公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました

Karamimi

文字の大きさ
13 / 36

第13話:公爵家のパーティーに参加します

しおりを挟む
診療所と実家に行った翌日、公爵様に呼び出された。

「セリーナ先生、ルークの体調も完全に戻ったし、湿疹もほとんど消えた。本当に、先生には感謝してもしきれないくらいだ!もし先生が望む事があるなら、何でも言って欲しい。何かないかい?」

望む事か…

「公爵様、お心遣いありがとうございます。実家にも多額の資金を提供して頂いたみたいですし、これ以上何も望む事はありません。こちらこそ、本当にありがとうございました」

借金も返済できただけでなく、今では使用人を雇える程生活に余裕が出来た。弟や妹たちにもやりたい事をさせてあげられる。これ以上何かを望んだら、バチが当たるわ。

「セリーナ先生は随分と謙虚なのだね。わかったよ、でも私に何かできる事があったら何でも言って欲しい。先生はルークの命の恩人でもあり、娘でもあると思っているんだ」

今娘って言った?そんな恐れ多い事をサラっと言われても…

「娘ですか。ありがとうございます、公爵様」

どうしていいのか分からなかったので、とりあえずお礼だけ言っておいた。でも、なぜか悲しそうな顔をしている公爵様。

「公爵様か…お義父様と呼んで欲しいのだが…」

「何かおっしゃいましたか?」

「いいや、何でもないんだ!」

急に慌てだす公爵様。今日の公爵様は、なんだか少し様子が変ね。


「そうそう、それでね、来週ルークの快気祝いを兼ねて、家でパーティーを開くことになっているの。もちろん、セリーナ先生も参加してくれるわよね。ドレスはこちらで準備してあるから、安心して頂戴」

公爵様の隣に座っていた夫人が、急に恐ろしい事を言いただした。

「パーティーですか?公爵家のパーティーに、私の様な者が出る訳にはいきません!」

公爵家のパーティーなんて、大貴族や王族たちが沢山来るのだ。そんなところに、私の様な貧乏令嬢(今は少しだけお金がある伯爵令嬢だけれど)が行くなんて!そもそも、私は3年前からずっと貴族の付き合いはしていないのだ!絶対に恥をかく自信がある。

「もう、セリーナ先生ったら。あなたも主役の1人なのよ!あなたのご両親も招待しているから、安心して」

今、主役の1人って言ったわよね!ひぇぇぇ、無理だわ。

「奥様、私は2年間、治癒師として治癒魔法を掛ける事に専念して参りました。そのため、貴族としてのマナーなど、ほとんど覚えておりません。もちろんダンスも、子供の頃に踊ったきりなのです。はっきり言って、パーティーに出ても恥をかくだけ。どうか、欠席の方向でお願いします!」

「まあ、セリーナ先生ったら、奥様だなんて。お義母様と呼んで頂戴!もう私たちは、家族の様なものなのだから!そうだわ、私も今からセリーナちゃんと呼ばせていただくわね!確かにセリーナちゃんの言う通り、2年もの間治癒師として仕事をして来たのだものね。ダンスやマナーが不安なのも分かるわ。だからね、パーティーまでの1週間、マナーやダンスの家庭教師を付けたの。だから安心して!」

嬉しそうに笑う夫人、じゃなくてお義母様?そもそもただの居候に近い私が、夫人の事をお義母様呼びなんてやっぱり変よね。って、そんな事どうでもいいのよ!それより、私の為に家庭教師を付けてくれたですって!1度きりのパーティーの為に!

「あの…でも…」

「セリーナちゃん、あなたは伯爵令嬢なのよ。借金も無くなった今、令嬢として生きて行く事も考えないと!とにかく、明日から早速レッスンが始まるからよろしくね。そうそう、ドレスなんだけれど、私の着ていたものを今の流行りに合う様リメイクしたのよ。アクセサリーなどは明日宝石商が来るから、一緒に見ましょうね」

どうやら私には拒否権と言うものが与えられていない様だ。それにしても、公爵家のパーティーに参加するなんて気が重い事この上ない。でも、やるしかないか…

翌日
早速マナーとダンスのレッスンが始まった。

「セリーナ様、歩くときは背筋をしっかり伸ばして!」

「紅茶を飲むときは食器の音をたてない!」

などなど、物凄くスパルタなマナーレッスンが始まった。でも、パーティーに紅茶なんて飲むのかしら?そう思って先生に聞いたら

「あなたは伯爵令嬢なのですよ!これからお茶会にも参加するのです。覚えておいて損はないのです!」

そう言われてしまった。

正直私は治癒師として生きて行くつもりなので、令嬢としてお茶会に参加するつもりはないのだが…もちろん、口答えなんて許されない。

午前中みっちりマナーの練習をした後は、お義母様に呼ばれ宝石を選ぶ。ちなみにうっかり“奥様”や“夫人”と呼ぶと、“お義母様”と言い直させられるのだ。正直面倒だが、仕方がない。

