邪魔者王女はこの国の英雄と幸せになります

Karamimi

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第20話:隣国が怪しい動きをしています

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この街に来て早4ヶ月。毎日楽しい日々を送っている。相変わらず森には行けていないが、旦那様が街に連れて行ってくれた。街にはいろいろな物が売られていて、見るものすべてが新鮮で、とても楽しかった。

この街には海という大きな湖の様なものもあり、そこにも行った。カモメや貝、ヤドカリとも仲良くなった。海の中には、沢山の動物がいるそうだが、生憎まだ会えていない。いつか会えると嬉しいな。

そして私は、新しいお部屋に移ってからは家庭教師のもと、貴族としてのマナーやこの地についてのお勉強も始めている。

リサや旦那様、沢山の使用人たち、もちろん動物たちも。皆に囲まれて、本当に幸せな日々を送っている。

そして今は、この街の歴史のお勉強だ。

「レアンヌ様、かつてこの地域にも災害というものが発生しました。特に昔被害が大きかったのが、嵐です。海は荒れ狂い、人々を飲み込み、沢山の犠牲者が出たこともあるのです。ただ、100年以上前の話ではありますが。この地域で一番被害が大きかったのは、9年前の隣国からの奇襲ですわね。あの時にたくさんの人が亡くなりました。今は旦那様のお陰で平和ですが、いつ何時隣国が掌を返すか分からないため、常に国境付近には護衛を置き、日々監視しているのです」

なるほど。9年前の戦争は、この地から始まったのね。全然知らなかったわ。正直私は、ずっと離宮に閉じ込められていた為、戦争の事もよく知らないのだ。

「9年前の戦争では、この地を治めていた伯爵は我先に逃げ出しました。もし万が一、この地がまた同じ状況をなったら、どうかあなた様は旦那様と一緒に、街の人を守る事を考えて下さい。どうかお願いします」

「分かったわ、先生。私、この街も人も大好きよ。だから、絶対にも逃げ出さないわ。必ず皆を守るから!」

この街に来て私は、人の温かさ、温もりを知った。だから何があっても、絶対にこの街を、民を捨てて逃げ出したりはしない。

「なにを変な事を教えているのだ。たとえ戦争になったとしても、レアンヌは安全な場所に避難させるつもりでいる。変な事を教えないでくれ」

この声は、旦那様だ。

「レアンヌ、万が一戦争になったら、君は安全に王都に逃がすつもりだ。だから、安心して欲しい。この街を守るのは、公爵でもある私の仕事なのだから」

「公爵でもある旦那様の仕事なら、妻でもある私の仕事でもありますわ。私は王都に戻っても、誰からも必要とされておりません。ですので私は、この地で旦那様や皆と運命を共にいたしますわ」

「レアンヌ、君は…」

「お2人とも落ち着いて下さいませ。今のところ平和でございますし、何より国境付近は厳重に警備しているのですから、今その様な事で言い争いをする必要はございませんわ。さあ、今日の授業はこの辺りにしておきましょう。それでは私は失礼いたします」

先生が部屋から出て行った。

「あの家庭教師が最初に言い出した事だろうに…そもそもレアンヌに、逃げずに民を守れだなんて、いらない事を教えるだなんて…」

「旦那様?」

何やら旦那様がブツブツと呟いている。

「何でもない。少し時間が出来たから、お茶でもしようと思ったのだが、今日は天気があまり良くないから、屋敷の中でお茶にしよう」

ふと窓の外を見ると、真っ黒な雲が出ていた。なんだか不気味な雲だ。その時だった、窓からコツンコツンという音が。

一体どうしたのかしら?そう思い、窓を開けると、そこには鳥たちの姿が。

「あなた達、急にどうしたの?」

“大変だよ、レアンヌ。さっき渡り鳥達に聞いたのだけれど、隣国がまたこの街を襲おうとしている様なんだ。今密かに国境付近に兵を集めているらしい。レアンヌ、危ないからすぐに逃げるんだ!”

「何ですって!それは本当なの?」

“ああ、何匹もの渡鳥たちが目撃しているし、実際僕もさっき見て来た。かなりの兵士が集められているよ。今別の鳥たちが、様子を伺っている。ただ、まだ準備段階の様だから、逃げる時間は十分あると思う”

「そんな…」

その場でへたり込んだ。どうして?旦那様が必死に戦って掴んだ平和が…

「レアンヌ、どうしたんだい?鳥たちはなんと言っているのだい?」

心配そうに旦那様が話しかけてくる。いけないわ、しっかりしないと!

「旦那様、落ち着いて聞いて下さい。どうやら隣国が、密かに戦争の準備をしているそうで、国境付近に兵を集めている様です。鳥たちの話では、かなりの数が集まっているとの事」

「何だって!それは本当かい?」

「ええ、本当の様です。今実際に、この子が自分の目で見て来たようですわ」

「なんて事だ!すまないレアンヌ、私は今すぐ国境付近に向かわなければならなくなった」

「私は大丈夫ですわ。どうかお気をつけて」

旦那様を見送った後、自室に戻ってきた。

「レアンヌ様、大丈夫ですか?まさかまた隣国が戦争の準備をしているだなんて…」

「リサ、大丈夫?顔色が悪いわ。あなたも9年前、大変な思いをしたのでしょう?とにかく、私はいいからゆっくり休んで。それから、もしもの時は、民たちを避難させることを考えないと」

出来れば戦争なんてしたくない。でも…もし避けられなかったら…
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