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本編
第9話:戦争が始まるそうです
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収穫祭の後、どうやって帰ってきたのか正直覚えていない。
ただ、私の手にはアイラン様から返されてしまったネックレスが握られている。
分っていた事。家族や殿下にも捨てられた私が、あんなにも素敵な男性から愛される訳が無い。ついアイラン様の優しさに甘え、もしかすると気持ちに応えてくれるかもしれないと、甘い期待をしていたなんて…
きっと、私を傷つけてしまったと、アイラン様も悩んでいるかもしれない。優しいアイラン様を悩ませるなんて、私本当に最低ね!
目からとめどなく流れる涙。エミリー様に殿下を取られた時ですら、ここまで泣かなかったのに…いつからこんなに弱い人間になってしまったのだろう…
コンコン
「シャーロット、大丈夫?」
私が食事にも顔を出さないからか、心配したオルビア様が様子を見に来てくれた。
「オルビア様。ご心配をおかけして申し訳ございません」
私はオルビア様に頭を下げた。
「やめて、謝らないで。お兄様から話は聞いたわ。シャーロットを傷つけてしまってごめんなさい!でもね、お兄様はあなたを嫌いでネックレスを受け取らなかったわけではないの!それだけは、わかってあげて!」
嫌いじゃないけれど、好きでもないって事かな?オルビア様の言いたいことがよくわからないわ…
「ねえ、天気もいいし、お庭を散歩しない?部屋に閉じこもっていては体に悪いわ!」
「でも…私…」
「いいから、行こう」
私の腕を掴むと、有無も言わさず中庭へと連れて行かれる。
「見て、シャーロット。こっちにはコスモスが咲いているわ。こっちはリンドウよ。奇麗ね」
オルビア様が次々とお花を私に紹介してくれる。きっと元気のない私を心配してくれているのだろう。私にはお姉さまはいないけれど、もしいたらこんな感じなのかしら?
「ありがとうございます。オルビア様」
その時
「オルビア王女、大変です、今すぐ正門へお越しください!」
護衛騎士が血相を変えてやって来た。私たちは急いで正門へと向かう。
そこには既にアイラン様とアルテミル様の姿が。それと、なぜかしゃがみこんで泣きじゃくっているフェアラ様の姿も。
私とオルビア様は急いでみんなの元へと駆け寄った。
「お兄様!お願い、目を開けて」
「おい、ファビオ、しっかりするんだ!医者はまだ来ないのか?」
そこには血だらけの男性に縋り付いて泣く、フェアラ様が目に飛び込んできた。
かなりの出血量ね、周りは血の海だ。とにかく助けないと。
「フェアラ様、申し訳ございませんが、少し離れてください」
男性の血がついてしまったのか、血だらけで泣きじゃくるフェアラ様を、オルビア様に預けるとすぐに治癒魔法をかける。
周りからざわめきが聞こえるが、今はそんな事気にしていられない。男性の怪我は、見る見る治っていく。よし、全部治ったはず。
男性はゆっくり目を覚ました。
「あれ、俺…」
「お兄様!」
男性に抱き着くフェアラ様。この男性、フェアラ様のお兄様だったのね。助かってよかったわ。
「シャーロット様、ありがとうございます。あなたは兄の命の恩人だわ」
今度は私に抱き着くフェアラ様。
「本当にあんな大ケガまで治せるなんて、あなた天才ね」
オルビア様にも褒められた。なんだか照れ臭いわ。
「それよりファビオ、一体何があったんだ。やはり、和平交渉はうまくいかなかったのか?」
アルテミル様が、男性に話しかける。
ガリレゴ王国?そう言えば私が目覚めた時、オルビア様もガリレゴ王国がどうのこうの言っていたような気がするわ。
「ああ、相手にされないどころか、殺されかけた。やっぱり、戦争は避けられそうにない…」
「そうか…」
アイラン様はそうつぶやくと、ゆっくり目を閉じた。戦争?一体何の事かしら?
「コレ、俺をここに投げ捨てていった男に入れられたんだが」
ファビオ様が取り出したのは、どうやら手紙のようだ。
静かに手紙を読むアイラン様。一体なんて書いてあるのだろう。
「おい、アイラン、一体なんて書かれているんだ!」
アルテミル様がせっついた。
「1ヶ月後、この国を攻めると書いてある」
「なんだって?そんなに早く…」
「とにかく、緊急会議を開こう。すぐに貴族たちを呼んでくれ。ファビオも悪いが出てくれるか?フェアラ嬢、シャーロットを頼む」
アイラン様はそう言うと、アルテミル様やオルビア様達と一緒に、王宮内に入っていった。
残されたのは使用人と私とフェアラ様。フェアラ様は小刻みに震えている。
「フェアラ様、大丈夫ですか?」
私が声をかけると、ハッとしたのか、すぐに笑顔を向けてくれた。
とりあえず、自室に戻って考える。戦争って言っていたよね…どういうことなのかしら?こんなに平和そうに見える国が戦争なんて、どう考えてもおかしいわ。
一体この国では何が起こっているのだろう。
その日、私は夕食を摂る為、食堂へと向かう。アイラン様に振られたショックから、朝と昼は食堂に行かなかったけれど、今はそんな事言っていられない。
戦争の事、もっと詳しく聞かないと!
そう思ったものの、アイラン様とオルビア様、二人の姿はどこにもない。
「お2人とも会議が長引いているとのことで、シャーロット様お1人でお食事をと、陛下から承っております」
そうか、2人はまだ会議か。あの様子だと、相当深刻そうだったものね。
私は1人寂しく食事を摂り、早々に自室に戻った。布団に入ったものの、やっぱり今日の事が気になって眠れない。一体これからどうなるのかしら?
翌日、朝食にも2人は姿を現さなかった。2人とも大丈夫なのかしら?朝の準備を手伝いに来てくれたフェアラ様に何となく様子を窺ってみるが、話をはぐらかされてしまった。
仕方なく午前中は1人で本を読んで過ごすが、全く集中できない。
コンコン
「失礼いたします。シャーロット様、アイラン陛下がお呼びです。一緒に来ていただいてよろしいでしょうか?」
アイラン様の専属執事が、わざわざ私を呼びに来た。きっと、今回の戦争の話よね。
私は執事に連れられて、アイラン様達の待つ部屋へと向かう。
部屋に入ると、アイラン様、アルテミル様、オルビア様が待っていた。
「シャーロット、急に呼び出してごめんね。君に大事な話があるんだ。昨日の、伯爵令息のファビオの事件は知っているね?」
「はい、存じております」
知っているも何も、治癒魔法をかけて治したのはそもそも私だ。
「ファビオを治療してくれてありがとう。君の魔力には本当に驚くことばかりだよ」
そう言ったアイラン様は、なんだかとても寂しそうだ。
「君も話は聞いていたかと思うが、今度ガリレゴ王国と戦争をすることになった。相手は周りの国を次々と制圧し、ついに我が国も手に入れようとしている。正直言って、この戦争は勝てない。でも、逃げることも出来ないんだ!」
悔しそうに話すアイラン様。簡単に言うと負け戦だ。
「アイラン様、差し出がましいようですが、負けが分かっている戦なら、最初から降伏なされたらよろしいのではなくって?」
「そうだね。普通はそう考えるだろう…しかし、あの国は非常に冷酷だ。たとえ最初から降伏したとしても、我々王族はさらし首、平民や貴族は奴隷のようにこき使われる、まさに地獄が待っているんだ。それならば、たとえ負け戦と分かっていも、戦うしかないんだよ」
「そんな…でも、相手は人間でしょう?ならば戦ってみないとわかりません。作戦を練ればきっと…」
「それは無理だ、相手国には絶対的力を持った聖女がいる!彼女がいる限り、俺たちに勝ち目はないんだ!」
聖女ですって?私から全てを奪った女も聖女と名乗っていた!そもそも、人の国に攻め込む手助けをしている女が、聖女なの?
「戦争は1ヶ月後だ。シャーロット、君はこの国の人間ではない。出来るだけ早く、この国を出るんだ。オルビアに聞いたが転移魔法というもので、瞬間移動が出来るそうじゃないか。それを使えばうまく逃げられるはずだ!」
逃げる?私が皆を見捨てて?
そんな事、出来ない。でも、今私がここでいくら伝えても、きっと聞いてもらえないだろう。そんな気がする。
「話はわかりました。少し考えさせてください」
私はそう言うと、部屋から出た。
ただ、私の手にはアイラン様から返されてしまったネックレスが握られている。
分っていた事。家族や殿下にも捨てられた私が、あんなにも素敵な男性から愛される訳が無い。ついアイラン様の優しさに甘え、もしかすると気持ちに応えてくれるかもしれないと、甘い期待をしていたなんて…
きっと、私を傷つけてしまったと、アイラン様も悩んでいるかもしれない。優しいアイラン様を悩ませるなんて、私本当に最低ね!
目からとめどなく流れる涙。エミリー様に殿下を取られた時ですら、ここまで泣かなかったのに…いつからこんなに弱い人間になってしまったのだろう…
コンコン
「シャーロット、大丈夫?」
私が食事にも顔を出さないからか、心配したオルビア様が様子を見に来てくれた。
「オルビア様。ご心配をおかけして申し訳ございません」
私はオルビア様に頭を下げた。
「やめて、謝らないで。お兄様から話は聞いたわ。シャーロットを傷つけてしまってごめんなさい!でもね、お兄様はあなたを嫌いでネックレスを受け取らなかったわけではないの!それだけは、わかってあげて!」
嫌いじゃないけれど、好きでもないって事かな?オルビア様の言いたいことがよくわからないわ…
「ねえ、天気もいいし、お庭を散歩しない?部屋に閉じこもっていては体に悪いわ!」
「でも…私…」
「いいから、行こう」
私の腕を掴むと、有無も言わさず中庭へと連れて行かれる。
「見て、シャーロット。こっちにはコスモスが咲いているわ。こっちはリンドウよ。奇麗ね」
オルビア様が次々とお花を私に紹介してくれる。きっと元気のない私を心配してくれているのだろう。私にはお姉さまはいないけれど、もしいたらこんな感じなのかしら?
「ありがとうございます。オルビア様」
その時
「オルビア王女、大変です、今すぐ正門へお越しください!」
護衛騎士が血相を変えてやって来た。私たちは急いで正門へと向かう。
そこには既にアイラン様とアルテミル様の姿が。それと、なぜかしゃがみこんで泣きじゃくっているフェアラ様の姿も。
私とオルビア様は急いでみんなの元へと駆け寄った。
「お兄様!お願い、目を開けて」
「おい、ファビオ、しっかりするんだ!医者はまだ来ないのか?」
そこには血だらけの男性に縋り付いて泣く、フェアラ様が目に飛び込んできた。
かなりの出血量ね、周りは血の海だ。とにかく助けないと。
「フェアラ様、申し訳ございませんが、少し離れてください」
男性の血がついてしまったのか、血だらけで泣きじゃくるフェアラ様を、オルビア様に預けるとすぐに治癒魔法をかける。
周りからざわめきが聞こえるが、今はそんな事気にしていられない。男性の怪我は、見る見る治っていく。よし、全部治ったはず。
男性はゆっくり目を覚ました。
「あれ、俺…」
「お兄様!」
男性に抱き着くフェアラ様。この男性、フェアラ様のお兄様だったのね。助かってよかったわ。
「シャーロット様、ありがとうございます。あなたは兄の命の恩人だわ」
今度は私に抱き着くフェアラ様。
「本当にあんな大ケガまで治せるなんて、あなた天才ね」
オルビア様にも褒められた。なんだか照れ臭いわ。
「それよりファビオ、一体何があったんだ。やはり、和平交渉はうまくいかなかったのか?」
アルテミル様が、男性に話しかける。
ガリレゴ王国?そう言えば私が目覚めた時、オルビア様もガリレゴ王国がどうのこうの言っていたような気がするわ。
「ああ、相手にされないどころか、殺されかけた。やっぱり、戦争は避けられそうにない…」
「そうか…」
アイラン様はそうつぶやくと、ゆっくり目を閉じた。戦争?一体何の事かしら?
「コレ、俺をここに投げ捨てていった男に入れられたんだが」
ファビオ様が取り出したのは、どうやら手紙のようだ。
静かに手紙を読むアイラン様。一体なんて書いてあるのだろう。
「おい、アイラン、一体なんて書かれているんだ!」
アルテミル様がせっついた。
「1ヶ月後、この国を攻めると書いてある」
「なんだって?そんなに早く…」
「とにかく、緊急会議を開こう。すぐに貴族たちを呼んでくれ。ファビオも悪いが出てくれるか?フェアラ嬢、シャーロットを頼む」
アイラン様はそう言うと、アルテミル様やオルビア様達と一緒に、王宮内に入っていった。
残されたのは使用人と私とフェアラ様。フェアラ様は小刻みに震えている。
「フェアラ様、大丈夫ですか?」
私が声をかけると、ハッとしたのか、すぐに笑顔を向けてくれた。
とりあえず、自室に戻って考える。戦争って言っていたよね…どういうことなのかしら?こんなに平和そうに見える国が戦争なんて、どう考えてもおかしいわ。
一体この国では何が起こっているのだろう。
その日、私は夕食を摂る為、食堂へと向かう。アイラン様に振られたショックから、朝と昼は食堂に行かなかったけれど、今はそんな事言っていられない。
戦争の事、もっと詳しく聞かないと!
そう思ったものの、アイラン様とオルビア様、二人の姿はどこにもない。
「お2人とも会議が長引いているとのことで、シャーロット様お1人でお食事をと、陛下から承っております」
そうか、2人はまだ会議か。あの様子だと、相当深刻そうだったものね。
私は1人寂しく食事を摂り、早々に自室に戻った。布団に入ったものの、やっぱり今日の事が気になって眠れない。一体これからどうなるのかしら?
翌日、朝食にも2人は姿を現さなかった。2人とも大丈夫なのかしら?朝の準備を手伝いに来てくれたフェアラ様に何となく様子を窺ってみるが、話をはぐらかされてしまった。
仕方なく午前中は1人で本を読んで過ごすが、全く集中できない。
コンコン
「失礼いたします。シャーロット様、アイラン陛下がお呼びです。一緒に来ていただいてよろしいでしょうか?」
アイラン様の専属執事が、わざわざ私を呼びに来た。きっと、今回の戦争の話よね。
私は執事に連れられて、アイラン様達の待つ部屋へと向かう。
部屋に入ると、アイラン様、アルテミル様、オルビア様が待っていた。
「シャーロット、急に呼び出してごめんね。君に大事な話があるんだ。昨日の、伯爵令息のファビオの事件は知っているね?」
「はい、存じております」
知っているも何も、治癒魔法をかけて治したのはそもそも私だ。
「ファビオを治療してくれてありがとう。君の魔力には本当に驚くことばかりだよ」
そう言ったアイラン様は、なんだかとても寂しそうだ。
「君も話は聞いていたかと思うが、今度ガリレゴ王国と戦争をすることになった。相手は周りの国を次々と制圧し、ついに我が国も手に入れようとしている。正直言って、この戦争は勝てない。でも、逃げることも出来ないんだ!」
悔しそうに話すアイラン様。簡単に言うと負け戦だ。
「アイラン様、差し出がましいようですが、負けが分かっている戦なら、最初から降伏なされたらよろしいのではなくって?」
「そうだね。普通はそう考えるだろう…しかし、あの国は非常に冷酷だ。たとえ最初から降伏したとしても、我々王族はさらし首、平民や貴族は奴隷のようにこき使われる、まさに地獄が待っているんだ。それならば、たとえ負け戦と分かっていも、戦うしかないんだよ」
「そんな…でも、相手は人間でしょう?ならば戦ってみないとわかりません。作戦を練ればきっと…」
「それは無理だ、相手国には絶対的力を持った聖女がいる!彼女がいる限り、俺たちに勝ち目はないんだ!」
聖女ですって?私から全てを奪った女も聖女と名乗っていた!そもそも、人の国に攻め込む手助けをしている女が、聖女なの?
「戦争は1ヶ月後だ。シャーロット、君はこの国の人間ではない。出来るだけ早く、この国を出るんだ。オルビアに聞いたが転移魔法というもので、瞬間移動が出来るそうじゃないか。それを使えばうまく逃げられるはずだ!」
逃げる?私が皆を見捨てて?
そんな事、出来ない。でも、今私がここでいくら伝えても、きっと聞いてもらえないだろう。そんな気がする。
「話はわかりました。少し考えさせてください」
私はそう言うと、部屋から出た。
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