あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi

文字の大きさ
17 / 34

第17話:アルト様はシャーラ様がお好きなのね…

しおりを挟む
「カナリア、その女から離れるんだ!」

 声が聞こえたと同時に、シャーラ様から引き離され、そのまま抱きしめられた。この声は、アルト様だ。

「アルト、急に走り出してどうしたのだい?シャーラ嬢?それにカナリア嬢も、一体何があったのだい?」

 シモン様も後ろからやって来た。

「シモン様、実は…」

「カナリア、とにかく帰ろう。さあ、行くよ」

 私の手を取り、そのままアルト様が歩き出した。どうやらかなり怒っているらしい。どうしてこんなに怒っているのかしら?

 そのまま無言で進んでいくと、王家の馬車に乗せられた。

「カナリア、一体どういうつもりだい?どうして君が、シャーラ嬢に抱き着いていたのだい?それにどうしてあんな場所にいたのだい?僕は部屋で大人しく待っている様にと言ったよね」

 怖い顔で迫って来るアルト様に、若干恐怖を感じる。

「あの…私は…お手洗いに行きたくなって、それで…」

「お手洗いは中庭の奥にあるのかい?カナリア、シャーラ嬢にはもう関わらないでくれ!いいね、分かったね」

 どうしてアルト様は、こんなに怒っているのかしら?どうして私が、シャーラ様と関わる事を嫌がるの?

 …そうか、もう既にアルト様は、シャーラ様がお好きなのだわ。だから婚約者でもある私が、シャーラ様に酷い事をしないか、心配しているのかもしれない。実際あの時、シャーラ様は泣いていたし。私がイジメたと勘違いしたのかもしれないわ。

 いや、もしかしたらさっきシャーラ様に抱き着いていたから、私がシャーラ様に好意を持っていると勘違いしたのかしら?

 令嬢同士でも恋人関係になる人もいるものね。とにかく誤解を解かないと…

「あの、アルト様、シャーラ様とは…」

「カナリアの口から、彼女の名前は聞きたくないよ。頼む、今は黙っていて…」

 そう言われてしまったのだ。よほどシャーラ様の事がお好きなのだろう。今も私に抱き着いてきているが、きっとこれはカモフラージュ。

 シャーラ様は伯爵令嬢だ。公爵令嬢の私を敵に回しては面倒な事になると、アルト様も理解しているのだろう。

 アルト様はああ見えて用心深い。きっと私にバレない様に、演技を続けるつもりなのだわ。その証拠に、この日は夜遅くまで、アルト様がずっと私の傍にいて離れなかった。

 家に帰ると、今日のアルト様の様子を思い出す。

 アルト様があんなに取り乱すだなんて。きっと一刻も早く、シャーラ様から私を遠ざけたかったのだわ。私、そこまでアルト様に嫌われる様な事をしたかしら?

 でも、まだ正直アルト様とシャーラ様が、どこまで仲を深めているか分からない。とにかく一度、アルト様とシャーラ様がどこまで関係を深めているのか、確かめないと。

 私はこの3ヶ月、実はあまり何もしてこなかったのだ。ずっと私の傍にいてくれるアルト様を見ていると、なんだかシャーラ様と仲を深めている様には思えなかった。

 もしかしたら、話しが変わってアルト様とシャーラ様は結ばれないのでは?なんて都合のいい事を考えていたのだ。だから国を出る準備も、あまり進めていなかった。

 私が気が付かないだけで、2人の仲は既に深まりつつあるのかもしれない。とにかく、一度どこまで話が進んでいるのか、確かめないと。

 それから、早急に国を出る準備を進めないと。両親やお兄様たちにも、アルト様と婚約を解消したら心の傷を癒すため、旅に出たい旨も伝えよう。

 でも、お父様とお兄様たちが、許してくれるかしら?

 その時はお母様とお姉様に泣き付けばいいか…

 とにかくまずは、アルト様とシャーラ様の進み具合を確認しないとね…

 ただ…

 私はやっぱりアルト様が大好きだ。大好きな人の為に身を引くと決めたのに、いざその時が近づいてくると、辛いものね。

 ええい、こうなったら今日は、ヤケ炭酸ジュースとヤケサラミ食いよ!

