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第32話:レオナルド様の機嫌がよくありません
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「君たち、席に付きなさい」
先生がやって来たので、急いで席に付いた。そういえば私、このクラスの生徒、ほとんど知らないわ。そう思っていると
“実は私、ついこの前養子に入ったばかりだから、貴族の子供の事、何も知らないのです。だからオリビア殿下がお友達になって下さって、本当に嬉しいですわ”
隣に座っていたメアリー様が、そっと話しかけてきてくれた。
「まあ、私もずっと王宮で過ごしておりましたので、レオナルド様以外誰も知りませんのよ。私と同じ状況の方がいらして、私も嬉しいですわ」
つい嬉しくて、大きな声で叫んでしまった。
「オリビア殿下、今は私が話をしている時ですよ。人が話をしている時は、静かに聞いて下さい」
「ごめんなさい…」
先生に怒られてしまった。ふとメアリー様の方を見ると、申し訳なさそうに頭を下げている。メアリー様のせいではないと言う思いを込めて、全力で手を振っておいた。
入学早々先生に怒られてしまうなんて、私ったら何をしているのかしら?でも、お友達が出来たのだから、まあいいか。
先生のお話が終わると、この日はもう解散の様だ。
「オリビア、帰ろう。それより、君は何をしているのだい?先生が話している時は、静かに聞いていないとダメだろう」
すかさずレオナルド様に怒られてしまった。
「ごめんなさ…」
「ミシュラーノ公爵令息様、オリビア殿下は悪くありませんわ。私がこっそり話しかけたから悪いのです。どうか、オリビア殿下を怒らないで下さい」
そう言って、メアリー様が頭を下げている。なんて優しい方なのかしら?
「君は確かジュノーズ侯爵家に最近養子に入った、メアリー嬢だったね。オリビアを構ってくれているのだね。ありがとう。でも、よくない事をしたときは、きちんと指摘する事も大切なんだよ。それじゃあ、僕たちはこれで失礼するよ。さあ、オリビア。おいで」
私の手を引っ張り、レオナルド様が教室から出ようとしている。
「メアリー様、私を庇ってくださりありがとうございます。これからもどうかよろしくお願いします」
メアリー様に向かって、ぺこりと頭を下げた。
「こちらこそ。また明日会いましょう」
「はい、また明日」
笑顔で手を振ってくれるメアリー様に私も手を振り返した。
「ほら、オリビア。帰るよ!」
再び私の手を引っ張り、そのまま馬車を目指す。なぜかレオナルド様は一言も話さない。それに、怖い顔をしているし…
そのままレオナルド様の馬車に乗せられた。どかりと私の隣に座るレオナルド様。
「レオナルド様、何を怒っているの?」
「別に怒っていないよ。ただ…君は無防備すぎる。いいかい?貴族の世界は、欲望と駆け引きが渦巻く世界なんだよ。令嬢や令息だって例外じゃない。誰とでも仲良くするものではない。ましてや、メアリー嬢は養子だ。もしかしたら侯爵が義娘を利用して、君に近づこうとしているのかもしれないだろう?」
「あら、メアリー様はいい子よ。だって、私を庇ってくれたし。それに友達になってくれたわ」
「だから、そういうところが無防備だと言っているんだよ。いいかい、オリビア。あまり人を信じすぎるにも良くない。とにかく、明日から僕の傍にいる事。いいね、分かったかい?」
「もう、レオナルド様は人を疑いすぎなのよ…メアリー様はきっといい人よ。私、メアリー様と明日から一緒に過ごすのだから」
村にいたアリー以来の女の子の友達だ。5年ぶりに出来た大切な友達を、私は大切にしたい。
「はぁ~、分かったよ。オリビアは本当に頑固だね…まあ、令嬢だしいいか」
どうやらレオナルド様が折れた様だ。そもそもどうしてお友達を作るのに、レオナルド様の許可を取らないといけないのかしら?
