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第60話:そんなの嫌よ
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ディアンの身に、一体何があったというの?お母様の様子からみて、きっとディアンの身に良くない事が起こったのだろう。
「実はね、ディアン様の乗っていた馬車が、事故にあってしまった様で…どうやら相手の馬車が運転操作を誤って、ディアン様が乗っていた馬車と正面衝突をしてしまったそうなの。お互いスピードが出ていた様で…」
「それでディアンは?今どうしているのですか?ディアンは無事なのですか?」
「今貴族病院で、治療を受けているそうよ。私もアンの家の使用人から連絡を受けただけだから、ディアン様の安否は分からないのよ」
「そんな…」
ディアンが乗っていた馬車が、事故ですって?そんな…
「ユーリ、しっかりして。まだディアン様が、亡くなったわけではないのだから」
「お母様、縁起でもない事を言わないで下さい!こうしてはいられないわ、すぐにディアンの元に向かわないと」
何とか立ち上がり、走ろうとしたのだが…
「危ない、そっちは壁…」
ゴン!
いたたたた…
あまりにも動揺しすぎて、壁に激突してしまったのだ。私は一体何をしているのかしら?ディアンの安否がわからないというのに、こんな時に壁にぶち当たっているだなんて…
「お嬢様、大丈夫ですか?たんこぶが出来ております。すぐに治療を…」
「ちょっとぶつけただけだから、大丈夫よ。それよりもディアンが心配だわ。もしもの事があったら、私は一体どうすればいいのかしら?」
もしディアンが…考えただけで、目の前が真っ暗になり、涙が溢れ出る。
「ユーリ、大丈夫?とにかくすぐに病院に行きましょう。私も一緒に行くわ。すぐに馬車の手配を」
お母様に支えられながら、馬車に乗り込む。
「お母様、ディアンは今日、私とセレナ様のお家に送ってから帰ったの。もしも私が今日、セレナ様のお宅にお邪魔しなければ、ディアンは事故に遭わなかったかもしれないわ…私のせいで、ディアンが事故に…」
私を送ってさえ行かなければ、ディアンは事故に遭わなかったかもしれない。そう考えると、涙が止まらない。私のせいで…
「それは違うわ。どうやらディアン様は今日、婚約披露パーティーの打ち合わせの為に、出掛けられていたそうよ。目的地に行く途中で、事故に遭われたと聞いたわ。だから、ユーリのせいではないわ」
そういえば今日、ディアンは招待客に配るお土産について、相談に行くと言っていた。お店の人に来てもらえばいいのでは?そう言ったのだけれど、自分の目で色々と見たいからと言っていた。
まさかあのお店に行く途中で、事故に遭うだなんて…本来なら私も行く予定だったのだけれど、急遽私はセレナ様の方に行ったのだ。こんな事なら、ディアンと一緒に行けばよかった。
わざわざ我が家に使いをよこすという事は、きっとあまり良い状況ではないのだろう。ディアン…お願い、どうか無事でいて。
「ユーリ、震えているわ。大丈夫よ、きっとディアン様は大丈夫だから。やっとユーリと結ばれたのですもの。そう簡単に、あなたを置いて逝ったりなさらないわよ。そうでしょう?ユーリ」
「ええ…そうですわ。ディアンは私を1人になんてしませんわ。だって、私の事を幸せにすると、誓ってくれたのだから…だからきっと、大丈夫ですよね」
お母様に向かって笑いかけた。お母様も笑顔を向けてくれる。そうよ、きっとディアンは大丈夫よ。
「ユーリ、病院に着いたわ。行きましょう」
お母様と一緒に馬車を降り、病院に入った。すると
「奥様、お嬢様。カスタマーディス伯爵令息様は、今ちょうど手術を受けているとの事です。こちらです」
先に来ていた使用人が、私たちの元に駆け寄ってきて状況を教えてくれた。
「手術ですって?それで、ディアンの容態は?」
「私も詳しい事は分かりかねます。とにかくこちらです」
使用人に連れられ向かった先は、3階の一番奥だ。そこには、ディアンのご両親の姿が…
「アン、カスタマーディス伯爵、ディアン様の容態は?」
「リリー、ユーリちゃんも来てくれたのね…ディアンはあまり容態が良くない様で…今手術を受けているのだけれど、成功する確率は5分5分と言われていて…リリー、ディアンにもしもの事があったら、私は…」
「おば様、ディアンの容態はそんなに悪いのですか…そんな…イヤよ、ディアン。お願い、私を置いて逝かないで!ディアン、お願いよ。ここを開けて頂戴!ディアンに会わせて」
ディアンを失うかもしれない、完全に取り乱してしまった私は、手術室のドアをドンドン叩きながら、泣きながら必死に訴えた。
「ユーリ、落ち着きなさい。アンも、縁起でもない事を言わないの。ディアン様は今、生きるために必死に戦っているのでしょう?あなた達が取り乱してどうするの?さあ、ユーリ、こっちに来なさい」
手術室のドアから引きずり放され、そのまま椅子に座らされた。
でも、ゆっくり座ってなんていられない。今まさにディアンが、生きるか死ぬかの戦いをしているのだ。
お願い、神様、どうかディアンを助けて下さい。
お願い、ディアン。どうか頑張って生きて!
「実はね、ディアン様の乗っていた馬車が、事故にあってしまった様で…どうやら相手の馬車が運転操作を誤って、ディアン様が乗っていた馬車と正面衝突をしてしまったそうなの。お互いスピードが出ていた様で…」
「それでディアンは?今どうしているのですか?ディアンは無事なのですか?」
「今貴族病院で、治療を受けているそうよ。私もアンの家の使用人から連絡を受けただけだから、ディアン様の安否は分からないのよ」
「そんな…」
ディアンが乗っていた馬車が、事故ですって?そんな…
「ユーリ、しっかりして。まだディアン様が、亡くなったわけではないのだから」
「お母様、縁起でもない事を言わないで下さい!こうしてはいられないわ、すぐにディアンの元に向かわないと」
何とか立ち上がり、走ろうとしたのだが…
「危ない、そっちは壁…」
ゴン!
いたたたた…
あまりにも動揺しすぎて、壁に激突してしまったのだ。私は一体何をしているのかしら?ディアンの安否がわからないというのに、こんな時に壁にぶち当たっているだなんて…
「お嬢様、大丈夫ですか?たんこぶが出来ております。すぐに治療を…」
「ちょっとぶつけただけだから、大丈夫よ。それよりもディアンが心配だわ。もしもの事があったら、私は一体どうすればいいのかしら?」
もしディアンが…考えただけで、目の前が真っ暗になり、涙が溢れ出る。
「ユーリ、大丈夫?とにかくすぐに病院に行きましょう。私も一緒に行くわ。すぐに馬車の手配を」
お母様に支えられながら、馬車に乗り込む。
「お母様、ディアンは今日、私とセレナ様のお家に送ってから帰ったの。もしも私が今日、セレナ様のお宅にお邪魔しなければ、ディアンは事故に遭わなかったかもしれないわ…私のせいで、ディアンが事故に…」
私を送ってさえ行かなければ、ディアンは事故に遭わなかったかもしれない。そう考えると、涙が止まらない。私のせいで…
「それは違うわ。どうやらディアン様は今日、婚約披露パーティーの打ち合わせの為に、出掛けられていたそうよ。目的地に行く途中で、事故に遭われたと聞いたわ。だから、ユーリのせいではないわ」
そういえば今日、ディアンは招待客に配るお土産について、相談に行くと言っていた。お店の人に来てもらえばいいのでは?そう言ったのだけれど、自分の目で色々と見たいからと言っていた。
まさかあのお店に行く途中で、事故に遭うだなんて…本来なら私も行く予定だったのだけれど、急遽私はセレナ様の方に行ったのだ。こんな事なら、ディアンと一緒に行けばよかった。
わざわざ我が家に使いをよこすという事は、きっとあまり良い状況ではないのだろう。ディアン…お願い、どうか無事でいて。
「ユーリ、震えているわ。大丈夫よ、きっとディアン様は大丈夫だから。やっとユーリと結ばれたのですもの。そう簡単に、あなたを置いて逝ったりなさらないわよ。そうでしょう?ユーリ」
「ええ…そうですわ。ディアンは私を1人になんてしませんわ。だって、私の事を幸せにすると、誓ってくれたのだから…だからきっと、大丈夫ですよね」
お母様に向かって笑いかけた。お母様も笑顔を向けてくれる。そうよ、きっとディアンは大丈夫よ。
「ユーリ、病院に着いたわ。行きましょう」
お母様と一緒に馬車を降り、病院に入った。すると
「奥様、お嬢様。カスタマーディス伯爵令息様は、今ちょうど手術を受けているとの事です。こちらです」
先に来ていた使用人が、私たちの元に駆け寄ってきて状況を教えてくれた。
「手術ですって?それで、ディアンの容態は?」
「私も詳しい事は分かりかねます。とにかくこちらです」
使用人に連れられ向かった先は、3階の一番奥だ。そこには、ディアンのご両親の姿が…
「アン、カスタマーディス伯爵、ディアン様の容態は?」
「リリー、ユーリちゃんも来てくれたのね…ディアンはあまり容態が良くない様で…今手術を受けているのだけれど、成功する確率は5分5分と言われていて…リリー、ディアンにもしもの事があったら、私は…」
「おば様、ディアンの容態はそんなに悪いのですか…そんな…イヤよ、ディアン。お願い、私を置いて逝かないで!ディアン、お願いよ。ここを開けて頂戴!ディアンに会わせて」
ディアンを失うかもしれない、完全に取り乱してしまった私は、手術室のドアをドンドン叩きながら、泣きながら必死に訴えた。
「ユーリ、落ち着きなさい。アンも、縁起でもない事を言わないの。ディアン様は今、生きるために必死に戦っているのでしょう?あなた達が取り乱してどうするの?さあ、ユーリ、こっちに来なさい」
手術室のドアから引きずり放され、そのまま椅子に座らされた。
でも、ゆっくり座ってなんていられない。今まさにディアンが、生きるか死ぬかの戦いをしているのだ。
お願い、神様、どうかディアンを助けて下さい。
お願い、ディアン。どうか頑張って生きて!
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