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第35話:ついにこの日が来てしまった~レオナルド視点~

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そしていよいよ、入学式当日を迎えた。指輪も持ったし、忘れ物はないな。本来なら僕が王宮まで迎えに行きたいところだが、1日目という事で様子を見る様、父上に言われた。

何の様子を見ろと言うのだろう。とにかくオリビアより早く学院に行って、オリビアを捕まえないと!

そんな思いから、早めに準備を整え馬車に乗り込んだ。

「レオナルド、今日から貴族学院だな。頑張れよ」

「あまりオリビアちゃんを縛り付けてはいけないわよ。あの子、ずっと陛下に縛られていて、やっと自由に外に出られる様になったのだから」

「母上、僕はオリビアを縛り付けるつもりはありません。変な言いがかりはよしてください。それでは、行ってきます」

馬車に乗り込み、学院を目指す。学院に着くと、すぐに校門の前を陣取った。ここにいればきっと、オリビアを一番に見つけられる。

そう思って待っていたのだが。

「レオナルド様、おはようございます」

「レオナルド様の制服姿、とても素敵ですわ」

すぐに令嬢たちに取り囲まれた。僕は昔から、なぜかわからないが令嬢に人気があるのだ。はっきり言って、迷惑以外なにものでもない。

ふと門の方を見ると、不安そうなオリビアの姿が!しまった、令嬢たちに囲まれている間に、オリビアが来てしまったではないか。

「すまないが、僕は急ぐので」

そう伝え、急いでオリビアの元へと急ぐ。僕が声を掛けると、今まで不安そうな顔をしていたオリビアの顔が、ぱぁぁっと明るくなり、嬉しそうに僕の胸に飛び込んできた。

可愛い…可愛すぎる。僕もオリビアをギュッと抱きしめる。オリビアの制服姿、本当によく似合っている。そんな可愛らしい姿、他の男どもになんて見せたくはない。

僕たちが抱き合っている姿を、皆が注目している。いいぞ、もっと見ろ!僕たちの姿を見て、オリビアはきっといずれ僕の家にお嫁に来るという噂が広がるはずだ。さすがに公爵令息の僕に挑んでくる愚か者はいないだろう。

でも…
オリビアの母親は、当時王太子だった国王から猛アプローチを受けていたそうだが、それでも婚約申込書が絶えなかったと聞く。やはり油断は出来ないな!

しばらくオリビアを抱きしめた後、しっかり手を握り入学式の会場でもあるホールを目指す。

オリビアはどうやら周りの視線が気になる様で、不安そうな顔をしている。5年ものあいだ、ほとんど公の場に姿を現さなかった王女が目の前にいるのだ。見るなという方が無理だろう。

それにしても令息どもめ、オリビアを見て頬を赤らめているぞ。オリビアは僕のものなのに!

とにかくオリビアに、再度今まで教えて来たことを強く伝えておいた。そうそう、これも渡さないと。

準備しておいた指輪を、オリビアの指にはめた。もちろん僕の指にも、同じデザインの指輪がはまっている。お互いの瞳を色に合わせた宝石を付けた。これで僕たちは、どこからどう見ても恋人同士に見えるだろう。

会場に着くと、2人並んで座る。オリビアの隣に誰も座れない様に、あえて端の席にした。

クソ、どいつもこいつもオリビアを見つめやがって。とにかく、オリビアにはあまり目立った行動をしない様に言わないと。そう思ったのだが…

なんと、オリビアは新入生代表の挨拶を行ったのだ。それも、自分の生い立ちなどを交えつつ、堂々と挨拶をしたのだ。周りからも、大きな拍手が沸き上がった。

まさか僕に内緒ごとをしているなんて!それが無性に腹が立った。さらに、教室では早速侯爵令嬢に捕まり、友達になっていた。

嬉しそうに侯爵令嬢と話をするオリビアを見ていたら、再び無性に腹が立った。そもそもこの女、最近養子になったばかりの女だ。もしかして、王族でもあるオリビアに取り入ろうとしているのか?

そんな思いで、オリビアにはもう少し警戒するよう伝えた。それなのに、僕の意図を全く理解していない様子。本当にオリビアは!

まあ、彼女は令嬢だし、オリビアとどうこうなる事はないだろう…それに、女の友達が出来れば、僕の事を異性として意識するかもしれないし…

そう、オリビアは僕の事をただのお友達と思っている節がある。そろそろ異性として意識してもらわないと困るし…

それでも今日のオリビアの行いに腹を立てていた僕は、これ以上オリビアを自由にさせる訳にはいかないと考え、翌日から送り迎えをする事にした。

そうしている間に、王宮に着いた。オリビアが馬車から降りるや否や、国王がオリビアに抱き着いている。それがまた腹ただしい!虫の居所が悪い僕は、すかさず国王に文句を言った。

その後いつもの様に、国王との言い合いが始まった。そんな僕たちを止めたのは、王妃様だ。よく見ると父上と母上もいる。もしかすると僕がオリビアを送ってくる事を見越して、王妃様が母上を呼んだのかもしれないな。父上はきっと、公務で王宮に来ていたのだろう。

僕の予想通り、王妃様が僕を昼食に誘ってくれた。すかさず国王が文句を言っているが、無視してオリビアの手を取り、食堂へと向かったのだった。
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