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第47話:レオナルド様はすごいです

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馬車から降りると、目の前にはたくさんのお店が立ち並んでいた。人も沢山いる。何なの、この人の多さは!

「レオナルド様、人が沢山いますわ。それにお店も。あら?お店の前に野菜や果物が並んでいますわ。あっちにはお魚が。その隣には食べ物が売られていますわ。まあ、お外で食べ物を食べている人もいらっしゃるし」

初めて見る光景に、1人興奮を隠しきれない。

「オリビア、少し落ち着こうか。ここは中心街で、市民たちがよく利用する市場の様な場所だよ。僕もあまり来た事がないのだが、せっかくだから殿下には、この国のありのままの風景を見てもらいたいと思ってね」

「確かに凄い活気だね。実は俺もこうやって市民たちが利用する市場などは、あまり来た事がなくてね。これは新鮮だ」

確かにとても新鮮だわ。エレフセリア王国の村にもお店はあったが、小さな村だったので、こんなに色々なお店はなかった。それに、人口も少なかったし。

「せっかくだから、見学をしていきましょう。さあ、オリビア、はぐれたら大変だ。こっちにおいで」

私の手をギューッと握るレオナルド様に連れられ、お店を見て回る。近くにはお外で料理をしている人の姿も。

「ここは果物屋さんかい?見た事のないフルーツがあるね」

すかさずグレース殿下が果物を手に取っている。

「こちらは我が国でしか取れない、とても貴重な果物です。宜しければ、食べてみてください」

お店の人に頼んで、フルーツを切ってもらう。

「これは甘くておいしいね。それに、後味もさっぱりしている」

「そのまま食べても美味しいですし、料理に使う事も出来ます。ジャムなどの加工食品にも使われているのですよ」

なるほど、こうやって他国の人に自分の国の物を売り込むのね。さすがだわ。

「さあ、ここはある程度見たので、次の場所へと向かいましょう」

一旦馬車に戻り、移動する。次に向かった場所は、貴族たちがよく利用する場所だそうだ。ここにも、お店がたくさん並んでいるが、人はまばらだ。ここでもゆっくりとお店を見て回った。

「この布は、我が国が独自に編み出した編み方で作っておりますので、非常に丈夫で破れにくく、肌触りもいいのですよ」

早速レオナルド様がグレース殿下にアピールしている。

「確かに丈夫で肌触りがいいね。せっかくだから3人の妻に買っていくよ」

そう言うと、大量に購入を始めたグレース殿下。レオナルド様、やり手ね。

それにしても、色々なお店があるのね。あっ、あのお店、メアリーが言っていた人気スイーツのお店だわ。

「レオナルド様、あのスイーツのお店に行きたいですわ。新鮮なフルーツを使ったタルトが、とても美味しいのですって」

せっかく街に来たのだから、是非味わいたい。

「オリビア、今日は遊びに来たわけではないのだよ。それにもうすぐ昼食だから、我慢して。また今度連れて来てあげるから」

レオナルド様にそう言われてしまった。仕方ないわね…

他にも気になるお店が沢山あったが、結局どこにも入る事が出来ないまま、昼食の時間になった。

大きなホテルの一番奥の部屋で、昼食を頂く。

「この国は酪農も盛んだと聞いたが、このお肉、本当に柔らかくて美味しいね。口の中で溶ける様だ」

「はい、我が国では丹精込めて牛を育てておりますので。もう少しお時間があれば、酪農の風景なども見学して頂ければよかったのですが…何分王都では酪農をやっておりませんので…」

「いいや、こんなおいしいお料理を頂けるだけで十分だ。そういえば、街にもたくさんの種類の肉が売っていたね」

「はい、我が国では鹿やイノシシの肉もしっかり処理をして食べておりますので。こちらのお肉が、鹿肉になります」

「鹿やイノシシも食べるのかい!でも、確かに美味しいな。この果物のソースによく合っている」

「このソースに使われているフルーツは、先ほど王太子殿下が召し上がったフルーツです。どうですか?料理にも合うでしょう」

「確かに合うな。なるほど、ペリオリズモス王国には魅力的な物が沢山あるんだね。せっかくだから、あの果物も買っていこう」

「ありがとうございます。是非国にお戻りになったら、我が国の物を勧めて下さい」

レオナルド様がにっこり微笑んでいる。若干14歳にして、これほどまでの知識、改めてレオナルド様を見直した。

私ったら、自分が楽しむ事ばかり考えて、本当に駄目ね。私も少しは自分の国の魅力を他国の人に伝えられる様にならないと!

食後はまた馬車に乗り込む。

「レオナルド殿と言ったね。君は本当に優秀だ。さすがミシュラーノ公爵家の嫡男だけの事はある」

「お褒めの言葉、ありがとうございます。それじゃあ次は、我が国一の加工工場にでも行きましょうか」

レオナルド様がすかさず提案した。加工工場なんてあるのね。ぜひ見てみたいわ。そう思ったのだが…

「それもいいのだが、せっかくなら孤児院を見たいのだが。いいだろうか」

「孤児院ですか?わかりました。この辺りでは孤児院は1つしかないので、そこに向かいましょう」

レオナルド様が近くにいた執事に何やら指示を出している。きっと先回りして、孤児院に話しを付けるのだろう。

「さあ、参りましょう。孤児院は王都の端にありますので、少しお時間が掛かりますが、よろしいですか?」

「ああ、もちろんだ」

グレース殿下は孤児院に興味がある様だ。恵まれない子供たちにも目を向けるだなんて、意外と良い人なのね、この人。
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