「さあ、王宮に着いたよ。明日から、毎日迎えに来るからね。わかったね」
「別に私は1人でも…」
「いいや、君を1人にすると危険だ。明日から迎えに来るから」
なんだか今日のレオナルド様、かなり機嫌が悪い。これ以上反抗するのも面倒だ。
「分かったわ。それじゃあ、明日からよろしくね」
そう伝えておいた。
馬車から降りると、お父様とお母様、シャルルが待っていた。さらになぜかレオナルド様のご両親も一緒だ。
「おかえり、私の可愛いオリビア。初めての学院はどうだったかい?虐められたりしなかったかい?」
お父様が、ギューギュー私を抱きしめる。さすがに苦しい。そんな私を、さりげなく助けてくれたのは、レオナルド様だ。
「陛下、もうオリビアは年頃の娘なのですよ。そんな風に抱きしめるのはどうかと思いますが」
「レオナルド!クソ、段々レックスに似てきたな。私はオリビアの父親だ。抱きしめて何が悪い」
「悪いに決まっているでしょう。いい加減子離れされたらいかがですか?」
「何だと!」
「あなた、レオナルド様も落ち着いて。さあ、オリビアもレオナルド様も初めての学院で疲れたでしょう。きっとレオナルド様がオリビアを送ってくれるだろうという事で、あなたのご両親も呼んだの。さあ、皆でご飯を食べましょう」
「レオナルドのあにうえもいっしょ?やったぁ」
お母様の言葉に、シャルルが嬉しそうに両手をあげている。
「おい、シャリー、シャルルも何を言っているんだ。レックス、さっさとレオナルドを連れてかえ…」
「はい、是非頂きます。さあ、オリビア、一緒に食事を食べよう」
お父様の言葉を遮り、私の手を握り歩き始めたレオナルド様。
「ちょっと待て、オリビアに気安く触るな!」
後ろでお父様が怒り狂っているが、お母様が宥めている様だ。その後、仏頂面なお父様をしりめに、7人で美味しく昼食を頂いたのだった。
先生がやって来たので、急いで席に付いた。そういえば私、このクラスの生徒、ほとんど知らないわ。そう思っていると
“実は私、ついこの前養子に入ったばかりだから、貴族の子供の事、何も知らないのです。だからオリビア殿下がお友達になって下さって、本当に嬉しいですわ”
隣に座っていたメアリー様が、そっと話しかけてきてくれた。
「まあ、私もずっと王宮で過ごしておりましたので、レオナルド様以外誰も知りませんのよ。私と同じ状況の方がいらして、私も嬉しいですわ」
つい嬉しくて、大きな声で叫んでしまった。
「オリビア殿下、今は私が話をしている時ですよ。人が話をしている時は、静かに聞いて下さい」
「ごめんなさい…」
先生に怒られてしまった。ふとメアリー様の方を見ると、申し訳なさそうに頭を下げている。メアリー様のせいではないと言う思いを込めて、全力で手を振っておいた。
入学早々先生に怒られてしまうなんて、私ったら何をしているのかしら?でも、お友達が出来たのだから、まあいいか。
先生のお話が終わると、この日はもう解散の様だ。
「オリビア、帰ろう。それより、君は何をしているのだい?先生が話している時は、静かに聞いていないとダメだろう」
すかさずレオナルド様に怒られてしまった。
「ごめんなさ…」
「ミシュラーノ公爵令息様、オリビア殿下は悪くありませんわ。私がこっそり話しかけたから悪いのです。どうか、オリビア殿下を怒らないで下さい」
そう言って、メアリー様が頭を下げている。なんて優しい方なのかしら?
