公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました

Karamimi

文字の大きさ
30 / 36
番外編

地方に出張治療に行く事になりました【3】

しおりを挟む
しばらく走ると、馬車が停まった。

どうやら大きな施設の様だ。

「ここに沢山の患者が入院しているんだ。さあ、早速行こう」

3人で馬車から降りると、急いで施設の中に入った。中は広い空間になっていて、患者がたくさん寝かされていた。1人1人仕切りで仕切られている。

「セリーナ先生、来てくれたんだな。とにかく患者が多すぎて、困っていたんだ」

私に話しかけてきたのは、大病院の副院長だ。

「確かに患者がかなり多い様ですね。とにかく、治療とともに病気の原因を突き止めましょう」

「その件なんだが、これが患者のデータだ。高熱とともに、全員が赤い湿疹が出来ているという事が分かった。医学書をひっくり返して調べた結果、該当する病気がいくつか見つかったよ。該当する箇所が記載されている所に印がしてある。ただ、熱と赤い湿疹が出る病気は意外と多いようで、どの病気なのかわからないんだ」

そう言って困った顔をしている副院長。確かにあちらこちらに印が付いている。

「それでしたら、該当する病気の情報をまずはまとめましょう。それから患者に症状が出る前に、該当する行動などが無いか確認して、病気を突き止めるのがいいかと思います」

「そうだな!でも、患者のほとんどが話が出来ないほど苦しそうなんだ。聞き取りが思うようにできなくてね」

「そうですか。そうなると、とにかくまずは治癒魔法で治療して、元気になった人に聞き取りを行いましょう」

「そうだな、それじゃあ、まとめと聞き取りは私がやろう。生憎魔力切れを起こしてしまってね。セリーナ先生は治療を頼む」

「副院長、僕たちが病気の原因などをまとめるよ。先生は患者の聞き取りを行ってくれ」

「これはファーレソン公爵令息様とシャディソン公爵令息様。シャディソン公爵令息様は病に伏せられたとお伺いしましたが」

「セリーナ嬢に治してもらったんだ。とにかく、俺たちも協力するから何でも言ってくれ」

どうやらルーク様達も手伝ってくれるようだ。

早速私は、患者の元へと向かく。

「セリーナ先生、こちらの症状が重い患者からお願いします」

応援に来ている他の治癒師に案内され、奥の方へと向かう。確かにみんな苦しそうに呼吸をしている。さらに、顔中に赤い湿疹が出来ている。

「大丈夫ですか?すぐに治療いたしますね」

急いで近くにいた男性に治癒魔法を掛ける。

「あれ、なんだか急に楽になったぞ」

症状が重かった分、少し治療に時間が掛かってしまったが、何とか完治できたようだ。

「先生、ありがとうございます!本当にありがとうございます!」

こうやって感謝されると、やっぱり嬉しいものだ。

「元気になられてよかったですわ。今から病気を特定するために、聞き取り調査を行いますので、少しお待ちくださいね」

そう言い残し、次の患者の治療を行う。それにしても、患者の数が半端ない。必死に治癒魔法を掛けていくが、一向に減っていかない。

それでも何とか20人以上は治癒魔法を掛けた。ただ、もう魔力切れだ…

「ハーハー」

魔力の使い過ぎで、その場に座り込んでしまった。

「セリーナ、大丈夫か?」

私が座り込んでいるのを見たルーク様が飛んできて、抱きかかえてくれた。

「大丈夫です。少し魔力を使いすぎたようです。少し休めばまた回復するので」

「何を言っているんだ。顔色も悪い!とにかく、一度屋敷に戻ろう」

「いいえ、屋敷に戻っている時間がもったいないです。とにかく、この施設内で休憩いたしますわ」

屋敷を往復している時間が惜しい。とにかく1人でも多くの患者を治療して、病気の原因を突き止めないと!

