大好きだった旦那様に離縁され家を追い出されましたが、騎士団長様に拾われ溺愛されました

Karamimi

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第2章

第15話:ここまで忙しいなんて~グレイ視点~

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「クソ、毎日毎日事件ばかり起こしやがって!」

執務室でイライラを隠し切れず、つい机に八つ当たりをしてしまう。最愛の女性、スカーレットと結婚し、幸せをかみしめたのもつかの間。新しい街に来たと同時に、目の回る様な忙しい日々を送っている。

そのせいで、スカーレットとの時間はみるみる減っていき、夫婦の営みも1ヶ月に数回出来る程度。さらにスカーレットは、パン屋の息子と仲良くなり、毎日楽しそうに過ごしている。

何度もあの2人が楽しそうに話をしている姿を目撃した。そのたびに、腸が煮えくり返るほどの怒りを覚え、ついにスカーレットに嫉妬心をむき出しにすると言う恥ずかしい失態まで起こしてしまった。

そんな俺を、いつも優しく受け止めてくれるスカーレット。そんなスカーレットは、最近スティーブンの妻と仲良くしているらしい。この前、たまたま街で2人を見かけたが、楽しそうに買い物をしていた。

これで少しはパン屋の息子とも距離を置くだろう、そう思っていたが、今度は3人で仲良くしている様だ。あの男、いつもスカーレットに馴れ馴れしくしている。それが相変わらず腹が立って仕方がないのだ。

当のスカーレットは、パン屋の息子を弟の様に思っている様で、あれこれ世話を焼いている様だ。先日パン屋のおかみが怪我をした時も、スティーブンの妻と一緒に、1週間手伝いをしていた。

まあ、スティーブンの妻も一緒だからまだいいが、それでも面白くないのだ。

「グレイ、今日は随分と荒れているな。まあ、お前の気持ちはよくわかるよ。最近特に帰りが遅いもんな。俺もミミリィとの時間が全然取れなくて、気が狂いそうだ」

俺の隣でそう呟いたのは、スティーブンだ。こいつもよく考えたら新婚だったな。

「なあ、スティーブン、いくら何でもこの街は事件が多すぎる。特に最近、闇の犯罪組織が活発に動いているからだろう。何とかアジトを見つけ出し根絶やしにしないと、市民たちはもちろん、俺たちの平和な新婚生活も一生訪れないぞ」

そう、最近特に活発に動いている犯罪組織。その組織のボスを捕まえない限り、この街に平和は訪れない。今懸命に組織について調べているが、中々情報が集まらないのだ。

「それは俺もわかっているよ。それで闇の仕事の調査なんだが、どうやら犯罪組織は闇バイトとして人員を募集しているらしい。それで今、バイト希望者に扮して何人もの騎士団員を送り込んだ。うまく行けば、アジトを掴めるかもしれない」

確かに何らかの情報を得られるかもしれないが、正直そう簡単に行くとは思えない。とにかく、地道に事件を捜査していくしかないか…

今日もすっかり遅くなってしまった。さすがにスカーレットは眠っているだろう。そう思い、ゆっくり鍵を開ける。

「おかえりなさいませ、グレイ様」

寝間着姿ではあるが、笑顔で迎えてくれるスカーレット。もう夜中の2時だ。まさかこんな時間まで起きて待っていたなんて…

「ただいま、スカーレット」

ついギューッと彼女を抱きしめる。この瞬間、今日の疲れも一気に吹き飛んだ。すぐに着替えをすませて部屋に戻ると、物凄くいい匂いが。俺の好物をたくさん作ってくれていた。

朝食以来のきちんとした食事だ。やっぱりスカーレットの料理が一番うまい。夢中で食べていると

「グレイ様、最近特にやつれてしまわれていますわ。朝晩以外、食事をきちんと摂っていますか?」

心配そうに訪ねてくるスカーレット。

「正直朝と晩以外、ろくに食べていないんだ。どうしても忙しくて、食べる時間がなくてな。食堂にも入っている暇はないから、少しパンをかじって終わりという事も多い」

「まあ、何て事でしょう。それでしたら、明日からお弁当を作りますね。極力食べやすい様、サンドウィッチなどを中心に作りますわ」

そう言ってほほ笑んだスカーレット。本当に彼女は女神だ!スカーレットの為にも、さっさとこの街を平和にしないと!

翌日から早速俺の為に弁当を作ってくれたスカーレット。俺の好きな肉入りサンドウィッチだ。少しでも栄養をと、かなり具が入っている。これは有難い。

いつもの様に今日も街に繰り出す。

「騎士団長、大変です。銀行が襲撃されました。今すぐ来てください!」

「何だって!銀行がか?」

幸い俺のいた場所から近かったこともあり、すぐに現場に向かう。現場は爆薬を使われているせいか、火が上がっていた。すぐに消火班を手配し、ケガ人の救出を命じる。それ以外の騎士団員は、犯人たち確保だ。

もちろん逃がす訳には行かない。ここまでの大きな事件は初めてだ。きっと、組織の上の方の人間が指揮を執っているはずだ。

「お前ら、絶対に犯人たちを逃がすな!」

そう叫ぶと同時に、犯人たちのある動きに注目する。あいつら、きっとどこかに逃げるための馬などを手配しているはずだ。

「スティーブン、人質を抱えている犯人たちを追ってくれ。俺はちょっとやるべきことがあるから、数名の騎士団員たちを連れて行ってくる」

「わかった」

数名の騎士団員たちを連れ、銀行の周りを探す。すると1人の怪しげな男を見つけた。こっそりその男を追うと、そこには10頭近くの馬が縛られていた。なるほど、ここに馬を準備していたんだな。この馬たちを確保すれば、もうあいつらは逃げられない。

「いいか、お前たち。あの男が連れている馬たちを確保するぞ」

「団長、一体何を…」

「いいから言う事を聞け。行くぞ!」

一斉に馬を管理している男に襲い掛かり、ものの数秒で縛り上げた。しばらくすると、人質たちを連れた犯人たちが、こちらにやってくる。完全に後ろばかりを気にして、こっちの様子には気が付いていない様だ。

人質をその場で解放し、一斉に馬に乗り込もうとした瞬間

「今だ、お前たち!あいつらを捕まえろ!」

俺の掛け声で、一気に犯人たちに襲い掛かる。ただ、向こうも簡単に捕まえさせてはくれない。剣を抜き、必死に応戦してくる。ふと何人かに囲まれ守られている男が目についた。あいつがこの事件を指揮していた男だな。あいつを捕まえれば…いや、待てよ。いい事を思いついた!

すぐさまスティーブンに近づき、ある指示を出した。これがうまく行けば、アジトがわかるかもしれない。そして一気に男たちに襲い掛かった。

必死に抵抗する男たち。ただ、寸前のところで指導者と思われる男は馬にまたがり、逃げて行ったのだった。
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