56 / 297
お仕事頑張るぞ編
噂とセクハラ魂
しおりを挟む
うひゃひゃひゃっ、笑いが止まらん!!
売れる!!
サングラスが超売れる!!
形やサイズを数種類用意して、レンズの色も数種類用意した。日差し避けとしても売れるし、お洒落なファッションアイテムとしても売れる!!
我がぁ!! 商会はぁ!! 永遠に不滅ですぅ!!
サングラスを掛けたキオも大忙しである。
「ぷふっ」
「……笑いました?」
「笑ってない」
「そ、そうですか……」
キオのビジュアルが面白ぇ。前世基準で言うと、似合ってなくて堪らねぇ。しかしそこが良い。
ある日。
「野良ユニコーン……ですか?」
「そそ。野良ユニコーン。お客さんに聞いたんだけどね、見たっていう噂があるんだよ」
一本の長い角を額に持つ白馬、ユニコーン。
本来、ユニコーンは深い自然の中で定住していると聞く。ただそこにはユニコーンの不思議な結界が張ってあり、容易にその姿を見付ける事は出来ない。
それに対して世界を回る好奇心タップリのユニコーンもいる。それが野良ユニコーンである。
「ねぇ、キオ。その野良ユニコーンに会いに行かない?」
「噂は聞きましたけど……少し離れた場所ですし……」
「大丈夫、大丈夫。移動に適した奴がいるから。それにもしかしたらキオの傷跡を治せるかもよ?」
「わ、私の為ですか?」
「だって女の子にそんな酷い傷跡が残っていたらね~治せる可能性があるなら治そうよ」
ユニコーンは特別な治癒の力を持つと言われる。
もしかしたらキオの傷跡だって治せるかも知れない。
「……でもこれは……私への罰なんです……だから……私だけ……治せないです……」
「だったらキオが傷付けた奴も治せば良いよ。これでおあいこ、問題無いよね。まぁ、本当に治せるか分からないけど」
「あ、ありがとうございます。わ、私も出来るなら治してあげたいです……」
治してあげたいって、自分は右目を潰されているのに……優しいなぁ、キオは。
まぁ、そんなワケで野良ユニコーンに会いに行こうぜ!!
★★★
「姐さん、本当に良いんすか? 数日とはいえ店を閉めちまって」
「良いの。だってミツバさんだって休んでなかったじゃないですか? 逆に少し休むべきだって。それよりせっかくの休みなのに一緒で良いんですか?」
「あー……強盗の一件があったんで。俺が護衛します」
そう言うミツバの背中には体格と同じような巨大な戦斧。同行してくれる事になった。
「ヴォルの他にミツバさんも一緒なら安心だね」
「さらにアバンセも付いて来そう」
「ヴォル兄、アバンセってどういう事です? 不死身のアバンセの事っすか?」
「ちょっとヴォル~まだ秘密にしといてよ~驚かそうと思ってるんだから」
「あっ……あの!!? ヴォルさん、ミツバさん……お、お二人とも、これを見て下さい……」
キオにしては珍しい大きな声。
そしてサングラスを外す。
その両目。
傷で塞がれた右目、虹色をした左目。
「シノブがユニコーンに会いたいのはキオの為?」
ヴォルフラムの言葉に俺は頷く。
「その眼……カトブレパスの瞳だな?」
ミツバの言葉にはキオが頷く。
「キオ。良いの?」
あまり他人には見せたくないはずだ。
「……良いんです。だって……これからずっと働いていくんですから……」
「そっか」
俺は笑った。
ちなみにレオは留守番。
店は閉めているけど、一応という事で残っていた。
★★★
いつも通り。
エルフの町から少し離れてアバンセを呼び出す。
「アバアバ」「アバアバ」
キオもミツバもアバアバ言ってやがる。
「アバンセ~乗せろ」
「シノブ……俺をまた馬車代わりに使うつもりか?」
「ちなみに竜を馬車代わりに使うのと、女の子を騙して犯そうとするの、どっちが重罪であるか……アバンセはどう思う?」
「シノブ、それって……」
「違う。違うぞ、ヴォルフラム。ど、どうした、シノブ、急に? 乗せてやるぞ、ほら、何処まで行くんだ?」
「あ、あ、あ、あの、あの、あの、シ、シノシノ、ブさん、も、もしか、かかかしてアバ、アバンセって、ふ、ふふ、ふふふふふ、ふじっ、ふじっ、不死身、の、ののアバ、アバ、アバンセさんでしょ、しょしょしょうか?」
ふふっ、さすがキオ。期待通りの反応をしてくれるぜ。何を言ってんのかよく分かんねぇ。
「スゲェっす……姐さん、アバンセともお知り合いなんですね……」
「お前達は初めて見るな」
「こっちがキオで、こっちがミツバさん。二人とも私のお店の従業員なの」
