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第2章
第16話:アジト特定を急げ~グレイ視点~
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「団長、すぐにあの男を追いましょう。今ならまだ間に合います!」
近くにいた騎士団員が叫ぶ。
「いいや、大丈夫だ。とにかく、捕らえたこいつらを騎士団に連行しろ」
捕まえた組織の下っ端たちが次々と連行されていく。きっとこいつらからは、有力な情報は得られないだろう。そっと、スティーブンに近づく。
「例の作戦はうまく行ったか?」
「ああ、とりあえず成功しているはずだ。ただ、あいつが本当に幹部だったらの話だがな」
よし、とりあえずはうまく行っている様だ。後始末は団員たちに任せ、一旦騎士団に戻る。早速俺と副騎士団長でもあるスティーブン、さらにそれぞれの部隊の隊長も招集した。
「騎士団長、男を1人取り逃したそうではなりませんか?どうしてあの場ですぐに追わなかったのですか?その男が、重要な情報を持っているかもしれなかったのですよ」
そう叫んだのは、潜入調査などを取り扱っている第一部隊の隊長だ。この街の騎士団は各部隊に分かれており、それぞれに隊長と副隊長がいるのだ。そして全ての部隊のトップが俺だ。
「たとえあの場で捕まえたとしても、きっとアジトなどの情報を吐かないだろう。それよりも、今回は泳がせた方がいいと考えたんだ。スティーブン、今あの男はどこにいる?」
「今北に向かっているな」
「この街の北と言えば、大きな森があったな。その森に潜伏しているのか?」
「その可能性がある。あの森はこの国でも1・2を争う広さを誇っているからな。隠れるならうってつけだ」
「あの…何の話をしているのですか?」
第一部隊の隊長が、そう呟いた。他の隊長たちも、首をかしげている。
「実はあの男と馬に、盗聴器付きの位置特定機を取り付けたんだ。きっとあの男はアジトに帰るのではないかと思ってな」
「なるほど、だからあえて逃がしたのですね。さすが騎士団長だ」
さっきまで怒っていたくせに…まあいい。
「ただ、こいつが幹部だったらの話だ。おっ、馬も男も動きが止まった。ここはどうやら森の中の様だな。今すぐ地図を」
すぐに地図を準備するスティーブン。早速地図を元に、居場所を特定する。
「随分と森の奥にあるんだな。こんな場所にアジトがあるのか?」
「とりあえず、盗聴器の方を聞いてみよう」
“ザーザー…それで失敗して帰って来たと言うのか。この役立たずが!”
“申し訳ございません。でも、今回の騎士団長は少し頭が切れる相手かと…ザーザー…”
どうやら性能が悪い様で、ほとんど会話が聞き取れない。それでも聞き取れた話の内容から、どうやらこの場所にアジトがある事で間違いない様だ。よし!
「第一部隊と第二部隊は、すぐに北の森に行ってアジトの状況を確認して来てくれ。それから、第三部隊は今回の襲撃事件の後処理を。護衛団とその他の部隊は引き続き、治安の維持に努めてくれ」
「「「「承知しました」」」」」
すぐに各部隊に指示を出す。今回大きな事件が起こり、沢山の負傷者や被害が出てしまった。きっとまたあいつらは、大きな事件を起こすだろう。とにかくそれまでに、何とかしてアジトを突き止め根絶やしにしないと!
「スティーブン、今すぐ紙とペンを。俺はこの街の領主でもある、フェリーチェ伯爵に手紙を書く。フェリーチェ伯爵はずっとこの状況を気にしていたからな。とにかくアジトに潜入するなら、俺たち騎士団だけでは厳しい。フェリーチェ伯爵家の護衛騎士団たちにも、援護してもらおう」
フェリーチェ伯爵は民思いの優しい伯爵だ。“協力できることは何でもする”と言ってくれている。とにかく、フェリーチェ伯爵と密に連絡を取り合い、援助してもらえる事はしてもらおうと思ったのだ。
これから、もっと忙しくなるぞ。きっと家に帰れない日々を続くだろう。正直スカーレットに会えないのは辛いが、今はそんな事を言っていられない。スカーレットと平和に暮らすためにも、何とかこの街の治安を良くしないと!
