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第70話:いざ、決行のときです
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しばらくすると、卒業式が始まった。今回卒業生代表で挨拶をするのは、生徒会長でもあるレオナルド様だ。
壇上へと上がり、話し始めたレオナルド様。やっぱりレオナルド様って素敵ね。胸を張って堂々と話をしている彼の姿を、ただ見つめる。あと少しでお別れだ。そう思ったら、目を離すことが出来なかった。
なぜかレオナルド様も、私の方を真っすぐ見つめて話している。正直何を話しているのか全く頭に入ってこない。ただレオナルド様の姿を、目に焼き付けた。
式が終わると中庭に移動し、卒業パーティー開始だ。皆楽しそうに話しをしている。もちろん、私も笑顔を作って話をする。次期公爵夫人(実際は違うが)の私に取り入ろうと、沢山の令嬢たちが話しかけてくれた。
でも…いくら私に話しかけてくれても、無駄なのにね。だって私は、今日この国を出るのだから。
ふと周りを見ると、絵師が何人か来ていた。卒業の記念に、絵師に絵を描かせているのだ。もしレオナルド様の姿絵を持っていけたら。そんな思いから、隣にいるレオナルド様に声を掛けた。
「せっかくだから、記念に絵師に絵を描いてもらいましょう」
「そうだね、制服を着るのも今日で最後だし、いいよ。行こうか」
レオナルド様と一緒に、隣に並んで絵を描いてもらった。せめて絵の中では幸せな2人の姿を残したい。そんな思いから、必死に笑顔を作る。
「完成いたしました。いかがでしょうか?」
絵師が手渡してくれた絵は、とても素敵だった。お互いの特徴が良くとらえられている。
「とても素敵よ。ありがとう」
嬉しくてつい頬が緩む。絵師も褒められて照れ臭いのか、頬を赤らめ笑っている。
「オリビア、たとえ絵師であっても、男性に笑いかけてはいけないと教えただろう?本当に君は…」
隣でレオナルド様がブツブツ言っている。この人は最後まで変わらないわね。そう思ったら、笑いがこみ上げてきた。
「どうしてそこで笑うんだい?反省しているのかい?」
「ごめんなさい。レオナルド様は、相変わらずだなっと思って」
「僕はずっと変わらないよ。ずっとね…」
ずっと変わっていないか…私への気持ちは変わってしまったくせに…でも、今更そんな事を言っても仕方がない。
その後もクラスメートやグラス様、メアリーとたくさん話をした。そして、昼前から始まったパーティーは、夜の7時ごろにやっとお開きになった。
皆に別れを告げ、馬車に乗り込む。今日はさすがに疲れた。でも、これからが本番だ。王宮に着き、馬車から降りる。
「オリビア、今日は疲れただろう。でも、僕たちの結婚式まで後1ヶ月しかない。明日は公爵家に来て、色々と打ち合わせをしないとね。明日の朝迎えに行くから、そのつもりで」
「ええ、分かりましたわ…でも、今日のパーティーで少し疲れてしまって。明日は昼からにして頂けないかしら?」
少しでも時間を稼ぐために、そう伝えた。
「わかったよ、それじゃあ、昼から迎えに行くから、準備をしておくのだよ」
そう言うと、にっこり微笑んでくれたレオナルド様。本当にこれが最後なんだ…そう思ったら、無意識にレオナルド様に抱き着いていた。
「どうしたんだい?オリビア、今日は甘えん坊だね。またすぐに会えるのだから」
「そうよね。ただ、今日は少しこうしていたくて…」
せめて最後に、レオナルド様の匂いを覚えておきたい。そんな思いで、必死に抱き着いた。でも、いつまでも抱き着いている訳にはいかない。名残惜しいが、ゆっくり離れる。
「急に抱き着いてごめんなさい。それじゃあ、おやすみなさい」
「ああ、お休み」
いつもの様に私のおでこに口づけをして、馬車に乗り込んだレオナルド様。そして馬車が走っていく。どうしてもその場から離れる事が出来ずに、レオナルド様の乗った馬車が見えなくなるまで見送った。
さようなら…レオナルド様。
泣きそうになるのを必死に抑え、急いで王宮に内に入って行く。
「おかえり、オリビア。今日は疲れただろう」
「おかえりなさい」
お父様とお母様が待っていてくれた。そして、ギュッと私を抱きしめてくれる。大好きな両親の温もり。
「ただいま帰りました。お父様、お母様」
「さあ、今日は疲れただろう。ゆっくり休みなさい。明日、改めて卒業祝いのパーティーを行おう」
笑顔でお父様がそう言ってくれた。お母様も、隣でほほ笑んでくれている。
「はい、それでは失礼いたします」
どう答えていいか分からず、返事だけをしてその場を後にする。大好きな両親、もし私がいなくなったら、きっと悲しむわよね。お父様の事だから、また他国中を探し回るのかしら?
