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第1話:幸せが壊れる時は一瞬です
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美しい庭で大好きな婚約者と紅茶を楽しむ。私、レティシア・トンプソンは、パンドラ王国の公爵令嬢。そして向いで一緒にお茶を飲んでいるのは、私の婚約者でこの国の王太子、リアム様だ。
「リアム様、今日のお茶は香り豊かで、本当に美味しいですわ」
「それは良かった。君の為に他国から取り寄せた甲斐があったよ」
優しく微笑んでくれるリアム様。リアム様と7歳の時に婚約して早9年、来年には私たちの結婚式が控えている。既に王妃教育は終わっており、今はこうして毎日大好きなリアム様と一緒に、2人の時間を大切にしている。
王太子として忙しい日々を送っているリアム様だが、わざわざ私の為に時間を作って下さるのだ。昔から私の為に色々と考えてくれる優しいリアム様を、心から愛している。
「殿下、そろそろ公務のお時間です」
「もうそんな時間か…それじゃあレティシア、門まで送るよ」
「ありがとうございます。リアム様」
2人で手を繋いで、王宮の門まで向かう。いつも私が帰る時は、どんなに忙しくても門まで見送ってくれるのだ。
「今日もお見送りありがとうございます。それではまた明日」
「ああ、気を付けて帰るのだよ」
馬車に乗り込む私の頬に、いつもの様に口付けをするリアム様。私もリアム様の頬に口付けをした後、馬車に乗り込む。これが私たちのお別れの挨拶だ。
家に帰ると、お父様とお母様が出迎えてくれた。
「レティシア、お帰り。今日も王宮に行っていたのかい?」
私の姿を見つけると、嬉しそうに抱きしめてくれたお父様。お母様も隣で微笑んでいる。
「ええ、そうよ。だってリアム様に会いたかったのですもの」
「そうか、レティシアはリアム殿下が大好きだもんな。後1年もすると、レティシアも嫁ぐんだな…」
そう言って涙ぐむお父様。この国の中で、絶大な権力を持っているお父様は、普段鬼の様に恐ろしいらしく、皆に恐れられている。でも、なぜか私の前では甘々なのだ。まさに、親バカである。
本来1人娘でもある私が公爵家を継がないといけなかったのだが、私の我が儘を聞いてくれた両親によって、無事リアム様と婚約する事が出来た。そのせいで、いずれ養子を迎えなければいけなくなってしまった我が家。
本来なら早く養子を見つけ、公爵家の当主としての教育を受けさせないといけないのだが、急に知らない男性が我が家で暮らす事で私が嫌な思いをしない様にと、私が結婚するまでは養子を迎えないと決めた両親。
そんな両親の愛情をたっぷり受けて育った私は、本当に幸せ者だ。
「あなた、レティシアが可愛いのは分かるけれど、そろそろ出かけないと」
「ああ、そうだな」
お母様の言葉で、私から渋々離れるお父様。そう言えば領地で問題が起こったとの事で、急遽2人で向かうのよね。
「お父様、お母様、気を付けて行ってらっしゃい」
「なるべく早く帰ってくるようにするから。あぁ、私の可愛いレティシアとしばらく会えないと思うと、寂しくてたまらない」
そう言うと、再び私を抱きしめるお父様。
「あなたったら大げさなんだから。それじゃあレティシア、行って来るわね。1週間くらいで帰って来る予定だから」
「私は大丈夫よ。行ってらっしゃい」
寂しそうな顔をするお父様を連れ、馬車に乗り込んだお母様。2人を見送ると、いつもの様に自室に戻り、着替えを済ませる。
その後食堂に向かい、夕食を食べる。今日はお父様とお母様がいないから1人での食事だ。寂しいけれど、仕方ないわね。その時だった。1人の使用人が血相を変えて私の元へとやって来た。
「お嬢様、大変です!旦那様と奥様が乗っていた馬車が事故に遭われ、病院に運ばれた様です。すぐに病院に向かいましょう」
「何ですって、お父様とお母様が!それで、2人の容体はどうなの?」
お父様とお母様が事故に遭うなんて…使用人に詰め寄るが
「申し訳ございません。詳しい事は…」
困った顔で俯いた使用人。とにかく、病院に向かわないと!震える体を何とか動かし、馬車へと乗り込む。お父様、お母様、どうかご無事でいて下さい!心の中で何度も何度もそう祈る。
生きた心地がしないまま、病院にたどり着いた。
「お嬢様」
私の顔を見るなり飛んできたのは、頭と腕に包帯を巻いているお父様専属の執事だ。
「あなた、随分と酷い怪我をしているじゃない。大丈夫なの?お父様とお母様の容体はどうなの?今すぐ会いたいわ」
「それが…」
なぜか言葉を詰まらせる執事。
「トンプソン公爵令嬢ですね。どうぞこちらへ」
お医者様と思われる男性に連れられ、病室に案内された。そこにいたのは…
「お父様…お母様…どうして…」
白い布を顔に掛けられ眠る両親の姿だったのだ。急いで2人に駆け寄るが、既に体は冷たい。
「残念ですが、お2人は…」
「そんな…嫌よ。お父様、お母様、私を1人残して逝かないで。お願い、目を覚まして」
これは夢よ、何かの間違いだわ…だってさっきまであんなに元気だった2人が、こんな事になるなんて信じられない。
突然訪れた悪夢の様な現実を受け止められないレティシアであった。
~あとがき~
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
新連載始めました。