近くにいた騎士団員が叫ぶ。
「いいや、大丈夫だ。とにかく、捕らえたこいつらを騎士団に連行しろ」
捕まえた組織の下っ端たちが次々と連行されていく。きっとこいつらからは、有力な情報は得られないだろう。そっと、スティーブンに近づく。
「例の作戦はうまく行ったか?」
「ああ、とりあえず成功しているはずだ。ただ、あいつが本当に幹部だったらの話だがな」
よし、とりあえずはうまく行っている様だ。後始末は団員たちに任せ、一旦騎士団に戻る。早速俺と副騎士団長でもあるスティーブン、さらにそれぞれの部隊の隊長も招集した。
「騎士団長、男を1人取り逃したそうではなりませんか?どうしてあの場ですぐに追わなかったのですか?その男が、重要な情報を持っているかもしれなかったのですよ」
そう叫んだのは、潜入調査などを取り扱っている第一部隊の隊長だ。この街の騎士団は各部隊に分かれており、それぞれに隊長と副隊長がいるのだ。そして全ての部隊のトップが俺だ。
「たとえあの場で捕まえたとしても、きっとアジトなどの情報を吐かないだろう。それよりも、今回は泳がせた方がいいと考えたんだ。スティーブン、今あの男はどこにいる?」
「今北に向かっているな」
「この街の北と言えば、大きな森があったな。その森に潜伏しているのか?」
「その可能性がある。あの森はこの国でも1・2を争う広さを誇っているからな。隠れるならうってつけだ」
「あの…何の話をしているのですか?」
第一部隊の隊長が、そう呟いた。他の隊長たちも、首をかしげている。
「実はあの男と馬に、盗聴器付きの位置特定機を取り付けたんだ。きっとあの男はアジトに帰るのではないかと思ってな」
「なるほど、だからあえて逃がしたのですね。さすが騎士団長だ」
さっきまで怒っていたくせに…まあいい。
「ただ、こいつが幹部だったらの話だ。おっ、馬も男も動きが止まった。ここはどうやら森の中の様だな。今すぐ地図を」
すぐに地図を準備するスティーブン。早速地図を元に、居場所を特定する。
「随分と森の奥にあるんだな。こんな場所にアジトがあるのか?」
「とりあえず、盗聴器の方を聞いてみよう」
“ザーザー…それで失敗して帰って来たと言うのか。この役立たずが!”
“申し訳ございません。でも、今回の騎士団長は少し頭が切れる相手かと…ザーザー…”
どうやら性能が悪い様で、ほとんど会話が聞き取れない。それでも聞き取れた話の内容から、どうやらこの場所にアジトがある事で間違いない様だ。よし!
「第一部隊と第二部隊は、すぐに北の森に行ってアジトの状況を確認して来てくれ。それから、第三部隊は今回の襲撃事件の後処理を。護衛団とその他の部隊は引き続き、治安の維持に努めてくれ」
「「「「承知しました」」」」」
すぐに各部隊に指示を出す。今回大きな事件が起こり、沢山の負傷者や被害が出てしまった。きっとまたあいつらは、大きな事件を起こすだろう。とにかくそれまでに、何とかしてアジトを突き止め根絶やしにしないと!
「スティーブン、今すぐ紙とペンを。俺はこの街の領主でもある、フェリーチェ伯爵に手紙を書く。フェリーチェ伯爵はずっとこの状況を気にしていたからな。とにかくアジトに潜入するなら、俺たち騎士団だけでは厳しい。フェリーチェ伯爵家の護衛騎士団たちにも、援護してもらおう」
フェリーチェ伯爵は民思いの優しい伯爵だ。“協力できることは何でもする”と言ってくれている。とにかく、フェリーチェ伯爵と密に連絡を取り合い、援助してもらえる事はしてもらおうと思ったのだ。
これから、もっと忙しくなるぞ。きっと家に帰れない日々を続くだろう。正直スカーレットに会えないのは辛いが、今はそんな事を言っていられない。スカーレットと平和に暮らすためにも、何とかこの街の治安を良くしないと!
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