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第63話:何かがおかしい気がします
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「サミュエル様、どうか少しでもお食事をして下さい。食べやすい果物を持ってまいりましたわ」
「ごめんね…キャリーヌ。食欲がなくて…」
「…分かりましたわ、せめてお水だけでも飲んでください」
サミュエル様が飲みやすい様に、水を口元に持って行くが、ほとんど飲んでくれない。水も飲んでもらえないだなんて…それに、さっきより明らかに体調が悪化している様な気がする。
それにしても、凄い汗ね。きっと気持ち悪いだろう。
「サミュエル様、かなりの汗をかいていらっしゃるようなので、着替えをいたしましょう」
さすがに男性でもあるサミュエル様を着替えさせるのは不可能なので、男性の使用人に頼み、サミュエル様の着替えを依頼した。それでも少しでも何かしたくて、サミュエル様の体を綺麗に拭いていく。
「あら?この花の様なアザは何かしら?」
首の後ろを拭いている時、ふとピンク色のアザに気が付いたのだ。確かサミュエル様の首には、こんなアザはなかったはず。
「ねえ、あなた、サミュエル様のこのアザ、一体何かしら?」
近くにいた使用人に問いかけた。
「私には分かりかねます。申し訳ございません。ただ、アザと言うよりも、体に刻まれた模様の様に見えますね。殿下がご自分で刻まれたのではないでしょうか?」
確かに使用人の言う様に、体に刻まれたような綺麗な花の形をしている。でも、サミュエル様が自らこんな模様を、体にいれるとは思えないわ。
その時だった。ドアがガチャリと開いたと思ったら、何とジェイデン殿下がやって来たのだ。
「ジェイデン殿下、勝手にお部屋に入られては困ります。今すぐ出て行ってください」
すぐに護衛が止めに来たが
「僕はただ、サミュエルが心配で様子を見に来ただけだよ。サミュエル、随分具合が悪そうだね。大丈夫かい?」
「あ…にうえ…出て行って…」
「言葉を話すことも辛いのだね。可哀そうに…大丈夫だよ、すぐに楽になるだろうから」
すぐに楽になる?この人は一体何を言っているの?
「キャリーヌ、サミュエルの看病をしているのかい?君は優しいな。今のうちにサミュエルとの時間を…いいや、何でもないよ。それじゃあ、僕はもう行くよ」
ジェイデン殿下はニヤリと笑うと、そのまま部屋から出て行った。
一体何だったのかしら?サミュエル様の事が心配で、お見舞いに来た感じではなかった気がするけれど…
「キャリ…ヌ」
ふとサミュエル様の声に気が付き、彼の方を見た。さっきよりも明らかに顔色が悪いし、言葉も発しにくそうだ。それでも私の方に必死に手を伸ばしてきている。
急いでサミュエル様の手を握った。さっきよりも、さらに手が熱い。
「クラミー、すぐに医者を呼んで頂戴。明らかにサミュエル様の容態が悪化しているわ」
こんな短時間で、こんなに容態が悪化するだなんて。本当にただの疲れからくる体調不良なの?
…いいえ、私にはとてもそうは思えないわ。もしかして、何か重大な病気が隠れているのでは…
その瞬間、ニヤリと笑ったジェイデン殿下の顔が浮かんだ。どうしてジェイデン殿下の顔が浮かぶの?サミュエル様はジェイデン殿下にとって、実の弟だ。さすがにジェイデン殿下が、サミュエル様に何かするだなんて、考えられない。
でも…
「サミュエル殿下の容態が急変したとお伺いしました。すぐに診察を行いましょう!」
すぐにお医者様が診察を始めたのだが…
「えっと…これといって悪化している様には見えないのですが…」
「何を言っているの?さっきよりも明らかに顔色が悪い…て、あれ?」
ふとサミュエル様の方を見ると、さっきまで苦しそうにしていたが、なぜか今は、スヤスヤと眠っている。一体どうなっているの?
「きっと薬が効いて来たのでしょう。もしまた殿下の容態が悪化する様でしたら、お知らせください」
そう言って、部屋から出て行ったお医者様。本当に薬が効いて来たのかしら?
