公爵令息様を治療したらいつの間にか溺愛されていました

Karamimi

文字の大きさ
34 / 36
番外編

地方に出張治療に行く事になりました【7】

しおりを挟む
2人で屋敷に戻ると、グレイス様が言った通り、鬼の形相をしたルーク様が待っていた。

「グレイス!貴様よくも僕の可愛いセリーナを連れ出したな」

グレイス様の胸ぐらを掴むルーク様。どうしよう、止めないと!でも、どうやって止めたらいいの?アタフタしている私をよそに

「ちょっと気持ちを伝えただけだ。そんなに怒るな!よかったな、ルーク。セリーナ嬢はお前を選んだよ」

そう言って涼しい顔をしているグレイス様。

「気持ちを伝えただと!僕の許可なく勝手な事をするな!でも、振られたならまあいい」

「それじゃあ、俺は傷心だから、部屋に戻るわ」

そう言って手を振って去っていくグレイス様。え?この状況で私を置いて行くの?

「それでは、私も部屋に戻りますわね。ルーク様、また明日」

なんだか嫌な予感がしたので、急いで部屋に戻ろうとしたのだが…

「セリーナ、誰が部屋に戻っていいと言った?僕、物凄く怒っているのだけれど」

秒殺でルーク様に捕まってしまった。

「セリーナ、僕の許可なくどうしてグレイスと2人きりで出掛けたのかな?今からゆっくり話を聞くから、こっちにおいで!」

ひぃぃぃぃ

物凄く笑顔(でも目は笑っていない)のルーク様に連行され、ルーク様が使っている部屋まで連れてこられた。その後、2時間もルーク様に叱られたのであった。

やっと解放され、私の為に準備してくれた部屋へと戻って来た。すかさずベッドに横になる。それにしても疲れたわ。皆を治癒をしていた時よりも、ずっと疲れた。でも、さすがに湯あみはしないとね。重い体を起こし、湯あみを済ませる。やっと寝られる!そう思った時だった。

「セリーナ様、ちょっとよろしいでしょうか?」

話しかけてきたのは、専属メイドのミレアだ。どうしたのかしら?ミレアに連れてこられたのは、ルーク様のいる部屋。

コンコン
「失礼します。セリーナ様を連れて来ました」

さあ、中へどうぞ!そう言わんばかりに、ミリアに部屋の中へと誘導された。部屋に入ると、湯あみを終えたばかりのルーク様が待っていた。

「セリーナ、今日はここで一緒に寝るよ!またグレイスが忍び込むといけないからね」

にっこり笑ってそう言ったルーク様。

「さすがにそれはいけませんわ。私たちは、まだ正式に結婚しておりません!」

結婚してからそういう事をするのが一般的だ。いくら婚約者だからと言って、フライングは良くない。

「大丈夫、手は出さないから。ほら、おいで」

ベッドに入ったルーク様が、私に早く来いと言わんばかりに、布団を叩いている。仕方ない、手を出さないと言っているし、大丈夫だろう。

ルーク様の横に潜り込むと、すかさず私を抱きしめたルーク様。

「セリーナは柔らかくて気持ちいいね。毎日こうやってセリーナを抱きしめて寝たいぐらいだ。さあ、今日は疲れただろう。おやすみ」

そう言うと、さっさと目を瞑ったルーク様。確かにルーク様に抱きしめられていると、温かくて気持ちいい。結局私も、すぐに眠ってしまったのであった。

翌日
「グレイス様、色々とお世話になりました」

「世話になったのはこっちの方だよ。領民たちを助けてくれてありがとう。君がいなかったら、もっと沢山の犠牲者が出ていたよ。またいつでも遊びに来てくれ」

「ありがとうございます。グレイス様もぜひ王都に遊びに来て下さいね」

「それじゃあグレイス、元気で。僕達の結婚式の時は、来てくれよ」

「ああ、必ず行くよ。父上や母上、姉上によろしく」

グレイス様との挨拶も終わり、ルーク様と一緒に馬車に乗り込む。ゆっくり馬車が走り出した。

「セリーナ嬢、本当にありがとう。もしルークが嫌になったら、いつでもここに来てくれ。俺が幸せにしてあげるから!」

そう言って叫んだグレイス様。

「誰がセリーナを渡すか!グレイスもセリーナの事はさっさと諦めて、別の女性を探せよ!」

ルーク様がグレイス様に向かって叫んでいる。何だかんだ言って、この2人、実はとても仲がいいみたいだ。きっとグレイス様にも、素敵な女性が現れるだろう。私はそう思っている。

「セリーナ、もう二度と他の男と2人きりになったらダメだからね!分ったかい?」

どうやら、昨日の事をまだ怒っているルーク様。

「分かっていますわ。本当にごめんなさい。もう二度としないから、安心して下さい」

そう伝えたものの、まだ不安そうにこっちを見ている。そんなルーク様の唇に、自分の唇を重ねた。

「私が心から愛しているのは、ルーク様だけですから」

「僕もだよ、セリーナ!ああ、早く結婚したい」

そう言ってギューギュー抱きしめるルーク様。それにしても今回の出張治療、何だかんだ言って楽しかったわ。患者さんたちもしっかり治せたし。それにルーク様ともずっと一緒にいられたしね。

徐々に離れていくシャディソン公爵邸を見つめながら、今回の出張治療を振り返るセリーナであった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

P.S. 推し活に夢中ですので、返信は不要ですわ

汐瀬うに
恋愛
アルカナ学院に通う伯爵令嬢クラリスは、幼い頃から婚約者である第一王子アルベルトと共に過ごしてきた。しかし彼は言葉を尽くさず、想いはすれ違っていく。噂、距離、役割に心を閉ざしながらも、クラリスは自分の居場所を見つけて前へ進む。迎えたプロムの夜、ようやく言葉を選び、追いかけてきたアルベルトが告げたのは――遅すぎる本心だった。 ※こちらの作品はカクヨム・アルファポリス・小説家になろうに並行掲載しています。

