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第29話:やっとグリーズン王国に戻ってきましたが…
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翌朝、いつもの様にラッセル王国の王宮で朝食を頂いた。そして、魔法陣が描かれている部屋へとやって来た。
既にグリーズン王国に送る予定の食糧やお料理の準備も出来ている。
「それではお父様、お母様、お兄様、伯母様、陛下、3ヶ月間、本当にお世話になりました。必ず魔女を倒してまいります」
「ジャンティーヌ、お前からきっと魔女を倒せるよ。頑張るんだぞ」
「どうか無理はしないでね。でも…きっとあなたなら大丈夫だわ。ジャクソンもいるし…」
ん?お兄様もいる?一体お母様は何を言っているのかしら?
「それじゃあ行こうか、ジャンティーヌ」
なぜかお兄様が魔法陣に入っている。一体どういうこと?
「ちょっとお兄様、どうして魔法陣に入っているのですか?」
「どうしてって、お前が稽古に励んでいる間、俺がずっとグリーズン王国に行ってお前の代わりに魔物と戦っていたんだよ」
えっ?一体どういう事?訳が分からず、両親や伯母様の方を見た。
「実はあなたがこの国に来て半月ほどたったころ、あなたの名前を呼ぶ声が聞こえて…何事かと思ってグリーズン王国に向かったの。そしたら酷い怪我をしたジルド殿下がいらして。他にも多数ケガ人がいたから、私達皆で助けに行ったの。そしたら、ジャクソンがすっかりシルビア殿下の虜になってしまって…」
「何ですって!それで、ジルド殿下のお怪我は?どうしてその時、私を呼んでくださらなかったのですか?そんな状況なら、私もグリーズン王国に向かいましたのに!」
「そんなに怒らないで。私が治癒魔法で治したから大丈夫よ。それにあなたには、稽古に専念して欲しかったのよ。ごめんなさい、あなたに心配かけたくなくて…」
「だからって、ジルド殿下がそんな怪我を負っている時に、私に声を掛けて下さらないだなんて。それも、私の名前を呼んでいたのですよね!」
あのジルド殿下が、私に助けを求めて下さっていただなんて。それなのに私ったら、一体何をしていたのかしら…
「そんなに怒るなよ、ジャンティーヌ。お前の代わりに、俺がしっかり代役を果たしたら大丈夫だ」
私の肩を叩くお兄様。
「何が大丈夫なのですか?それよりもお兄様、シルビア殿下に一目ぼれしたとは、一体どういう事ですか?まさかシルビア殿下に、鼻息荒く迫っていないでしょうね?」
シルビア殿下は、私の大切な友人なのだ。いくらお兄様でも、シルビア殿下を困らせたら許さないのだから。とにかくお兄様を、魔法陣から引きずり出した。
「おい、何をするんだ!それに俺は、鼻息荒く迫っていない。失礼な事を言うな。俺はそんな下品な男ではない。紳士的に振舞っているから、安心しろ。それよりも、いつまでも怒っていないで、グリーズン王国に戻ろう。皆お前の帰りを待っているぞ」
「そうよ、ジャンティーヌ、小さなことでブツブツ怒っていたら、魔女なんて倒せないわよ」
誰が小さなことでブツブツ怒っているですって?全然小さい事じゃないわよ。本当にこの人たちは!
でも、確かにこんなところで怒っていても仕方がない。とにかく、早くグリーズン王国に戻らないと。
「それでは皆様、お世話になりました。お兄様、今日から私はずっとグリーズン王国にいますので、もうお兄様に来ていただく必要はございませんわ。今まで私の代わりをして頂き、ありがとうございました。それでは、ごきげんよう」
「ちょっと待て、ジャンティーヌ…」
騒いでいるお兄様を無視し、食糧と一緒に魔法陣に入ると、一気に呪文を唱えた。
と、次の瞬間。
「ジャンティーヌ殿!やっと帰って来てくれたのだね」
「ジャンティーヌちゃん、おかえりなさい」
「ジルド殿下、シルビア殿下、ただいま戻りました」
3ヶ月ぶりに会う2人に、思いっきり抱き付いた。後ろには家臣や平民たちもいる。よかった、皆元気そうね。
「皆様元気そうでよかったですわ」
「そりゃ俺がお前の代わりに、グリーズン王国に行っていたのだからな」
ん?この声は?
声の方を振り向くと、やっぱり!お兄様だ。
「お兄様、もう私がいるから、来なくてもいいと言ったでしょう。さっさと帰ってください」
シッシッと追いやる仕草をする。本当にお兄様ったら!
「シルビア殿下、兄が大変失礼いたしました。まさか兄がシルビア殿下に、鼻息荒く迫っているだなんて知りませんでしたわ。今すぐ兄を追い返しますので。さあ、お兄様、さっさと帰ってください!」
「止めろ、ジャンティーヌ。俺もここに残るんだよ!」
何とかお兄様を魔法陣にいれようとする私に対し、必死に抵抗するお兄様。
「ジャンティーヌちゃん、ジャクソン様の好きな様にさせてあげて。私は大丈夫だから」
「ジャンティーヌ殿、ジャクソン殿にはこの2ヶ月半、本当にお世話になったんだよ。私たちはジャクソン殿に感謝してもしきれない程の恩があるんだ」
すかさずシルビア殿下とジルド殿下が、私を止めに入った。
「だから言っているだろう。本当に!俺とシルビア殿下は、もう恋仲なんだ。お前とは違ってな!」
そう言うと、すかさずお兄様がシルビア殿下の肩を抱いている。シルビア殿下も、まんざらではない顔をしているではないか。
これは一体…
既にグリーズン王国に送る予定の食糧やお料理の準備も出来ている。
「それではお父様、お母様、お兄様、伯母様、陛下、3ヶ月間、本当にお世話になりました。必ず魔女を倒してまいります」
「ジャンティーヌ、お前からきっと魔女を倒せるよ。頑張るんだぞ」
「どうか無理はしないでね。でも…きっとあなたなら大丈夫だわ。ジャクソンもいるし…」
ん?お兄様もいる?一体お母様は何を言っているのかしら?
