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第2話:結婚式当日を迎えました
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翌日、雲一つない晴天だ。今日は私とあの男の結婚式。やっとこの屋敷からもおさらばできるのね…
窓から外を眺めていると
「お嬢様、お着替えのお時間です」
相変わらず不愛想なメイドたちがやって来た。いつもの様に雑に私を着替えさせる。そして、今日の会場でもある王宮へと向かった。
王宮のメイドたちによって、体を磨かれウエディングドレスに着替えさせられた。もちろん、王宮のメイドたちも、私に声を掛けてくることはない。ただ淡々と仕事をこなすのみだ。
そんな私の元にやって来たのは、王妃様だ。
「ドレスはとても素敵なのに、やっぱりあなたの様な令嬢が着ると、なんだか地味に見えるわね…これじゃあ、エイダンが可哀そうだわ」
いつもの様に嫌味を言う王妃様。
「地味で申し訳ございません。でも、私はお飾りの妻ですので。結婚式が終わりましたら、離宮に引きこもる所存でございます。ですから、エイダン様には華やかで美しい側室を、是非迎え入れてあげて下さい」
笑顔でそう伝えてやった。
「何て女なの!私に口答えするなんて。あなたに言われなくても、エイダンには選りすぐりの令嬢たちを側室として迎えるつもりよ!後でエイダンが来ないと泣いても知らないからね」
そう吐き捨てると、プリプリ怒りながら出て行った王妃様。あら?私、やれば出来るじゃない。なんだか少しだけ胸がすっきりした。
そして使用人に連れられ、エイダン様の元へと向かう。いつもの様に不機嫌な顔をしているのだろう、そう思ったのだが…
「サーラ、そのウエディングドレス、とてもよく似合っているよ。今日は僕たちの結婚式だ。これで僕たちは、晴れて夫婦だね」
なぜか馴れ馴れしく話しかけてくるエイダン様。何この人、昨日まで眉間に皺を寄せて、嫌味を言っていたのに…
「そうですわね。どうか私の事は気にせず、側室たちと愛し合ってください」
目も合わさずにそう伝えてやった。
「サーラ、どうしたんだい?なんだか今日の君は様子が変だよ」
様子が変なのはあなたでしょう。いつもいつも私の顔を見るなり、嫌味しか言わなかったくせに。私はあなたの顔なんて、もう見たくない。この結婚式が終わったら、離宮にこもるつもりなんだから。そんな思いで、プイっと明後日の方向を向いた。
「サーラ…あの…」
「エイダン殿下、サーラ様。そろそろご入場の時間です」
執事に促され、腕を組む。こうやって2人で公に出るのも、これが最初で最後かしら?とにかく、今日の式が終われば、私は自由に過ごさせてもらうわ。
そんな事を考えていると、大きま扉が開いた。沢山の貴族が見守る中、ゆっくりと入場していく。私を虐めていた令嬢たちは相変わらず私を睨みつけている。でも、もう別にどうでもいい…とにかく一刻も早く、この式を終わらせたい。
そんな思いで、式に挑む。式が終わると、バルコニーに出て、民衆に手を振る。皆様、きっと私が公の場に現れるのは、これが最後ですよ。そんな思いで、精一杯笑顔を振りまき、手を振り続けた。
続いて他国の王族たちを招いた披露宴が行われた。これまた面倒で仕方ないが、とにかく笑顔で振舞った。他国の王族の皆さん、きっとあなた達と会う事ももうないので、私の事は忘れても大丈夫ですよ。そう心の中で呟きながら、挨拶をしていった。
そしてやっと全てが終わり、メイドに連れられ自室へと向かう。今日から暮らす部屋は、一体どんな部屋が準備されているのかしら?もしかして、牢の様なところだったりして。
それならそれで、面白いわね。そう思っていると、なぜか本宮へと連れていかれる。あら?私は離宮で暮らすはずでは?そう思っていると
「ちょっと、どうしてこの女を本宮に向かわせているのよ。この女は離宮で暮らす様、手配を整えたはずよ!」
すかさず王妃様が私とメイドに向かって怒鳴りつけた。
「申し訳ございません。あの…エイダン殿下が…」
「とにかく、今すぐこの女を離宮に連れて行きなさい!いい、私の許可なしに、本宮に入る事を禁じます。いいですね」
私に向かって怒鳴る王妃様。そんなに大きな声を出さなくても、聞こえていますわ。
「はい、分かりました。その様に致します」
王妃様に頭を下げ、離宮へと向かった。
「王妃様があなた様の為に準備された部屋です。どうか用事がない限り、この部屋から出ない様、お願いいたします」
そう言うと、さっさと部屋から出ていくメイド。離宮の中でも、本宮から一番離れた建屋に案内された。6畳程度の小さな部屋に、浴槽とトイレが付いているだけ。
さすが王妃様だわ。仮にも私はエイダン様の正室なのに、こんな部屋を与えるなんて。そういえばここは、かつて犯罪を犯した上級貴族が幽閉されていた場所と聞いたことがある。要するに、私は犯罪者と一緒という事なのだろう。
