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悪役令嬢の可愛い婚約者
閑話 公爵家嫡男ですが、婚約者を振り向かせたい
しおりを挟む「リリちゃん!!5歳のお誕生日おめでとう!!」
「「「「「おめでとう!!!」」」」」
僕の名前はルカ・ノルマンディー。
ノルマンディー公爵家の嫡子であり、国の上級魔法師であり公爵家当主の父と、美人で優しく物知りな母との間に生まれた。僕も大人になったらお父様のような立派な魔法師になりたいと思っている。今日は僕の婚約者のお誕生日会という名のお茶会に母と一緒に参加している。
リリアンヌ・アルマニャック。僕の婚約者だ。
リリィは3歳の時に僕の放った魔法に巻き込まれて額に傷を負ってしまった。
リリィは僕のこと好いてくれていたので僕は責任をとって、リリィに婚約を申し出たのだが、それ以来リリィは僕のことを好きだとは言わなくなってしまった…………。
僕が怪我をさせてしまったのだから自業自得なのだけれど…………。
なぜだか最近は心臓がモヤモヤしていた。
今日の主役のリリィはいつもより豪華な衣装とヘアスタイルで、妖精のように美しかった。
話かけづらかったためモタモタしていると後ろから名前を呼ばれた。
「ルカ様~。よろしければ、ご一緒させていただいてもよろしいですか?」
「ああ!ずるい!わたくしもルカ様とお話ししたいですわ!!」
「「「私も!!」」
僕はいいとも返事をしていないのだが、数人のご令嬢に囲まれてしまった。
「ルカ様は、休日は何をされているのですか?」
「えっと、最近はお母様とお散歩や読書などをしていますね…………」
聞かれたことにさらっと答える。
「まぁ、素敵ですわね」
「お勉強や武術やにも励んでいるとお伺いしましたが、どのようなことを?」
「基礎的な読み書きはできますし、剣や魔法も先生をつけてます…………」
僕はリリィやエリックと過ごして以来、勉強や武術にも力を入れるようになった。
僕はリリィのことを何にも知らなかったとあの日気付かされた。
僕のお母様は病弱でこれまで魔法やお医者様の力を借りたけど、治る気配のなかった。でもまだ3歳のリリィは僕の知らない知識を使ってお母様を元気にしてくれた。リリィは自分の力じゃないと言っていたけど、リリィが教えてくれた料理はどれも美味しかったし、お母様の様子を見ながら食事を用意したり、運動メニューを考えたりする姿はリリィじゃないみたいで、僕は戸惑った。今こうしてお母様がお茶会にも出れるようになったのはリリィのお陰だ。
僕もたくさん勉強してリリィの婚約者に相応しい男の人なる為に頑張ろうと思った。
そして母の看病をして半年が経ったある日、リリィの兄であるエリック・アルマニャックが我が家に訪れた。
噂では、とても優秀で神童とも言われているらしい。でもリリィのことになるとすぐムキになり僕に突っかかってくる。この前、エリックと勝負したのだが彼は恐ろしく強く、かっこよく見えた。彼みたいな人になりたいと思った。
リリィとのことを認めてもらえるようにも強くならなければとも思った。
アルマニャックの兄弟と並べるような人になる為に僕は両親に頼みあらゆる分野の先生をつけるようになった。
「素晴らしいですわ~。是非一度拝見したいですわ」
「それにルカ様のお父様は上級魔法師ですし、素敵ですわ~」
「ノルマンディーノルマンディー領は豊かですし、行ってみたいですわ」
「ルカ様はどんな方が好みですか?」
「ちょっとあなた!抜け駆けはおやめになって!」
「「「そうよそうよ」」」
ご令嬢たちは次々と言葉を投げかけてくるが、目がなんだか怖かった。
僕はご令嬢が言い合っている間を縫って抜け出し、リリィを探した。
リリィを見つけると僕は声を張り上げてリリィを呼んだ。
「リリィ!」
リリはどこかをじっと眺めているようだったが、こちらを向いた。
「ルカ様、ご令嬢に囲まれていたようで羨ましいですわ」
僕の婚約者様はなぜだか知らないが女の人に目がない…………。
前はそんなことなかったのに、少しでも僕の方を見て欲しいと思ってしまう。
——なんでだろう?