「それじゃあ行こうか、ジャンティーヌ」
なぜかお兄様が魔法陣に入っている。一体どういうこと?
「ちょっとお兄様、どうして魔法陣に入っているのですか?」
「どうしてって、お前が稽古に励んでいる間、俺がずっとグリーズン王国に行ってお前の代わりに魔物と戦っていたんだよ」
えっ?一体どういう事?訳が分からず、両親や伯母様の方を見た。
「実はあなたがこの国に来て半月ほどたったころ、あなたの名前を呼ぶ声が聞こえて…何事かと思ってグリーズン王国に向かったの。そしたら酷い怪我をしたジルド殿下がいらして。他にも多数ケガ人がいたから、私達皆で助けに行ったの。そしたら、ジャクソンがすっかりシルビア殿下の虜になってしまって…」
「何ですって!それで、ジルド殿下のお怪我は?どうしてその時、私を呼んでくださらなかったのですか?そんな状況なら、私もグリーズン王国に向かいましたのに!」
「そんなに怒らないで。私が治癒魔法で治したから大丈夫よ。それにあなたには、稽古に専念して欲しかったのよ。ごめんなさい、あなたに心配かけたくなくて…」
「だからって、ジルド殿下がそんな怪我を負っている時に、私に声を掛けて下さらないだなんて。それも、私の名前を呼んでいたのですよね!」
あのジルド殿下が、私に助けを求めて下さっていただなんて。それなのに私ったら、一体何をしていたのかしら…
「そんなに怒るなよ、ジャンティーヌ。お前の代わりに、俺がしっかり代役を果たしたら大丈夫だ」
私の肩を叩くお兄様。
「何が大丈夫なのですか?それよりもお兄様、シルビア殿下に一目ぼれしたとは、一体どういう事ですか?まさかシルビア殿下に、鼻息荒く迫っていないでしょうね?」
シルビア殿下は、私の大切な友人なのだ。いくらお兄様でも、シルビア殿下を困らせたら許さないのだから。とにかくお兄様を、魔法陣から引きずり出した。
「おい、何をするんだ!それに俺は、鼻息荒く迫っていない。失礼な事を言うな。俺はそんな下品な男ではない。紳士的に振舞っているから、安心しろ。それよりも、いつまでも怒っていないで、グリーズン王国に戻ろう。皆お前の帰りを待っているぞ」
「そうよ、ジャンティーヌ、小さなことでブツブツ怒っていたら、魔女なんて倒せないわよ」
誰が小さなことでブツブツ怒っているですって?全然小さい事じゃないわよ。本当にこの人たちは!
でも、確かにこんなところで怒っていても仕方がない。とにかく、早くグリーズン王国に戻らないと。
「それでは皆様、お世話になりました。お兄様、今日から私はずっとグリーズン王国にいますので、もうお兄様に来ていただく必要はございませんわ。今まで私の代わりをして頂き、ありがとうございました。それでは、ごきげんよう」
「ちょっと待て、ジャンティーヌ…」
騒いでいるお兄様を無視し、食糧と一緒に魔法陣に入ると、一気に呪文を唱えた。
と、次の瞬間。
「ジャンティーヌ殿!やっと帰って来てくれたのだね」
「ジャンティーヌちゃん、おかえりなさい」
「ジルド殿下、シルビア殿下、ただいま戻りました」
3ヶ月ぶりに会う2人に、思いっきり抱き付いた。後ろには家臣や平民たちもいる。よかった、皆元気そうね。
「皆様元気そうでよかったですわ」
「そりゃ俺がお前の代わりに、グリーズン王国に行っていたのだからな」
ん?この声は?
声の方を振り向くと、やっぱり!お兄様だ。
「お兄様、もう私がいるから、来なくてもいいと言ったでしょう。さっさと帰ってください」
シッシッと追いやる仕草をする。本当にお兄様ったら!
「シルビア殿下、兄が大変失礼いたしました。まさか兄がシルビア殿下に、鼻息荒く迫っているだなんて知りませんでしたわ。今すぐ兄を追い返しますので。さあ、お兄様、さっさと帰ってください!」
「止めろ、ジャンティーヌ。俺もここに残るんだよ!」
何とかお兄様を魔法陣にいれようとする私に対し、必死に抵抗するお兄様。
「ジャンティーヌちゃん、ジャクソン様の好きな様にさせてあげて。私は大丈夫だから」
「ジャンティーヌ殿、ジャクソン殿にはこの2ヶ月半、本当にお世話になったんだよ。私たちはジャクソン殿に感謝してもしきれない程の恩があるんだ」
すかさずシルビア殿下とジルド殿下が、私を止めに入った。
「だから言っているだろう。本当に!俺とシルビア殿下は、もう恋仲なんだ。お前とは違ってな!」
そう言うと、すかさずお兄様がシルビア殿下の肩を抱いている。シルビア殿下も、まんざらではない顔をしているではないか。
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