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第2章
第8話:騎士団と新居に向かいます
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しばらく街の中を走ると、広い敷地内に大きな建物がいくつも建っているエリアが見えて来た。
「あれがこの街の騎士団の本部だ。とりあえず今から騎士団の本部に向かい、挨拶をしてから俺たちの住む場所に向かう事になっているんだ」
なるほど、そう言えばこの馬車も、騎士団の馬車だったわね。この街の騎士団員や副騎士団長様はどんな方なのかしら?なんだか緊張してきた。
そして立派な門をくぐり、騎士団の中へと入って行く。しばらく進むと馬車が停まった。
「さあ、行こうか」
グレイ様に差し出された手を握り、馬車から降りると、数名の男性が待っていた。
「グレイ、よく来てくれたな」
金色の髪に紫色の瞳をした男性が話しかけて来た。あのバッジは、副騎士団長様のものだ。この国では騎士団長が金のバッジ、副騎士団長が銀のバッジを付けているのだ。どうやらこの副騎士団長様はグレイ様を知っている様だ。
「スティーブンじゃないか!久しぶりだな。まさかお前がこの街の副騎士団長なのか?」
「ああ、そうだよ。そちらの女性が、お前の奥さんか?」
「ああ、妻のスカーレットだ。スカーレット、こいつは俺が騎士団に入団した時の同期なんだ。まあ、苦楽を共にした戦友みたいなもんだな。でもお前、王都の街で騎士団員をしていたんじゃなかったのか?」
「お前が母親と一緒に王都を出てすぐ、俺も地方に異動したんだ。その後頑張って訓練を続けて、半年前この街の副騎士団長になった」
「そうだったんなだ。お前とまた一緒に仕事が出来ると思うと、嬉しいよ」
どうやら副騎士団長様はグレイ様のお友達の様だ。いい人そうで良かったわ。おっと、私も挨拶をしないとね。
「初めまして、副騎士団長様。妻のスカーレットと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「スティーブンです。こちらこそ、よろしくね。でも、まさかグレイが結婚するなんてな。お前、女に全く興味がなかったから驚いたよ。それもこんなに可愛らしい奥さんを捕まえて。そうそう、俺も半年前に結婚したんだ。今度妻を紹介するよ。結構人見知りでさ、さらに一回強盗に荷物をふんだくられてから、完全に怯えてしまって、家からほとんど出ないんだよ。スカーレットさん、どうか妻とも仲良くしてやってね」
そう言ってにっこり笑った副騎士団長様。奥様がいるのね、仲良くなれるといいな。
「騎士団の中を案内したいんだが、早く新居に行って荷物の整理もしたいだろう?一応俺立ち合いの元、大きな荷物は既に設置していったぞ。ほら、家の鍵だ」
「何から何まですまなかったな。ありがとう。それじゃあ、俺たちは一旦家に帰らせてもらう事にする。スカーレット、いこうか」
「はい、それでは、失礼いたします」
副騎士団長様たちに頭を下げ、騎士団の敷地の外に出る。
「ここから少し歩くが、大丈夫かい?」
「ええ、もちろんです」
2人で手を繋いで歩いて新しい家に向かう。5分ほど歩いたところで
「あれが新しい家だ」
グレイ様が指さしたのは、白を基調とした可愛らしい家だ。この前の家は平屋だったが、今回は二階建て。家の鍵を開けると、副騎士団長様が言った通り、既に荷物が運ばれていた。
「ある程度の間取りを見て、俺が適当に設置場所を書いた紙を渡しておいたんだが、よかったかな?特に台所回りはスカーレットが使うから、よく見て気に入らない様であれば、言って欲しい」
グレイ様に言われて台所に向かう。
「使ってみないとわかりませんが、問題ないと思いますわ」
「そうか、それはよかった。それじゃあ、早速片づけを開始しよう」