「キオにミツバだな。俺が不死身のアバンセだ」
「キ、キキ、キ」
「ちょっと、キオ、落ち着いて。ほら、深呼吸、すーはー」
「すーはー……キオです……初めまして」
「ミツバっす。飛んでいる姿は見た事がありましたが、こんな近くで見られるなんて光栄っす」
「光栄か……ほら見ろ、シノブ。これが普通の反応だぞ」
「光栄って……そうかなぁ?」
「姐さん、俺達、ドワーフの間では当たり前の話なんですが、大地には竜脈というエネルギーの流れがあります。そのエネルギーは大地を安定させ、土地に豊饒を与えます。そのエネルギーの元がアバンセを含めた五人の竜なんすよ」
「……つまりアバンセ達がこの世界を守っているって事?」
「そうとも言えますね」
「……影響があるのは知っていたけど、そこまでだとは……ヴォルは知ってた?」
「知ってた。次期、森の主として母さんから聞いた」
「キオは?」
「し、知りませんでした……」
「よし、仲間」
「その俺の背中に乗れるんだぞ? シノブはもっとその貴重さを感じるべきだ」
「そうだね。世界を守る竜に胸やお尻を触」
「ほーら!! 全員、乗れ!! この不死身のアバンセの背中に!!」
俺の声をアバンセの大声が掻き消すのだった。
★★★
大森林の端。
馬車で数日掛かる所も、アバンセの翼ならアッと言う間だぜ!!
上空から大きな湖を見付ける。
お客さんから聞いた場所もこの辺りだし、ユニコーンは清浄な水を好むとも聞く。探すなら、あの湖を中心に探すのが良いかな。
俺達は湖のほとりで降りた。
「……わぁ」
キオはアバンセの姿を見て、小さく声を上げた。
「かわいいでしょ?」
俺の言葉に頷くキオ。
「かわいいとは心外だが、まぁ、認めよう」
小さいアバンセを俺が胸に抱える。
「姐さん、ミニアバンセ……店のマスコットに出来ませんかね? ヌイグルミとか作って」
「ナイスアイディア」
「やめろ。俺の印象が」
「じゃあ、そこでミニヴォル人形だよ」
「か、かわいいと思います」
「ただの犬の人形だと思われそうなんだけど? 次期、森の主なんだけど?」
なんて話は後回しにして、今はユニコーンだ。
「ヴォル。においは? 何か感じる?」
ヴォルフラムは鼻を鳴らして、周囲を見回す。背の高い木々に囲まれた湖。
「……特に変わった事は何も」
「アバンセは?」
「何も無い。ユニコーンだったな。あれは自らを隠匿する能力が高い。俺でさえ見付けるのは難しいぞ」
「キオはどう?」
「はい……見てみます」
キオの左目、その虹色の瞳の輝きが増す。
「それがカトブレパスの瞳か。人が片目で使う能力の程度は分からんが、カトブレパス自身は竜をも超える探査能力を有している」
「アバンセ知ってんの?」
「ああ。あの瞳は生物の生死を左右するだけではなく、遠視はもちろん、未来や過去まで見通すと言われている。ただ知能は高いが、無口で何を考えているか分からん」
未来や過去を見通すなんて、人が群がって求めそうな能力だけど……即死能力を持つ、何を考えているか分からない奴なんて近付きたくないよなぁ。
「……あの……見えている風景におかしな所は無いんですけど……何か変な感じがします……」
「変な感じって?」
「あっ、はい、あの、上手く説明出来ないんですけど……ごめんなさい」
でもキオがそう感じるなら何かあるのかも知れない。
行ってみるか。
「とりあえず私とキオで言って見て来るよ」
俺はアバンセをミツバに渡す。
「本当に姐さんとキオだけで? ユニコーンは獰猛とも聞きますけど大丈夫っすか?」
「大丈夫だよ、キオだって本当は強いし」
「シノブ。分かっていると思うが、少しでも危険を感じたらすぐに戻るんだぞ」
「アバンセも心配症だなぁ」
「気を付けて」
「うん、ヴォル、行ってくるね。じゃあ、キオ」
「はい」
俺とキオは二人だけで森の中へ向かうのだった。
★★★
「ねぇ、キオ……一応、聞いておくけど……処女?」
「えっ、あっ、あの、そ、それは、えっ?」
「だから男の人とエッチした事ある?」
「な、なな、無いです!! そ、そんな事、まだ無いです!!」
「私もまだだから大丈夫だね」
「あっ……はい……ユニコーンの習性ですよね?」
「そう。ユニコーンは処女を好むって話だから」
ユニコーンは治癒の能力を持つと同時に、その性質は獰猛で勇猛果敢。そして処女を好むといい、その膝の上に頭を置いて眠るとも言う。
そしてここで俺の男だった頃のセクハラ魂が!!