「それなら休憩室があるから、そこで休むといい!食べ物や飲み物、ベッドもあるから。セリーナ嬢、こっちだよ」

グレイス様が奥の部屋へと案内してくれた。

部屋は意外と広く、テーブルの上にはサンドウィッチなどの食べ物が置いてあった。奥にはベッドも数台置いてある。

一番端のベッドに私を寝かせてくれたルーク様。

「さあ、僕がここで見張っているから、ゆっくり休むといい。そうだ、食事をした方がいいね。ちょっと待っていてね」

ルーク様が、テーブルに置いてあったサンドウィッチと飲み物を取ってきてくれた。

「ありがとうございます、ルーク様」

「セリーナは疲れているから、僕が食べさせてあげるね。さあ、口を開けて」

言われるがまま、口を開ける。小さく食べやすい大きさにちぎってくれたサンドウィッチを、口に入れてくれたルーク様。うん、おいしい。

「ルーク様、とてもおいしいです」

「それは良かった。ほら、もっとたくさん食べて」

そう言って、次々とサンドウィッチを口に入れてくれるルーク様。お腹一杯になったところで、ベッドに横になる。

「ルーク様、30分くらいしたら起こしてもらえますか?多分少し眠れば、魔力も少しは回復するはずですので」

「わかったよ。ゆっくりお休み」

ルーク様が布団をかけてくれた。とにかく寝ないと魔力が回復しない。ゆっくり目を閉じる。

魔力を随分と使い果たし相当疲れていたようで、あっという間に眠りについたセリーナであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ

汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。 ※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。

buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ? 

悪役令嬢なので最初から愛されないことはわかっていましたが、これはさすがに想定外でした。

ふまさ
恋愛
 ──こうなることがわかっていれば、はじめから好きになんてならなかったのに。  彩香だったときの思いが、ふと蘇り、フェリシアはくすりと笑ってしまった。  ありがとう、前世の記憶。おかげでわたしは、クライブ殿下を好きにならずにすんだわ。  だからあるのは、呆れと、怒りだけだった。 ※『乙女ゲームのヒロインの顔が、わたしから好きな人を奪い続けた幼なじみとそっくりでした』の、ifストーリーです。重なる文章があるため、前作は非公開とさせていただきました。読んでくれたみなさま、ありがとうございました。

天才すぎて追放された薬師令嬢は、番のお薬を作っちゃったようです――運命、上書きしちゃいましょ!

灯息めてら
恋愛
令嬢ミーニェの趣味は魔法薬調合。しかし、その才能に嫉妬した妹に魔法薬が危険だと摘発され、国外追放されてしまう。行き場を失ったミーニェは隣国騎士団長シュレツと出会う。妹の運命の番になることを拒否したいと言う彼に、ミーニェは告げる。――『番』上書きのお薬ですか? 作れますよ? 天才薬師ミーニェは、騎士団長シュレツと番になる薬を用意し、妹との運命を上書きする。シュレツは彼女の才能に惚れ込み、薬師かつ番として、彼女を連れ帰るのだが――待っていたのは波乱万丈、破天荒な日々!?

幼馴染に夢中の夫を捨てた貴婦人は、王太子に熱愛される

Narian
恋愛
アイリスの夫ロイは、新婚の頃から金髪の愛らしい幼馴染・フローラに夢中で、妻には見向きもしなかった。 夫からは蔑ろにされ、夫の両親からは罵られ、フローラからは見下される日々。そしてアイリスは、ついに決意する。 「それほど幼馴染が大切なら、どうぞご自由に。私は出て行って差し上げます」 これは、虐げられた主人公が、過去を断ち切り幸せを掴む物語。 ※19話完結。 毎日夜9時ごろに投稿予定です。朝に投稿することも。お気に入り登録していただけたら嬉しいです♪

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~

チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。 そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。 ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。 なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。 やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。 シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。 彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。 その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。 家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。 そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。 わたしはあなたの側にいます、と。 このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。 *** *** ※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。 ※設定などいろいろとご都合主義です。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...