山積みになっている箱を1つ1つ開けていく。でもきっと、今日中には全て片付けるのは無理だろう。使う頻度が多そうなものを中心に取り出して片付けていく。
予想通り、半分も片付けられないまま、夕方になってしまった。
「グレイ様、そろそろ日が暮れます。晩御飯の準備をしたいので、買い物に行って来てもいいですか?」
「確かにそろそろ腹が減って来たな。スカーレット、君も疲れているだろう。今日は何か買ってきてそれを食べよう」
「いいえ、私は大丈夫ですわ。ここ最近、ずっと外で食べておりましたので、今日は私が作ります。確か来る途中に市場がありましたので、食材を買ってきますね」
そう言って家から出ようとしたのだが
「待て、スカーレット。この街は治安が悪い。俺も一緒に行こう」
心配性のグレイ様が買い物に付いてきてくれた。歩いて3分くらいの道のりなのだが…そう思ったが、付いてきてくれると言うのだから、お言葉に甘える事にした。市場に着くと、早速買い物開始だ。
グレイ様が言っていた通り、海老やカニなどの海産物もたくさん売られている。それに、見た事もない魚や果物なども売られている。これは見ているだけで楽しいわね。
「おや、見かけない顔だね。この街に引っ越してきたのかい?」
お店の人が話しかけて来た。
「はい、今日引っ越してきましたの。それで、この赤いお魚、初めて見ましたわ。どうやって食べるのですか?」
「これかい?これは油で揚げて餡かけにすると美味しいよ。こっちの大きな貝は、グラタンにしたりバターで焼いたりして食べるんだよ」
丁寧に教えてくれるお店の人。せっかくなので、赤い魚と大きな貝を購入した。他のお店でも、皆色々と教えてくれた。どうやら街の人たちはとても親切な様だ。
そんな私を見て
「スカーレットは人と仲良くなる天才だな。お店の人と親しくなるのはいいが、あまり市場に1人で来てはいけないよ。ここら辺は、窃盗団もよくうろついているからな」
「わかりましたわ」
そう答えたものの、そこまで治安が悪い様には見えないのだが…
その時だった。
「キャーーー、誰かー―――」
女性の悲鳴?一体どうしたのかしら?
「あれがこの街の騎士団の本部だ。とりあえず今から騎士団の本部に向かい、挨拶をしてから俺たちの住む場所に向かう事になっているんだ」
なるほど、そう言えばこの馬車も、騎士団の馬車だったわね。この街の騎士団員や副騎士団長様はどんな方なのかしら?なんだか緊張してきた。
そして立派な門をくぐり、騎士団の中へと入って行く。しばらく進むと馬車が停まった。
「さあ、行こうか」
グレイ様に差し出された手を握り、馬車から降りると、数名の男性が待っていた。
「グレイ、よく来てくれたな」
金色の髪に紫色の瞳をした男性が話しかけて来た。あのバッジは、副騎士団長様のものだ。この国では騎士団長が金のバッジ、副騎士団長が銀のバッジを付けているのだ。どうやらこの副騎士団長様はグレイ様を知っている様だ。
「スティーブンじゃないか!久しぶりだな。まさかお前がこの街の副騎士団長なのか?」
「ああ、そうだよ。そちらの女性が、お前の奥さんか?」
「ああ、妻のスカーレットだ。スカーレット、こいつは俺が騎士団に入団した時の同期なんだ。まあ、苦楽を共にした戦友みたいなもんだな。でもお前、王都の街で騎士団員をしていたんじゃなかったのか?」
「お前が母親と一緒に王都を出てすぐ、俺も地方に異動したんだ。その後頑張って訓練を続けて、半年前この街の副騎士団長になった」
「そうだったんなだ。お前とまた一緒に仕事が出来ると思うと、嬉しいよ」
どうやら副騎士団長様はグレイ様のお友達の様だ。いい人そうで良かったわ。おっと、私も挨拶をしないとね。
「初めまして、副騎士団長様。妻のスカーレットと申します。どうぞよろしくお願いいたします」
