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第8話:アレックス様が訪ねていらっしゃいました
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その日の午後
「ユーリ、元気そうでよかったわ。気持ちはどう?少しは落ち着いた?て、昨日の今日だものね、そう簡単には落ち着かないか」
私を心配して、レーナたちが遊びに来てくれた。
「皆、来てくれたのね。今日は随分と心が落ち着いているわ。昨日お母様に、半期休みまでの間、貴族学院をお休みできるようにお願いしてくれたのですってね。本当にありがとう。そのお陰で私、心穏やかに過ごせているのよ。このままいけば、アレックス様を諦められる日もそう遠くないと思うわ」
3人に改めてお礼を言った。本当に彼女たちには、感謝しているのだ。
「おば様ったら、黙っていてと伝えたのに。でも、ユーリが少し元気になってくれて、よかったわ」
「本当ね、このまま半期休みに突入すれば、気持ちも随分落ち着くかもしれないわね」
「私もそう出来る様に、領地では目いっぱい楽しもうと思って。さあ、せっかく来てくれたのですもの。お茶にしましょう。お菓子も沢山あるわよ」
せっかく皆が来てくれたのだ。ゆっくりして行って欲しい。そんな思いで、沢山のお菓子を準備した。
「ありがとう、でも今日はもう帰るわ。ユーリの様子も見られたし。また今度、ゆっくりお茶をしましょう」
「あら、そうなのね。それは残念だわ。それなら、お菓子を持って帰って頂戴。すぐに包むわね」
「ありがとう、ユーリの家のお菓子、とても美味しいのよね。それじゃあ、また来るわね」
「ええ、今日はありがとう」
3人を見送るため、門までやって来た。そして、皆の馬車が見えなくなるまで手を振った。
その時だった。
1台の馬車が、我が家に入って来たのだ。
馬車が停まり、ゆっくり降りて来たのは…
「ユーリ、ちょうどよかった。今日ユーリが学院をお休みしたから、心配で様子を見に来たのだよ。昨日も途中で帰ってしまっただろう?一体どうしたのだい?体調でも悪いのかい?」
「アレックス様…どうしてこちらに?」
「ユーリが心配で、様子を見に来たのだよ。はい、お花。ユーリが好きそうなお花を、選んできたよ。随分と顔色もよさそうだね。よかったよ」
どうしてアレックス様が?私の気持ちを知っていて、どうして私に優しくするの?お願い、もう私には関わらないで。
「アレックス様、どうかもう私には関わらないで下さい。私はあなた様を忘れ、前に進もうとしているのです。今はアレックス様のお顔を見るのも辛いのです。どうか、そっとしておいてもらえませんか?」
アレックス様に向かって、頭を下げた。
「ユーリ、どうしてそんな寂しい事を言うのだい?僕たち、ずっと仲良くしてきたじゃないか。僕はこれからも、ユーリと仲良くしていきたいと思っているよ。そうだ、もうすぐ半期休みだね。去年と同じく、僕の家の領地に遊びに来るかい?ユーリは随分と、僕の家の領地が気に入っていたものね」
そう言ってアレックス様が微笑んでいる。
「申し訳ございません。今年は我が家の領地に行く予定にしておりますので。それから、セレナ様とのご婚約が近々お決まりになるそうですね。いくらアレックス様が私の事を女として見ていなくても、セレナ様からしたら私と一緒に過ごしていては、面白くないでしょう。それでは失礼いたします」
ペコリと頭を下げて、急いでその場を後にする。
「待って、ユーリ」
後ろでアレックス様の声が聞こえるが、振り向く事なんてできない。
どうしてあの人は、私の心をかき乱すのだろう。私がどんな思いで、アレックス様の事を諦めようとしているか…
でも、アレックス様からしたら、今まで仲のよかった幼馴染が、急に距離を置いた事に対し、戸惑いを感じているのかもしれない。彼は私の事を、異性と認識していないのだから。きっと男友達と話す感覚なのだろう。
申し訳ないが、とてもじゃないが今は、アレックス様の気持ちに応える事なんて出来ない。私はアレックス様の事を、異性として見ているのだから。
もう私は、昔の様にアレックス様に接する事は出来ないのだ。アレックス様には申し訳ないが、彼とはしばらく距離を置こう。
それにアレックス様には、最愛の人、セレナ様がいらっしゃるのだ。私なんかが居なくても、痛くもかゆくもないだろう。
やっと少しだけ、心が落ち着いて来たのに…また振り出しに戻ってしまったわね。
一刻も早く、領地に行きたい。領地に行って、気持ちを切り替えたい。
半期休みまで、あと数日。もしまたアレックス様が訪ねていらしたら、その時は申し訳ないがお引き取り願おう。
とてもじゃないが、今の私には彼に会えるほどまだ心が落ち着いていないのだから。
「ユーリ、元気そうでよかったわ。気持ちはどう?少しは落ち着いた?て、昨日の今日だものね、そう簡単には落ち着かないか」
私を心配して、レーナたちが遊びに来てくれた。
「皆、来てくれたのね。今日は随分と心が落ち着いているわ。昨日お母様に、半期休みまでの間、貴族学院をお休みできるようにお願いしてくれたのですってね。本当にありがとう。そのお陰で私、心穏やかに過ごせているのよ。このままいけば、アレックス様を諦められる日もそう遠くないと思うわ」
3人に改めてお礼を言った。本当に彼女たちには、感謝しているのだ。
「おば様ったら、黙っていてと伝えたのに。でも、ユーリが少し元気になってくれて、よかったわ」
「本当ね、このまま半期休みに突入すれば、気持ちも随分落ち着くかもしれないわね」
「私もそう出来る様に、領地では目いっぱい楽しもうと思って。さあ、せっかく来てくれたのですもの。お茶にしましょう。お菓子も沢山あるわよ」
せっかく皆が来てくれたのだ。ゆっくりして行って欲しい。そんな思いで、沢山のお菓子を準備した。
「ありがとう、でも今日はもう帰るわ。ユーリの様子も見られたし。また今度、ゆっくりお茶をしましょう」
「あら、そうなのね。それは残念だわ。それなら、お菓子を持って帰って頂戴。すぐに包むわね」
「ありがとう、ユーリの家のお菓子、とても美味しいのよね。それじゃあ、また来るわね」
「ええ、今日はありがとう」
3人を見送るため、門までやって来た。そして、皆の馬車が見えなくなるまで手を振った。
その時だった。
1台の馬車が、我が家に入って来たのだ。
馬車が停まり、ゆっくり降りて来たのは…
「ユーリ、ちょうどよかった。今日ユーリが学院をお休みしたから、心配で様子を見に来たのだよ。昨日も途中で帰ってしまっただろう?一体どうしたのだい?体調でも悪いのかい?」
「アレックス様…どうしてこちらに?」
「ユーリが心配で、様子を見に来たのだよ。はい、お花。ユーリが好きそうなお花を、選んできたよ。随分と顔色もよさそうだね。よかったよ」
どうしてアレックス様が?私の気持ちを知っていて、どうして私に優しくするの?お願い、もう私には関わらないで。
「アレックス様、どうかもう私には関わらないで下さい。私はあなた様を忘れ、前に進もうとしているのです。今はアレックス様のお顔を見るのも辛いのです。どうか、そっとしておいてもらえませんか?」
アレックス様に向かって、頭を下げた。
「ユーリ、どうしてそんな寂しい事を言うのだい?僕たち、ずっと仲良くしてきたじゃないか。僕はこれからも、ユーリと仲良くしていきたいと思っているよ。そうだ、もうすぐ半期休みだね。去年と同じく、僕の家の領地に遊びに来るかい?ユーリは随分と、僕の家の領地が気に入っていたものね」
そう言ってアレックス様が微笑んでいる。
「申し訳ございません。今年は我が家の領地に行く予定にしておりますので。それから、セレナ様とのご婚約が近々お決まりになるそうですね。いくらアレックス様が私の事を女として見ていなくても、セレナ様からしたら私と一緒に過ごしていては、面白くないでしょう。それでは失礼いたします」
ペコリと頭を下げて、急いでその場を後にする。
「待って、ユーリ」
後ろでアレックス様の声が聞こえるが、振り向く事なんてできない。
どうしてあの人は、私の心をかき乱すのだろう。私がどんな思いで、アレックス様の事を諦めようとしているか…
でも、アレックス様からしたら、今まで仲のよかった幼馴染が、急に距離を置いた事に対し、戸惑いを感じているのかもしれない。彼は私の事を、異性と認識していないのだから。きっと男友達と話す感覚なのだろう。
申し訳ないが、とてもじゃないが今は、アレックス様の気持ちに応える事なんて出来ない。私はアレックス様の事を、異性として見ているのだから。
もう私は、昔の様にアレックス様に接する事は出来ないのだ。アレックス様には申し訳ないが、彼とはしばらく距離を置こう。
それにアレックス様には、最愛の人、セレナ様がいらっしゃるのだ。私なんかが居なくても、痛くもかゆくもないだろう。
やっと少しだけ、心が落ち着いて来たのに…また振り出しに戻ってしまったわね。
一刻も早く、領地に行きたい。領地に行って、気持ちを切り替えたい。
半期休みまで、あと数日。もしまたアレックス様が訪ねていらしたら、その時は申し訳ないがお引き取り願おう。
とてもじゃないが、今の私には彼に会えるほどまだ心が落ち着いていないのだから。
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