お互いの両親の合意の元ですよ?お兄様!!」

 「だから!お兄様じゃ!

 「エリック兄様、口が悪くなっております……」

 ヒートアップしていく言い合いに私が割って入る。


 「ご、ごめんリリ」


 「あらあら、ルカはエリックくんに認めてもらうように頑張らないといけないわね。ふふふ
 リリアちゃんは可愛くて料理もできて色々なことを知っているもの、きっと素敵な奥様になるわ。
 私も早くリリアちゃんがお嫁に来て欲しいわ」

 さすがに成人前は嫁げない。
 しかし、アニエス様の言葉に思わず反応して返事をしてしまいそうになるが

 「アニエス様、確信犯ですか?リリにはまだまだ早すぎます」

 と、私の腕を掴み言い放った。

 「あら~残念っ」

 アニエス様はぺろっと舌を出し、お茶目に残念がった。


 ——えっ!?アニエス様確信犯だったんですか!?
 怖い怖い、でも可愛い……

 結局可愛いが勝ってしまう……

 アニエス様がお母様か~~。……いいな…






 お昼も食べ終わり、ルカとエリックは決闘だ!とか言ってさっさと外に遊びに行ってしまった。
 私はアニエス様とお茶をしたり、編み物をしたり、散歩などをして過ごすと気づけば帰る時間になっていた。


 「今日のところは、僕の負けだ……。
 でも絶対、エリックに勝ってリリィを僕のお嫁さんにする!!!」


 「ははは、では死ぬ気で僕に勝つんだね。今のルカには無理だろうけど。

 そしてリリを守れるくらいの男にならないとリリは渡さない。

 僕はリリを守る為なら命も惜しくからね……」


 エリックは、ルカを挑発したかと思うと俯き眉間に皺を寄せ呟いた。


 「エリック兄様ってば、大袈裟です!
  迎えが来てますから、帰りましょう!」

 「ちょっとリリ、押さないでっ」

 私はリリックの背中を押すようにして馬車に乗り込む。

 「どれだけ私のことが好きなんですか!少しは自重してください!」

 「リリは世界一好きかなー」

 「はいはい」

 私はエリックを軽くあしらいながら、窓をあけると風が顔に当たる。


 「エリック!僕は強くなるよ!そしてリリィを守る!」

 「まあ、精々頑張るんだな!ルカ!」


 なんだかんだで名前で呼び合うようになっているし、仲良くなってるじゃない。


 私たち兄弟を乗せた馬車はアルマニャック家に向かい走り出した。



 「リリ……大袈裟なんかじゃないよ……
 だって……俺は………………」


 「ん?兄様なにか言いましたか?」


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