「スティーブンです。こちらこそ、よろしくね。でも、まさかグレイが結婚するなんてな。お前、女に全く興味がなかったから驚いたよ。それもこんなに可愛らしい奥さんを捕まえて。そうそう、俺も半年前に結婚したんだ。今度妻を紹介するよ。結構人見知りでさ、さらに一回強盗に荷物をふんだくられてから、完全に怯えてしまって、家からほとんど出ないんだよ。スカーレットさん、どうか妻とも仲良くしてやってね」
そう言ってにっこり笑った副騎士団長様。奥様がいるのね、仲良くなれるといいな。
「騎士団の中を案内したいんだが、早く新居に行って荷物の整理もしたいだろう?一応俺立ち合いの元、大きな荷物は既に設置していったぞ。ほら、家の鍵だ」
「何から何まですまなかったな。ありがとう。それじゃあ、俺たちは一旦家に帰らせてもらう事にする。スカーレット、いこうか」
「はい、それでは、失礼いたします」
副騎士団長様たちに頭を下げ、騎士団の敷地の外に出る。
「ここから少し歩くが、大丈夫かい?」
「ええ、もちろんです」
2人で手を繋いで歩いて新しい家に向かう。5分ほど歩いたところで
「あれが新しい家だ」
グレイ様が指さしたのは、白を基調とした可愛らしい家だ。この前の家は平屋だったが、今回は二階建て。家の鍵を開けると、副騎士団長様が言った通り、既に荷物が運ばれていた。
「ある程度の間取りを見て、俺が適当に設置場所を書いた紙を渡しておいたんだが、よかったかな?特に台所回りはスカーレットが使うから、よく見て気に入らない様であれば、言って欲しい」
グレイ様に言われて台所に向かう。
「使ってみないとわかりませんが、問題ないと思いますわ」
「そうか、それはよかった。それじゃあ、早速片づけを開始しよう」
山積みになっている箱を1つ1つ開けていく。でもきっと、今日中には全て片付けるのは無理だろう。使う頻度が多そうなものを中心に取り出して片付けていく。
予想通り、半分も片付けられないまま、夕方になってしまった。
「グレイ様、そろそろ日が暮れます。晩御飯の準備をしたいので、買い物に行って来てもいいですか?」
「確かにそろそろ腹が減って来たな。スカーレット、君も疲れているだろう。今日は何か買ってきてそれを食べよう」
「いいえ、私は大丈夫ですわ。ここ最近、ずっと外で食べておりましたので、今日は私が作ります。確か来る途中に市場がありましたので、食材を買ってきますね」
そう言って家から出ようとしたのだが
「待て、スカーレット。この街は治安が悪い。俺も一緒に行こう」
心配性のグレイ様が買い物に付いてきてくれた。歩いて3分くらいの道のりなのだが…そう思ったが、付いてきてくれると言うのだから、お言葉に甘える事にした。市場に着くと、早速買い物開始だ。
グレイ様が言っていた通り、海老やカニなどの海産物もたくさん売られている。それに、見た事もない魚や果物なども売られている。これは見ているだけで楽しいわね。
「おや、見かけない顔だね。この街に引っ越してきたのかい?」
お店の人が話しかけて来た。
「はい、今日引っ越してきましたの。それで、この赤いお魚、初めて見ましたわ。どうやって食べるのですか?」
「これかい?これは油で揚げて餡かけにすると美味しいよ。こっちの大きな貝は、グラタンにしたりバターで焼いたりして食べるんだよ」
丁寧に教えてくれるお店の人。せっかくなので、赤い魚と大きな貝を購入した。他のお店でも、皆色々と教えてくれた。どうやら街の人たちはとても親切な様だ。
そんな私を見て
「スカーレットは人と仲良くなる天才だな。お店の人と親しくなるのはいいが、あまり市場に1人で来てはいけないよ。ここら辺は、窃盗団もよくうろついているからな」
「わかりましたわ」
そう答えたものの、そこまで治安が悪い様には見えないのだが…
その時だった。
「キャーーー、誰かー―――」
女性の悲鳴?一体どうしたのかしら?
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