そうなったら、レオナルド様はちゃんとメアリーと結婚できるのかしら?そんな不安がよぎる。
大丈夫よ、私は好きな人が出来たという事にするのだから、きっとレオナルド様とメアリーはちゃんと結婚できるわよ。お父様だって、諦めてくれるわ…そう自分に言い聞かせた。
自室に戻り、湯あみをし、ベッドに潜り込んだ。そしてメイドたちが去っていくのを見送る。
メイドたちがいなくなったことを確認し、急いでベッドから出て着替えを済ます。先日街で買ったワンピースに着替え、あらかじめ準備しておいた手紙を机の上に置いた。それから、レオナルド様から貰った指輪やアクセサリーもその近くに置いた。どれも思い出が詰まった大切な物。本当は持って行きたい。でも…
メアリーから、万が一居場所が特定できる機械などが付いていると大変だから、置いて行くように言われた。その為、お父様から貰った宝石も、全て置いて行く事になっている。
準備は整った。
今日描いてもらった似顔絵だけを手に、ゆっくりと部屋から出たのであった。
壇上へと上がり、話し始めたレオナルド様。やっぱりレオナルド様って素敵ね。胸を張って堂々と話をしている彼の姿を、ただ見つめる。あと少しでお別れだ。そう思ったら、目を離すことが出来なかった。
なぜかレオナルド様も、私の方を真っすぐ見つめて話している。正直何を話しているのか全く頭に入ってこない。ただレオナルド様の姿を、目に焼き付けた。
式が終わると中庭に移動し、卒業パーティー開始だ。皆楽しそうに話しをしている。もちろん、私も笑顔を作って話をする。次期公爵夫人(実際は違うが)の私に取り入ろうと、沢山の令嬢たちが話しかけてくれた。
でも…いくら私に話しかけてくれても、無駄なのにね。だって私は、今日この国を出るのだから。
ふと周りを見ると、絵師が何人か来ていた。卒業の記念に、絵師に絵を描かせているのだ。もしレオナルド様の姿絵を持っていけたら。そんな思いから、隣にいるレオナルド様に声を掛けた。
「せっかくだから、記念に絵師に絵を描いてもらいましょう」
「そうだね、制服を着るのも今日で最後だし、いいよ。行こうか」
レオナルド様と一緒に、隣に並んで絵を描いてもらった。せめて絵の中では幸せな2人の姿を残したい。そんな思いから、必死に笑顔を作る。
「完成いたしました。いかがでしょうか?」
絵師が手渡してくれた絵は、とても素敵だった。お互いの特徴が良くとらえられている。
「とても素敵よ。ありがとう」
嬉しくてつい頬が緩む。絵師も褒められて照れ臭いのか、頬を赤らめ笑っている。
「オリビア、たとえ絵師であっても、男性に笑いかけてはいけないと教えただろう?本当に君は…」
隣でレオナルド様がブツブツ言っている。この人は最後まで変わらないわね。そう思ったら、笑いがこみ上げてきた。
「どうしてそこで笑うんだい?反省しているのかい?」
「ごめんなさい。レオナルド様は、相変わらずだなっと思って」
「僕はずっと変わらないよ。ずっとね…」
ずっと変わっていないか…私への気持ちは変わってしまったくせに…でも、今更そんな事を言っても仕方がない。
その後もクラスメートやグラス様、メアリーとたくさん話をした。そして、昼前から始まったパーティーは、夜の7時ごろにやっとお開きになった。
皆に別れを告げ、馬車に乗り込む。今日はさすがに疲れた。でも、これからが本番だ。王宮に着き、馬車から降りる。
「オリビア、今日は疲れただろう。でも、僕たちの結婚式まで後1ヶ月しかない。明日は公爵家に来て、色々と打ち合わせをしないとね。明日の朝迎えに行くから、そのつもりで」
「ええ、分かりましたわ…でも、今日のパーティーで少し疲れてしまって。明日は昼からにして頂けないかしら?」
少しでも時間を稼ぐために、そう伝えた。
「わかったよ、それじゃあ、昼から迎えに行くから、準備をしておくのだよ」
そう言うと、にっこり微笑んでくれたレオナルド様。本当にこれが最後なんだ…そう思ったら、無意識にレオナルド様に抱き着いていた。
「どうしたんだい?オリビア、今日は甘えん坊だね。またすぐに会えるのだから」
「そうよね。ただ、今日は少しこうしていたくて…」
せめて最後に、レオナルド様の匂いを覚えておきたい。そんな思いで、必死に抱き着いた。でも、いつまでも抱き着いている訳にはいかない。名残惜しいが、ゆっくり離れる。
「急に抱き着いてごめんなさい。それじゃあ、おやすみなさい」
「ああ、お休み」
いつもの様に私のおでこに口づけをして、馬車に乗り込んだレオナルド様。そして馬車が走っていく。どうしてもその場から離れる事が出来ずに、レオナルド様の乗った馬車が見えなくなるまで見送った。
さようなら…レオナルド様。
泣きそうになるのを必死に抑え、急いで王宮に内に入って行く。
「おかえり、オリビア。今日は疲れただろう」
「おかえりなさい」
お父様とお母様が待っていてくれた。そして、ギュッと私を抱きしめてくれる。大好きな両親の温もり。
「ただいま帰りました。お父様、お母様」
「さあ、今日は疲れただろう。ゆっくり休みなさい。明日、改めて卒業祝いのパーティーを行おう」
笑顔でお父様がそう言ってくれた。お母様も、隣でほほ笑んでくれている。
「はい、それでは失礼いたします」
どう答えていいか分からず、返事だけをしてその場を後にする。大好きな両親、もし私がいなくなったら、きっと悲しむわよね。お父様の事だから、また他国中を探し回るのかしら?
そうなったら、レオナルド様はちゃんとメアリーと結婚できるのかしら?そんな不安がよぎる。
大丈夫よ、私は好きな人が出来たという事にするのだから、きっとレオナルド様とメアリーはちゃんと結婚できるわよ。お父様だって、諦めてくれるわ…そう自分に言い聞かせた。
自室に戻り、湯あみをし、ベッドに潜り込んだ。そしてメイドたちが去っていくのを見送る。
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メアリーから、万が一居場所が特定できる機械などが付いていると大変だから、置いて行くように言われた。その為、お父様から貰った宝石も、全て置いて行く事になっている。
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