オンラインゲームしてたらいつの間にやら勇者になってました(笑)

こばやん2号

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2部【アース大陸横断編】 第1章 「目指せドグロブニク 漫遊編」

69話:「ベルゼ VS ヤマト」

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上空に浮遊する二人に呼びかけると案外素直にそれに従う。
一人は見知った顔であるリリスがいた。
バツの悪そうな顔をしているようでなんか居心地が悪そうな感じだ。
一方もう一人は初めましてだと・・・・思うというか何この人?

「君は誰だ?」

至極当然の質問に対し、目の前の色香漂う妙齢の女性は
丁寧な口調と共に返答する。

「初めまして、神託の勇者小橋大和さん
 わたくしはメフィスト様に仕えるしもべが一人
 メフィスト軍直轄第2部隊隊長、ヴェルゼビュート・ベルゼバブですわ
 以後お見知りおきを。 と言ってもあなたにはここで死んでもらいますけどね」

丁寧な言葉遣いでありながらもどこか言葉の奥に棘のような
負の感情が窺い知れる。

大和の直感が警鐘を鳴らす。 この女は強いと。
だが自分以外にこの女の相手はできぬと瞬時に理解し、先手を打って提案する。

「どうだろう? このまま4対2で戦うのもいいが
 それだとつまらない。 ここは俺とあんたの一騎打ちで戦うというのは?」

それは他の三人には手を出すなという大和の無言の重圧だ。
一騎打ちを申し出てリナたちに危害を加えることのないように仕向けたのだ。
ベルゼはそんな大和の胸の内を知ってか知らずか、口の端を吊り上げニヤリと悪い笑いを浮かべ。

「いいですわよ。 わたくしもあなたが提案しなければ
 同じことを言っていましたから。 わたくしとあなたで戦いましょう!
 リリス聞いた通りです。 他の者に手を出してはなりませんわよ?」

そうリリスに釘を刺すと彼女は黙ってそれに頷く。
リリスが了解したのを確認するとベルゼは大和へと向き直り口を開く。

「それで、ここで戦うのかしら? それとも他に場所を移して戦うのかしら?」
「そうだな・・・・ここでも構わないが仲間を巻き込みたくない
 少し移動するとしよう。 ついてこい!」

そう言って大和は魔法で飛び上がるとリナたちから離れていく
飛び立つ前に「じゃあ行ってくる」とだけ言葉を残して
三人はこの言葉が彼の最後の言葉にならないで欲しいと心の底から願うのだった。





しばらく飛び続け、リナたちから数キロほど離れた場所まで移動した。
辺りは何もない枯れ果てた荒野が広がっていた。
ここならば誰にも迷惑が掛からずに戦うことができるだろう。
実は大和がベルゼに対して一騎打ちを願い出たのは
自分以外の者ではベルゼと勝負にもならないという理由のほかに
もう一つ個人的な理由があった。

それは大和の本当の強さをリナたちに知られたくないということだった。
ここまで三人と旅を重ねてきた大和だったが、彼はこの旅の最中ほとんどと言っていいほど
戦闘で本気を出していなかったのだ。

知っての通り彼のレベルはタワー・ファイナルのステータスが適用され
カンスト状態の255にまで到達している。
そこで大和は旅を続けながら一つ実験してみたい案件があったのだが
それは【自分が本気で戦ったらどれくらい強いのか?】という案件だ。

これを確認するためには自分の攻撃をある程度食らっても耐えられる強者の存在が
必要不可欠だったため確認できずじまいだったのだ。
リナたちでは大和が少し力を使っただけで肉体が木端微塵に粉砕するだろう。
だからこそ遠慮なくぶつかっていける強者が目の前に現れてくれたことに
大和は深い感謝と興奮を覚えていた。

「この場所でいいのかしら?」

進むのを止めた大和に対し、ベルゼがそう問いかけてくる。
それに対して大和はその問いを肯定する。

「ああ、ここなら誰の迷惑にもならないしな
 じゃあ・・・・やろうか?」

そう宣言すると大和は腰の鞘に手を掛け、剣を抜刀する。
そして、臨戦態勢に入る。
一方大和が戦闘の準備ができたのを確認したベルゼもまた戦闘の構えを取る。
お互いが戦闘準備に入った状態で睨み合いが続く
両者とも相手の出方を窺い、一瞬の隙も見逃さないという考えだ。

戦いにおいてある一定の強さまで極めた者同士の戦いは最初は静かな立ち上がりが多い
隙を作れば一瞬のうちに間合いに入り込まれ相手に付け入られるためだ。
他の人間からすればただ睨み合っているように見えるが
相手の一挙手一投足を見逃さずに相対するということは想像以上に精神力が削られるものだ。

そんな睨み合いがしばらく続いたがその沈黙を破ったのはやはりというべきかベルゼだった。

「ふうやはり腹の探り合いは苦手ですわ。 先手を取らせていただきます!
 超級魔法 (ギガント・マジック) ライボルト・ジャベリン!」

両手を胸の前で構えるとそこに電撃が顕現し彼女の手の中で集約していく
そして集約された力は雷の槍となって大和に襲い掛かった。

「エロクトロニック・エナジー・シールド!」

ベルゼの呪文に対抗し、雷属性の攻撃を阻むのに特化したシールドを展開する。
途轍もない勢いで迫りくる攻撃だったがその攻撃も大和のシールドの前では無意味なものだった。

「へえーなかなかやるじゃない。 伊達に勇者は名乗ってないわね」
「別に俺は自分を勇者だなんて公言した覚えはないんだがね
 周りが勝手に勇者呼ばわりしているだけさ・・・・」

あらそうというベルゼの素っ気ない態度からして
まだまだ様子見といった戦い方だ。

「じゃあ今度はこちらから行くぞ!
 超級魔法 (ギガント・マジック) オーバー・サイクロン!!」

右腕をベルゼの方に向けて、まるで拳銃を打つかのように魔法を放った。
数十メートルはあろうかという巨大な大竜巻が現れうねりを上げながら
ターゲットの方へ向かって行く。
そして、竜巻の中心部にベルゼが巻き込まれ強力な風の猛威が襲い掛かろうとした刹那

「超級魔法 (ギガント・マジック) フレア・バン!!」

竜巻の中心から赤い炎の爆発が起こり、竜巻を全て吹き飛ばした。
爆発系魔術の中でも上位に位置する魔法それがフレア・バンだ。

「ふーん、君もなかなかやるじゃないか」
「その言葉素直に受け取っておくわ」

その後も超級魔法のオンパレードが続き相手が放った魔法を
別の魔法でかき消すという攻防が幾度も繰り返される。
そんな一進一退の攻防が繰り広げられたあと
痺れを切らしたようにベルゼが声を張り上げる。

「もう我慢できない! もっと遊んであげるつもりだったけど
 本気でやらせてもらうわ! 食らいなさい!!
 超絶級魔法 (テラント・マジック) フレイム・ビッグバン!!」

先ほど大和が唱えた竜巻の呪文を打ち消した爆発の魔法の数十倍のエネルギーが集約する。
そして、集約した力は炎を纏った球体へと形を変化させその場に顕現する。
その球体を両手で放ったベルゼ先ほどの攻防とは比べ物にならないほどの力が迫ってくる。

「ブレイズ・エナジー・シールド!!」

火属性の攻撃を阻むことに特化したシールドを展開するが
その程度では止めることは不可能だった。

「無駄よ、さっきの攻撃の10倍以上のエネルギーがあるわ。 死になさい!」

「どうかな? プロテクション・ウィッチクラフト・バリア!!」

既に張られたシールドの外側に一回り大きな障壁が展開される。
プロテクション・ウィッチクラフト・バリア
ほぼすべての魔法に耐性を持つ障壁を張り巡らせる魔法で
クラスはフレイム・ビッグバンと同じくテラント級だ。

ベルゼの放った魔法が大和の張った障壁に直撃する。
攻めの力と守りの力がぶつかり合い力の均衡が崩れることなく
ベルゼの魔法が爆発する。
だが爆発の衝撃は魔法の障壁によって阻まれ、うねり狂う炎は
火のシールドによってシャットアウトされる。
その結果ベルゼの放った攻撃は大和に届くことなく何事もなかったかのように無傷で終わる。
爆発で起きた噴煙が消え去りそこから全くダメージを追っていない大和を視認したベルゼは
その状況が信じられないとばかりに焦りの色を見せる。

「ばっ馬鹿な! 爆発系魔術の中で最強クラスと言われた
 フレイム・ビッグバンを防いだ・・・・だとっ! あり得ないわ!!」

おそらく自身の持つ魔法の中で自信のある魔法だったのだろう。
だからこそその攻撃を耐えられてしまったことで戦況が一気に傾いてしまった。

「じゃあ次はこちらの番だな。
 いくぞ、最上級魔法 (マキシム・マジック) ラーヴァ・ザ・アルテマ!」
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