 この日の夜、私は炭酸ジュースとサラミを暴飲暴食したのだった。

 そして翌日。

 いつもの様に学院に向かうが、珍しくアルト様の姿がない。なんだか嫌な予感がした。もしかして、早朝2人で会っているのかも…

 確か2人は、いつも人気の少ない校舎裏で会っていた様な…

 曖昧な記憶を頼りに校舎裏に向かうと、そこにはアルト様とシャーラ様の姿が。やっぱりここで密会していたのだわ。

 話し声はあまり聞こえないし、アルト様は背中を向けているので表情は見えないが、何やらシャーラ様は神妙な顔をしている。

 次の瞬間、シャーラ様が泣きだしたのだ。もしかしたら昨日の件で、アルト様に訴えているのかもしれない。

 きっとこの後、アルト様が優しくシャーラ様を抱きしめ…

 イヤ!そんな姿は見たくないわ!

 そんな思いで、クルリと反対側を向くと、急いでその場を後にした。

 まさかあんな風に、2人が会っていただなんて。それも私に気が付かれないように…

 次から次へと溢れる涙を止める事が出来ない。分かっていた事じゃない。シャーラ様とアルト様はヒーローとヒロインで、2人は猛烈に惹かれ合う事くらい。

 だからこそ私は、2人の為に身を引こう、ただ、シャーラ様とアルト様が恋仲になるまでは、アルト様の傍にいよう。

 そして2人が結ばれた暁には、私は国を出て、2人の幸せを遠くから願おう。

 そう決めたはずなのに…

 どうしてこんなに苦しいのだろう。苦しくて苦してく、たまらない。

 こんな事なら記憶が戻った時点で、婚約を解消しておけばよかったわ…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!

たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。 なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!! 幸せすぎる~~~♡ たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!! ※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。 ※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。 短めのお話なので毎日更新 ※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。 ※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。 《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》 ※他サイト様にも公開始めました!

好きでした、婚約破棄を受け入れます

たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……? ※十章を改稿しました。エンディングが変わりました。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*

音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。 塩対応より下があるなんて……。 この婚約は間違っている? *2021年7月完結

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

【完結】消えた姉の婚約者と結婚しました。愛し愛されたかったけどどうやら無理みたいです

金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベアトリーチェは消えた姉の代わりに、姉の婚約者だった公爵家の子息ランスロットと結婚した。 夫とは愛し愛されたいと夢みていたベアトリーチェだったが、夫を見ていてやっぱり無理かもと思いはじめている。 ベアトリーチェはランスロットと愛し愛される夫婦になることを諦め、楽しい次期公爵夫人生活を過ごそうと決めた。 一方夫のランスロットは……。 作者の頭の中の異世界が舞台の緩い設定のお話です。 ご都合主義です。 以前公開していた『政略結婚して次期侯爵夫人になりました。愛し愛されたかったのにどうやら無理みたいです』の改訂版です。少し内容を変更して書き直しています。前のを読んだ方にも楽しんでいただけると嬉しいです。

嫌われていると思って彼を避けていたら、おもいっきり愛されていました

Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のアメリナは、幼馴染の侯爵令息、ルドルフが大好き。ルドルフと少しでも一緒にいたくて、日々奮闘中だ。ただ、以前から自分に冷たいルドルフの態度を気にしていた。 そんなある日、友人たちと話しているルドルフを見つけ、近づこうとしたアメリナだったが “俺はあんなうるさい女、大嫌いだ。あの女と婚約させられるくらいなら、一生独身の方がいい!” いつもクールなルドルフが、珍しく声を荒げていた。 うるさい女って、私の事よね。以前から私に冷たかったのは、ずっと嫌われていたからなの? いつもルドルフに付きまとっていたアメリナは、完全に自分が嫌われていると勘違いし、彼を諦める事を決意する。 一方ルドルフは、今までいつも自分の傍にいたアメリナが急に冷たくなったことで、完全に動揺していた。実はルドルフは、誰よりもアメリナを愛していたのだ。アメリナに冷たく当たっていたのも、アメリナのある言葉を信じたため。 お互い思い合っているのにすれ違う2人。 さらなる勘違いから、焦りと不安を募らせていくルドルフは、次第に心が病んでいき… ※すれ違いからのハッピーエンドを目指していたのですが、なぜかヒーローが病んでしまいました汗 こんな感じの作品ですが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m

処理中です...