「地味で無能」と捨てられた令嬢は、冷酷な【年上イケオジ公爵】に嫁ぎました〜今更私の価値に気づいた元王太子が後悔で顔面蒼白になっても今更遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢クラウディアは、婚約者のアルバート王太子と妹リリアンに「地味で無能」と断罪され、公衆の面前で婚約破棄される。 お飾りの厄介払いとして押し付けられた嫁ぎ先は、「氷壁公爵」と恐れられる年上の冷酷な辺境伯アレクシス・グレイヴナー公爵だった。 当初は冷徹だった公爵は、クラウディアの才能と、過去の傷を癒やす温もりに触れ、その愛を「二度と失わない」と固く誓う。 彼の愛は、包容力と同時に、狂気的な独占欲を伴った「大人の愛」へと昇華していく。

【完結】公爵令嬢の育て方~平民の私が殿下から溺愛されるいわれはないので、ポーション開発に励みます。

buchi
恋愛
ポーシャは、平民の特待生として貴族の学園に入学したが、容貌もパッとしなければ魔力もなさそうと蔑視の対象に。それなのに、入学早々、第二王子のルーカス殿下はポーシャのことを婚約者と呼んで付きまとう。デロ甘・辛辣・溺愛・鈍感コメディ(?)。殿下の一方通行がかわいそう。ポジティブで金儲けに熱心なポーシャは、殿下を無視して自分の道を突き進む。がんばれ、殿下! がんばれ、ポーシャ? 

悪役令嬢なので最初から愛されないことはわかっていましたが、これはさすがに想定外でした。

ふまさ
恋愛
 ──こうなることがわかっていれば、はじめから好きになんてならなかったのに。  彩香だったときの思いが、ふと蘇り、フェリシアはくすりと笑ってしまった。  ありがとう、前世の記憶。おかげでわたしは、クライブ殿下を好きにならずにすんだわ。  だからあるのは、呆れと、怒りだけだった。 ※『乙女ゲームのヒロインの顔が、わたしから好きな人を奪い続けた幼なじみとそっくりでした』の、ifストーリーです。重なる文章があるため、前作は非公開とさせていただきました。読んでくれたみなさま、ありがとうございました。

天才すぎて追放された薬師令嬢は、番のお薬を作っちゃったようです――運命、上書きしちゃいましょ!

灯息めてら
恋愛
令嬢ミーニェの趣味は魔法薬調合。しかし、その才能に嫉妬した妹に魔法薬が危険だと摘発され、国外追放されてしまう。行き場を失ったミーニェは隣国騎士団長シュレツと出会う。妹の運命の番になることを拒否したいと言う彼に、ミーニェは告げる。――『番』上書きのお薬ですか? 作れますよ? 天才薬師ミーニェは、騎士団長シュレツと番になる薬を用意し、妹との運命を上書きする。シュレツは彼女の才能に惚れ込み、薬師かつ番として、彼女を連れ帰るのだが――待っていたのは波乱万丈、破天荒な日々!?

幼馴染に夢中の夫を捨てた貴婦人は、王太子に熱愛される

Narian
恋愛
アイリスの夫ロイは、新婚の頃から金髪の愛らしい幼馴染・フローラに夢中で、妻には見向きもしなかった。 夫からは蔑ろにされ、夫の両親からは罵られ、フローラからは見下される日々。そしてアイリスは、ついに決意する。 「それほど幼馴染が大切なら、どうぞご自由に。私は出て行って差し上げます」 これは、虐げられた主人公が、過去を断ち切り幸せを掴む物語。 ※19話完結。 毎日夜9時ごろに投稿予定です。朝に投稿することも。お気に入り登録していただけたら嬉しいです♪

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

家族から冷遇されていた過去を持つ家政ギルドの令嬢は、旦那様に人のぬくもりを教えたい~自分に自信のない旦那様は、とても素敵な男性でした~

チカフジ ユキ
恋愛
叔父から使用人のように扱われ、冷遇されていた子爵令嬢シルヴィアは、十五歳の頃家政ギルドのギルド長オリヴィアに助けられる。 そして家政ギルドで様々な事を教えてもらい、二年半で大きく成長した。 ある日、オリヴィアから破格の料金が提示してある依頼書を渡される。 なにやら裏がありそうな値段設定だったが、半年後の成人を迎えるまでにできるだけお金をためたかったシルヴィアは、その依頼を受けることに。 やってきた屋敷は気持ちが憂鬱になるような雰囲気の、古い建物。 シルヴィアが扉をノックすると、出てきたのは長い前髪で目が隠れた、横にも縦にも大きい貴族男性。 彼は肩や背を丸め全身で自分に自信が無いと語っている、引きこもり男性だった。 その姿をみて、自信がなくいつ叱られるかビクビクしていた過去を思い出したシルヴィアは、自分自身と重ねてしまった。 家政ギルドのギルド員として、余計なことは詮索しない、そう思っても気になってしまう。 そんなある日、ある人物から叱責され、酷く傷ついていた雇い主の旦那様に、シルヴィアは言った。 わたしはあなたの側にいます、と。 このお話はお互いの強さや弱さを知りながら、ちょっとずつ立ち直っていく旦那様と、シルヴィアの恋の話。 *** *** ※この話には第五章に少しだけ「ざまぁ」展開が入りますが、味付け程度です。 ※設定などいろいろとご都合主義です。 ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...