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第15話:ライバルが現れました!
「ルシータちゃん、ありがとう。疲れたでしょう!今日はもう帰っても大丈夫よ」
後片付けがある程度終わった頃、マームさんが声を掛けて来てくれた。
「それじゃあ、今日はこれで失礼します!また明日もお願いします」
それにしても疲れた。働くのってこんなに疲れるのね。でも、トーマス様のお側に少しでもいる為だもの。頑張らないと!
そして翌日も、その翌日も食堂で働いた。毎日トーマス様の姿を見られるのは嬉しいけれど、忙しすぎてお話する事が出来ないのだ。本当はトーマス様と話しがしたいけれど、今は仕事をこなすだけで精一杯。ただ、他の騎士団員たちは物凄く話しかけて来てくれる。
他の騎士団員たちの様に、トーマス様と話しが出来たらいいのにな…
そして、食堂で働き始めてから1週間が経った。
「ルシータちゃん、悪いんだけれど中庭の奥の畑に行って、トマトを貰ってきてくれるかしら?」
「分かりました!行って来ます!」
今日もいつもの様に食堂で仕事をこなす。この1週間で随分と仕事にも慣れて来た。と言っても、未だに野菜を洗ったり、簡単な盛り付けをしたり、お料理を運ぶぐらいしかしていないけれどね。
美しいお花畑を過ぎ、奥の畑にやって来た。
「ダニーさん、今日はトマトを頂けますか?」
この畑を切り盛りしている責任者のダニーさん。お年は50歳との事。とても元気なおじ様だ。
「やあ、ルシータちゃん!今日も可愛いね!あの食堂はおばさんばかりだから、君みたいな若い子が来てくれると、俺たちも俄然やる気が出るってもんだ!」
そう言って笑っているダニーさん。そして、カゴいっぱいにトマトを入れてくれた。
「少し重いけれど、持てるかい?」
「これくらい大丈夫ですわ。ありがとうございます、ダニーさん」
ダニーさんに別れを告げ、急いで食堂に戻る。その時だった。
「野菜を運んでいるのか?」
この声は!声の方を振り向くと、トーマス様が立っていた。まあ、なんて偶然なのかしら!きっと最近頑張っている私に、神様がご褒美をくれたのね!
「はい、トマトを頂いてきましたの!今日のお昼に使うそうですわ!」
ダニーさんが丹精込めて作った野菜たちは、本当に美味しいのだ。
「そうか…重いだろう。俺が運ぼう」
そう言ってカゴを持とうとしてくれるトーマス様。なんて優しいのかしら!でも…
「ありがとうございます!でも、お忙しいトーマス様のお手を煩わせる訳にはいきません!これくらい1人で運べますので、大丈夫です!」
これでも体力には、それなりに自信がある。毎回何人もの令息とダンスを踊らされていたのですもの。それに比べれば、トマトを運ぶぐらい大したことはない。
「いいや!令嬢にこんな重い物を持たせられない!」
そう言ってカゴを持ってくれたトーマス様。トマトを運ぶトーマス様も素敵ね。ついうっとりと見つめてしまった。
「ありがとうございます!でも、私に優しくすると、付け上がりますよ」
こんな事をされたら、余計に惚れてしまう。まあ、今でもベタ惚れだけれどね!
「この前は本当に悪かったな…俺も強く言い過ぎた。これからは、稽古場への出入りもしてもらって大丈夫だ。それから…えっと…実は母上から歌劇のチケットを2枚貰ったんだ…でも、行く相手がいなくて…もし!もしルシータ嬢が嫌では無かったら、一緒に行かないか?」
物凄く真っ赤な顔で歌劇のチケットを、私に渡してくれたトーマス様。これは夢かしら?
「嫌ならいいんだ!すまん!」
どうしていいか分からず、戸惑っている私に慌ててチケットを引っ込めようとするトーマス様。
「お待ちください!行きます!ぜひ行かせてください!」
急いでトーマス様からチケットを奪い取る。危うくデートのお誘いを無にする事だったわ!ん?デートのお誘い?私ったら何を考えているのかしら?ただトーマス様は行く相手がいなかったから、私を誘ってくれただけなのに…それでも、物凄く嬉しい!
「それじゃあ、来週末にでも…」
「見つけましたわ!私の運命の人!!!!」
トーマス様の言葉を被せる様に、令嬢の叫び声が!声の方を見ると、物凄い勢いで令嬢がこちらに向かって走って来る姿が目に入った。そして、あろう事かそのままトーマス様にダイブ!
この女性は!!
「おい、君は一体誰だ!俺に触れるな!」
急いで令嬢を引きはがすトーマス様。私だって、まだトーマス様のお胸にダイブした事が無いのに!!!悔しい!!!
「あなたは確か、バイレディーヌ伯爵家のセーラ様ですよね。殿方に抱き着くなど、はしたないですわよ!」
「あら、あなた様はジョーンズ公爵家のルシータ様ではありませんか!ごきげんよう!」
私に軽く挨拶をした後、くるりとトーマス様の方を向いたセーラ様。
「あの日革命軍から助けていただき、ありがとうございました!あの時のあなた様の勇ましい姿に、一目ぼれしました!どうしてもあなた様が忘れられず、ついに騎士団まで来てしまいましたわ!どうか私と結婚して下さい!」
うっとりとトーマス様を見つめて、そう叫んだセーラ様。このセリフ、どこかで聞いた事あるわね…って、そんな事どうでもいいのよ!