「しかしキオも処女かぁ……」
「は、はい……」
「最初はどんな相手が良い?」
「えっ!!?」
「キオはどんな男性が好みかなと」
「あっ、わ、私は……その……優しい人が、す、好きです……」
「優しい人か。その人とどんなエッチしたい?」
「ふぇっ!!?」
「ほら、女の子だったらあるじゃん? 理想がさ」
「あ、あのあの、私、あ、あんまりそういう事、考えた事が無くて……で、でも、最初は痛いかもって……だから、その、出来るだけ優しくしてほしいです……」
「優しい人に優しくか……普通だね」
「普通……あの、シノブさんは?」
「そりゃ複数よ」
「複数!!?」
「筋肉質な男数十人に激しく犯されたい。キオやみんなの見ている前で」
「はわわわわ……」
キオ、泡を吹きそうだぜ。
「冗談だけどね」
「も、もう、シノブさん!!」
「あはははっ、まぁ、私はあんまり男の子に興味が無いからな~出来れば相手は女の子が良い。変かな?」
「そ、そういう趣味の人もいます、だ、だから変じゃないです」
「キオでも良いんだけど」
「あっ、そ、その、あの、わ、私も、シ、シノブさんなら……」
「マジ?」
キオはコクッと頷く。
「……シノブさんが女性なのは分かっているんですけど……気を悪くしたらごめんなさい……そ、その、時々、シノブさんが男性に見えたりしますから……だから……」
ヤベェ、キオが鋭い。
「確かに、たまに『俺』とか言っちゃうからね~」
「そうなんですか? まだ聞いた事ないです」
「そのうちに聞けるかもよ。ところでキオ、この辺り?」
俺は話をズラして、辺りを見回す。
木々に囲まれた森の中。辺りに変わった様子は無いけど。
「もう一度、見てみますね」
能力を発動させたまま行動するのは体力的にも精神的にも負担になるらしく、キオは必要な時にこうやってカトブレパスの瞳を発動させていた。
そして周囲に視線を走らせ、一方向を見詰めて言う。
「すぐそこです……景色が……少しだけ……歪んでいるような気がします……ま、待って下さい!! だ、誰かいます!!」
俺は咄嗟に腰の短剣に手を伸ばす。
どうする!!? みんなを呼ぶか!!?
そんな俺とキオの前に現れたのは一人の女性だった。
「こちらに敵意はありません。その短剣に掛けた手を離していただけませんか?」
彼女は静かにそう言うのだった。
売れる!!
サングラスが超売れる!!
形やサイズを数種類用意して、レンズの色も数種類用意した。日差し避けとしても売れるし、お洒落なファッションアイテムとしても売れる!!
我がぁ!! 商会はぁ!! 永遠に不滅ですぅ!!