全27話、6万文字程度のお話です。
よろしくお願いいたしますm(__)m
「リアム様、今日のお茶は香り豊かで、本当に美味しいですわ」
「それは良かった。君の為に他国から取り寄せた甲斐があったよ」
優しく微笑んでくれるリアム様。リアム様と7歳の時に婚約して早9年、来年には私たちの結婚式が控えている。既に王妃教育は終わっており、今はこうして毎日大好きなリアム様と一緒に、2人の時間を大切にしている。
王太子として忙しい日々を送っているリアム様だが、わざわざ私の為に時間を作って下さるのだ。昔から私の為に色々と考えてくれる優しいリアム様を、心から愛している。
「殿下、そろそろ公務のお時間です」
「もうそんな時間か…それじゃあレティシア、門まで送るよ」
「ありがとうございます。リアム様」
2人で手を繋いで、王宮の門まで向かう。いつも私が帰る時は、どんなに忙しくても門まで見送ってくれるのだ。
「今日もお見送りありがとうございます。それではまた明日」
「ああ、気を付けて帰るのだよ」
馬車に乗り込む私の頬に、いつもの様に口付けをするリアム様。私もリアム様の頬に口付けをした後、馬車に乗り込む。これが私たちのお別れの挨拶だ。
家に帰ると、お父様とお母様が出迎えてくれた。
「レティシア、お帰り。今日も王宮に行っていたのかい?」
私の姿を見つけると、嬉しそうに抱きしめてくれたお父様。お母様も隣で微笑んでいる。
「ええ、そうよ。だってリアム様に会いたかったのですもの」
「そうか、レティシアはリアム殿下が大好きだもんな。後1年もすると、レティシアも嫁ぐんだな…」
そう言って涙ぐむお父様。この国の中で、絶大な権力を持っているお父様は、普段鬼の様に恐ろしいらしく、皆に恐れられている。でも、なぜか私の前では甘々なのだ。まさに、親バカである。
本来1人娘でもある私が公爵家を継がないといけなかったのだが、私の我が儘を聞いてくれた両親によって、無事リアム様と婚約する事が出来た。そのせいで、いずれ養子を迎えなければいけなくなってしまった我が家。
本来なら早く養子を見つけ、公爵家の当主としての教育を受けさせないといけないのだが、急に知らない男性が我が家で暮らす事で私が嫌な思いをしない様にと、私が結婚するまでは養子を迎えないと決めた両親。
そんな両親の愛情をたっぷり受けて育った私は、本当に幸せ者だ。
「あなた、レティシアが可愛いのは分かるけれど、そろそろ出かけないと」
「ああ、そうだな」
お母様の言葉で、私から渋々離れるお父様。そう言えば領地で問題が起こったとの事で、急遽2人で向かうのよね。
「お父様、お母様、気を付けて行ってらっしゃい」
「なるべく早く帰ってくるようにするから。あぁ、私の可愛いレティシアとしばらく会えないと思うと、寂しくてたまらない」
そう言うと、再び私を抱きしめるお父様。
「あなたったら大げさなんだから。それじゃあレティシア、行って来るわね。1週間くらいで帰って来る予定だから」
「私は大丈夫よ。行ってらっしゃい」
寂しそうな顔をするお父様を連れ、馬車に乗り込んだお母様。2人を見送ると、いつもの様に自室に戻り、着替えを済ませる。
その後食堂に向かい、夕食を食べる。今日はお父様とお母様がいないから1人での食事だ。寂しいけれど、仕方ないわね。その時だった。1人の使用人が血相を変えて私の元へとやって来た。
「お嬢様、大変です!旦那様と奥様が乗っていた馬車が事故に遭われ、病院に運ばれた様です。すぐに病院に向かいましょう」
「何ですって、お父様とお母様が!それで、2人の容体はどうなの?」
お父様とお母様が事故に遭うなんて…使用人に詰め寄るが
「申し訳ございません。詳しい事は…」
困った顔で俯いた使用人。とにかく、病院に向かわないと!震える体を何とか動かし、馬車へと乗り込む。お父様、お母様、どうかご無事でいて下さい!心の中で何度も何度もそう祈る。
生きた心地がしないまま、病院にたどり着いた。
「お嬢様」
私の顔を見るなり飛んできたのは、頭と腕に包帯を巻いているお父様専属の執事だ。
「あなた、随分と酷い怪我をしているじゃない。大丈夫なの?お父様とお母様の容体はどうなの?今すぐ会いたいわ」
「それが…」
なぜか言葉を詰まらせる執事。
「トンプソン公爵令嬢ですね。どうぞこちらへ」
お医者様と思われる男性に連れられ、病室に案内された。そこにいたのは…
「お父様…お母様…どうして…」
白い布を顔に掛けられ眠る両親の姿だったのだ。急いで2人に駆け寄るが、既に体は冷たい。
「残念ですが、お2人は…」
「そんな…嫌よ。お父様、お母様、私を1人残して逝かないで。お願い、目を覚まして」
これは夢よ、何かの間違いだわ…だってさっきまであんなに元気だった2人が、こんな事になるなんて信じられない。
突然訪れた悪夢の様な現実を受け止められないレティシアであった。
~あとがき~
遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!
本年もどうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
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よろしくお願いいたしますm(__)m
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