換気程度に付いている小さな窓を覗くと、そこには真っ暗な森が。ここまで虐げられると、さすがに笑いがこみ上げてきた。そうだわ、明日あの森に散策に行こう。なんだかワクワクしてきた。
窓から外を眺めていると
「お嬢様、お着替えのお時間です」
相変わらず不愛想なメイドたちがやって来た。いつもの様に雑に私を着替えさせる。そして、今日の会場でもある王宮へと向かった。
王宮のメイドたちによって、体を磨かれウエディングドレスに着替えさせられた。もちろん、王宮のメイドたちも、私に声を掛けてくることはない。ただ淡々と仕事をこなすのみだ。
そんな私の元にやって来たのは、王妃様だ。
「ドレスはとても素敵なのに、やっぱりあなたの様な令嬢が着ると、なんだか地味に見えるわね…これじゃあ、エイダンが可哀そうだわ」
いつもの様に嫌味を言う王妃様。
「地味で申し訳ございません。でも、私はお飾りの妻ですので。結婚式が終わりましたら、離宮に引きこもる所存でございます。ですから、エイダン様には華やかで美しい側室を、是非迎え入れてあげて下さい」
笑顔でそう伝えてやった。
「何て女なの!私に口答えするなんて。あなたに言われなくても、エイダンには選りすぐりの令嬢たちを側室として迎えるつもりよ!後でエイダンが来ないと泣いても知らないからね」
そう吐き捨てると、プリプリ怒りながら出て行った王妃様。あら?私、やれば出来るじゃない。なんだか少しだけ胸がすっきりした。
そして使用人に連れられ、エイダン様の元へと向かう。いつもの様に不機嫌な顔をしているのだろう、そう思ったのだが…
「サーラ、そのウエディングドレス、とてもよく似合っているよ。今日は僕たちの結婚式だ。これで僕たちは、晴れて夫婦だね」
なぜか馴れ馴れしく話しかけてくるエイダン様。何この人、昨日まで眉間に皺を寄せて、嫌味を言っていたのに…
「そうですわね。どうか私の事は気にせず、側室たちと愛し合ってください」
目も合わさずにそう伝えてやった。
「サーラ、どうしたんだい?なんだか今日の君は様子が変だよ」
様子が変なのはあなたでしょう。いつもいつも私の顔を見るなり、嫌味しか言わなかったくせに。私はあなたの顔なんて、もう見たくない。この結婚式が終わったら、離宮にこもるつもりなんだから。そんな思いで、プイっと明後日の方向を向いた。
「サーラ…あの…」
「エイダン殿下、サーラ様。そろそろご入場の時間です」
執事に促され、腕を組む。こうやって2人で公に出るのも、これが最初で最後かしら?とにかく、今日の式が終われば、私は自由に過ごさせてもらうわ。
そんな事を考えていると、大きま扉が開いた。沢山の貴族が見守る中、ゆっくりと入場していく。私を虐めていた令嬢たちは相変わらず私を睨みつけている。でも、もう別にどうでもいい…とにかく一刻も早く、この式を終わらせたい。
そんな思いで、式に挑む。式が終わると、バルコニーに出て、民衆に手を振る。皆様、きっと私が公の場に現れるのは、これが最後ですよ。そんな思いで、精一杯笑顔を振りまき、手を振り続けた。
続いて他国の王族たちを招いた披露宴が行われた。これまた面倒で仕方ないが、とにかく笑顔で振舞った。他国の王族の皆さん、きっとあなた達と会う事ももうないので、私の事は忘れても大丈夫ですよ。そう心の中で呟きながら、挨拶をしていった。
そしてやっと全てが終わり、メイドに連れられ自室へと向かう。今日から暮らす部屋は、一体どんな部屋が準備されているのかしら?もしかして、牢の様なところだったりして。
それならそれで、面白いわね。そう思っていると、なぜか本宮へと連れていかれる。あら?私は離宮で暮らすはずでは?そう思っていると
「ちょっと、どうしてこの女を本宮に向かわせているのよ。この女は離宮で暮らす様、手配を整えたはずよ!」
すかさず王妃様が私とメイドに向かって怒鳴りつけた。
「申し訳ございません。あの…エイダン殿下が…」
「とにかく、今すぐこの女を離宮に連れて行きなさい!いい、私の許可なしに、本宮に入る事を禁じます。いいですね」
私に向かって怒鳴る王妃様。そんなに大きな声を出さなくても、聞こえていますわ。
「はい、分かりました。その様に致します」
王妃様に頭を下げ、離宮へと向かった。
「王妃様があなた様の為に準備された部屋です。どうか用事がない限り、この部屋から出ない様、お願いいたします」
そう言うと、さっさと部屋から出ていくメイド。離宮の中でも、本宮から一番離れた建屋に案内された。6畳程度の小さな部屋に、浴槽とトイレが付いているだけ。
さすが王妃様だわ。仮にも私はエイダン様の正室なのに、こんな部屋を与えるなんて。そういえばここは、かつて犯罪を犯した上級貴族が幽閉されていた場所と聞いたことがある。要するに、私は犯罪者と一緒という事なのだろう。
換気程度に付いている小さな窓を覗くと、そこには真っ暗な森が。ここまで虐げられると、さすがに笑いがこみ上げてきた。そうだわ、明日あの森に散策に行こう。なんだかワクワクしてきた。
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