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第71話:私、バカだったみたいです
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護衛騎士たちに見つからない様に、辺りを見渡しながら図書館を目指す。そして地下通路を通って、王宮の外へと出る。あらかじめ準備しておいた荷物を持って待ち合わせ場所に行くと、既にメアリーが来ていた。
「オリビア、こっちよ。この馬車に乗って頂戴」
シンプルな馬車に乗り込むと、すぐに馬車は走り出した。
「ごめんなさい、メアリー、少し待たせちゃったかしら?」
「いいえ、大丈夫よ。ただ、出発時刻より遅れてしまったら、少し飛ばし気味に行くわね」
確かにメアリーが言った通り、少しスピードが速い気がする。しばらく走ると、森に入った様で、辺りは真っ暗だ。こんな薄暗いところを通るのね。私、あまり馬車で遠出をしたことがないから分からなかったわ。
「オリビア、私の為に決断してくれて、本当にありがとう。私、本当にあなたには感謝しているのよ」
今まで無言で乗っていたメアリーが、急に私に話しかけてきた。
「気にしないで。メアリー、レオナルド様の事、どうかよろしくお願いします。私はクレティーノ王国で、2人の幸せを願っているわ」
そう伝えた。すると、なぜか急に声をあげて笑い始めたメアリー。一体何が可笑しいのかしら?
「相変わらずおめでたい頭をしているのね。9歳まで平民として育ったって聞いたから、もう少し頭がいいのかと思ったけれど。でも、あなたがバカだったから、本当に助かったわ!」
「メアリー?一体何を言っているの?」
すると急に馬車が停まった。そして、ドアがバンと開いたと思ったら、大柄の男たちに馬車から引きずり降ろされた。そして、ロープで手を縛られた。
どうやら大柄の悪い男に捕まってしまった様だ。
「メアリー、あなただけでも逃げて!」
せめてメアリーだけは助かって欲しい。そんな思いで叫んだのだが…
なぜかゆっくり馬車から降りてくるメアリー。
「あんた、どこまでバカなの?今の状況を見ても、まだ私を信じているの?本当におめでたい頭ね」
「どういう事?」
「オリビア、あなたはここで死ぬのよ。そう、この男たちは私が雇ったの。だから、あなたは私に嵌められてここに来たの」
「どういう事?でも、レオナルド様が好きという事は本当よね?2人は愛し合っているのでしょう?私、あなた達の邪魔をするつもりはないのよ。なのにどうして?」
「レオナルド様を愛している?誰が?そんな訳ないでしょう。オリビア、レオナルド様は今でもあなたを愛しているわよ。ずっと変わらずね」
「そんな…それじゃあ、あの音声は?」
そうよ、レオナルド様がメアリーに向かって愛を囁いていた、あの音声はどう説明するのよ!そんな思いで、叫んだ。
「ああ、あれ?あんなもの、なんとでも加工できるわよ。だってあの男、あなたにいつも“愛しているよ”って、言っていたじゃない。それを少し加工しただけ。でも、あれほどまでに愛情表現を受けていたのに、あんな音声だけであっさり私の言う事を信じちゃうなんて、レオナルド様も気の毒よね」
そう言って声をあげて笑っている。そんな…それじゃあ、レオナルド様はずっと私を愛し続けてくれていたてこと?それなのに私は…
本当に私、メアリーが言った通りバカだ。大バカ者だ、自分のバカさ加減に、涙が止まらない。
「でも、あんたがバカだったから、本当に助かったわ。まさか自分から身を引いて、国から出ると言い出すだなんて。もしかして、悲劇のヒロインにでもなったつもりだった?あんた、無駄に恋愛小説が好きだものね。あんなバカバカしい話を真剣に読んでいるなんて、本当にあんたの頭、どれだけお花畑なの?」
「どうしてそんな酷い事を言うの?あなただって、読んでいたじゃない」
「それはあんたに近づくためよ!正直反吐が出るほどバカげた話だったわ。そもそもあんたの好きなヒーロー、はっきり言って気持ち悪いわ。あんな男、この世に存在する訳ないでしょう?あぁ、いるわね、1人。あんたの父親が。本当に父親も頭がいかれているから、娘もいかれてしまったのね…」
「お父様の事を悪く言わないで!どうして私にこんな酷い事をするの?私、あなたに何かした?」
正直私はメアリーに命を狙われるほど、酷い事をした覚えはない。
「そうね、あなたからは特に何もされていないわ…でも、あなたの親からは、酷い仕打ちを受けたの。だから、私はずっと復讐する機会を伺っていた!」
ギロリと私を睨むメアリー。その瞳は、怒りで滲んでいた。恐怖で身を縮める。
「あなた…何を言っているの?」
メアリーが言っている意味が、さっぱり分からない。
「いいわ、教えてあげる。私の本当の名前は、メアリー・ディスウォンド、アイーシャの姪よ」
「オリビア、こっちよ。この馬車に乗って頂戴」
シンプルな馬車に乗り込むと、すぐに馬車は走り出した。
「ごめんなさい、メアリー、少し待たせちゃったかしら?」
「いいえ、大丈夫よ。ただ、出発時刻より遅れてしまったら、少し飛ばし気味に行くわね」
確かにメアリーが言った通り、少しスピードが速い気がする。しばらく走ると、森に入った様で、辺りは真っ暗だ。こんな薄暗いところを通るのね。私、あまり馬車で遠出をしたことがないから分からなかったわ。
「オリビア、私の為に決断してくれて、本当にありがとう。私、本当にあなたには感謝しているのよ」
今まで無言で乗っていたメアリーが、急に私に話しかけてきた。
「気にしないで。メアリー、レオナルド様の事、どうかよろしくお願いします。私はクレティーノ王国で、2人の幸せを願っているわ」
そう伝えた。すると、なぜか急に声をあげて笑い始めたメアリー。一体何が可笑しいのかしら?
