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第35話:トラブル発生の様です
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「ルミタン、そろそろお昼にしよう。皆お弁当を広げ始めたよ」
確かに周りの皆がお弁当を広げて食べ始めている。もうそんな時間なのね。
私達もシートを敷き、お弁当を頂く。生憎曇り空だが、空気の美味しい場所で食べるお弁当は最高ね。
食後はティータイムだ。カルロス様が私の為にお茶を入れてくれた。
「なんだか雨が降りそうだね。そろそろ先生たちがいる場所に戻ろうか?」
空を見上げたカルロス様がそう呟く。確かに雨が降りそうだ。周りの皆も、移動し始めている。
その時だった。1人の男性がこちらにやって来たのだ。
「副騎士団長、大変です。東の方で魔物が1匹現れました。すぐに応援を」
「魔物だって?それも1匹とはどういう事だ?この森には魔物はいないはずだし、通常魔物は群れで行動しているはずだぞ」
「とにかく、騎士団員は全員集合との事です」
「わかった、すぐに行く。ルミタン、悪いが先に戻っていてくれるかい?他の生徒たちの後を付いて行けば戻れるはずだから」
「分かりましたわ。どうか気を付けて下さい」
まさか王都の外れの森に魔物が現れるだなんて。
魔物…
私のお父様を殺した、にっくき魔物…そんな魔物がこの森に…カルロス様、大丈夫かしら?心配だが魔物は1匹だけの様だし、騎士団員たちも沢山いるからきっと大丈夫だろう。とにかく私も皆の元に戻らないと。
そう思い、皆の進む方に向かおうとした時だった。
「あの…すみません。助けて下さい。母の形見でもあるネックレスを無くしてしまって…一緒に探してくださいませんか。あれがないと私…私…」
水色の髪をした女生徒が私に話し掛けてきたのだ。俯いていてあまり顔が見えない。どうやら泣いている様だ。
「可哀そうに、それは大変ですわね。分かりました、一緒に探しますわ。ただ、近くで魔物も出いている様なので、急ぎましょう。それで、どのあたりで落とされたのですか?」」
「ありがとうございます、こっちです」
クルリと反対方向を向くと、急ぎ足で歩きだす女生徒。
彼女ついて森の奥へと入って行く。でも…
「お待ちください。これより先は、先生が入ってはいけないとおっしゃっておりましたわ。クマがいるかもしれません。すぐに戻りましょう」
「すぐそこです…実は私、虐められていて、それで意地悪な生徒に母の形見を投げられてしまったのです。ある程度の場所は把握しておりますので、きっとすぐに見つかりますわ。どうかお願いします。あの形見がないと、私はもう生きていけませんわ…」
そう言ってさらに必死に頭を下げてくるのだ。そこまでされたら断れないじゃない。それにしても、学院にそんな悪質な虐めをする人間がいるだなんて、許せないわ!
「分かりましたわ…それでは探しましょう。どのあたりですか?」
「こちらです」
私の手を握り走り出した女生徒。ちょっと待って、どんどん奥の方に行くじゃない。
「お待ちください、あまり奥には…」
女生徒にどんどん引っ張られ、奥の方に進んでいく。なんて強引な子なのかしら?
「あそこらへんに投げられましたの」
女生徒が急に立ち止まったと思ったら、まっすぐ指をさしたのだ。早速そこら辺を捜索するが、ネックレスなんて見当たらない。
「ネックレスはありませんね。どこに投げられてしまったのかしら?」
困惑して女生徒に話しかけた。
「もしかして崖の下に落ちてしまったのかしら?崖に引っかかっているかもしれませんので、申し訳ございませんが、覗いてみてくださいますか?」
崖の下に落ちていたらどうしようもないだろう。でも、万が一引っかかっているのなら、取れるかもしれない。そう思い、崖の下を覗いたが
「ネックレスの様な物は見当たりませんね。やはり崖の下に落ちてしまったのかもしれませんね」
そう言って振り向いた瞬間
「カルロス様は私のものよ。さようなら…ルミナス様…」
えっ?この声は…
真っすぐ私の方を見つめているのは、間違いない。アナリス殿下だ。不敵な笑みを浮かべたアナリス殿下を見た瞬間、体が凍り付く。そんな私を勢いよく押したのだ。
「ルミナス様!!!」
お兄様が密かに付けてくれた護衛が、急いでこちらに走って来る姿が見えた。必死に手をのばしたが、間に合わない。
「キャァァァァ」
私は悲鳴を上げながら、そのまま崖の下へと落ちてしまった。そして意識を飛ばしてしまったのだった。
****
「イタタタタ…」
ゆっくり起き上がると、薄暗くて不気味な森が目に飛び込んできた。そうだわ、私、崖から突き落とされたのだった。
崖から落ちる途中、あちこち体をぶつけた様だ。ただ、木がクッションになってくれたのか、命だけはある。
「お嬢様、大丈夫ですか?お嬢様」
空から護衛の声が聞こえる。すぐに立ち上がろうとしたのだが
「痛っ…」
どうやら足を怪我していて動く事が出来ない。
「私は大丈夫よ。ただ、怪我をしていて動けないの」
大きな声を出して、叫ぶ。
「よかった、ご無事だったのですね。何度呼んでも返事がなかったので、心配しておりました。今下に降りるためのロープを取りに行っておりますので、もう少しお待ちください」
