何年も相手にしてくれなかったのに…今更迫られても困ります

Karamimi

文字の大きさ
22 / 75

第22話:デイビッド様が面会に来ました

しおりを挟む
楽しい船のパーティーが一転、デイビッド様が登場するというハプニングが起こった事で、なんだか心が落ち着かないまま寮に戻ってきた。

「アンジュ様、大丈夫ですか?今日は、ゆっくり休んでくださいね」

「はい、ありがとうございます。ではまた、明日」

令嬢たちと別れ、自室へと戻ってきた。

「おかえりなさいませ、お嬢様。どうでしたか?船のパーティーは?」

満面の笑みで私の方にやって来たのは、カリアだ。

「ええ、とても楽しかったわ。ただ…船から降りたところに、なぜかデイビッド様がいらしたの…」

「何ですって?デイビッド様がですか?あの男、まさか船から降りたお嬢様を待ち伏せするだなんて、油断も隙もありゃしませんわ!それで、大丈夫でしたか?」

「ええ、令嬢たちがすぐに庇ってくれて、馬車に乗せてくれたから…それにしても、カリアはデイビッド様がこの地にいる事を知っている様な口ぶりだけれど」

「実は旦那様から“デイビッド殿がアンジュを訪ねて、ミラージュ王国に行くかもしれない、十分警戒する様に”との連絡が入りまして…部外者は学院内には勝手に入る事は出来ないからと、安心しておりましたの。まさか、外に出たタイミングで接触してくるだなんて。お嬢様にはいらぬ心配をかけたくなくて、黙っていたのですが、それが仇になってしまいましたね。申し訳ございませんでした」

「カリアが謝る事ではないわ。でも、どうしてデイビッド様は、わざわざミラージュ王国にいらしたのかしら?」

「私も詳しい話は聞いておりませんので…とにかく、あの男が既にミラージュ王国に来て居る事だけは確かです。しばらくは学院の外に出ない様にしてくださいませ」

そんな…

後1ヶ月しか皆といられないのに。それじゃあ、思い出が作れないじゃない。こうなったら、さっさとデイビッド様の用件を聞いて、国に帰ってもらった方がよさそうね。

もし面会依頼が来たら、その時は素直に対応しよう。幸い今日、デイビッド様を見てもなんとも思わなかったし。もう私の心も、しっかり踏ん切りがついたのだろう。

デイビッド様ったら!やっと彼を忘れたのに、どうして未だに問題を持って来るのかしら?もう私は、デイビッド様には関わりたくないのに…

はぁ~っとため息が出てしまう。

とにかく今日は疲れたから、もう寝よう。カリアにドレスを脱がしてもらい、湯あみを行った。そしてベッドに入る。

この日はさすがに疲れていたのか、あっと言う間に眠りについたのだった。


翌日、いつもの様に制服に着替える。

「お嬢様、万が一あの男が校門の前で待ち伏せをしているかもしれませんので、まっすぐ寮に帰って来てくださいね」

「分かっているわよ。それじゃあ、行ってくるわね」

カリアに見送られ部屋を出ると、スカーレット様が待っていてくれていた。

「おはようございます、アンジュ様」

「おはようございます、スカーレット様。わざわざ待っていて下さったのですか?」

「ええ、昨日のあなた様の幼馴染の件がなんだか気になって…」

「そうだったのですね。ご心配をおかけしてごめんなさい。何の用事で来たのかは知りませんが、一度会って要件を聞き、さっさと帰ってもらいますわ。あの人には、別に愛する人がいらっしゃいますので」

デイビッド様には、愛するラミネス様がいらっしゃるのだ。私に構っている暇はないはず。もしかして、私に2人の婚約披露パーティーに出ろとか言う話ではないでしょうね?

そんな事を考える。

「アンジュ様、私、なんだか嫌な予感がするのです。昨日も申し上げましたが、もしあの方と面会をする事になったら、私も同席させていただいてもよろしいですか?」

「ええ、構いませんわ。私も1人よりも、スカーレット様がいて下さる方が心強いので。さあ、学院に行きましょう」

スカーレット様と一緒に学院に向かう。他の令嬢たちからも、昨日の件で色々と聞かれた。皆私の事を心配してくれている様だ。

さらにダルク様にまで

「アンジュ嬢、昨日は大丈夫だったかい?昨日の彼、その…アンジュ嬢が好きだった人だろう?」

そんな事を言われたのだ。

「確かに好きだった人でしたが、もう綺麗さっぱり忘れましたわ。ただ、彼が何をしにミラージュ王国まで来たのか、少し気になりまして。さっさと用件を聞いて、カリオス王国に帰ってもらおうと考えておりますの」

