28 / 35
第27話:アナスタシアの幸せを祈って…~カイ視点~
しおりを挟む
アナスタシアに自分の過去を話して、1ヶ月が過ぎようとしていた。先日カルビア王国から調査団が無事帰国した。一応アナスタシアの事は、カルビア王国の王宮には知らせてきたとの事だった。
「陛下、カルビア王国には我が国にアナスタシア様がいらっしゃることを報告しましたので、これで心置きなくアナスタシア様と結婚できますね」
そう言って嬉しそうに微笑む家臣たち。
「お前たち、先走りすぎだ。彼女にも選ぶ権利があるのだからな」
多分だが、私はアナスタシアに嫌われてはいないだろう。でも、やはり結婚となると、彼女の気持ちも大切にしたい。
「陛下、あなた様はもう21歳なのですよ。とにかくアナスタシア様との結婚を進めないと!陛下が話せないなら、私からアナスタシア様に話しをさせていただきます!」
家臣が鼻息荒く私に迫って来た。
「待て、落ち着いてくれ。分かった、近いうちに結婚を申し込む。だから、とにかくもう少し待ってくれ」
必死に家臣をなだめる。
「はぁ~、分かりました。陛下は戦や統治に関しては天才的な才能を発揮するのに、女性の事になると、途端に腰抜けになってしまわれるのですから…とにかく、数日中にアナスタシア様に結婚を申し込むのですよ。分かりましたね」
「分かっている!だから、あまりせかさないでくれ!」
本当に家臣どもときたら、せっかちな奴ばかりで嫌になる。でも…きっと私の事を普通の人間として見れてくれる令嬢なんて、この先一生現れないだろう。それに何より、私自身、アナスタシアを愛している。
私の手で彼女を幸せに出来たら…
そんな思いから、今日もアナスタシアと一緒に浜辺で貝を拾う。アナスタシアは本当に海が好きで、毎日海に来ている。
「カイ様、こっちにも綺麗な貝がありますわ。あっ、こっちにも」
嬉しそうに貝を拾うアナスタシアを見ていると、私まで幸せな気持ちになる。このままずっと、アナスタシアが傍にいてくれたら…
その時だった。家臣が、来客が来ていると私を呼びに来たのだ。来客?もしかして隣国の人間か?そう思ったが、どうやら違う様だ。
急いで来客の待つ客間に行くと、そこには金色の髪に緑色の瞳をした美しい男性が待っていた。見た感じ、どこかの王族の様だ。後ろには何人もの家臣が控えていた。
私の顔を見た瞬間、一瞬怯えた表情をしたが、一呼吸すると
「あなた様がバーイン王国の国王陛下ですね。急に訪ねてしまい、申し訳ございません。私はカルビア王国の王太子、ルイス・ディーズ・カルビアと申します。アナスタシアを迎えに来ました」
私の方を真っすぐ見つめ、そう伝えてきたのだ。アナスタシアを迎えに来た?一体どういう事だ?
「アナスタシアを迎えに来たとは、一体どういう事でしょうか?」
訳が分からず聞き返した。彼はアナスタシアの父親の手前、建前でアナスタシアを探していたのではないのか?そう思っていたのだが、実際の話は全く違った。ルイス殿下からその話を聞かされた時、あまりの衝撃で頭が真っ白になった。
「僕はアナスタシアを、誰よりも愛しています。もちろん、アナスタシアも僕を愛していました。アナスタシアにはあの女のせいで、辛い思いをさせてしまった分、これからは僕が彼女を幸せにするつもりです」
そう言ってほほ笑んだルイス殿下。こんなにも美しい男性に、私が敵う訳ない。彼の微笑を見て、そう確信した。
それにアナスタシアはルイス殿下と親友が結婚していた事、さらに親友に裏切られた事に絶望して国を出てきたのだ。親友は内内とはいえ断罪され、正室として国に戻れるのなら、これ以上幸せな事はないだろう。
カルビア王国は戦争のない平和な国だと聞くし、何よりもこんなにも美しい婚約者の元に戻れるのだから。笑顔でアナスタシアを送り出してやることが、私にできる唯一の事だろう。
それが私にとって、どんなに辛い事だったとしても…
