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第16話:グレイズの優しさが辛いです
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「しかし…」
でもお父様は難色を示し、難しい顔をしている。どうしよう、このままでは本当にエディソン様の元に嫁がないといけなくなるわ。でも…もとはと言えばエディソン様の上辺だけの優しさと美しいお顔にノックアウトされたのは、私自身だ。だから…自業自得なのかもしれない。
「アンリ、大丈夫だ。きっと何か方法があるはずだ。悪いが俺たちは一旦失礼する。アンリの顔色があまり良くないから」
そう言うと、グレイズが私を抱きかかえて部屋から出ていく。
「グレイズ、待ちなさい」
後ろからグレイズのお父様が叫んでいるが、無視して私の部屋へと向かった。部屋に着くと、私をソファに座らせる。
「アンリ、ごめんな。家に力がないばかりに…」
そう言って私に頭を下げるグレイズ。
「どうしてあなたが謝るの?もとはと言えば、私が悪いのよ。エディソン様の美しさに惹かれ、中身を全く見ていなかった愚かな私が。1年半もの間、自分の思う様に行動して、やりたい放題だったから、きっと罰が当たったんだわ…もっと私が、冷静に行動出来ていれば…私がエディソン様を追い回さなければ、こんな事にはならなかったのよ…全部私のせいだわ」
「それは違うだろう?そもそも、マッキーノ侯爵令息は、お前が領地に行く前から恋に落ちていたんだ。もしお前が1年半もの間、マッキーノ侯爵令息を追い回さなければ、もっと早い段階でマッキーノ侯爵家から婚約の話が来ていただろう?俺はこれでよかったと思っている。結果的に、アンリと心が通じ合えたのだから。大丈夫だ、俺が必ず何とかするから」
「何とかって?」
私たちはまだ学生だ。それも、親に養ってもらいながら生活している身。そんな私達には、どうする事も出来ないはずだ。
「アンリ、もしも時は、2人で国を出よう。2人で暮らせるくらいの金なら持っているし」
「何を言っているの?あなたはダニルーディン伯爵家の嫡男なのよ。あなたが家を出たら、伯爵家はどうするつもりなの?それに、私たちが国を出たと知ったら、貴族中の噂になるわ。私は今まで散々エディソン様の事で、家族に迷惑を掛けてきたの。これ以上、迷惑はかけられないわ」
私がエディソン様を追いかけまわしていたせいで、散々私の家族は、エディソン様の家族や他の貴族から嫌味を言われ、肩身の狭い思いをして来たのだ。これ以上、家族に迷惑を掛けたくない。
「アンリ…お前の口から、俺の家や家族に迷惑を掛けたくないと言う言葉が聞けるとは思わなかったよ…」
なぜかグレイズが苦笑いしている。
「失礼ね、私だって、いつも自分の事だけ考えてくる訳ではないのよ。時には家族の為に、自分を犠牲にだって…」
…それはしたくないわ。
エディソン様の冷たい一面を知ってしまった私は、やっぱり彼の元に嫁ぎたくない。それにエディソン様のお母様、いつも私を見るたびに、嫌味を言って来たのよね…きっとエディソン様に嫁いだら、あのお母様に虐められて、泣いて暮らすのだろう…
「何だかんだ言って、アンリはマッキーノ侯爵令息に嫁ぎたくないのだろう?それなら、やはり2人で国を出るしかない。大丈夫だ、家は俺がいなくなったらきっと、従兄弟でも養子に向かえるだろうし。ただ問題は、俺たちが2人で国を出たという事で、貴族たちから俺たち家族が好奇な目に晒される事だな…その点に関しては、対策を考えるよ。とにかくお前は、何も心配する必要は無いから。大丈夫だ、俺たちはどんなことがあっても、ずっと一緒だから」
グレイズがそう言って抱きしめてくれる。グレイズはいつも私の事を考えてくれる。昔からそうだ。今回だって、自分の身分を捨ててまで、私を守ろうとしてくれている。それが嬉しくてたまらない。でも、その優しさが、今の私には辛い…
グレイズは伯爵家を継ぐため、今まで必死に勉強をして来たことも知っている。それなのに、私のせいでグレイズから次期伯爵という地位を取り上げてしまっていのだろうか…
それにグレイズのご両親だって、自分の息子に爵位を継がせたいに決まっている。もし私のせいで、グレイズが国を出たら、ご両親はきっと悲しむだろう…おじ様もおば様も、本当に優しくて素敵な人たちなのだ。そんな人たちを悲しませて、本当にいいのだろうか…
また私の我が儘のせいで、沢山の人を不幸にするの?
それでいいの?
こんなにも素敵な人たちを、悲しませていいの?
