上 下
40 / 66

第40話:病院生活がスタートしました

しおりを挟む
目を覚ますと、ちょうど食事の時間だったらしく、豪華な食事が運ばれてきた。ちょうどカルロス様も目が覚めたらしく、2人で食事を頂く。ただ、怪我のせいかあまり食欲がない。

「ルミタン、もう食べないのかい?しっかり食べないと良くならないよ」

カルロス様が心配そうに訪ねて来たが、なんだか食欲がないのだ。食後は看護師さんたちが体を拭いてくれた。有難い事に、カルロス様からは見えない様に、ベッド事移動してくれたのだ。

「おい、ルミタンをどこに連れて行く気だ!」

そう言って本気でついて来ようとしていた為

「ルミナス様の体を綺麗にするだけです。覗きの様なはしたない事はお控えください!」

と、ピシャリと看護師さんに言われ、しぶしぶベッドに戻ったカルロス様。本当にあの人は…

「ルミナス様も大変ですね…あら?随分と体が熱いですわ。もしかして熱が…やっぱり熱が出ておりますね。すぐに解熱剤と痛み止めを準備します。それから氷枕も」


やはりお医者様がおっしゃった通り、熱が出て来た様だ。看護師さんたちが慌ただしく動いている。

「ルミタン、熱が出たのかい?可哀そうに。息使いも荒くなっている。相当辛そうだ。あぁ、俺が変わってあげたい…」

いつの間にか私のベッドに入り込んできたカルロス様が、私にピッタリ寄り添っている。申し訳ないが、今は暑くてたまらないのだ。あまりくっ付かないで欲しい…

「コラ、カルロス様!今ルミナス様は熱が出て大変なのです。ただでさえ暑がっているのに、あなたがくっ付いて熱を与えてどうするのですか?ほら、すぐに離れて!」

シッシッと言わんばかりに、カルロス様を追い出す看護師さんたち。強い…強すぎるわ。

手際よく氷枕を準備してくれ、薬も飲ませてくれた。

「これからもっと熱が上がるかもしれません。何かあったら、このボタンを押してください。それからカルロス様、あなた様も酷い怪我を負っているのです。あなた様も熱が出るかもしれませんので、十分気を付けて下さいね。それから、看護は私達が行いますので、くれぐれもルミナス様に何かしない様にお願いします!いいですね?」

強く看護師さんに言われたカルロス様が、ふてくされて俯いている。

「それでは何かあったらすぐに呼んでください」

そう言うと、看護師さんが部屋から去って行った。

「何なんだあの女たち!俺の事をコケにして。そもそも俺は体を鍛えているのだ。ちょっとやそっとの怪我では熱なんて出さないのに。本当にあの女たち!ルミタン、あの女たちはああ言っていたけれど、俺がルミタンのお世話をするからね」

そう言って張り切っていたカルロス様だったが、その後私と同じく熱を出してしまい、その日の晩は2人そろって看護師さんのお世話になったのだった。


翌日
「お2人ともすっかり熱が下がりましたね。よかったですわ」

「昨晩は色々とありがとうございました」

笑顔の看護師さんに、改めてお礼を言う。

「これが私どもの仕事ですので。すぐに朝食をお持ちいたしますね」

そう言って食事を持ってきてくれた看護師さん。本当に優しくて素敵な女性だ。

「さあ、カルロス様、ふてくされていないで食事にしましょう」

ベッドで丸くなり背中を向けているカルロス様に声を掛ける。

「俺は別にふてくされてなんていない。ただ…この程度の怪我で熱を出してしまった事に、ショックを受けているだけだ…俺はいつからこんな軟な体になってしまったのだろう…」

「カルロス様、あなた様は重傷を負ったのですよ。熱が出るのは普通の事なのではないのですか?とにかく食べないと元気が出ませんよ」

そう声を掛けるが、相当ショックだったのか全く動かない。仕方がないわね。

「カルロス様、私が食べさせて差し上げますわ。ほら、起きて下さい」

「えっ、ルミタンが?」

むくりと起き上がったカルロス様のお口に、食事を運ぶ。

「ルミタンが食べさせてくれた食事、美味しいなぁ。それじゃあ今度は俺が食べさせてあげるね。はい、あ~んして」

そう言って今度はカルロス様が、私の口に食べ物を入れてくれる。すっかり機嫌がなおったわね、よかったわ。

食後はそれぞれお医者様に怪我の様子を確認してもらったり、包帯を変えてもらったり、体を拭いてもらったりした。

ちょうど処置が終わったところで、お兄様とお母様がやって来た。

「ルミナス、カルロス殿、調子はどうだい?」

「ええ、看護師さんたちがとても良くしてくださっているので、快適に過ごしておりますわ」

「それは良かった。昨日病室に来た時は、2人そろって眠っていたから帰ったのだが。それからあまり看護師の方たちに迷惑を掛けられないから、家からはミリーを置いて行く事にしたよ」

後ろで心配そうな顔のミリーが控えていた。ミリーが傍にいてくれるのなら、なおさら快適に過ごせそうだ。

「それでドリトル殿、アナリス殿下の件、どうなったのですか?」

カルロス様が真剣な表情でお兄様に問いかけている。私も気になるわ。一体あの後、どうなったのかしら?
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

月が導く異世界道中

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:58,170pt お気に入り:53,913

王子に転生したので悪役令嬢と正統派ヒロインと共に無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:603pt お気に入り:276

異世界を満喫します~愛し子は最強の幼女

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:3,336

処理中です...