「君は確かジュノーズ侯爵家に最近養子に入った、メアリー嬢だったね。オリビアを構ってくれているのだね。ありがとう。でも、よくない事をしたときは、きちんと指摘する事も大切なんだよ。それじゃあ、僕たちはこれで失礼するよ。さあ、オリビア。おいで」
私の手を引っ張り、レオナルド様が教室から出ようとしている。
「メアリー様、私を庇ってくださりありがとうございます。これからもどうかよろしくお願いします」
メアリー様に向かって、ぺこりと頭を下げた。
「こちらこそ。また明日会いましょう」
「はい、また明日」
笑顔で手を振ってくれるメアリー様に私も手を振り返した。
「ほら、オリビア。帰るよ!」
再び私の手を引っ張り、そのまま馬車を目指す。なぜかレオナルド様は一言も話さない。それに、怖い顔をしているし…
そのままレオナルド様の馬車に乗せられた。どかりと私の隣に座るレオナルド様。
「レオナルド様、何を怒っているの?」
「別に怒っていないよ。ただ…君は無防備すぎる。いいかい?貴族の世界は、欲望と駆け引きが渦巻く世界なんだよ。令嬢や令息だって例外じゃない。誰とでも仲良くするものではない。ましてや、メアリー嬢は養子だ。もしかしたら侯爵が義娘を利用して、君に近づこうとしているのかもしれないだろう?」
「あら、メアリー様はいい子よ。だって、私を庇ってくれたし。それに友達になってくれたわ」
「だから、そういうところが無防備だと言っているんだよ。いいかい、オリビア。あまり人を信じすぎるにも良くない。とにかく、明日から僕の傍にいる事。いいね、分かったかい?」
「もう、レオナルド様は人を疑いすぎなのよ…メアリー様はきっといい人よ。私、メアリー様と明日から一緒に過ごすのだから」
村にいたアリー以来の女の子の友達だ。5年ぶりに出来た大切な友達を、私は大切にしたい。
「はぁ~、分かったよ。オリビアは本当に頑固だね…まあ、令嬢だしいいか」
どうやらレオナルド様が折れた様だ。そもそもどうしてお友達を作るのに、レオナルド様の許可を取らないといけないのかしら?
「さあ、王宮に着いたよ。明日から、毎日迎えに来るからね。わかったね」
「別に私は1人でも…」
「いいや、君を1人にすると危険だ。明日から迎えに来るから」
なんだか今日のレオナルド様、かなり機嫌が悪い。これ以上反抗するのも面倒だ。
「分かったわ。それじゃあ、明日からよろしくね」
そう伝えておいた。
馬車から降りると、お父様とお母様、シャルルが待っていた。さらになぜかレオナルド様のご両親も一緒だ。
「おかえり、私の可愛いオリビア。初めての学院はどうだったかい?虐められたりしなかったかい?」
お父様が、ギューギュー私を抱きしめる。さすがに苦しい。そんな私を、さりげなく助けてくれたのは、レオナルド様だ。
「陛下、もうオリビアは年頃の娘なのですよ。そんな風に抱きしめるのはどうかと思いますが」
「レオナルド!クソ、段々レックスに似てきたな。私はオリビアの父親だ。抱きしめて何が悪い」
「悪いに決まっているでしょう。いい加減子離れされたらいかがですか?」
「何だと!」
「あなた、レオナルド様も落ち着いて。さあ、オリビアもレオナルド様も初めての学院で疲れたでしょう。きっとレオナルド様がオリビアを送ってくれるだろうという事で、あなたのご両親も呼んだの。さあ、皆でご飯を食べましょう」
「レオナルドのあにうえもいっしょ?やったぁ」
お母様の言葉に、シャルルが嬉しそうに両手をあげている。
「おい、シャリー、シャルルも何を言っているんだ。レックス、さっさとレオナルドを連れてかえ…」
「はい、是非頂きます。さあ、オリビア、一緒に食事を食べよう」
お父様の言葉を遮り、私の手を握り歩き始めたレオナルド様。
「ちょっと待て、オリビアに気安く触るな!」
後ろでお父様が怒り狂っているが、お母様が宥めている様だ。その後、仏頂面なお父様をしりめに、7人で美味しく昼食を頂いたのだった。
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