「そうか…そう言えばスカーレット様が、万が一その男が面会に来た時、立ち会うと張り切っていたそうだね。ただ…相手は騎士団長にまで登りつめた男なのだろう?令嬢だけでは不安だから、私と殿下も立ち会ってもいいだろうか?もちろん、口出しはしないから」

なるほど、スカーレット様が私の為に立ち会ってくれると聞いた殿下が、スカーレット様を別の男に合わせるなんて不安だ、僕も立ち会う!と言い出したのだろう。

「たかだか私の立ち合いに、わざわざ王太子殿下にお手間を取らせるのは申し訳ございませんので、スカーレット様にもご遠慮して頂きますわ」

大した用事ではないかもしれないのに、一国の王太子殿下に立ち会ってもらうなんて、申し訳なさすぎる。そう思ったのだが…

「既にスカーレット様は、立ち会う気満々です。ですので、どうかお願いできないでしょうか?」

そう言ってダルク様が頭を下げて来た。

「分かりましたわ、それでしたら、よろしくお願いします」

なんだか大事になって来たわね。でも、デイビッド様も昨日あしらわれた事で、諦めて国に帰ったかもしれない。ぜひともそうであって欲しい、そう願っていたが…

「アンジュ・スィークルン嬢、デイビッド殿とのいう方が面会にいらしている。すぐに面会室に来てください」

授業が終わると、先生にそう言われたのだ。早速来た様だ。

本当に一体何の用だろう?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*

音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。 塩対応より下があるなんて……。 この婚約は間違っている? *2021年7月完結

完結 貴方が忘れたと言うのなら私も全て忘却しましょう

音爽(ネソウ)
恋愛
商談に出立した恋人で婚約者、だが出向いた地で事故が発生。 幸い大怪我は負わなかったが頭を強打したせいで記憶を失ったという。 事故前はあれほど愛しいと言っていた容姿までバカにしてくる恋人に深く傷つく。 しかし、それはすべて大嘘だった。商談の失敗を隠蔽し、愛人を侍らせる為に偽りを語ったのだ。 己の事も婚約者の事も忘れ去った振りをして彼は甲斐甲斐しく世話をする愛人に愛を囁く。 修復不可能と判断した恋人は別れを決断した。

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

完結 冗談で済ますつもりでしょうが、そうはいきません。

音爽(ネソウ)
恋愛
王子の幼馴染はいつもわがまま放題。それを放置する。 結婚式でもやらかして私の挙式はメチャクチャに 「ほんの冗談さ」と王子は軽くあしらうが、そこに一人の男性が現れて……

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

完結 愛される自信を失ったのは私の罪

音爽(ネソウ)
恋愛
顔も知らないまま婚約した二人。貴族では当たり前の出会いだった。 それでも互いを尊重して歩み寄るのである。幸いにも両人とも一目で気に入ってしまう。 ところが「従妹」称する少女が現れて「私が婚約するはずだった返せ」と宣戦布告してきた。

私も貴方を愛さない〜今更愛していたと言われても困ります

せいめ
恋愛
『小説年間アクセスランキング2023』で10位をいただきました。  読んでくださった方々に心から感謝しております。ありがとうございました。 「私は君を愛することはないだろう。  しかし、この結婚は王命だ。不本意だが、君とは白い結婚にはできない。貴族の義務として今宵は君を抱く。  これを終えたら君は領地で好きに生活すればいい」  結婚初夜、旦那様は私に冷たく言い放つ。  この人は何を言っているのかしら?  そんなことは言われなくても分かっている。  私は誰かを愛することも、愛されることも許されないのだから。  私も貴方を愛さない……  侯爵令嬢だった私は、ある日、記憶喪失になっていた。  そんな私に冷たい家族。その中で唯一優しくしてくれる義理の妹。  記憶喪失の自分に何があったのかよく分からないまま私は王命で婚約者を決められ、強引に結婚させられることになってしまった。  この結婚に何の希望も持ってはいけないことは知っている。  それに、婚約期間から冷たかった旦那様に私は何の期待もしていない。  そんな私は初夜を迎えることになる。  その初夜の後、私の運命が大きく動き出すことも知らずに……    よくある記憶喪失の話です。  誤字脱字、申し訳ありません。  ご都合主義です。  

処理中です...