あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi

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第8話:カナリアはどうしてしまったのだろう~アルト視点~

 この国の第一王子として生まれた僕は、両親や使用人たちの愛情を一身に受け、何不自由ない生活を送っていた。基本的に僕は、何かに執着する事はない。

 ただ、ある人物を除いて…

 そう、僕が唯一大切にしている人がいる。それは、婚約者でもあるカナリアだ。カナリアの母親と僕の母上は仲が良かった事もあり、まだ赤ちゃんだった頃から、僕とカナリアはよく一緒に過ごしていたらしい。

 物心ついた時から僕の傍にいてくれるカナリアが、僕は愛おしくてたまらなかった。どうしてカナリアは、こんなにも可愛いのだろう。カナリアが笑ってくれるだけで、僕は嬉しい。カナリアが悲しい顔をしているだけで、胸が張り裂けそうになる。

 母上曰く、僕は既に1~2歳くらいの時から、ずっとカナリアの事が大好きで、カナリアが屋敷に戻ってしまう時は、大泣きして大変だったと教えてくれた。

 どうしてそこまでカナリアに執着するのだろう、自分でもわからない。ただ、僕にとってカナリアは、もう僕の心臓の様な存在なのだ。カナリアがいないと僕は生きていけない程、彼女を愛している。

 ただ、カナリアには常に双子の兄、カルアとアクアがいた。あいつらはカナリアを溺愛しており、何かに付けて僕からカナリアを奪おうとする。

 僕からカナリアを奪おうとするのは、カルアとアクアだけではない。

 僕とカナリアの幼馴染、シモンもそうだ。特に2人は仲が良く、お互いの名を呼び捨てで呼び合っていた。シモンはきっと、カナリアが好きだ。カナリアも、もしかすると…


 嫌だ、絶対にカナリアをシモンに渡したくない!

 その上カナリアの父、ディステニー公爵は、あまり権力に興味がなく、カナリアを王妃にする事に消極的だったのだ。

 精神的にも肉体的にもきつい王妃ではなく、どこかの貴族に嫁いでほしいと考えていた様だ。きっとシモンの家に、カナリアを嫁がせようとしているに違いない。

 そう、僕はこの敵だらけの中、何とかカナリアを僕の婚約者にするために、必死に動いた。

 公爵に認めてもらえる様に、勉学はもちろん、武術にも力を入れた。大好きなカナリアとの時間も大切にした。さらに母上を味方に付け、ディステニー公爵夫人からも、公爵に僕とカナリアを婚約できるように頼んでもらったりもした。

 すると

 “カナリアが、殿下との婚約を望むのでしたら…”

 そう言いだしたのだ。そしてカナリア自身も、僕と結婚してもいいと言ってくれた。そのお陰で時間はかかってしまったが、8歳の時に晴れて僕たちは婚約者同士になれたのだ。

 これで誰がなんと言おうと、カナリアは僕の婚約者だ。まずシモンを呼び出すと、二度とカナリアに馴れ馴れしくしないようにと、強く訴えた。

 僕の気迫に押されたのだろう。

 はぁっとため息をつくと

「わかったよ、もうカナリアとは、一定の距離を取るよ。それにしても、アルトの執念にはびっくりだ。本当にアルトは…」

 そう言って呆れていた。それでもシモンは、僕のお願いを聞いてくれ、カナリアとは距離を置いてくれたのだ。急に冷たくされ、最初は落ち込んでいたカナリアだったが、その分僕が愛情をたっぷり注いだら、すぐに元気になってくれた。

 相変わらずアクアとカルアはうるさいが、それでも僕はこの5年、本当に幸せだった。

 そんな中、事件は起きたのだ。

 なんとカナリアが、原因不明の高熱に襲われたのだ。

 うなされながらベッドに横たわるカナリアを見た瞬間、僕は正気ではいられなかった。すぐに優秀な医者たちが集められたが、なぜか原因が分からないというのだ。

 医者なのに原因が分からないだなんて、ふざけるな!このままではカナリアが…

 公爵家でも優秀な医者を手配しているが、どの医者も首をかしげるばかり。日に日に弱っていくカナリア。このままだと、本当にカナリアの命が持たないかもしれない。

 嫌だ…

 僕の大切なカナリアに、もしものことがあったら…今までに感じた事のない恐怖が、僕を襲った。とにかくずっとカナリアの傍で、彼女の見ていないと不安でたまらないのだ。

 でも、そんな僕を公爵やカルア・アクアが邪魔をする。3人に追いかえされて王宮に戻っても、僕は心配で何も手につかないのだ。

 頼む、僕の命と引き換えにしてもかまわない。だからどうか、カナリアを助けて欲しい。僕は何度も何度も、月に向かってお祈りをした。我が国では特に満月の日にお願いをすると、自分の大切なものと引き換えに、願いを叶えてくれると言われているのだ。

 そんな僕の願いが通じたのか、カナリアの熱が下がったとの連絡を受けたのだ。僕は嬉しくて、すぐにカナリアの元に向かったのだが…

 なぜか僕を見ると悲しそうな顔をして、涙を流しているのだ。どうしてそんな顔をするのだい?僕はカナリアが泣いている姿を見ると、辛くてたまらないのだよ。頼む、泣かないでくれ。

 泣いているカナリアを心配する僕の気持ちとは裏腹に、さっさと僕を追い出す公爵家の男ども。あいつらのせいで、この日はカナリアに会う事が出来なかった。

 翌日も朝早くカナリアに会いに行ったが、体調が悪いからと言って、僕に会ってくれなかった。

 一体どうしてしまったのだろう?

 僕は言いようのない不安に襲われたのだった。

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