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第7話:マックを探します
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こっそり窓から外に出ると、まずは近くにいた鳥たちに話しかける。
「こんにちは、私はレアンヌよ。ねえ、あなた達、黒くて大きな馬を見なかった?」
“君、人間なのに僕たちに話しかけられるのかい?すごいね。黒い馬か。確かこっちの方に向かって走って行ったよ。ついておいで”
親切な鳥たちが、マックの向った方へと案内してくれる。ただ、途中でマックを探している使用人たちの姿が。もしここで見つかれば、きっと連れ戻されるわ。どうしよう…
“どうしたんだい?急に隠れて”
「実は使用人たちに見つからない様に、馬を探したいの…」
“そうだったんだね。わかったよ。任せて”
鳥たちは使用人がいない場所を選んで道を案内してくれる。本当に動物たちって、皆とても親切なのよね。有難いわ。
“確かこっちに行ったよ”
鳥たちは森の中に入って行く。一瞬足が止まった。リサからは森には行ってはいけないと言われていた。もし私がいいつけを破って森に入ったら、リサは私の事、嫌いになるかしら?
“レアンヌ、今度はどうしたんだい?”
心配そうに鳥たちが話しかけてきてくれる。
「何でもないわ、行きましょう」
既に部屋から黙って抜け出している今、そんな事を考えても仕方がない。戻ったら、素直に謝ろう。
“こっちだよ。あれ?こっちだったけ?”
“違うよ、こっちだよ”
鳥たちが急に言い合いを始めた。どうやらマックがどっちに行ったか分からなくなった様だ。
“あなた達、どうしたの?”
私達に話しかけてきたのは、鹿だ。
”実はこの子が黒い馬を探しているらしいんだ。それで、居場所を教えてあげようと思ったのだけれど…“
“黒い馬ならあっちで見たわよ。付いて来て”
今度は鹿が案内してくれるみたいだ。有難い。
“あら?この辺にいたのだけれど…どこに行ったのかしら?”
「鹿さん、ありがとう。ここら辺にいたのよね。他の動物たちに聞いてみるわ」
“あら、あなた、私の言葉が分かるのね。待って、他の子たちに聞いてみるわ。それから、あっちの方に行くと、怒りん坊のクマがいるから気を付けてね。いっつも怒っているから”
「ありがとう。気を付けるわ」
そう言って鹿と別れようとした時だった。
“レアンヌ、こっちにいたよ。こっちだ”
最初に案内してくれた鳥たちが戻ってきた。どうやら仲間たちに居場所を聞いてきてくれた様だ。
「まあ、本当?ありがとう。早速行きましょう」
鳥たちに案内され、急いでマックのいる場所に向かう。すると、美しい黒い毛並みの馬がいた。あの子がきっとマックね。
「マック」
私が声を掛けると、ゆっくりとこっちを向く。
“お前は誰だ?どうして俺の名前を知っているんだ?”
不機嫌そうにマックがこっちを向いた。相当ご立腹の様で、こちらを睨んでいる。
「私はレアンヌよ。あなたのご主人様のお家で、お世話になっているの。あなたが逃げ出したと聞いたから、探しに来たの。一緒に帰りましょう」
ゆっくりマックに近づこうとすると…
“こっちに来るな!俺はもうあの家には帰らない。あんな狭い馬小屋に閉じ込められ、退屈な日々を過ごしているんだ!俺はもっと駆け回りたいのに、全然小屋から出してくれないんだ。飯もまずいし!俺はアントニオと戦場を駆け回っていた時の様に、自由に駆け回りたい!だから絶対に帰らない!”
フン、とあちらの方向を向いてしまった。どうやら狭い馬小屋に閉じ込められている生活が不満な様だ。
ゆっくり彼に近づく。
「そうだったの。今まで自由に走り回っていたのに、ずっと小屋に閉じ込められていたら、逃げ出したくもなるわよね」
“そうだ!最近はアントニオも全然俺に会いに来ないし…あいつはもう、俺の事を忘れてしまったんだ…”
寂しそうに呟くマック。
“マックは旦那様が大好きなのね。でもきっと、旦那様は今でもマックの事を好きだと思うわ。きっと今頃、マックを心配していると思うの。私と一緒に帰りましょう”
ゆっくりとマックに近づく。
“俺に近づくな!俺は帰らないからな。あんな狭い馬小屋で、俺の事を理解していないやつらに怯えられながら世話をされるなんて御免だ!”
あら、結構頑固な性格なのね。
「それなら、私があなたのお世話をするわ。私はあなたの言葉がわかるから、きっと快適に暮らせると思うの。それにこの森には、怒りん坊のクマがいるそうよ。あなた、見つかったら食べられちゃうかもしれないし」
“俺はクマなんて怖くない!俺を誰だと思っているんだ!”
「ごめんなさい。さあ、そろそろ日も暮れるわ。暗くなるうちに帰りましょう。ねえ、私を乗せてくれない?遠くまで歩いて来たから、足が痛くて…思いっきり走ってくれたらいいわ」
“お前、図々しいぞ。俺はアントニオしか乗せないんだ!でも…お前、足から血が出ているな。仕方がない、お前がそこまで言うなら、帰ってやるか…いいか、さっき言った事を忘れるなよ!俺の面倒を毎日見る事、俺の言う事を聞く事をだ!”