「相変わらずおめでたい頭をしているのね。9歳まで平民として育ったって聞いたから、もう少し頭がいいのかと思ったけれど。でも、あなたがバカだったから、本当に助かったわ!」
「メアリー?一体何を言っているの?」
すると急に馬車が停まった。そして、ドアがバンと開いたと思ったら、大柄の男たちに馬車から引きずり降ろされた。そして、ロープで手を縛られた。
どうやら大柄の悪い男に捕まってしまった様だ。
「メアリー、あなただけでも逃げて!」
せめてメアリーだけは助かって欲しい。そんな思いで叫んだのだが…
なぜかゆっくり馬車から降りてくるメアリー。
「あんた、どこまでバカなの?今の状況を見ても、まだ私を信じているの?本当におめでたい頭ね」
「どういう事?」
「オリビア、あなたはここで死ぬのよ。そう、この男たちは私が雇ったの。だから、あなたは私に嵌められてここに来たの」
「どういう事?でも、レオナルド様が好きという事は本当よね?2人は愛し合っているのでしょう?私、あなた達の邪魔をするつもりはないのよ。なのにどうして?」
「レオナルド様を愛している?誰が?そんな訳ないでしょう。オリビア、レオナルド様は今でもあなたを愛しているわよ。ずっと変わらずね」
「そんな…それじゃあ、あの音声は?」
そうよ、レオナルド様がメアリーに向かって愛を囁いていた、あの音声はどう説明するのよ!そんな思いで、叫んだ。
「ああ、あれ?あんなもの、なんとでも加工できるわよ。だってあの男、あなたにいつも“愛しているよ”って、言っていたじゃない。それを少し加工しただけ。でも、あれほどまでに愛情表現を受けていたのに、あんな音声だけであっさり私の言う事を信じちゃうなんて、レオナルド様も気の毒よね」
そう言って声をあげて笑っている。そんな…それじゃあ、レオナルド様はずっと私を愛し続けてくれていたてこと?それなのに私は…
本当に私、メアリーが言った通りバカだ。大バカ者だ、自分のバカさ加減に、涙が止まらない。
「でも、あんたがバカだったから、本当に助かったわ。まさか自分から身を引いて、国から出ると言い出すだなんて。もしかして、悲劇のヒロインにでもなったつもりだった?あんた、無駄に恋愛小説が好きだものね。あんなバカバカしい話を真剣に読んでいるなんて、本当にあんたの頭、どれだけお花畑なの?」
「どうしてそんな酷い事を言うの?あなただって、読んでいたじゃない」
「それはあんたに近づくためよ!正直反吐が出るほどバカげた話だったわ。そもそもあんたの好きなヒーロー、はっきり言って気持ち悪いわ。あんな男、この世に存在する訳ないでしょう?あぁ、いるわね、1人。あんたの父親が。本当に父親も頭がいかれているから、娘もいかれてしまったのね…」
「お父様の事を悪く言わないで!どうして私にこんな酷い事をするの?私、あなたに何かした?」
正直私はメアリーに命を狙われるほど、酷い事をした覚えはない。
「そうね、あなたからは特に何もされていないわ…でも、あなたの親からは、酷い仕打ちを受けたの。だから、私はずっと復讐する機会を伺っていた!」
ギロリと私を睨むメアリー。その瞳は、怒りで滲んでいた。恐怖で身を縮める。
「あなた…何を言っているの?」
メアリーが言っている意味が、さっぱり分からない。
「いいわ、教えてあげる。私の本当の名前は、メアリー・ディスウォンド、アイーシャの姪よ」
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