「セリーナちゃんには、このサファイアがよく似合うわ。ほら」

目ん玉が飛び出そうなほど大きなサファイアを、私の耳にあてるお義母様。

「母上、僕の瞳の色のアクセサリーが良いから、やっぱりエメラルドが良いんじゃないかな?」

「確かにエメラルドも良いわね。それならルークはセリーナちゃんの瞳の色に合わせて、サファイアにしなさい」

「そうだね、そうするよ!」

なぜか隣で盛り上がる親子。そもそも、どうして私とルーク様がお互いの瞳の色のアクセサリーを付けないといけないのだろう。そう思いつつも、午前中のマナーレッスンで疲れ切っている私は、反論する元気もない。結局2人が好き勝手に選んで終了だ。それにしてもあの宝石たち、いくらくらいするのかしら?きっと目ん玉が飛び出るくらい、高いのだろう。

なんだかめまいがして来たわ…

そして午後はダンスレッスンだ。ただ有難い事に、子供の頃習った事を体が覚えていた様で、意外とスムーズに踊れた。私のダンスに付き合ってくれたルーク様からも

「セリーナはダンスが上手だね。これならきっと大丈夫だよ」

そう言われたくらいだ。それでもみっちり3時間ダンスを躍らされた。もちろん、ダンスに付き合ってくれたルーク様も3時間踊っていた。それなのに、顔色一つ変えていない。私なんて、立ち上がれない程クタクタなのに。

この人、一体どんな体力をしているのかしら?7年近く闘病生活を送っていたはずなのに、ダンスも完璧だし。もしかしたら超人なのかもしれないわね…

「少し頑張りすぎちゃったかな?大丈夫?セリーナ」

座り込んで立ち上がれない私に声を掛けるルーク様。

「だ、大丈夫ですわ…少し休めば…て、何をするのですか?」

急に私を抱きかかえたルーク様。一気に心臓がうるさくなる。

「何って、セリーナが歩けなさそうだったから、部屋まで運ぼうと思って」

「大丈夫です、自分で歩けますから」

必死に訴えるが、涼しい顔で歩き始めた。大きくて立派な胸板が目の前にある。それに、あれだけ汗をかいたはずなのに、ルーク様からは良い匂いがする。

ダメだ、これは反則だわ!きっと私の顔は茹でだこの様に真っ赤ね。それにしても、ルーク様ったら涼しい顔をして!私ばっかりドキドキしてバカみたいじゃない!

ルークに抱きかかえられ、完全に動揺しているセリーナであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ

汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。 ※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。

buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ? 

悪役令嬢なので最初から愛されないことはわかっていましたが、これはさすがに想定外でした。

ふまさ
恋愛
 ──こうなることがわかっていれば、はじめから好きになんてならなかったのに。  彩香だったときの思いが、ふと蘇り、フェリシアはくすりと笑ってしまった。  ありがとう、前世の記憶。おかげでわたしは、クライブ殿下を好きにならずにすんだわ。  だからあるのは、呆れと、怒りだけだった。 ※『乙女ゲームのヒロインの顔が、わたしから好きな人を奪い続けた幼なじみとそっくりでした』の、ifストーリーです。重なる文章があるため、前作は非公開とさせていただきました。読んでくれたみなさま、ありがとうございました。

天才すぎて追放された薬師令嬢は、番のお薬を作っちゃったようです――運命、上書きしちゃいましょ!

灯息めてら
恋愛
令嬢ミーニェの趣味は魔法薬調合。しかし、その才能に嫉妬した妹に魔法薬が危険だと摘発され、国外追放されてしまう。行き場を失ったミーニェは隣国騎士団長シュレツと出会う。妹の運命の番になることを拒否したいと言う彼に、ミーニェは告げる。――『番』上書きのお薬ですか? 作れますよ? 天才薬師ミーニェは、騎士団長シュレツと番になる薬を用意し、妹との運命を上書きする。シュレツは彼女の才能に惚れ込み、薬師かつ番として、彼女を連れ帰るのだが――待っていたのは波乱万丈、破天荒な日々!?

幼馴染に夢中の夫を捨てた貴婦人は、王太子に熱愛される

Narian
恋愛
アイリスの夫ロイは、新婚の頃から金髪の愛らしい幼馴染・フローラに夢中で、妻には見向きもしなかった。 夫からは蔑ろにされ、夫の両親からは罵られ、フローラからは見下される日々。そしてアイリスは、ついに決意する。 「それほど幼馴染が大切なら、どうぞご自由に。私は出て行って差し上げます」 これは、虐げられた主人公が、過去を断ち切り幸せを掴む物語。 ※19話完結。 毎日夜9時ごろに投稿予定です。朝に投稿することも。お気に入り登録していただけたら嬉しいです♪

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~

チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。 そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。 ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。 なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。 やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。 シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。 彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。 その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。 家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。 そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。 わたしはあなたの側にいます、と。 このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。 *** *** ※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。 ※設定などいろいろとご都合主義です。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...