「ええ、分かっているわ。さあ、帰りましょう」
マックの背中に乗り込んだ。
“俺は手加減しないから、振り落とされない様に気を付けろよ”
「ええ、分かったわ」
そう言いつつ、私が落ちない様にゆっくり走ってくれるマック。この子、根はきっと優しいのね。とにかく、マックが見つかってよかったわ。
「こんにちは、私はレアンヌよ。ねえ、あなた達、黒くて大きな馬を見なかった?」
“君、人間なのに僕たちに話しかけられるのかい?すごいね。黒い馬か。確かこっちの方に向かって走って行ったよ。ついておいで”
親切な鳥たちが、マックの向った方へと案内してくれる。ただ、途中でマックを探している使用人たちの姿が。もしここで見つかれば、きっと連れ戻されるわ。どうしよう…
“どうしたんだい?急に隠れて”
「実は使用人たちに見つからない様に、馬を探したいの…」
“そうだったんだね。わかったよ。任せて”
鳥たちは使用人がいない場所を選んで道を案内してくれる。本当に動物たちって、皆とても親切なのよね。有難いわ。
“確かこっちに行ったよ”
鳥たちは森の中に入って行く。一瞬足が止まった。リサからは森には行ってはいけないと言われていた。もし私がいいつけを破って森に入ったら、リサは私の事、嫌いになるかしら?
“レアンヌ、今度はどうしたんだい?”
心配そうに鳥たちが話しかけてきてくれる。
「何でもないわ、行きましょう」
既に部屋から黙って抜け出している今、そんな事を考えても仕方がない。戻ったら、素直に謝ろう。
“こっちだよ。あれ?こっちだったけ?”
“違うよ、こっちだよ”
鳥たちが急に言い合いを始めた。どうやらマックがどっちに行ったか分からなくなった様だ。
“あなた達、どうしたの?”
私達に話しかけてきたのは、鹿だ。
”実はこの子が黒い馬を探しているらしいんだ。それで、居場所を教えてあげようと思ったのだけれど…“
“黒い馬ならあっちで見たわよ。付いて来て”
今度は鹿が案内してくれるみたいだ。有難い。
“あら?この辺にいたのだけれど…どこに行ったのかしら?”
「鹿さん、ありがとう。ここら辺にいたのよね。他の動物たちに聞いてみるわ」
“あら、あなた、私の言葉が分かるのね。待って、他の子たちに聞いてみるわ。それから、あっちの方に行くと、怒りん坊のクマがいるから気を付けてね。いっつも怒っているから”
「ありがとう。気を付けるわ」
そう言って鹿と別れようとした時だった。
“レアンヌ、こっちにいたよ。こっちだ”
最初に案内してくれた鳥たちが戻ってきた。どうやら仲間たちに居場所を聞いてきてくれた様だ。
「まあ、本当?ありがとう。早速行きましょう」
鳥たちに案内され、急いでマックのいる場所に向かう。すると、美しい黒い毛並みの馬がいた。あの子がきっとマックね。
「マック」
私が声を掛けると、ゆっくりとこっちを向く。
“お前は誰だ?どうして俺の名前を知っているんだ?”
不機嫌そうにマックがこっちを向いた。相当ご立腹の様で、こちらを睨んでいる。
「私はレアンヌよ。あなたのご主人様のお家で、お世話になっているの。あなたが逃げ出したと聞いたから、探しに来たの。一緒に帰りましょう」
ゆっくりマックに近づこうとすると…
“こっちに来るな!俺はもうあの家には帰らない。あんな狭い馬小屋に閉じ込められ、退屈な日々を過ごしているんだ!俺はもっと駆け回りたいのに、全然小屋から出してくれないんだ。飯もまずいし!俺はアントニオと戦場を駆け回っていた時の様に、自由に駆け回りたい!だから絶対に帰らない!”
フン、とあちらの方向を向いてしまった。どうやら狭い馬小屋に閉じ込められている生活が不満な様だ。
ゆっくり彼に近づく。
「そうだったの。今まで自由に走り回っていたのに、ずっと小屋に閉じ込められていたら、逃げ出したくもなるわよね」
“そうだ!最近はアントニオも全然俺に会いに来ないし…あいつはもう、俺の事を忘れてしまったんだ…”
寂しそうに呟くマック。
“マックは旦那様が大好きなのね。でもきっと、旦那様は今でもマックの事を好きだと思うわ。きっと今頃、マックを心配していると思うの。私と一緒に帰りましょう”
ゆっくりとマックに近づく。
“俺に近づくな!俺は帰らないからな。あんな狭い馬小屋で、俺の事を理解していないやつらに怯えられながら世話をされるなんて御免だ!”
あら、結構頑固な性格なのね。
「それなら、私があなたのお世話をするわ。私はあなたの言葉がわかるから、きっと快適に暮らせると思うの。それにこの森には、怒りん坊のクマがいるそうよ。あなた、見つかったら食べられちゃうかもしれないし」
“俺はクマなんて怖くない!俺を誰だと思っているんだ!”
「ごめんなさい。さあ、そろそろ日も暮れるわ。暗くなるうちに帰りましょう。ねえ、私を乗せてくれない?遠くまで歩いて来たから、足が痛くて…思いっきり走ってくれたらいいわ」
“お前、図々しいぞ。俺はアントニオしか乗せないんだ!でも…お前、足から血が出ているな。仕方がない、お前がそこまで言うなら、帰ってやるか…いいか、さっき言った事を忘れるなよ!俺の面倒を毎日見る事、俺の言う事を聞く事をだ!”
「ええ、分かっているわ。さあ、帰りましょう」
マックの背中に乗り込んだ。
“俺は手加減しないから、振り落とされない様に気を付けろよ”
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