サングラスを掛けたキオも大忙しである。
「ぷふっ」
「……笑いました?」
「笑ってない」
「そ、そうですか……」
キオのビジュアルが面白ぇ。前世基準で言うと、似合ってなくて堪らねぇ。しかしそこが良い。
ある日。
「野良ユニコーン……ですか?」
「そそ。野良ユニコーン。お客さんに聞いたんだけどね、見たっていう噂があるんだよ」
一本の長い角を額に持つ白馬、ユニコーン。
本来、ユニコーンは深い自然の中で定住していると聞く。ただそこにはユニコーンの不思議な結界が張ってあり、容易にその姿を見付ける事は出来ない。
それに対して世界を回る好奇心タップリのユニコーンもいる。それが野良ユニコーンである。
「ねぇ、キオ。その野良ユニコーンに会いに行かない?」
「噂は聞きましたけど……少し離れた場所ですし……」
「大丈夫、大丈夫。移動に適した奴がいるから。それにもしかしたらキオの傷跡を治せるかもよ?」
「わ、私の為ですか?」
「だって女の子にそんな酷い傷跡が残っていたらね~治せる可能性があるなら治そうよ」
ユニコーンは特別な治癒の力を持つと言われる。
もしかしたらキオの傷跡だって治せるかも知れない。
「……でもこれは……私への罰なんです……だから……私だけ……治せないです……」
「だったらキオが傷付けた奴も治せば良いよ。これでおあいこ、問題無いよね。まぁ、本当に治せるか分からないけど」
「あ、ありがとうございます。わ、私も出来るなら治してあげたいです……」
治してあげたいって、自分は右目を潰されているのに……優しいなぁ、キオは。
まぁ、そんなワケで野良ユニコーンに会いに行こうぜ!!
★★★
「姐さん、本当に良いんすか? 数日とはいえ店を閉めちまって」
「良いの。だってミツバさんだって休んでなかったじゃないですか? 逆に少し休むべきだって。それよりせっかくの休みなのに一緒で良いんですか?」
「あー……強盗の一件があったんで。俺が護衛します」
そう言うミツバの背中には体格と同じような巨大な戦斧。同行してくれる事になった。
「ヴォルの他にミツバさんも一緒なら安心だね」
「さらにアバンセも付いて来そう」
「ヴォル兄、アバンセってどういう事です? 不死身のアバンセの事っすか?」
「ちょっとヴォル~まだ秘密にしといてよ~驚かそうと思ってるんだから」
「あっ……あの!!? ヴォルさん、ミツバさん……お、お二人とも、これを見て下さい……」
キオにしては珍しい大きな声。
そしてサングラスを外す。
その両目。
傷で塞がれた右目、虹色をした左目。
「シノブがユニコーンに会いたいのはキオの為?」
ヴォルフラムの言葉に俺は頷く。
「その眼……カトブレパスの瞳だな?」
ミツバの言葉にはキオが頷く。
「キオ。良いの?」
あまり他人には見せたくないはずだ。
「……良いんです。だって……これからずっと働いていくんですから……」
「そっか」
俺は笑った。
ちなみにレオは留守番。
店は閉めているけど、一応という事で残っていた。
★★★
いつも通り。
エルフの町から少し離れてアバンセを呼び出す。
「アバアバ」「アバアバ」
キオもミツバもアバアバ言ってやがる。
「アバンセ~乗せろ」
「シノブ……俺をまた馬車代わりに使うつもりか?」
「ちなみに竜を馬車代わりに使うのと、女の子を騙して犯そうとするの、どっちが重罪であるか……アバンセはどう思う?」
「シノブ、それって……」
「違う。違うぞ、ヴォルフラム。ど、どうした、シノブ、急に? 乗せてやるぞ、ほら、何処まで行くんだ?」
「あ、あ、あ、あの、あの、あの、シ、シノシノ、ブさん、も、もしか、かかかしてアバ、アバンセって、ふ、ふふ、ふふふふふ、ふじっ、ふじっ、不死身、の、ののアバ、アバ、アバンセさんでしょ、しょしょしょうか?」
ふふっ、さすがキオ。期待通りの反応をしてくれるぜ。何を言ってんのかよく分かんねぇ。
「スゲェっす……姐さん、アバンセともお知り合いなんですね……」
「お前達は初めて見るな」
「こっちがキオで、こっちがミツバさん。二人とも私のお店の従業員なの」
「キオにミツバだな。俺が不死身のアバンセだ」
「キ、キキ、キ」
「ちょっと、キオ、落ち着いて。ほら、深呼吸、すーはー」
「すーはー……キオです……初めまして」
「ミツバっす。飛んでいる姿は見た事がありましたが、こんな近くで見られるなんて光栄っす」
「光栄か……ほら見ろ、シノブ。これが普通の反応だぞ」
「光栄って……そうかなぁ?」
「姐さん、俺達、ドワーフの間では当たり前の話なんですが、大地には竜脈というエネルギーの流れがあります。そのエネルギーは大地を安定させ、土地に豊饒を与えます。そのエネルギーの元がアバンセを含めた五人の竜なんすよ」
「……つまりアバンセ達がこの世界を守っているって事?」
「そうとも言えますね」
「……影響があるのは知っていたけど、そこまでだとは……ヴォルは知ってた?」
「知ってた。次期、森の主として母さんから聞いた」
「キオは?」
「し、知りませんでした……」
「よし、仲間」
「その俺の背中に乗れるんだぞ? シノブはもっとその貴重さを感じるべきだ」
「そうだね。世界を守る竜に胸やお尻を触」
「ほーら!! 全員、乗れ!! この不死身のアバンセの背中に!!」
俺の声をアバンセの大声が掻き消すのだった。
★★★
大森林の端。
馬車で数日掛かる所も、アバンセの翼ならアッと言う間だぜ!!
上空から大きな湖を見付ける。
お客さんから聞いた場所もこの辺りだし、ユニコーンは清浄な水を好むとも聞く。探すなら、あの湖を中心に探すのが良いかな。
俺達は湖のほとりで降りた。
「……わぁ」
キオはアバンセの姿を見て、小さく声を上げた。
「かわいいでしょ?」
俺の言葉に頷くキオ。
「かわいいとは心外だが、まぁ、認めよう」
小さいアバンセを俺が胸に抱える。
「姐さん、ミニアバンセ……店のマスコットに出来ませんかね? ヌイグルミとか作って」
「ナイスアイディア」
「やめろ。俺の印象が」
「じゃあ、そこでミニヴォル人形だよ」
「か、かわいいと思います」
「ただの犬の人形だと思われそうなんだけど? 次期、森の主なんだけど?」
なんて話は後回しにして、今はユニコーンだ。
「ヴォル。においは? 何か感じる?」
ヴォルフラムは鼻を鳴らして、周囲を見回す。背の高い木々に囲まれた湖。
「……特に変わった事は何も」
「アバンセは?」
「何も無い。ユニコーンだったな。あれは自らを隠匿する能力が高い。俺でさえ見付けるのは難しいぞ」
「キオはどう?」
「はい……見てみます」
キオの左目、その虹色の瞳の輝きが増す。
「それがカトブレパスの瞳か。人が片目で使う能力の程度は分からんが、カトブレパス自身は竜をも超える探査能力を有している」
「アバンセ知ってんの?」
「ああ。あの瞳は生物の生死を左右するだけではなく、遠視はもちろん、未来や過去まで見通すと言われている。ただ知能は高いが、無口で何を考えているか分からん」
未来や過去を見通すなんて、人が群がって求めそうな能力だけど……即死能力を持つ、何を考えているか分からない奴なんて近付きたくないよなぁ。
「……あの……見えている風景におかしな所は無いんですけど……何か変な感じがします……」
「変な感じって?」
「あっ、はい、あの、上手く説明出来ないんですけど……ごめんなさい」
でもキオがそう感じるなら何かあるのかも知れない。
行ってみるか。
「とりあえず私とキオで言って見て来るよ」
俺はアバンセをミツバに渡す。
「本当に姐さんとキオだけで? ユニコーンは獰猛とも聞きますけど大丈夫っすか?」
「大丈夫だよ、キオだって本当は強いし」
「シノブ。分かっていると思うが、少しでも危険を感じたらすぐに戻るんだぞ」
「アバンセも心配症だなぁ」
「気を付けて」
「うん、ヴォル、行ってくるね。じゃあ、キオ」
「はい」
俺とキオは二人だけで森の中へ向かうのだった。
★★★
「ねぇ、キオ……一応、聞いておくけど……処女?」
「えっ、あっ、あの、そ、それは、えっ?」
「だから男の人とエッチした事ある?」
「な、なな、無いです!! そ、そんな事、まだ無いです!!」
「私もまだだから大丈夫だね」
「あっ……はい……ユニコーンの習性ですよね?」
「そう。ユニコーンは処女を好むって話だから」
ユニコーンは治癒の能力を持つと同時に、その性質は獰猛で勇猛果敢。そして処女を好むといい、その膝の上に頭を置いて眠るとも言う。
そしてここで俺の男だった頃のセクハラ魂が!!