でも、私は大丈夫だ。元々結婚は諦めていたし、当初の予定通り、優秀な人間を養子に迎え入れ、その子を次の国王にすればいいのだから…
その後アナスタシアとルイス殿下を会わせた結果、明日この国を出る事が決まった。明日にはアナスタシアはこの国を出て行ってしまう…
そう思ったら、胸が押しつぶされそうになった。それでも私は、アナスタシアの幸せの為に、身を引く事に決めたのだ。
「陛下、本当にアナスタシア様を国に返してもよろしいのですか?アナスタシア様、とても悲しそうな顔をしておりましたよ」
そんな私の元にやって来たのは、アナスタシアの専属メイド、クロハだ。
「アナスタシアは急にカルビア王国の王太子殿下がやって来たから、驚いているのだろう。クロハだって王太子殿下の話を聞いていただろう?アナスタシアを裏切った侯爵令嬢は断罪されてもうこの世にはいないんだ。アナスタシアはあの美しい王子の正妻として、国で幸せに暮らせる。彼女は辛い思いをして来たのだが、絶対に幸せになるべきなんだよ」
「私もアナスタシア様には幸せになって欲しいと思っております。でも…アナスタシア様を見ていると、国に帰りたいように思えないのです。もしかしたら…」
「クロハ、お前の気持ちもわかる。でも、アナスタシアは国に帰った方がいいんだ。もうこの話しは終わりだ。出て行ってくれ」
クロハの話を遮り、部屋から追い出した。
その瞬間、瞳から涙が溢れ出る。クソ、どうして涙が溢れるんだ。泣いたって仕方がないのに…
胸が押しつぶされそうなくらい苦しい。でも…アナスタシアの事を考えたら、これでよかったんだ…そう、これで…
「陛下、カルビア王国には我が国にアナスタシア様がいらっしゃることを報告しましたので、これで心置きなくアナスタシア様と結婚できますね」
そう言って嬉しそうに微笑む家臣たち。
「お前たち、先走りすぎだ。彼女にも選ぶ権利があるのだからな」
多分だが、私はアナスタシアに嫌われてはいないだろう。でも、やはり結婚となると、彼女の気持ちも大切にしたい。
「陛下、あなた様はもう21歳なのですよ。とにかくアナスタシア様との結婚を進めないと!陛下が話せないなら、私からアナスタシア様に話しをさせていただきます!」
家臣が鼻息荒く私に迫って来た。
「待て、落ち着いてくれ。分かった、近いうちに結婚を申し込む。だから、とにかくもう少し待ってくれ」
必死に家臣をなだめる。
「はぁ~、分かりました。陛下は戦や統治に関しては天才的な才能を発揮するのに、女性の事になると、途端に腰抜けになってしまわれるのですから…とにかく、数日中にアナスタシア様に結婚を申し込むのですよ。分かりましたね」
「分かっている!だから、あまりせかさないでくれ!」
本当に家臣どもときたら、せっかちな奴ばかりで嫌になる。でも…きっと私の事を普通の人間として見れてくれる令嬢なんて、この先一生現れないだろう。それに何より、私自身、アナスタシアを愛している。
私の手で彼女を幸せに出来たら…
そんな思いから、今日もアナスタシアと一緒に浜辺で貝を拾う。アナスタシアは本当に海が好きで、毎日海に来ている。
「カイ様、こっちにも綺麗な貝がありますわ。あっ、こっちにも」
嬉しそうに貝を拾うアナスタシアを見ていると、私まで幸せな気持ちになる。このままずっと、アナスタシアが傍にいてくれたら…
その時だった。家臣が、来客が来ていると私を呼びに来たのだ。来客?もしかして隣国の人間か?そう思ったが、どうやら違う様だ。
急いで来客の待つ客間に行くと、そこには金色の髪に緑色の瞳をした美しい男性が待っていた。見た感じ、どこかの王族の様だ。後ろには何人もの家臣が控えていた。
私の顔を見た瞬間、一瞬怯えた表情をしたが、一呼吸すると
「あなた様がバーイン王国の国王陛下ですね。急に訪ねてしまい、申し訳ございません。私はカルビア王国の王太子、ルイス・ディーズ・カルビアと申します。アナスタシアを迎えに来ました」
私の方を真っすぐ見つめ、そう伝えてきたのだ。アナスタシアを迎えに来た?一体どういう事だ?
「アナスタシアを迎えに来たとは、一体どういう事でしょうか?」
訳が分からず聞き返した。彼はアナスタシアの父親の手前、建前でアナスタシアを探していたのではないのか?そう思っていたのだが、実際の話は全く違った。ルイス殿下からその話を聞かされた時、あまりの衝撃で頭が真っ白になった。
「僕はアナスタシアを、誰よりも愛しています。もちろん、アナスタシアも僕を愛していました。アナスタシアにはあの女のせいで、辛い思いをさせてしまった分、これからは僕が彼女を幸せにするつもりです」
そう言ってほほ笑んだルイス殿下。こんなにも美しい男性に、私が敵う訳ない。彼の微笑を見て、そう確信した。
それにアナスタシアはルイス殿下と親友が結婚していた事、さらに親友に裏切られた事に絶望して国を出てきたのだ。親友は内内とはいえ断罪され、正室として国に戻れるのなら、これ以上幸せな事はないだろう。
カルビア王国は戦争のない平和な国だと聞くし、何よりもこんなにも美しい婚約者の元に戻れるのだから。笑顔でアナスタシアを送り出してやることが、私にできる唯一の事だろう。
それが私にとって、どんなに辛い事だったとしても…
でも、私は大丈夫だ。元々結婚は諦めていたし、当初の予定通り、優秀な人間を養子に迎え入れ、その子を次の国王にすればいいのだから…
その後アナスタシアとルイス殿下を会わせた結果、明日この国を出る事が決まった。明日にはアナスタシアはこの国を出て行ってしまう…
そう思ったら、胸が押しつぶされそうになった。それでも私は、アナスタシアの幸せの為に、身を引く事に決めたのだ。
「陛下、本当にアナスタシア様を国に返してもよろしいのですか?アナスタシア様、とても悲しそうな顔をしておりましたよ」
そんな私の元にやって来たのは、アナスタシアの専属メイド、クロハだ。
「アナスタシアは急にカルビア王国の王太子殿下がやって来たから、驚いているのだろう。クロハだって王太子殿下の話を聞いていただろう?アナスタシアを裏切った侯爵令嬢は断罪されてもうこの世にはいないんだ。アナスタシアはあの美しい王子の正妻として、国で幸せに暮らせる。彼女は辛い思いをして来たのだが、絶対に幸せになるべきなんだよ」
「私もアナスタシア様には幸せになって欲しいと思っております。でも…アナスタシア様を見ていると、国に帰りたいように思えないのです。もしかしたら…」
「クロハ、お前の気持ちもわかる。でも、アナスタシアは国に帰った方がいいんだ。もうこの話しは終わりだ。出て行ってくれ」
クロハの話を遮り、部屋から追い出した。
その瞬間、瞳から涙が溢れ出る。クソ、どうして涙が溢れるんだ。泣いたって仕方がないのに…
胸が押しつぶされそうなくらい苦しい。でも…アナスタシアの事を考えたら、これでよかったんだ…そう、これで…
176
あなたにおすすめの小説
あなたへの愛を捨てた日
柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。
しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。
レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。
「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」
エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。
【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います
ユユ
恋愛
大家族で大富豪の伯爵家に産まれた令嬢には
好きな人がいた。
彼からすれば誰にでも向ける微笑みだったが
令嬢はそれで恋に落ちてしまった。
だけど彼は私を利用するだけで
振り向いてはくれない。
ある日、薬の過剰摂取をして
彼から離れようとした令嬢の話。
* 完結保証付き
* 3万文字未満
* 暇つぶしにご利用下さい
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる
ラム猫
恋愛
王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています
※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。
愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」
「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」
「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」
貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・?
何故、私を愛するふりをするのですか?
[登場人物]
セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。
×
ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。
リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。
アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?
醜女の私と政略結婚した旦那様の様子がおかしい
サトウミ
恋愛
この国一番の醜女である私と結婚したイバン様。眉目秀麗で数多の女性と浮き名を流した彼は、不祥事を起こしたせいで私なんかと結婚することになってしまった。それでも真面目な彼は、必死に私を愛そうと努力してくださる。
──無駄な努力だ。
こんな色白で目と胸の大きい女を、愛せるはずがない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる