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第1話:婚約者に裏切られました
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「ミューティング公爵及びその家族を、国家反逆罪の罪で投獄する。こいつらを連れて行け」
貴族学院卒業を目前に迫ったある日、私達家族は国家反逆罪で捕まり、地下牢へと入れられた。
我が家は代々続く由緒正しい公爵家、国王陛下とも仲が良かったお父様が謀反なんて絶対企てるはずがない。これは何かの間違いよ。冷たく薄暗い牢の中で何度も何度もこれは夢だ、早く覚めて!と念じる。でも、いくら念じても事態は変わらない。
私、ミシェル・ミューティングは公爵家の1人娘として大切に育てられた。10歳の時には第二王子でもあるユーグラテス様との婚約も決まり、まさに順風満帆だった。そんな我が家を襲ったのが今回の事件だ。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。もう泣き疲れて涙も出ないわ。
その時だった。
「ミシェル、どうだい?地下牢での生活は」
この声は私の婚約者で最愛の人、ユーグラテス様だわ。
「ユーグラテス様、良かった。助けに来てくれたのね。お父様が謀反を起そうとしたという出鱈目な情報のせいで、地下牢に入れられてしまったの。お願い、今すぐ助けて!」
必死にユーグラテス様に訴えたが、なぜかほほ笑みを浮かべたまま動こうとしない。
「ユーグラテス様?」
「ハハハハハハ。君と君の家族は今日正式に国家反逆罪の罪で、明日公開処刑されることが決まったよ」
「そんな、お父様は悪い事なんて何1つしていないわ。それなのにどうして?」
「悪い事をしていないだと?お前の様な傲慢で我が儘で癇癪持ちの娘を、僕に押し付けたじゃないか。そのせいで、僕はずっと息苦しい生活を送らなければいけなかった。でもそれも明日で終わりだ。やっと自由になれる」
嬉しそうにそう話すユーグラテス様。
「僕はね、君が大っ嫌いだったんだよ。だから公爵が謀反を起している様に見せかけたんだ。ありがたい事に、あの男は僕を随分信用していたから、公爵家へも自由に出入りできた。だから君の家が、謀反を起しているという風に見せかけるのは簡単だったよ」
何ですって?それじゃあ、ユーグラテス様の政略にはまって、私たちは投獄されたというの?
「そうそう、君は随分とメイドたちにも嫌われていたみたいだね。そのおかげで、色々と協力してもらったよ。本当に君の家のメイドたちは優秀だったよ」
メイドにまで裏切られていたなんて…もう言葉が出てこない。
「おっと、僕を恨まないでくれよ!僕の気持ちを無視して、無理やり婚約させた公爵と君が悪いんだ。自業自得だね。明日は一番見やすい場所で、君が惨めったらしく死ぬところを見ていてあげるから。それじゃあ、せいぜい後1日、地下牢で楽しい余生を送ってくれたまえ」
そう言うと、ユーグラテス様は牢から出て行った。
何て事なの…
確かに私は10歳の時、王宮で開かれたパーティーでユーグラテス様に一目ぼれし、お父様にあの人と結婚したいってお願いしたわ。それにしても、あそこまでユーグラテス様に嫌われていたなんてね。
思い返してみれば、私はかなり我が儘だった。いつもメイドに怒鳴ってばかりで、気に入らないと癇癪も起こしていた。ユーグラテス様に近づく令嬢にも、嫌がらせをした。
なんて嫌な女だったのかしら。今更後悔しても遅いのに。私の我が儘のせいで、優しいお父様とお母様まで殺されてしまう。どうしてこんな事になったのかしら…
そう思ったら、枯れたと思っていたはずの涙が再び溢れてくる。次から次へと流れる涙を止めることが出来ず、1人静かに泣いた。
ガタン!
何?急に大きな音がしたので、びっくりして顔を上げると、そこには幼馴染で公爵令息のレオの姿が!
「レオ、こんな所まで来て、私を笑いに来たの?」
レオとは小さい頃いつも喧嘩ばかりしていた。そんなレオは、私が令嬢をイジメていた時も、メイドに怒鳴りつけた時も、いつも私に怒っていた。
“少しは相手の気持ちを考えろ”ってね。あの時はムカついたけれど、今思えば確かにレオの言う通りだった。
そんなレオは公爵家の3男だったので、騎士団に入団した。学院を卒業後、副騎士団長になる事が決まっている。まさにエリートだ。
「ミシェル、逃げるぞ!今すぐ地下牢を開けてやるからな!」
「何を言っているの?私は犯罪者の娘なのよ。そんな事をしたら、レオやレオの家族だってただでは済まないわ!」
レオはなんだかんだで、大切な幼馴染だ。レオを巻き込みたくはない!
「大丈夫だ、さっき公爵家から勘当してもらって来た。だから、家族には迷惑を掛ける事はない」
ガチャ
「鍵が開いた。早く逃げるぞ」
レオに手を引かれて地下牢から逃げ出す。
周りを見ると、レオが倒したのだろう。何人かの看守が倒れていた。
「レオ、お願い。こんな事は止めて。あなたにまで迷惑が掛かるわ」
「俺の事は気にするな。とにかく、このまま逃げて隣国まで行くぞ!隣国で2人で暮らそう」
「レオ…」
久しぶりに繋いだレオの手は大きくて温かい。きっと毎日剣を握っているからだろう。少しごつごつしている。
と、その時だった。
「いたぞ、あいつらを捕まえろ」
後ろから護衛騎士がやって来た。
「クソ、ミシェル、下がっていろ!」
「レオ、まさか君が裏切るなんてね。残念だよ」
その声は、ユーグラテス様。
「ユーグラテス。お前よくもミシェルを」
レオがユーグラテス様に切りかかるが、護衛騎士が間に入った。何人かの騎士を倒していくレオ。
「ミシェル、今のうちにお前だけでも逃げろ!」
「レオを残して、逃らげれる訳ないでしょ」
複数の騎士たちと必死に戦いながらも、私に叫ぶレオ。次の瞬間、1人の騎士の剣がレオを突き刺した。
それを皮切りに、次々とレオに切りかかっている騎士たち。血だらけで倒れるレオに駆け寄った。
「レオ、お願い、死なないで」
血だらけのレオの手を握り、必死に訴える。嫌だ、死なないで。レオ、お願い!
「ミシェル、お前だけでも…逃げろ…」
そう言い残し、レオは息を引きっとった。
嘘…
「イヤーーーー」
レオにしがみつき、泣きじゃくる。
「大丈夫だよ、君もレオの元にすぐに送ってあげるから」
そう言って剣を振りかざし、私に切りかかった第二王子。体に激痛が走る。苦しい…
「いい気味だ!苦しんで死ね」
恐ろしいほどの笑顔で、私を見下ろす第二王子。薄れゆく意識の中で、なぜこんな男に惚れたのだろう、もしこの男に近づかなければ、レオも家族も死なずに済んだのに…
そう思いながら、意識を手放したのであった。
貴族学院卒業を目前に迫ったある日、私達家族は国家反逆罪で捕まり、地下牢へと入れられた。
我が家は代々続く由緒正しい公爵家、国王陛下とも仲が良かったお父様が謀反なんて絶対企てるはずがない。これは何かの間違いよ。冷たく薄暗い牢の中で何度も何度もこれは夢だ、早く覚めて!と念じる。でも、いくら念じても事態は変わらない。
私、ミシェル・ミューティングは公爵家の1人娘として大切に育てられた。10歳の時には第二王子でもあるユーグラテス様との婚約も決まり、まさに順風満帆だった。そんな我が家を襲ったのが今回の事件だ。
どうしてこんな事になってしまったのだろう。もう泣き疲れて涙も出ないわ。
その時だった。
「ミシェル、どうだい?地下牢での生活は」
この声は私の婚約者で最愛の人、ユーグラテス様だわ。
「ユーグラテス様、良かった。助けに来てくれたのね。お父様が謀反を起そうとしたという出鱈目な情報のせいで、地下牢に入れられてしまったの。お願い、今すぐ助けて!」
必死にユーグラテス様に訴えたが、なぜかほほ笑みを浮かべたまま動こうとしない。
「ユーグラテス様?」
「ハハハハハハ。君と君の家族は今日正式に国家反逆罪の罪で、明日公開処刑されることが決まったよ」
「そんな、お父様は悪い事なんて何1つしていないわ。それなのにどうして?」
「悪い事をしていないだと?お前の様な傲慢で我が儘で癇癪持ちの娘を、僕に押し付けたじゃないか。そのせいで、僕はずっと息苦しい生活を送らなければいけなかった。でもそれも明日で終わりだ。やっと自由になれる」
嬉しそうにそう話すユーグラテス様。
「僕はね、君が大っ嫌いだったんだよ。だから公爵が謀反を起している様に見せかけたんだ。ありがたい事に、あの男は僕を随分信用していたから、公爵家へも自由に出入りできた。だから君の家が、謀反を起しているという風に見せかけるのは簡単だったよ」
何ですって?それじゃあ、ユーグラテス様の政略にはまって、私たちは投獄されたというの?