護衛たちの声が聞こえる。よかった、護衛たちが助けに来てくれるのね。
ホッとして前を向いた時だった。
「えっ…嘘…」
確かに周りの皆がお弁当を広げて食べ始めている。もうそんな時間なのね。
私達もシートを敷き、お弁当を頂く。生憎曇り空だが、空気の美味しい場所で食べるお弁当は最高ね。
食後はティータイムだ。カルロス様が私の為にお茶を入れてくれた。
「なんだか雨が降りそうだね。そろそろ先生たちがいる場所に戻ろうか?」
空を見上げたカルロス様がそう呟く。確かに雨が降りそうだ。周りの皆も、移動し始めている。
その時だった。1人の男性がこちらにやって来たのだ。
「副騎士団長、大変です。東の方で魔物が1匹現れました。すぐに応援を」
「魔物だって?それも1匹とはどういう事だ?この森には魔物はいないはずだし、通常魔物は群れで行動しているはずだぞ」
「とにかく、騎士団員は全員集合との事です」
「わかった、すぐに行く。ルミタン、悪いが先に戻っていてくれるかい?他の生徒たちの後を付いて行けば戻れるはずだから」
「分かりましたわ。どうか気を付けて下さい」
まさか王都の外れの森に魔物が現れるだなんて。
魔物…
私のお父様を殺した、にっくき魔物…そんな魔物がこの森に…カルロス様、大丈夫かしら?心配だが魔物は1匹だけの様だし、騎士団員たちも沢山いるからきっと大丈夫だろう。とにかく私も皆の元に戻らないと。
そう思い、皆の進む方に向かおうとした時だった。
「あの…すみません。助けて下さい。母の形見でもあるネックレスを無くしてしまって…一緒に探してくださいませんか。あれがないと私…私…」
水色の髪をした女生徒が私に話し掛けてきたのだ。俯いていてあまり顔が見えない。どうやら泣いている様だ。
「可哀そうに、それは大変ですわね。分かりました、一緒に探しますわ。ただ、近くで魔物も出いている様なので、急ぎましょう。それで、どのあたりで落とされたのですか?」」
「ありがとうございます、こっちです」
クルリと反対方向を向くと、急ぎ足で歩きだす女生徒。
彼女ついて森の奥へと入って行く。でも…
「お待ちください。これより先は、先生が入ってはいけないとおっしゃっておりましたわ。クマがいるかもしれません。すぐに戻りましょう」
「すぐそこです…実は私、虐められていて、それで意地悪な生徒に母の形見を投げられてしまったのです。ある程度の場所は把握しておりますので、きっとすぐに見つかりますわ。どうかお願いします。あの形見がないと、私はもう生きていけませんわ…」
そう言ってさらに必死に頭を下げてくるのだ。そこまでされたら断れないじゃない。それにしても、学院にそんな悪質な虐めをする人間がいるだなんて、許せないわ!
「分かりましたわ…それでは探しましょう。どのあたりですか?」
「こちらです」
私の手を握り走り出した女生徒。ちょっと待って、どんどん奥の方に行くじゃない。
「お待ちください、あまり奥には…」
女生徒にどんどん引っ張られ、奥の方に進んでいく。なんて強引な子なのかしら?
「あそこらへんに投げられましたの」
女生徒が急に立ち止まったと思ったら、まっすぐ指をさしたのだ。早速そこら辺を捜索するが、ネックレスなんて見当たらない。
「ネックレスはありませんね。どこに投げられてしまったのかしら?」
困惑して女生徒に話しかけた。
「もしかして崖の下に落ちてしまったのかしら?崖に引っかかっているかもしれませんので、申し訳ございませんが、覗いてみてくださいますか?」
崖の下に落ちていたらどうしようもないだろう。でも、万が一引っかかっているのなら、取れるかもしれない。そう思い、崖の下を覗いたが
「ネックレスの様な物は見当たりませんね。やはり崖の下に落ちてしまったのかもしれませんね」
そう言って振り向いた瞬間
「カルロス様は私のものよ。さようなら…ルミナス様…」
えっ?この声は…
真っすぐ私の方を見つめているのは、間違いない。アナリス殿下だ。不敵な笑みを浮かべたアナリス殿下を見た瞬間、体が凍り付く。そんな私を勢いよく押したのだ。
「ルミナス様!!!」
お兄様が密かに付けてくれた護衛が、急いでこちらに走って来る姿が見えた。必死に手をのばしたが、間に合わない。
「キャァァァァ」
私は悲鳴を上げながら、そのまま崖の下へと落ちてしまった。そして意識を飛ばしてしまったのだった。
****
「イタタタタ…」
ゆっくり起き上がると、薄暗くて不気味な森が目に飛び込んできた。そうだわ、私、崖から突き落とされたのだった。
崖から落ちる途中、あちこち体をぶつけた様だ。ただ、木がクッションになってくれたのか、命だけはある。
「お嬢様、大丈夫ですか?お嬢様」
空から護衛の声が聞こえる。すぐに立ち上がろうとしたのだが
「痛っ…」
どうやら足を怪我していて動く事が出来ない。
「私は大丈夫よ。ただ、怪我をしていて動けないの」
大きな声を出して、叫ぶ。
「よかった、ご無事だったのですね。何度呼んでも返事がなかったので、心配しておりました。今下に降りるためのロープを取りに行っておりますので、もう少しお待ちください」
護衛たちの声が聞こえる。よかった、護衛たちが助けに来てくれるのね。
ホッとして前を向いた時だった。
「えっ…嘘…」
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