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第23話:動物たちも協力してくれます

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次々に人々を馬車へと誘導している時だった。

「母さん、ここにいたのね。探したのよ。あなた様がレアンヌ様ですか?母から話しは聞いております。確かにお可愛らしい方ですわ」

私達の元にやって来たのは、リサによく似た若い女性だ。もしかして。

「リサの娘さんですか?いつもリサには本当にお世話になっておりますの。ありがとうございます」

ペコリと頭を下げた。

「レアンヌ様、頭を上げて下さい。本当に母の言った通り、とても謙虚な方なのね。アントニオ兄さんも随分あなた様の事を気に入っているみたいだし…アントニオ兄さんは本当に苦労人なのです。どうかアントニオ兄さんの事、よろしくお願いします」

私の手を握り、何度も頭を下げる女性。

「どうか頭を上げて下さい。こちらこそ、よろしくお願いします」

私も何度も頭を下げた。どうやらリサの娘さんも、いい人の様だ。

「いつまでも頭を下げていないで、早く馬車に乗りなさい。この馬車で最後よ。孫の事、しっかり守るのよ」

リサが娘さんと近くにいた小さな子供に声を掛ける。

「おばあさまは、いかないの?」

悲しそうに見つめる子供。

「私は後でいくから、先に行って待っていてね。さあ、早く馬車に乗り込んで」

お孫さんと娘さんを馬車の乗せるリサ。これが最後の馬車だとさっきリサ自身も言っていた通り、この馬車を逃せば、もう私たちは避難できない。そう、もう後はないのだ。

「リサ、あなたも一緒に乗ってちょうだい。家族が離れ離れになるのは、やっぱり良くないわ。さあ、早く」

悲しそうな顔をしているリサやリサの家族を見たら、どうしても声を掛けずにはいられなかった。リサを無理やり馬車に押し込む。

「レアンヌ様、あなた様は何を…」

そのまま馬車の扉を閉めた。

「さあ、早く行って」

私の言葉で、馬車が走り出した。

「待って。レアンヌ様!」

リサが必死に馬車から叫んでいた。これでいいのだ、リサには大切な家族がいる。もし万が一、リサにもしもの事があったら、娘さんもお孫さんも、どんなに悲しむか…そう思ったら、どうしても馬車に乗せたかったのだ。

“レアンヌ、ここにいたのだね。敵陣が動き出したみたいだよ。とにかく、レアンヌも避難した方がいい”

私の元にやって来たのは、隣国が攻めてくると教えてくれた鳥たちだ。

「もう動き出しているの?旦那様に報告しないと」

ポケットに入っていた通信機のボタンを押した。それと同時に、一旦屋敷に戻るため、歩き出す。

『レアンヌ、どうした?今どこにいるのだ?』

「今最後の馬車を見送って、一度屋敷に戻るところです。それで今鳥たちから情報が入ったのですが、敵陣が動き出したそうです」

『それは本当か?それよりも、レアンヌは馬車に乗らなかったのかい?あれほど避難して欲しいと頼んだのに…とにかく、今からマックと向かうから、今どこだい?』

「私は歩いて屋敷に戻るので、大丈夫ですわ。旦那様こそお忙しいでしょうから、私の事は気にしないで下さい」

『いいや、すぐに迎えに行く。確か時計塔の近くで誘導していたな。すぐに行くから』


そう言うと通信が切れてしまった。

“あの仮面男とうるさい馬が迎えに来るのか…ねえ、レアンヌ。僕たちに何かできる事はない?僕たち、レアンヌの力になりたいんだ”

出来る事か…

「それだったら、また映像を撮ってきてくれるかしら?そうすれば、相手の動きが分かるから。ただ、撮影機が屋敷に戻らないとないから、一緒に付いて来てくれる?」

“もちろんだよ。レアンヌの役に立てると思うと、嬉しいな”

優しい鳥たちね。私達の為に、わざわざ敵陣に行って、映像を撮ってきてくれるだなんて。

その時だった。向こうから物凄いスピードで、マックがやって来たのだ。

「レアンヌ、お待たせ。さあ、乗ってくれ」

「ありがとうございます、旦那様」

旦那様の手を取り、そのままマックにまたがった。

「旦那様、鳥さん達が協力してくれると言ってくれていて。それでもう一度、映像を録画してきてくれるとの事です」

「それは本当かい?それなら、鳥たちが映し出している映像を、その場で見られる様にしよう。そうすれば、相手の状況が手に取る様にわかるから」

「そんな事が出来るのですね。凄いですわ」

マックがものすごいスピードで飛ばしてくれるため、あっと言う間に屋敷に着いた。そして、鳥たちに撮影機を取り付けた。

「皆、どうかよろしくね」

“任せておいて。ばっちり映して来るから”

そう言って飛び立って行った鳥たち。

「レアンヌ、私は今から国境付近に向かわないといけない。この屋敷までは敵は来ないとは思うが、万が一敵が来たら、森に逃げてくれ。いいね、分かったね」

「ええ、分かりましたわ。旦那様、どうかご無事で…」

「私は大丈夫だ。それじゃあ、行ってくる」

そう言うと、そのままマックにまたがり、走り去ってしまった。
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