邪魔者王女はこの国の英雄と幸せになります

Karamimi

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第8話:怒られました

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しばらく走ると、心配そうな顔をした使用人たちと旦那様が目に入る。そこには、涙を流しているリサの姿も。

「あれは、マック様。それに、レアンヌ様も一緒だ…」

皆の元に駆け寄ると、そのままマックから降りた。

「レアンヌ様!よかった、ご無事だったのですね」

涙を流しながら抱きしめてくれるのは、リサだ。温かくて柔らかい…随分前にお母様に抱きしめられて以来の温もりだ。

「リサ、ごめんなさい。私、どうしてもマックが気になって…」

「だからって、勝手にお部屋を抜け出すだなんて。私共がどれほど心配したか!」

「ごめんなさい…」

予想通り怒られてしまった。

「リサ、落ち着け。君がマックを連れ帰ったのか?私以外の人間を背中に乗せるだなんて…」

旦那様がそう呟いた。鉄の仮面を被っている為、表情が全く見えないのが、多分驚いているのだろう。

そうだわ!

「旦那様、マックは狭い馬小屋にずっと閉じ込められているのが辛かったようで、それで逃げだしてしまったそうです。それから、また昔の様に旦那様と一緒に、目いっぱい走りたいと言っていましたわ。マックは旦那様が大好きなのです。ですから、どうか今後はマックに目をかけてあげて下さい」

“おい、余計な事を言うな!誰がアントニオの事を大好きだと言った!”

「マック、そんなに怒らないで。でも、言いたい事ははっきりと言った方がいいと思うの」

「…レアンヌ殿と言ったな。さっきから聞いていると、君はマックとあたかも話をしたように聞こえるのだが…」

旦那様が呟いた。周りを見渡すと、皆不思議そうな顔をしている。

「あの…信じてもらえないかもしれませんが、私は子供の頃からなぜか動物の声が聞こえるのです…それでマックとも実際話して仲良くなって。マックの居場所も、動物たちから聞きました…」

その瞬間、なぜかシーンとする。あら?私、何かまずい事を言ったかしら?そう言えばお母様が、動物とお話が出来る事は、あまり人には言ってはいけないと言っていた様な…

“おい、レアンヌ。人間は普通動物と話が出来ないんだぞ。そんな事を言っても、誰も信じないさ”

隣でマックも呆れていた。ただ使用人たちも、何か言わないといけないと思ったのか

「レアンヌ様はずっと離宮で、おひとりで生活されたと伺いました。動物と話をしている気分になっても不思議ではありませんね」

「そうですな。動物の声が聞こえる人間なんて、聞いたことがありませんから」

そう言って苦笑いしている。なんだか気まずい空気になってしまったわ。私、変な子だと思われたかしら…

「あの…私…」

「レアンヌ殿、君の気持ちは分かったよ。マック、今まで悪かったな。明日から目いっぱい一緒に走ろう。お前には戦場で無理させてしまったから、ゆっくりしてもらおうと思ったのだが、どうやら私が間違っていた様だ」

そう言って旦那様がマックを撫でた。マックも嬉しそうだ。

「マック、よかったわね。明日から大好きな旦那様と一緒に、目いっぱい走れるわよ」

“フン、別に俺はアントニオと一緒に走りたかったわけではない。それからレアンヌ、俺の世話を毎日すると言った事、忘れるなよ!お前は俺の言葉が分かるかなら」

そうだったわ。

「あの、旦那様、明日から私にマックの世話をさせていただけないでしょうか?マックと私は、もうお友達です。ですから、マックは私が世話をしたいのです」

お願いしますと言わんばかりに、頭を下げた。

「レアンヌ様、何をおっしゃっているのですか?この馬は気性が荒く危険です。そんな危険な馬に、レアンヌ様を…」

「リサ、少し落ち着け。レアンヌ殿、君の好きな様にすればいい。マックも君を気に入っている様だし」

「ありがとうございます。マック、旦那様の許可が下りたわよ。これからもよろしくね」

そう言ってマックにほほ笑んだ。

“仕方ない、レアンヌに世話をさせてやるか。俺は腹が減った。新鮮な草とリンゴが食べたい。人参はいらないから、そう伝えろ”

「あの、マックはどうやらお腹が空いているそうです。新鮮な草とリンゴがいいかと。人参は不要の様です」

私の言葉に、またもや使用人たちが固まっている。ただ、旦那様だけは…

「マックは相変わらず食いしん坊で我が儘だな。さあ、もう屋敷に戻ろう。マックには新鮮な草とリンゴを準備してやってくれ。もちろん、人参は抜きでな」

そう指示を出した旦那様。どうやら旦那様は、私の言う事を信じてくれている様だ。

「さあ、レアンヌ様、お部屋に戻りましょう。全く、窓から抜け出すだなんて。今後は絶対にこの様な事はしないで下さいね」

再びリサに怒られてしまった。

「ごめんなさい…リサ、私の事、嫌いになった?私、あなたの言いつけを守らなかったから…」

不安になってリサに問いかけた。私はリサが大好きだ。だからもし嫌われたら悲しい…

「嫌いになんてなる訳がないでしょう。さあ、お腹が空いたでしょう。早く戻りましょう」

いつもの優しい微笑を向けてくれたリサ。どうやら嫌われてはいない様だ。よかったわ。

その後マックも一緒に、皆で屋敷に戻ったのだった。
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