まさかここに来て、ライバルが現れるなんて!!!
後片付けがある程度終わった頃、マームさんが声を掛けて来てくれた。
「それじゃあ、今日はこれで失礼します!また明日もお願いします」
それにしても疲れた。働くのってこんなに疲れるのね。でも、トーマス様のお側に少しでもいる為だもの。頑張らないと!
そして翌日も、その翌日も食堂で働いた。毎日トーマス様の姿を見られるのは嬉しいけれど、忙しすぎてお話する事が出来ないのだ。本当はトーマス様と話しがしたいけれど、今は仕事をこなすだけで精一杯。ただ、他の騎士団員たちは物凄く話しかけて来てくれる。
他の騎士団員たちの様に、トーマス様と話しが出来たらいいのにな…
そして、食堂で働き始めてから1週間が経った。
「ルシータちゃん、悪いんだけれど中庭の奥の畑に行って、トマトを貰ってきてくれるかしら?」
「分かりました!行って来ます!」
今日もいつもの様に食堂で仕事をこなす。この1週間で随分と仕事にも慣れて来た。と言っても、未だに野菜を洗ったり、簡単な盛り付けをしたり、お料理を運ぶぐらいしかしていないけれどね。
美しいお花畑を過ぎ、奥の畑にやって来た。
「ダニーさん、今日はトマトを頂けますか?」
この畑を切り盛りしている責任者のダニーさん。お年は50歳との事。とても元気なおじ様だ。
「やあ、ルシータちゃん!今日も可愛いね!あの食堂はおばさんばかりだから、君みたいな若い子が来てくれると、俺たちも俄然やる気が出るってもんだ!」
そう言って笑っているダニーさん。そして、カゴいっぱいにトマトを入れてくれた。
「少し重いけれど、持てるかい?」
「これくらい大丈夫ですわ。ありがとうございます、ダニーさん」
ダニーさんに別れを告げ、急いで食堂に戻る。その時だった。
「野菜を運んでいるのか?」
この声は!声の方を振り向くと、トーマス様が立っていた。まあ、なんて偶然なのかしら!きっと最近頑張っている私に、神様がご褒美をくれたのね!
「はい、トマトを頂いてきましたの!今日のお昼に使うそうですわ!」
ダニーさんが丹精込めて作った野菜たちは、本当に美味しいのだ。
「そうか…重いだろう。俺が運ぼう」
そう言ってカゴを持とうとしてくれるトーマス様。なんて優しいのかしら!でも…
「ありがとうございます!でも、お忙しいトーマス様のお手を煩わせる訳にはいきません!これくらい1人で運べますので、大丈夫です!」
これでも体力には、それなりに自信がある。毎回何人もの令息とダンスを踊らされていたのですもの。それに比べれば、トマトを運ぶぐらい大したことはない。
「いいや!令嬢にこんな重い物を持たせられない!」
そう言ってカゴを持ってくれたトーマス様。トマトを運ぶトーマス様も素敵ね。ついうっとりと見つめてしまった。
「ありがとうございます!でも、私に優しくすると、付け上がりますよ」
こんな事をされたら、余計に惚れてしまう。まあ、今でもベタ惚れだけれどね!
「この前は本当に悪かったな…俺も強く言い過ぎた。これからは、稽古場への出入りもしてもらって大丈夫だ。それから…えっと…実は母上から歌劇のチケットを2枚貰ったんだ…でも、行く相手がいなくて…もし!もしルシータ嬢が嫌では無かったら、一緒に行かないか?」
物凄く真っ赤な顔で歌劇のチケットを、私に渡してくれたトーマス様。これは夢かしら?
「嫌ならいいんだ!すまん!」
どうしていいか分からず、戸惑っている私に慌ててチケットを引っ込めようとするトーマス様。
「お待ちください!行きます!ぜひ行かせてください!」
急いでトーマス様からチケットを奪い取る。危うくデートのお誘いを無にする事だったわ!ん?デートのお誘い?私ったら何を考えているのかしら?ただトーマス様は行く相手がいなかったから、私を誘ってくれただけなのに…それでも、物凄く嬉しい!
「それじゃあ、来週末にでも…」
「見つけましたわ!私の運命の人!!!!」
トーマス様の言葉を被せる様に、令嬢の叫び声が!声の方を見ると、物凄い勢いで令嬢がこちらに向かって走って来る姿が目に入った。そして、あろう事かそのままトーマス様にダイブ!
この女性は!!
「おい、君は一体誰だ!俺に触れるな!」
急いで令嬢を引きはがすトーマス様。私だって、まだトーマス様のお胸にダイブした事が無いのに!!!悔しい!!!
「あなたは確か、バイレディーヌ伯爵家のセーラ様ですよね。殿方に抱き着くなど、はしたないですわよ!」
「あら、あなた様はジョーンズ公爵家のルシータ様ではありませんか!ごきげんよう!」
私に軽く挨拶をした後、くるりとトーマス様の方を向いたセーラ様。
「あの日革命軍から助けていただき、ありがとうございました!あの時のあなた様の勇ましい姿に、一目ぼれしました!どうしてもあなた様が忘れられず、ついに騎士団まで来てしまいましたわ!どうか私と結婚して下さい!」
うっとりとトーマス様を見つめて、そう叫んだセーラ様。このセリフ、どこかで聞いた事あるわね…って、そんな事どうでもいいのよ!
まさかここに来て、ライバルが現れるなんて!!!
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