転生してもノージョブでした!!

山本桐生

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恐怖の大王編

成長と強要

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「それで未開の土地から乗り込んでやったら、なんかそこに大量の鉄人形が居てさ。襲ってくるヤツもいたけど、基本的に命令が無いと動かないみたいで片っ端からブッ壊してきた。後はあたしの赤い魔弾でシノブを探したわけよ」
 シャーリーは指先をクルクル回しながら言う。
「マジか……救国の第二女神じゃん、それ……シャーリーマジで。ほらちょっとこっち来て」
「ん? 何?」
 その体を抱き締めた。
 全く予想しない形で俺の作戦を打ち破ったシャーリー。成長を感じ取れるというか、なんか嬉しい。
「本当にありがとう……シャーリー……助かったよ」
「ま、まぁ、あたし、いざという時は出来る子だからね」
 シャーリーは恥ずかしそうに笑った。
「よし、っと。んじゃ状況整理するよ」

  まず大陸側がどうなっているのか現状分からない。だがこちらではアンゴルモアの姿が消えた。そこから考えるにすあまは倒されたか逃げ出したか。

 アンゴルモアが消えたと同時、クーネルとアソブーが少ないながら存在した大陸侵攻に加担していた者達を一掃した。アソブー自身は立場的にアンゴルモアと協力していたが、その本心はクーネルと同じく戦争の回避だったらしい。

 すあまとアンゴルモアが消えて、元の世界に戻れるか不安だったが、魔法陣の能力自体はアソブーが受け継ぎ使用可能との事。

 すあま、おはぎ、アンゴルモアが消え、とりあえず落ち着いてはいるが、これで終わりとはもちろんいかない。
 周囲が落ち着くまで数日。
 落ち着いてから今後の話をする為にクーネルとアソブーに集まってもらう。

★★★

 この場にいるのはアンゴルモアを倒すため先頭に立っていたクーネル。そしてアンゴルモアに近く、クーネルに協力していたアソブー。
 そして俺、護衛兼アソブーと面識のあったリアーナとロザリンド。

「全てが終わったとは言えないが……シノブ、リアーナ、ロザリンド……お前達の世界を巻き込んでしまい、本当にすまなかった。もちろん『許す事はできない』というのであれば私はどんな罰でも受け入れる。だがアソブーを含め、アンゴルモアに逆らえなかった者達も多い。私の命では足りないが、必要ならばそれで許して欲しい。頼む」
 そう言ってクーネルは頭を下げた。
「そうですね。私の一存でどうのこうのという話じゃありませんけど、私達の世界にも多くの被害が出ています。何らかの賠償は必要だと思います……けど誰かの首を切って終わり、なんて事にはならないように進言はしますけど」
「感謝する」
「あっ、それとベリー……クーネルさん達が殴った、私の仲間にもきちんと謝罪してください。これは絶対です」
「分かっている。心よりの謝罪を」
「私からも謝罪を。アンゴルモアを止められなかったのは私達の責任です。本当に申し訳ありませんでした。私にできる事ならば何でも言ってください。それと感謝も。シノブさんと、その仲間の方々がいなければアンゴルモアを止める事はできませんでした。リアーナさん、ロザリンドさん、本当にありがとうございます」
 と、アソブー。
「いえ、私達は何もしていませんから。頑張ってくれたのは仲間のみんなです」
「そうね。リアーナも私も今回はただ待っているだけだったわ」
 リアーナとロザリンドは言う。
 その時である。

 グゥゥゥ~
 お腹の音が鳴る。

「あ、あはは……ごめんなさい、私です」
 俺である。
 クーネルは笑った。
「何か用意させよう」
 笑った顔は初めてだわ、見るの。
「あ、待ってください。私の好きなお茶があるので、それをみんなで飲みませんか?」
「シノブちゃんが好きなお茶だよね。あれ私も好きだよ」
「ええ、少しクセがあるけど、慣れてしまえばまた飲みたくなる味だわ」
 リアーナやロザリンドの言葉にクーネルとアソブーは頷いた。
「ぜひいただきたい」
 すぐにホーリーにお茶を用意してもらう。
 そしてお茶をしながら今後の話を進める。

 リアーナとロザリンドは互いの世界の状況をクーネルと情報交換していた。俺の方はアソブーと会話を交わす。
「そうそう、私の仲間からの報告ですけど、アンゴルモアを操っていたサキュバスを倒したらしいですよ」
 アソブーの操る魔法陣は問題無く使用でき、王立学校のユリアンやドレミドから情報が入っていた。俺は言葉を続ける。
「全ての元凶であるサキュバスは倒しましたけど、問題は逃げた方です。どんな対策を取るつもりですか?」
「アンゴルモアの人形は長い年月を掛けて造り出されたものです。今回かなり数を破壊したようですから、しばらく侵攻の心配はないでしょう。それにサキュバスが倒されたのであれば、現状で魔法陣を操れるのは私だけ。魔法陣を閉じ、以後開きません。もちろんアンゴルモアがいる限り、根本的な解決にはなりませんが、今できるのはそれぐらいだと考えます」
 アソブーはそう答える。
「あれ……私、アンゴルモアの話をしてましたっけ?」
「……アンゴルモアに今後どのような対策を取るのか、そういうお話だったと思いますが」
「逃げたのはサキュバスと一緒にいた黒猫の事なんですけどね」
 そこで俺はリアーナ達の会話に割って入る。
「あの、クーネルさん。クーネルさんはこれからのアンゴルモアの対策をどうするつもりですか?」
「アンゴルモア?……生きているのか?」
「死んでますかね?」
「サキュバスがアンゴルモアを支配していたのなら、アンゴルモア自身はサキュバスと敵対していたはず。協力者ならば支配をする理由がない。昔話のように対立したのだろうが、立場は逆だったという事だろう。サキュバスが倒され、支配の解けたアンゴルモアが姿を消す必要もない。そこから考えればサキュバスが倒されたと同時に支配されていたアンゴルモアも死んだと私は考えているが……」
「普通はそう考えます。もちろん私だって」
「……違うという事か?」
「実はですね。私はアンゴルモアの協力者がここにいると思っています。その人がアンゴルモアの行方を知ってるんじゃないかって」
「馬鹿な事を……私は……まさか……アソブーの事を言っているのか? ありえない……」
 クーネルは驚きの表情を浮かべたままアソブーへと視線を向けた。
「ずっと不思議だったんです。アソブーさんは能力を譲り受けて魔法陣の管理をしていましたが、今回の侵攻はその魔法陣があってこそ。非常に重要な役であるアソブーさんをサキュバスが支配しなかった理由は? さっきクーネルさんが言った通り『協力者ならば支配をする理由がない』からです」
「……」
 アソブーは何も答えない。代わりにクーネル。
「何か確証があるのか?」
 俺は頷き説明する。
 さっきの俺の言葉『全ての元凶であるサキュバスは倒しましたけど、問題は逃げた方です』に対して、アソブーは『アンゴルモアがいる限り』と発言していた。
 普通ならばクーネルが言うように『サキュバスが倒されたと同時に支配されていたアンゴルモアも死んだ』と考える。
「つまりアソブーさんはアンゴルモアが逃げた事を知っていたんです」
「辻褄は合うが確固たる証拠ではない」
「だから私はアソブーさん本人から真相を聞きたいんです。だからこれを使いました」
 そう言って俺が取り出したのは一つの小瓶。
「……それは何でしょう?」
 静かなアソブーの声。
「遅行性の毒薬です。確実に死にます。私達が出したお茶、クセがあるから分からなかったですよね。もちろん解毒剤は持っていますので安心してください」
 飛び掛かるような様子を見せるクーネル。
「どけ!!」
「どきません」
「クーネル、あなたが下がって」
 間に入るのはリアーナとロザリンド。
「アソブーさん、お願いします。命を落とす前に本当の事を話してください」
「シノブ、それはただの脅迫だ!! 強要された言葉で真実が分かるものか!!」
 と、クーネルは叫ぶ。しかしアソブーは……
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