邪魔者王女はこの国の英雄と幸せになります

Karamimi

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第19話:しばらく森にはいけない様です

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「この部屋、気に入ってくれたかい?」

「はい、もちろんですわ。旦那様、こんなにも素敵なお部屋をありがとうございました」

改めて旦那様に頭を下げた。

「君は私の妻なのだから、これくらい当然だ。さあ、そろそろマックの元に行こう。きっと君が来るのを、首を長くして待っているよ」

そうだわ、マックの元に行かないと。毎日行くと約束したのだったわね。旦那様と一緒に、マックの元へと向かう。

すると…

“おい、レアンヌ。来るのが遅いぞ。それより昨日はあのチビ助たちに連れまわされて、相当疲れていたみたいだけれど、大丈夫だったか?”

「おはようマック。来るのが遅くなってごめんなさい。ええ、ただ朝までぐっすり寝てしまったけれど、もうすっかり元気よ。心配してくれてありがとう」

“別に心配はしていない。それよりも、今日は朝から人参が出たんだ。俺はリンゴが食べたいのに。今すぐリンゴを持って来るように伝えてくれ。それから、ブラッシングも頼む”

「分かったわ。すぐにリンゴを持ってきてくれるかしら?マックが食べたがっているの」

近くにいた使用人にリンゴをお願いし、私はマックをブラッシングする。すると、旦那様もブラッシングを手伝ってくれた。

「マックは本当にレアンヌ殿に懐いているね。昨日の動物たちも。それで昨日、マックとリスはなんで喧嘩をしていたのだい?」

「昨日の喧嘩ですか?どうやらリスさんたちは、私だけを連れて森の奥に行きたかったみたいで…それを聞いたマックが、私を連れて行く事に文句を言って、それで喧嘩になったのです」

「そうなんだね。もしかして君を、森の精霊に会わせようとしたとか?」

「旦那様は森の精霊の事をご存じなのですか?どうやらあの森には、動物たちの王様、森の精霊がいらっしゃる様なのです」

「ああ、この街には森に精霊が住んでいるという言い伝えがあるからね。でも…精霊は人間嫌いで、面倒な奴と聞いている。レアンヌ殿は会いに行かない方がいいだろう。万が一機嫌を損ねでもしたら、大変だからね。それから、1人では絶対に森に行ってはいけないよ。いくら動物たちと話が出来ると言っても、あそこにはクマもいるのだから。分かったね」

旦那様はどうやら精霊の事をご存じだった様だ。ただ…1人で森に行ってはいけないと言われてしまった。

「あの…私は…」

“アントニオの言う通りだ。精霊なんかに気に入られたら、一生森から出してもらえないかもしれないぞ!とにかく、しばらく森には近づかない事だな”

マックにもそう言われた。

「分かりましたわ。ただ…たまには森に出向いてもいいでしょうか?皆にもまた会いたいので…」

“おい、俺の言った意味が分からないのか?森には近づかない方がいいと言っただろう!”

すかさずマックが怒っている。

「マック、何を怒っているのだ?レアンヌ殿、マックはなんて言っているのだい?」

「あの…その…森には近づくな!と言っております…」

「そうか、それならやはり、森にはしばらくは近づかない方がいいね。動物の勘は当たるから。それに、精霊は誰も見た事がないんだ。もしかしたら、君に良くない影響を与えるかもしれないからね」

「…分かりましたわ。それでは、しばらくは森に近づかないようにいたしますわ…」

リスたち、きっとガッカリするわよね。後で小鳥たちに謝ってもらう様に伝えよう。

「レアンヌ殿、そんなに落ち込まないで欲しい。そうだ、その代わりと言っては何だが、今度ファレッスの街を案内するよ。とても素敵な街なんだ」

「まあ、本当ですか?それは楽しみですわ」

私は生まれてこの方、街という場所に出たことがないのだ。王女だった頃はずっと離宮に閉じ込められていた。ここに来る間も、ホテルくらいしか立ち寄らせてもらえなかったし。だから、街を見られることが嬉しくてたまらないのだ。

街とは、一体どんな所なのかしら?なんだか楽しみになって来たわ。

「レアンヌ殿は、とても分かりやすい性格をしているね。それじゃあ、近いうちに街に行こう」

「はい、よろしくお願いします」

旦那様に向かって、ほほ笑んだ。

「さあ、そろそろお昼ご飯の時間だね。レアンヌ殿はいつも部屋で食べていると聞いたが、これからは私と一緒に食堂で食べよう」

旦那様が、嬉しい提案をしてくれたのだ。

「まあ、よろしいのですか?誰かと一緒にお食事が出来るだなんて、嬉しいですわ」

お母様が亡くなって以降、ずっと1人で食事をしていたのだ。

早速旦那様と一緒に、食堂へとやって来た。そう言えば旦那様、仮面をしているのよね。どうやって食事をするのかしら?そう思ってジッと旦那様の方を見る。すると、口の部分が取り外せるようになっていた。

「私の顔をまじまじと見てどうしたのだい?」

「いえ…どうやって食事をなさるのかと思っておりましたので。なるほど、口元が外れるのですね。凄いですわ」

「私は人前では仮面を外さない様にしているからね。仮面をしたまま、食事も出来るようになっているのだよ」

なるほど。でも、どうして仮面を外さないのかしら?もしかして、カトレナ王女が言っていた通り、獣人なのかしら?て、そんな訳ないわよね。でも、もし旦那様が獣人でも、私は全く気にしない。だって旦那様は旦那様なのだもの。

その後、旦那様と色々な話をしながら、美味しくお料理を頂いたのだった。
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