悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~

こばやん2号

文字の大きさ
9 / 180
第一章 冒険者に俺はなる

9話

しおりを挟む


「いらっしゃいませー、白銀の風車亭へようこそ」


 肉串を売っていた店主に教えられた通りに進むと、目的の宿に到着した。
 秋雨を出迎えてくれたのは、十代中頃の少女だった。
 栗色の髪を三角頭巾で覆っており、いかにも「看板娘です」という雰囲気を醸し出している。


 宿の仕事に従事し易い給仕服のような地味目な服に身を包んではいるものの、十代とは思えないほどの胸部を押し上げる膨らみは、現代日本で生きてきた秋雨にとってもなかなかお目に掛かれるものではなかった。


(でけぇな……ピンク乳首ちゃんよりもデカいんじゃないか……)


 あまりのデカさに思わず見入ってしまっていたのが良くなかったようで、彼女の顔がみるみる怪訝な表情へと変わっていく。
 そして、秋雨の不躾な視線から逃れるように胸の当たりを両手で押さえ自身の膨らみを隠す。


「どこ見てるんですか……」

「ああ、悪い。あまりにデカかったからついな……ところで念のために聞きたいんだが、それって本物だよな?」


 彼女見た目が少し幼いということもあり、その胸部の膨らみは異様なものとして秋雨の目には映っていた。
 だからこその疑問だったのだが、どうやら胸を偽物扱いされたのが気に障ったのか、頬を膨らませながら彼女が抗議の声を上げる。


「本物ですよぅ! ほらっ!!」

「って、おいおい!?」


 そう反論しながら、秋雨の手を取った彼女はあろうことかその手を自分の胸へと押し付けたのだ。
 一般的な庶民の場合下着などというものは、柔らかめの布地を使い胸部を隠す物が一般的に流通はしているものの、その分余計なお金が掛かってしまう。
 そのためほとんどの平民女性は下着を着用しておらず、肌の上から服を着るだけに留める人が普通だ。


 おそらく目の前の彼女もその例に漏れず胸を押さえるための下着を着用していないため、給仕服の上からでも分かるほどの柔らかな感触が伝わってきた。
 それは何かを詰めただけの偽物の胸とは違い、こう言っては何だがちゃんと中身のある胸であった。
 秋雨は目の前で起こったラッキースケベに対し、これ幸いと確認の意味も込めて彼女の胸の感触を一通り楽しむことにした。


 まだ十代というぴちぴちの肌は瑞々しく白く透き通っており、若いというよりも幼いというのが正確だろう。
 だがしかし、そんな彼女が胸に隠し持っているものと言えば、凶悪極まりないほどのモンスターだった。
 指に少しでも力を入れると、彼女の乳房に指が吸い込まれていくように沈んでいく。


 今この瞬間、自分が世界で一番柔らかい物に触れているのではないだろうかという錯覚を覚えるほど、彼女の胸は大きく柔らかかった。


「確かに、本物のようだな」

「ふふーん、でしょー?」

「それよりもそろそろ手を離してくれないか? それとも、もっと揉んで欲しいのか?」

「え、あっ、きゃあ!」


 自分がしていたことに今更気が付いた彼女は、慌てて秋雨の手を離すと頬を赤く染めながら、胸を両手で隠した。
 彼女自身が自分の意思で取った行動なので、秋雨としてはまったく無実なのだが、そんな彼をまるで痴漢の犯人を見るかのように非難する目を向けてくる。


「はぁー、早く自分の仕事をして欲しいのだが……」

「むぅー」

「……」


 秋雨にとって幸いだったのが、その場に二人以外の誰もいなかったことである。
 時間帯的にも宿に併設されている食堂兼酒場に客は一人もおらず、他の従業員も空き部屋になった部屋の掃除や昼食の仕込みをしていたため、今この場にいるのは彼女と秋雨だけであった。


「はぁー、他の宿にするか……」

「え……」


 秋雨はそう呟くと踵を返し宿を後にしようとしたが、服の裾の辺りを両手で握られてしまい他の宿に行こうにもその場から動けなくなってしまった。


「離してほしいのだが……」

「……」

「ほらー、俺もここで油を売るつもりはないし、君だっていつまでもこんなことをしている暇はないのだろう? 君が取るべき選択肢は二つに一つ、このまま俺を黙って行かせるか、先ほどのやり取りを無かったことにして受付業務を続けるかのどちらかだ。好きな方を選べ、10秒だけ待つ」

「……」
 

 そう彼女に宣言すると、心の中で十秒カウントを開始する秋雨。カウントが進みタイムアップが迫る中、残り秒数が2になったところで彼女が口を開く。


「わかりました、今回の事はわたしが全面的に悪いですから全てなかったことにします」

「そうか、なら部屋を借りたい、空きはあるか?」


 その後ようやく彼女が仕事をしてくれるようになり宿の受付はつつがなく完了する。
 料金は一泊大銅貨1枚と銅貨5枚だったので、十日分の銀貨1枚と大銅貨5枚を支払った。
 宿の相場が銅貨5枚であることから確かに相場よりも高い。


(あの肉串のオヤジめ、何が多少高いだ。相場の三倍じゃねえか!)


 その代わりと言っては何だが、食事は朝昼晩と三食用意されるし、希望すれば体を拭くためのお湯の張ったタライも用意してくれる。
 秋雨はできるだけ他の客との接触を避けたかったため、彼女に食事は部屋に持ってきてくれるように頼んだ。
 どうやら食堂に来るのを面倒臭がる客もいるようで、これについてはとやかく言われることもなかった。


「それでは、こちらがお部屋の鍵となります。それと申し遅れましたが、わたしはこの白銀の風車亭で働いているケイトと申します」

「秋雨だ。この街には冒険者になるためにやってきたばかりだ。よろしくな」


 お互いに簡単な自己紹介をすると、彼女から鍵を受け取り二階への宿部屋に登る前に彼女に向き直ると秋雨は口を開いた。


「ケイト、一応忠告しておくが、さっきのような真似は他の客には絶対するんじゃねぇぞ? 相手が俺だからよかったものの、下手すりゃ襲われるからな」


 老婆心が働いたのだろうか、秋雨は彼女にそう忠告する。
 ケイトも秋雨が本気で心配してくれているのが伝わったのか、微笑みながら感謝の言葉を伝えてきた。


「アキサメさん、ありがとうございます。今度からは気を付けます」


 そのまま部屋に向かおうと思った秋雨だったが、急にいたずら心が芽生えた彼は、再びケイトに向き直りいたずら小僧のような笑みを浮かべケイトに言い放った。


「まあ、さっきの事は無かったことにはなっているが、それとは別に俺がケイトのおっぱいの感触を忘れるかは別問題だとだけ言っておくとしよう」

「ちょ、ちょっとアキサメさん、どういうことですかそれ!? さっきのことは無かったことになったはずじゃ?」

「無かったことになってるよ、綺麗さっぱりとな。だがそれはケイトが俺にやったことについての話だ。つまり俺がケイトのおっぱいの感触を無かったことにするというのは別の話だという事さ、じゃあそういうことで、食事は部屋に持ってきてくれなー」

「ちょ、ちょっとアキサメさん、それは詐欺じゃ無いですかね!? もう一度話し合いましょう? ねえアキサメさん戻ってきてくださぁぁぁああああい!!」


 その後他の従業員から仕事を指示されてしまい、ケイトは泣く泣く次の仕事へと向かうのだった。
しおりを挟む
感想 172

あなたにおすすめの小説

辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい

ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆ 気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。 チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。 第一章 テンプレの異世界転生 第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!? 第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ! 第四章 魔族襲来!?王国を守れ 第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!? 第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~ 第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~ 第八章 クリフ一家と領地改革!? 第九章 魔国へ〜魔族大決戦!? 第十章 自分探しと家族サービス

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

初期スキルが便利すぎて異世界生活が楽しすぎる!

霜月雹花
ファンタジー
 神の悪戯により死んでしまった主人公は、別の神の手により3つの便利なスキルを貰い異世界に転生する事になった。転生し、普通の人生を歩む筈が、又しても神の悪戯によってトラブルが起こり目が覚めると異世界で10歳の〝家無し名無し〟の状態になっていた。転生を勧めてくれた神からの手紙に代償として、希少な力を受け取った。  神によって人生を狂わされた主人公は、異世界で便利なスキルを使って生きて行くそんな物語。 書籍8巻11月24日発売します。 漫画版2巻まで発売中。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

処理中です...