グレイズが私の為に動いてくれようとすればするほど、胸がチクリと痛む。
「アンリ、どうしたんだよ。そんな浮かない顔をして。大丈夫だ、他国に行ってもある程度暮らせるくらいの貯えはあるから。それに、俺も働くつもりだし。ただ…今までみたいな生活は出来ないから、着替えや湯あみくらいは出来る様にしておいて欲しい」
「ありがとう…グレイズ…ごめんね、私のせいで…」
「だからビービー泣くなって。大丈夫だ、お前は何も心配するな」
グレイズが私涙をぬぐって、ほほ笑んでいる。その笑顔がどこか寂し気で、さらに胸に突き刺さった。
その後グレイズは私の涙が落ち着くまで、ずっと抱きしめ続けてくれたのだった。
でもお父様は難色を示し、難しい顔をしている。どうしよう、このままでは本当にエディソン様の元に嫁がないといけなくなるわ。でも…もとはと言えばエディソン様の上辺だけの優しさと美しいお顔にノックアウトされたのは、私自身だ。だから…自業自得なのかもしれない。
「アンリ、大丈夫だ。きっと何か方法があるはずだ。悪いが俺たちは一旦失礼する。アンリの顔色があまり良くないから」
そう言うと、グレイズが私を抱きかかえて部屋から出ていく。
「グレイズ、待ちなさい」
後ろからグレイズのお父様が叫んでいるが、無視して私の部屋へと向かった。部屋に着くと、私をソファに座らせる。
「アンリ、ごめんな。家に力がないばかりに…」
そう言って私に頭を下げるグレイズ。
「どうしてあなたが謝るの?もとはと言えば、私が悪いのよ。エディソン様の美しさに惹かれ、中身を全く見ていなかった愚かな私が。1年半もの間、自分の思う様に行動して、やりたい放題だったから、きっと罰が当たったんだわ…もっと私が、冷静に行動出来ていれば…私がエディソン様を追い回さなければ、こんな事にはならなかったのよ…全部私のせいだわ」
「それは違うだろう?そもそも、マッキーノ侯爵令息は、お前が領地に行く前から恋に落ちていたんだ。もしお前が1年半もの間、マッキーノ侯爵令息を追い回さなければ、もっと早い段階でマッキーノ侯爵家から婚約の話が来ていただろう?俺はこれでよかったと思っている。結果的に、アンリと心が通じ合えたのだから。大丈夫だ、俺が必ず何とかするから」
「何とかって?」
私たちはまだ学生だ。それも、親に養ってもらいながら生活している身。そんな私達には、どうする事も出来ないはずだ。
「アンリ、もしも時は、2人で国を出よう。2人で暮らせるくらいの金なら持っているし」
「何を言っているの?あなたはダニルーディン伯爵家の嫡男なのよ。あなたが家を出たら、伯爵家はどうするつもりなの?それに、私たちが国を出たと知ったら、貴族中の噂になるわ。私は今まで散々エディソン様の事で、家族に迷惑を掛けてきたの。これ以上、迷惑はかけられないわ」
私がエディソン様を追いかけまわしていたせいで、散々私の家族は、エディソン様の家族や他の貴族から嫌味を言われ、肩身の狭い思いをして来たのだ。これ以上、家族に迷惑を掛けたくない。
「アンリ…お前の口から、俺の家や家族に迷惑を掛けたくないと言う言葉が聞けるとは思わなかったよ…」
なぜかグレイズが苦笑いしている。
「失礼ね、私だって、いつも自分の事だけ考えてくる訳ではないのよ。時には家族の為に、自分を犠牲にだって…」
…それはしたくないわ。
エディソン様の冷たい一面を知ってしまった私は、やっぱり彼の元に嫁ぎたくない。それにエディソン様のお母様、いつも私を見るたびに、嫌味を言って来たのよね…きっとエディソン様に嫁いだら、あのお母様に虐められて、泣いて暮らすのだろう…
「何だかんだ言って、アンリはマッキーノ侯爵令息に嫁ぎたくないのだろう?それなら、やはり2人で国を出るしかない。大丈夫だ、家は俺がいなくなったらきっと、従兄弟でも養子に向かえるだろうし。ただ問題は、俺たちが2人で国を出たという事で、貴族たちから俺たち家族が好奇な目に晒される事だな…その点に関しては、対策を考えるよ。とにかくお前は、何も心配する必要は無いから。大丈夫だ、俺たちはどんなことがあっても、ずっと一緒だから」
グレイズがそう言って抱きしめてくれる。グレイズはいつも私の事を考えてくれる。昔からそうだ。今回だって、自分の身分を捨ててまで、私を守ろうとしてくれている。それが嬉しくてたまらない。でも、その優しさが、今の私には辛い…
グレイズは伯爵家を継ぐため、今まで必死に勉強をして来たことも知っている。それなのに、私のせいでグレイズから次期伯爵という地位を取り上げてしまっていのだろうか…
それにグレイズのご両親だって、自分の息子に爵位を継がせたいに決まっている。もし私のせいで、グレイズが国を出たら、ご両親はきっと悲しむだろう…おじ様もおば様も、本当に優しくて素敵な人たちなのだ。そんな人たちを悲しませて、本当にいいのだろうか…
また私の我が儘のせいで、沢山の人を不幸にするの?
それでいいの?
こんなにも素敵な人たちを、悲しませていいの?
グレイズが私の為に動いてくれようとすればするほど、胸がチクリと痛む。
「アンリ、どうしたんだよ。そんな浮かない顔をして。大丈夫だ、他国に行ってもある程度暮らせるくらいの貯えはあるから。それに、俺も働くつもりだし。ただ…今までみたいな生活は出来ないから、着替えや湯あみくらいは出来る様にしておいて欲しい」
「ありがとう…グレイズ…ごめんね、私のせいで…」
「だからビービー泣くなって。大丈夫だ、お前は何も心配するな」
グレイズが私涙をぬぐって、ほほ笑んでいる。その笑顔がどこか寂し気で、さらに胸に突き刺さった。
その後グレイズは私の涙が落ち着くまで、ずっと抱きしめ続けてくれたのだった。
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