「大変だったんだよ?」
僕のことじゃなくて、僕のお家の事しか聞かれなかったし、きっと僕が公爵家だから…………
婚約したことが公になればいいの に…………」
僕たちの婚約のことはリリィの傷のこともあるので、公にはなっていない。
「そんな事を思っていらして?ルカ様はお顔も整っていて可愛いですし、お勉強もできると伺ってますし、最近では武術も習い始めたとか!ルカ様にはいいところがたくさんありますし、ご令嬢方もルカ様の事が知りたかったのではありませんか?」
リリィがフォローしてくれる。
「そうかな?
リリィは僕が公爵家じゃなくても、仲よくしてくれる?」
「もちろんですわ!!ルカ様が公爵家だからお付き合いしているのではありませんもの!!」
その言葉に僕は舞い上がった。
——リリィはちゃんと僕のことを見てくれているんだ。
「そっか」
僕の顔が熱くなるのがわかる。
そんなやりとりをしていると、とエリックともう一人誰かがやってきた。
エリックといる男の子はとてもキラキラしていて、王子様のようだった。
「リリ嬢、悪いけど父に話しを聞こうと思うから今日はもう帰るね」
「俺、ちょっとクリス送りに行って来る」
「じゃあ、またね」
王子様のような人はリリィの頭をポンポンとすると、颯爽とホールから出て行った。
リリィは頭に手を当てるとさっき起こったことの余韻に浸かのような仕草をした。
「クリス様…………かっこいいですわ…………」
リリィの言葉が漏れる。
その瞬間僕の胸は締め付けられるようにぎゅっとなった。
——リリィはあの人のことをどう思っているんだろう…………。
「リリィは…………僕の………者…………なのに」
「え?ルカ様何かおっしゃいましたか?」
「リリィはあの王子様みたいな人が好きなの…………?」
僕は意を決すると、リリィに問いかける。
「王子様!?あ、クリス様のことですか?
ええ、好きですわ。でもクリス様は女せ————
リリィから好きと言う言葉が出た瞬間、リリィの次の言葉を遮る。
「リリィのばか!!浮気者!!もう知らない」
「ちょっ!!ルカ様!!」
僕は大声で叫ぶと玄関ホールの方へ走り出しし、ホールを抜け花壇の噴水の前のベンチに座った。
——リリィはあの人のことが好きなんだ…………
ズキッ
僕は気づいてしまった。
最近のモヤモヤの正体を…………
リリィを男に近づけさせたくない訳を…………
この胸の締め付ける原因を…………
——僕は、リリィのことが好きなんだ…………。
「ルカ様!こちらにいらしたんですね」
僕は顔を上げた。
「リリィ…………何しにきたの?」
——どうして僕のところに来たの?
あの人が好きなんでしょ?
「ルカ様が私の話を遮り走り去ってしまったので追いかけてきたのですわ」
「話って?」
「クリス様を好きと言いましたが、クリス様は女性ですしお兄様の婚約者になる予定ですわ」
「え?そうなの?」
「そうです」
女性…………
リリィは確かにそういった…………
「僕…………勘違い…………恥かしい…………」
ルカは勘違でやきもちを焼いた自分が恥ずかしくて、顔から火が出そうだった。
僕は落ち着くと、僕が聞きたかったことを口に出した。
「リリィはどんな人が好きなの?」
「え?」
リリィが困ったような顔をする。
「リリィは、やっぱり王子様みたいな人が好きなの?」
「…………王子様ですか?」
リリィは少し考え込むとボソッと呟く。
「お兄ちゃん…………みたいな人かな…………?」
「お兄ちゃん?」
「いえいえ!!!なんでもないです!!!!
好きって一体なんなのでしょう!?
そんなことより、外は冷えますし中に入りましょう!!!!」
リリィは慌てたようにそう言った。
リリィはまだ恋を知らないのかな?
僕はそのことが嬉しくて、思ったことが口に出てしまった。
「リリィ、僕が教えてあげるよ」
「おいルカ!リリとなに話してたんだ!?教えるってなんだよ!?」
「エリックには教えない」
——絶対振り向かせてみせるよ…………
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