婚約者を奪われ魔物討伐部隊に入れられた私ですが、騎士団長に溺愛されました

Karamimi

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第30話:カードリッド侯爵家に行って話を付けて来ました

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「ウィリアム様、今から少しお時間よろしいでしょうか?」

「別に構わないが、どこか行きたい所でもあるのかい?」

「行きたい所ではないのですが、サミュエル様にウィリアム様と婚約した事を、きちんと話しておこうと思いまして」

なぜか私の事を諦めていない様子のサミュエル様。さすがにあのまま、放ってはおけない。

「クレア、どうしてサミュエル殿の名前が出て来るんだ!あの男はもうお前とは関係のない男だ!」

「確かにそうなのですが…なぜか討伐場所から王都に戻る時、サミュエル様がわざわざいらしたのです。それで、私と婚約を結び直したいと…」

「何だって!そんな話は聞いていない!そもそも、あんなにもクレアを苦しめ傷つけておいて、よくもそんな図々しい事を!」

顔を真っ赤にして怒り狂うお父様

「という事は、義父上にはサミュエル殿から、何らかの打診はなかったのですか?」

「そんなものはありませんでしたよ。あればもちろん断っていますし!」

そりゃそうだろう。ごもっともな意見だ。

「あの…実はここ1週間ぐらいの間に、何度かサミュエル様が我が家を訪ねて来た事があったのですが…その際、問答無用で追い返しておりまして。使用人にも、追い返す様伝えていたのです」

気まずそうにそう言ったのはお母様だ。

「何だって!どうしてそんな大切な事を、私に言わなかったんだ!」

「別に大した事ではないと思ったのよ!それに、あなたはサミュエル様の話をすると、機嫌が悪くなるでしょう!」

「当たり前だ!あんな男の名前なんて、二度と聞きたくない!」

その後、お父様とお母様の言い合いが始まりそうになったタイミングで、ウィリアム様が止めた。とにかく、サミュエル様の事は私とウィリアム様で解決するから、という事で話はまとまった。

早速2人でカードリッド侯爵家へと向かう。

私達の姿を見た使用人が、急いでサミュエル様と侯爵を呼び出してくれた。案内された場所は、客間だ。そう、王女様含め、最後に皆で話し合いをした場所。

しばらくすると、物凄い勢いでサミュエル様がやって来た。

「あぁ、クレア。僕に会いに来てくれるなんて嬉しいよ!やっぱり僕の元に戻ってきてくれたんだね」

そう言って抱きしめようとするサミュエル様を、ウィリアム様が制止する。

「何をするんだ!そもそも、何でクレアの隣にあなたが座っているのだ!クレアの隣は僕の席だ」

ウィリアム様に文句を言うサミュエル様。本当にこの人は、どうしてしまったのかしら…

「コラ、サミュエル!お前は何をしているんだ!」

後からやって来た侯爵に、無理やり席に着かされたサミュエル様。ただ、物凄い形相でウィリアム様を睨んでいる。

「クレア嬢、まずは謝罪をさせてくれ。家のバカ息子のサミュエルのせいで、物凄く辛い思いをさせてしまった。本当に申し訳ない!」

深々と頭を下げる侯爵。

「いいえ、もう済んだ事ですので。どうか頭を上げてください!」

「それで、今日はどういったご用件で?わざわざウィリアム・バーレッジ公爵令息までいらして」

不安そうな顔の侯爵。

「実は俺とクレアが今日、正式に婚約を結びました。3ヶ月後には結婚する予定です。サミュエル殿はどうやらまだクレアの事を諦めていない様だったので、直接ご報告に来た次第です。どうか、クレアの事はきっぱり諦めてもらいたい!」

本当は私が言おうと思っていたのだが、結局ウィリアム様が全て言ってくれた。

「何だって!ふざけるな!クレアは僕と結婚するんだ!クレアを今すぐ返せ!」

「サミュエル!お前は何を言っているんだ!」

ウィリアム様に掴みかかろうとしたサミュエル様を怒鳴りつける侯爵。

「そうですか、私がこんな事を言うのも恐縮ですが、クレア嬢は家の息子のせいで、心に深い傷を負いました。どうか、クレア嬢を幸せにしてあげてください!クレア嬢の幸せを願う事が、私どもに出来る唯一の罪滅ぼしです。クレア嬢、サミュエルの事は気にしなくてもいいから、どうかウィリアム殿と幸せになって欲しい。私は心からそう願っている」

「侯爵様、ありがとうございます」

侯爵様の温かい言葉に、涙が込み上げて来た。

「カードリッド侯爵、もしご迷惑でなければ、俺たちの結婚式にぜひ参加して下さい」

「もちろん、参加させてもらいますよ」

どうやら話はまとまった様だ。そう思った時だった。

「ふざけるな。僕は絶対にクレアを諦めない!絶対にお前となんて結婚させない。クレア、愛しているんだ!頼む、そんな男と結婚するなんて言わないでくれ!もう二度と君を傷つけたりはしないから。頼む、もう一度だけチャンスをくれ!」

必死に叫ぶサミュエル様。

「お前はまだそんな馬鹿な事を言っているのか!とにかくサミュエルを部屋に連れていけ!」

「止めろ、離せ!クレアは僕のものだ!誰にも渡さない。クレア!クレア~!!」

護衛騎士に連れられ、叫びながら部屋から去っていくサミュエル様。

「息子が本当にすまない。あいつの事は気にしなくていいから、どうか幸せになってくれ」

そう言って、少し寂しそうに笑った侯爵。その顔を見たら、胸が苦しくなった。きっと、侯爵にも色々な思いがあるのだろう。

「それでは、俺たちはこれで失礼します」

ウィリアム様と一緒に、侯爵家を後にした。5年間、ほぼ毎日のようにここに来ていた。でも、もう二度と来る事はないだろう。最後は最悪な形でお別れになってしまったけれど、サミュエル様と過ごした5年間は、確かに幸せだった。

今まで沢山の幸せと喜び、思い出を与えてくれてありがとうございました。どうか、あなた様も私の事は早く忘れて、別の令嬢と幸せになって下さい。さようなら、サミュエル様。

どんどん離れていくカードリッド侯爵家の屋敷を見つめながら、心の中でそっと呟いたクレアであった。
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