「そうそう、君は随分とメイドたちにも嫌われていたみたいだね。そのおかげで、色々と協力してもらったよ。本当に君の家のメイドたちは優秀だったよ」
メイドにまで裏切られていたなんて…もう言葉が出てこない。
「おっと、僕を恨まないでくれよ!僕の気持ちを無視して、無理やり婚約させた公爵と君が悪いんだ。自業自得だね。明日は一番見やすい場所で、君が惨めったらしく死ぬところを見ていてあげるから。それじゃあ、せいぜい後1日、地下牢で楽しい余生を送ってくれたまえ」
そう言うと、ユーグラテス様は牢から出て行った。
何て事なの…
確かに私は10歳の時、王宮で開かれたパーティーでユーグラテス様に一目ぼれし、お父様にあの人と結婚したいってお願いしたわ。それにしても、あそこまでユーグラテス様に嫌われていたなんてね。
思い返してみれば、私はかなり我が儘だった。いつもメイドに怒鳴ってばかりで、気に入らないと癇癪も起こしていた。ユーグラテス様に近づく令嬢にも、嫌がらせをした。
なんて嫌な女だったのかしら。今更後悔しても遅いのに。私の我が儘のせいで、優しいお父様とお母様まで殺されてしまう。どうしてこんな事になったのかしら…
そう思ったら、枯れたと思っていたはずの涙が再び溢れてくる。次から次へと流れる涙を止めることが出来ず、1人静かに泣いた。
ガタン!
何?急に大きな音がしたので、びっくりして顔を上げると、そこには幼馴染で公爵令息のレオの姿が!
「レオ、こんな所まで来て、私を笑いに来たの?」
レオとは小さい頃いつも喧嘩ばかりしていた。そんなレオは、私が令嬢をイジメていた時も、メイドに怒鳴りつけた時も、いつも私に怒っていた。
“少しは相手の気持ちを考えろ”ってね。あの時はムカついたけれど、今思えば確かにレオの言う通りだった。
そんなレオは公爵家の3男だったので、騎士団に入団した。学院を卒業後、副騎士団長になる事が決まっている。まさにエリートだ。
「ミシェル、逃げるぞ!今すぐ地下牢を開けてやるからな!」
「何を言っているの?私は犯罪者の娘なのよ。そんな事をしたら、レオやレオの家族だってただでは済まないわ!」
レオはなんだかんだで、大切な幼馴染だ。レオを巻き込みたくはない!
「大丈夫だ、さっき公爵家から勘当してもらって来た。だから、家族には迷惑を掛ける事はない」
ガチャ
「鍵が開いた。早く逃げるぞ」
レオに手を引かれて地下牢から逃げ出す。
周りを見ると、レオが倒したのだろう。何人かの看守が倒れていた。
「レオ、お願い。こんな事は止めて。あなたにまで迷惑が掛かるわ」
「俺の事は気にするな。とにかく、このまま逃げて隣国まで行くぞ!隣国で2人で暮らそう」
「レオ…」
久しぶりに繋いだレオの手は大きくて温かい。きっと毎日剣を握っているからだろう。少しごつごつしている。
と、その時だった。
「いたぞ、あいつらを捕まえろ」
後ろから護衛騎士がやって来た。
「クソ、ミシェル、下がっていろ!」
「レオ、まさか君が裏切るなんてね。残念だよ」
その声は、ユーグラテス様。
「ユーグラテス。お前よくもミシェルを」
レオがユーグラテス様に切りかかるが、護衛騎士が間に入った。何人かの騎士を倒していくレオ。
「ミシェル、今のうちにお前だけでも逃げろ!」
「レオを残して、逃らげれる訳ないでしょ」
複数の騎士たちと必死に戦いながらも、私に叫ぶレオ。次の瞬間、1人の騎士の剣がレオを突き刺した。
それを皮切りに、次々とレオに切りかかっている騎士たち。血だらけで倒れるレオに駆け寄った。
「レオ、お願い、死なないで」
血だらけのレオの手を握り、必死に訴える。嫌だ、死なないで。レオ、お願い!
「ミシェル、お前だけでも…逃げろ…」
そう言い残し、レオは息を引きっとった。
嘘…
「イヤーーーー」
レオにしがみつき、泣きじゃくる。
「大丈夫だよ、君もレオの元にすぐに送ってあげるから」
そう言って剣を振りかざし、私に切りかかった第二王子。体に激痛が走る。苦しい…
「いい気味だ!苦しんで死ね」
恐ろしいほどの笑顔で、私を見下ろす第二王子。薄れゆく意識の中で、なぜこんな男に惚れたのだろう、もしこの男に近づかなければ、レオも家族も死なずに済んだのに…
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