あなた達のお望みどおりにして差し上げますわ~追放聖女は絶体絶命王子と幸せになります~

Karamimi

文字の大きさ
44 / 53

第44話:クリスティル王国が大変な事になっている様です

しおりを挟む
ジルド様の国王就任式も無事に終わった翌日。

「ジャンティーヌ様、カルスティア公爵様とご夫人、ジャクソン様がいらっしゃっております」

「お父様とお母様、お兄様も?」

一体どうしたのかしら?昨日正式にジルド様が国王に就任した。グリーズン王国は、平穏な生活を取り戻したのだ。両親とお兄様は、避難場所でもあるラッセル王国に戻り、クリスティル王国に戻る準備をすると言っていたはずだけれど…一体どうしたのかしら?

急いで両親とお兄様の元へと向かった。

「お父様、お母様、お兄様、急にどうされたのですか?あら?ジルド様とシルビア殿下もいらっしゃるのですね」

もしかして、シルビア殿下とお兄様の結婚についての話かしら?それにしては、なぜかジルド様が暗い顔をしている。何が起こったのだろう。なんだか不安になって、その場に固まっている私の元に、ジルド様がやって来た。

「ジャンティーヌ、そんなところに立っていないで、こっちにおいで」

私の手を引き、隣に座らせると、ギュッと手を握って来たのだ。どうしてそんな不安そうな顔をしているのだろう。

「ジルド様?一体どうしたのですか?」

ジッと私を見つめるジルド様が気になって、声を掛けた。

「いいや、何でもない。ただ…君が私の傍から離れてしまう様な気がして、不安なんだ…すまない、いつから私は、こんな弱い男になってしまったのだろう…」

訳の分からない事を言って、ジルド様が私を抱きしめる。

「ジルド殿下、ジャンティーヌはもう、あなた様の婚約者です。それにあなた様とジャンティーヌには、既に深い絆があるのですから、そんなに心配しなくても大丈夫ですよ。ただ…私たちのいざこざに、あなた様達を巻き込む形になってしまって、本当に申し訳ないとは思っています」

「公爵殿、何をおっしゃっているのですか?あなた様達には、どれほど助けられたか!私共に出来ることがあれば、何でも言って下さい!と言いたいところですが、結局動くのは、ジャンティーヌになるのですよね」

「ジャンティーヌはもう、あなた様の婚約者。この国の王妃になる人間です。そんなジャンティーヌを巻き込むのですから、あなた様に迷惑を掛ける事と同じ事。それに、せっかくジャクソンに嫁ぐと決意してくれた、シルビア殿下にも、迷惑を掛ける形になってしまって…」

「公爵様、私の事は気にしないで下さい。私は本当にあなた様達に感謝しております。それに、ジャクソン様と幸せになれるのでしたら、私はどんな苦労をしてもかまいませんわ。ただ…ジャンティーヌちゃんを巻き込むことになってしまって…」

ちょっと!皆。さっきから何を訳の分からない事を言っているのよ!私を置き去りにして、話しを進めないでよ!

「皆様、おっしゃっている意味がさっぱり分かりません。私にも、分かるように説明してください!」

そんな思いで、皆に問いかけた。

「ジャンティーヌには全く何も話していなかったな。すまなかった。実はジャンティーヌが魔女を倒した事で、世界中からグリーズン王国に集まっていた魔物たちが、元居る場所に戻っていたんだ。とはいっても、大半の国が、聖女や魔術師たちによって、魔物が国を襲う事を食い止める事に成功している。ただ…」

「ただ、どうされたのですか?」

「我が国、クリスティル王国は違った。今クリスティル王国は、魔物たちに襲われて大変な事になっているのだよ。たった1ヶ月で、王都まで魔物たちが迫って来ている様なんだ。必死に貴族や魔術師、騎士団たちが食い止めているが、かなりの犠牲が出ているらしい」

「一体どういう事ですか?我が国にも立派な魔術師たちがいるではありませんか!それなのに、どうして?」

「ジャンティーヌには話していなかったが、我が国には魔物からこの国を守る一族が存在しているの。その一族の中で、一番魔力が強い人間、すなわち他国で言う聖女の様な存在の人間が、国に結界を張る柱を作る事で、魔物たちから国を守って来たの」

我が国にそんな一族がいたですって?一体どういうこと?そんな話、聞いたことがないわ。

「その結界はね、一度張ると、本人が居なくても約10年前後効果を持続すると言われているの。前回その結界の柱を作ったのが、今から13年前。本来は10年毎に国王陛下の指示の元、結界を作り直すのだけれど…」

「なるほど、今の国王陛下は、アーロン様。それに、全ての魔物たちがこのグリーズン王国に集まっていた為、結界の柱を作り直さなかったという訳ですね。それなら、今すぐにでも、結界の柱を作るよう、その一族に指示を出せばいいのではないですか?なぜアーロン様はそれを行わないのですか?もしかして、結界の柱は、魔物たちが入り込んだ後では作れないのですか?」

「いいえ、魔物たちが入り込んだ後でも、結界の柱を作る事は可能よ。ただ…」

なぜか言葉を濁すお母様。

いくら頭の悪いアーロン様でも、王都まで魔物が迫ってきているのなら、すぐにでも結界の柱を作る様に指示を出せばいいはずだ。それなのに、どうして…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜

織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。 侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。 学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています

ゆっこ
恋愛
 「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」  王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。  「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」  本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。  王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。  「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」

処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!

秦江湖
ファンタジー
皇妃エリアーナは、夫である皇帝アランと、たった一人の親友イザベラの策略により、無実の罪で処刑される。 民衆に罵られ、アランの冷酷な目とイザベラの嘲笑を「始まりの景色」として目に焼き付けながら絶命した彼女は、しかし、処刑の記憶を持ったまま三年前の過去に回帰する。 「おまえたちは許さない」 二度目の人生。 エリアーナの目的はただ一つ、自分を陥れた二人への完璧な復讐。 彼女はまず、アラン(皇太子)からの婚約内示を拒絶。そして、アラン最大の政敵である「北の冷血公爵」ルシアン・ヴァレリウスに接触する。 1周目で得た「未来の知識」を対価に、エリアーナはルシアンに持ちかける。 「貴方様には帝国の覇権を。わたくしには復讐の舞台を。そのための『契約婚約』を――」 憎悪を糧に生きる皇妃と、氷の瞳を持つ公爵。 二人の偽りの婚約の行く末は……

婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました

由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。 彼女は何も言わずにその場を去った。 ――それが、王太子の終わりだった。 翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。 裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。 王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。 「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」 ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。

処理中です...