ただ、お医者様のおっしゃった通り、この日はサミュエル様の容態は安定し続け、夜には普通に食事が出来るまで回復したのだった。
「ごめんね…キャリーヌ。食欲がなくて…」
「…分かりましたわ、せめてお水だけでも飲んでください」
サミュエル様が飲みやすい様に、水を口元に持って行くが、ほとんど飲んでくれない。水も飲んでもらえないだなんて…それに、さっきより明らかに体調が悪化している様な気がする。
それにしても、凄い汗ね。きっと気持ち悪いだろう。
「サミュエル様、かなりの汗をかいていらっしゃるようなので、着替えをいたしましょう」
さすがに男性でもあるサミュエル様を着替えさせるのは不可能なので、男性の使用人に頼み、サミュエル様の着替えを依頼した。それでも少しでも何かしたくて、サミュエル様の体を綺麗に拭いていく。
「あら?この花の様なアザは何かしら?」
首の後ろを拭いている時、ふとピンク色のアザに気が付いたのだ。確かサミュエル様の首には、こんなアザはなかったはず。
「ねえ、あなた、サミュエル様のこのアザ、一体何かしら?」
近くにいた使用人に問いかけた。
「私には分かりかねます。申し訳ございません。ただ、アザと言うよりも、体に刻まれた模様の様に見えますね。殿下がご自分で刻まれたのではないでしょうか?」
確かに使用人の言う様に、体に刻まれたような綺麗な花の形をしている。でも、サミュエル様が自らこんな模様を、体にいれるとは思えないわ。
その時だった。ドアがガチャリと開いたと思ったら、何とジェイデン殿下がやって来たのだ。
「ジェイデン殿下、勝手にお部屋に入られては困ります。今すぐ出て行ってください」
すぐに護衛が止めに来たが
「僕はただ、サミュエルが心配で様子を見に来ただけだよ。サミュエル、随分具合が悪そうだね。大丈夫かい?」
「あ…にうえ…出て行って…」
「言葉を話すことも辛いのだね。可哀そうに…大丈夫だよ、すぐに楽になるだろうから」
すぐに楽になる?この人は一体何を言っているの?
「キャリーヌ、サミュエルの看病をしているのかい?君は優しいな。今のうちにサミュエルとの時間を…いいや、何でもないよ。それじゃあ、僕はもう行くよ」
ジェイデン殿下はニヤリと笑うと、そのまま部屋から出て行った。
一体何だったのかしら?サミュエル様の事が心配で、お見舞いに来た感じではなかった気がするけれど…
「キャリ…ヌ」
ふとサミュエル様の声に気が付き、彼の方を見た。さっきよりも明らかに顔色が悪いし、言葉も発しにくそうだ。それでも私の方に必死に手を伸ばしてきている。
急いでサミュエル様の手を握った。さっきよりも、さらに手が熱い。
「クラミー、すぐに医者を呼んで頂戴。明らかにサミュエル様の容態が悪化しているわ」
こんな短時間で、こんなに容態が悪化するだなんて。本当にただの疲れからくる体調不良なの?
…いいえ、私にはとてもそうは思えないわ。もしかして、何か重大な病気が隠れているのでは…
その瞬間、ニヤリと笑ったジェイデン殿下の顔が浮かんだ。どうしてジェイデン殿下の顔が浮かぶの?サミュエル様はジェイデン殿下にとって、実の弟だ。さすがにジェイデン殿下が、サミュエル様に何かするだなんて、考えられない。
でも…
「サミュエル殿下の容態が急変したとお伺いしました。すぐに診察を行いましょう!」
すぐにお医者様が診察を始めたのだが…
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「きっと薬が効いて来たのでしょう。もしまた殿下の容態が悪化する様でしたら、お知らせください」
そう言って、部屋から出て行ったお医者様。本当に薬が効いて来たのかしら?
ただ、お医者様のおっしゃった通り、この日はサミュエル様の容態は安定し続け、夜には普通に食事が出来るまで回復したのだった。
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