「しかしキオも処女かぁ……」
「は、はい……」
「最初はどんな相手が良い?」
「えっ!!?」
「キオはどんな男性が好みかなと」
「あっ、わ、私は……その……優しい人が、す、好きです……」
「優しい人か。その人とどんなエッチしたい?」
「ふぇっ!!?」
「ほら、女の子だったらあるじゃん? 理想がさ」
「あ、あのあの、私、あ、あんまりそういう事、考えた事が無くて……で、でも、最初は痛いかもって……だから、その、出来るだけ優しくしてほしいです……」
「優しい人に優しくか……普通だね」
「普通……あの、シノブさんは?」
「そりゃ複数よ」
「複数!!?」
「筋肉質な男数十人に激しく犯されたい。キオやみんなの見ている前で」
「はわわわわ……」
キオ、泡を吹きそうだぜ。
「冗談だけどね」
「も、もう、シノブさん!!」
「あはははっ、まぁ、私はあんまり男の子に興味が無いからな~出来れば相手は女の子が良い。変かな?」
「そ、そういう趣味の人もいます、だ、だから変じゃないです」
「キオでも良いんだけど」
「あっ、そ、その、あの、わ、私も、シ、シノブさんなら……」
「マジ?」
キオはコクッと頷く。
「……シノブさんが女性なのは分かっているんですけど……気を悪くしたらごめんなさい……そ、その、時々、シノブさんが男性に見えたりしますから……だから……」
ヤベェ、キオが鋭い。
「確かに、たまに『俺』とか言っちゃうからね~」
「そうなんですか? まだ聞いた事ないです」
「そのうちに聞けるかもよ。ところでキオ、この辺り?」
俺は話をズラして、辺りを見回す。
木々に囲まれた森の中。辺りに変わった様子は無いけど。
「もう一度、見てみますね」
能力を発動させたまま行動するのは体力的にも精神的にも負担になるらしく、キオは必要な時にこうやってカトブレパスの瞳を発動させていた。
そして周囲に視線を走らせ、一方向を見詰めて言う。
「すぐそこです……景色が……少しだけ……歪んでいるような気がします……ま、待って下さい!! だ、誰かいます!!」
俺は咄嗟に腰の短剣に手を伸ばす。
どうする!!? みんなを呼ぶか!!?
そんな俺とキオの前に現れたのは一人の女性だった。
「こちらに敵意はありません。その短剣に掛けた手を離していただけませんか?」
彼女は静かにそう言うのだった。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
男子高校生だった俺は異世界で幼児になり 訳あり筋肉ムキムキ集団に保護されました。
カヨワイさつき
ファンタジー
高校3年生の神野千明(かみの ちあき)。
今年のメインイベントは受験、
あとはたのしみにしている北海道への修学旅行。
だがそんな彼は飛行機が苦手だった。
電車バスはもちろん、ひどい乗り物酔いをするのだった。今回も飛行機で乗り物酔いをおこしトイレにこもっていたら、いつのまにか気を失った?そして、ちがう場所にいた?!
あれ?身の危険?!でも、夢の中だよな?
急死に一生?と思ったら、筋肉ムキムキのワイルドなイケメンに拾われたチアキ。
さらに、何かがおかしいと思ったら3歳児になっていた?!
変なレアスキルや神具、
八百万(やおよろず)の神の加護。
レアチート盛りだくさん?!
半ばあたりシリアス
後半ざまぁ。
訳あり幼児と訳あり集団たちとの物語。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
北海道、アイヌ語、かっこ良さげな名前
お腹がすいた時に食べたい食べ物など
思いついた名前とかをもじり、
なんとか、名前決めてます。
***
お名前使用してもいいよ💕っていう
心優しい方、教えて下さい🥺
悪役には使わないようにします、たぶん。
ちょっとオネェだったり、
アレ…だったりする程度です😁
すでに、使用オッケーしてくださった心優しい
皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる