無実の罪で処刑されかけた元公爵令嬢は、絶体絶命の国王を守る為戦う事を決めました

Karamimi

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本編

第12話:問題はまだ残っています

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聖女はまあ私が何とかするとして、まだ問題は残っている。

「アイラン様、フェミニア王国の軍勢の数、ガリレゴ王国の軍勢の数はそれぞれどれくらいなのですか?」

たとえ私が聖女を倒しても、騎士たちの戦いが残っている。うまく私が聖女を倒したとしても、ガリレゴ王国の軍勢が勝ってしまえば意味がない。私の魔力が残っていて、その後も戦えるのであれば何とかなるかもしれない。でもそれは戦ってみないとわからない為、何とも言えない。

「うちが約5,000、相手が約100,000だ!」

20倍か!相手国は予想以上に多いわね。

「なるほど、勝てそうですか?」

「はっきり言って、無理だろうな」
普通に戦ったらそうなるでしょうね。だからと言って、諦める訳には行かない。少ない勢力で勝てる方法を考えないとね。

「ただ、我が軍は皆戦いに備えて、毎日厳しい訓練を受けている者たちばかりだ。だから、それなりに戦えるのは戦えるとは思うが…」

なるほど。ならば、何とかなるかもしれないわ。

「わかりました、戦争が始まるまで、後1ヶ月とおっしゃりましたよね。私は準備しなければいけない事があるので、これにて失礼いたします」

私はアイラン様達に頭を下げると、部屋から出た。

「待って、シャーロット。何か秘策があるの?私に出来ることがあるなら、何でも言って!」
オルビア様が私を追いかけて来た。

「それは助かります。それでしたら、国にある珊瑚を集めていただけますか?最低でも5,000個。多ければ多いほどいいです。後、水晶もいくつか集めてください」

私のお願いに、明らかに困惑顔のオルビア様。

「わかったわ…何に使うか知らないけれど、急いで集めるわね」

さてと、私は急いで自室に戻り、今まで魔力を放出する為に作り出した、魔力入りの珊瑚たちを手に取った。

まさか、これが役に立つなんてね。とにかく、最低でも同じものを5,000個は作らないとね。これがあれば、怪我をしても10回は治癒することが出来る。そうだわ、少し改良して、私の魔力の干渉を受けないようにしなければ。

やらなければいけない事は山積みね。とにかく、今から早速始めましょう。

この前アイラン様にお願いして、100個の珊瑚を手に入れてもらった。とりあえず、この分に魔力を込めていこう。今までは魔力放出分しか込めなかったけれど、これからは、魔力が足りなくなるギリギリまで込め続けないと間に合わない。

聖女との戦いに備え、魔力入りの珊瑚たちを作れるのは後3週間。残りの1週間は体力を温存しないと。もちろん、最低限の魔力放出は行わないとね。


その日から、私はほとんど部屋から出ず、魔力を珊瑚たちに込める事に全力を尽くした。食事も部屋で摂れる様、フェアラ様にお願いして部屋の外まで運んできてもらっている。ちなみに、私が出てくるまで部屋には入らないで欲しいとも伝えてある。

オルビア様にお願いしていた珊瑚と水晶も届いた。今までの経験上、魔力を込めるなら水晶が一番だ。ただ、この国では水晶は貴重なようで、10個しか準備できなかったと、オルビア様が申し訳なさそうな顔をしていた。

10個もあれば十分だ。この水晶は、騎士団長やアイラン様達に使ってもらえるよう、珊瑚たちの10倍の魔力を込めるつもりだ。その為には、少々私の血を混ぜる必要がある。私の血を混ぜることで、より強力な魔力を込める事が出来るのだ。


そして私が引きこもってから2週間ほど経ったある日。

コンコン
「シャーロット、部屋に入るなって言われていたのに、約束を破ってごめんなさい。でも、部屋にこもってから、もう2週間も経つでしょう。私心配で。て、あなた、顔が真っ青よ!大丈夫?」

ずっとこもりっきりの私を心配して部屋を訪ねてきたのは、オルビア様だ。

「ええ、大丈夫です。ちょっと魔力を大量に使っているので、頭がふらつきますが、体調面には影響はありませんので…」

毎日たくさんの魔力を珊瑚や水晶に込めている為、私の体は今、常に魔力不足に陥っている。その為、頭がふらついたり、体が重かったりするのだ。

でも魔力不足が続くと、生命維持の為、体は必死に魔力を作ろうとする。だから、魔力不足が続けば続くほど、私の魔力は以前より高まる。

昔はこれ以上高くなったら困ると思っていたから、必要最低限しか魔力を放出しなかったが、まさか魔力を高めたいと思う日が来るなんてね。本当に、人間何が起こるかわからないわ。


「体調に影響がないって言ってもね。実はお兄様がずっとあなたの事を気にしているの。一度食事に顔を出してあげてって言いに来たんだけれど、その様子じゃあ余計心配するわね…」

困った顔をするオルビア様。確かに今の私の姿を見たら、間違いなく止めさせられるだろう。

「オルビア様、この作業は今回の戦争での勝敗を大きく左右すると私は考えております。どうか、アイラン様には内緒にしていただけませんか?」

「そうね…お兄様にはシャーロットは忙しいから、食事は厳しそうだって伝えておくわ。後、とても元気そうにしていたとでも言っておけば大丈夫ね」

「ありがとうございます!オルビア様!」
よかった。これで、作業を続けられるわ。

「それにしても、凄い珊瑚の量ね。あら?ここにある水晶は赤いのね。持ってきた時は、透明だったはずなのに」
不思議そうに水晶を手に取るオルビア様。

「その水晶は私の血が混ざっておりますので、赤いのです」
本来水晶は透明だが、血を混ぜたせいで赤くなってしまった。珊瑚も赤いから、間違えないようにしないとね。

「血ですって?!あなた、大丈夫なの?」
オルビア様はそう言うと、ものすごい勢いで、私の体をくまなくチェックし始めた。

「血と言ってもほんの少しなので、問題ありません」

「そう、なら良いのだけれど!そうだわ。私も何か手伝うことはない?」

「それでしたら、完成した珊瑚たちを首からぶら下げられるよう、紐を通していただけますか?」

手伝ってもらえるなら、それはそれで助かるわ。

「わかったわ。ねえ、この珊瑚たち、紐が通せるよう小さな金具がついているけれど、どうやって付けてあるの?これって取れたりしないの?それにこの珊瑚、何に使うの?」

「その金具は魔力でしっかり付いているので、取れません。これらの珊瑚には、私の魔力が込められています。この珊瑚を付けていれば、戦いで怪我をした場合も10回程度までなら自然に怪我を治してくれますわ」

「何!そんなすごい物なの?なるほど、それであなたが魔力不足なのね。それにしても、凄い数ね。私ひとりじゃ大変だわ。フェアラにも手伝ってもらいましょう」


オルビア様はそう言うと、部屋を出て言ったのだが…
部屋の外でなんだか言い争いをしている声が聞こえるのだが、誰としゃべっているのだろう?


しばらくすると、フェアラ様を連れて戻ってきたオルビア様。

「もう、嫌になるわ。部屋の前でお兄様がうろついていて!きっとシャーロットの事が心配でたまらないのね!邪魔だったから追い払っておいたわ!」

なるほど、さっき言い争いをしていたのは、アイラン様とだったのね。

「そう言えば、シャーロット様が部屋にこもられてから、ずっと陛下が部屋の前をウロウロしていますね…はっきり言って邪魔なんですが、そんなことは言えないし…」

「もう、お兄様ったらシャーロットの事になると目の色変えるんだから!」

アイラン様にも随分心配かけているのね。なんだか、申し訳ないわ。それに二週間ぶっ続けで作り続けていたおかげで、目標の5,000個はとっくに作り終えている。

「オルビア様、今日はさすがにこんな顔色なので無理ですが、明日から食事は一緒に食べますわ。紐通しを手伝ってもらえるなら、私もだいぶ作業が楽になりますし」


「そうしてもらえると助かるわ。お兄様もきっと喜ぶし」
嬉しそうに笑うオルビア様。

その後は私達3人で、仲良く作業を続けたのであった。
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