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第12話:オニキスに少しでも慣れるために~ブライン視点~
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オニキスの罰期間が終わってから、僕は毎日オニキスをお茶に誘った。確かに父上たちが言う様に、いくらオニキスが可愛いからと言っても、そろそろ慣れないといけない。それに、結婚したらそれなりの事もやるんだから。
第一僕たちは婚約してから、もう8年も経つのに、口づけどころか手すらろくに繋いでいないのだ。せいぜい夜会の時に腕を組むくらい。
とにかくオニキスの体は柔らかすぎる。前に一度ダンスの時に、オニキスの柔らかい体に触れてしまい、思いっきり鼻血を吹き出した事があるのだ。
あの時は、体調が悪かったとごまかしたが、正直恥ずかしくてたまらなかった。その様な失態は、二度と出来ない。
でも、このままではいけない。オニキスも寂しがっているし、僕もいい加減オニキスに触れたいし、もっと一緒にいたい。
「ヴァン、僕は考えたんだ。これ以上オニキスに寂しい思いをさせないために、もっとオニキスとの時間を大切にしようと」
「そうですね、でも、すぐに鼻血が出てしまうあなた様は、どうなさるおつもりなのですか?」
「少しでもオニキスになれる様、時間があるときはオニキスを眺めていようと思う」
「殿下…それではいつもと同じではありませんか」
はぁ~っと、ため息を付くヴァン。
「確かにそうだが…でも、もうオニキスに慣れていくしかないだろう。さあ、早速オニキスの様子を見よう」
早速モニターを付ける。どうやら今は、ジョンソンの屋敷に遊びに行っている様だ。公爵家の屋敷の隣に、息子夫婦が自分たちの屋敷を建てているのだ。
笑顔のオニキスがモニターに映る。やっぱりオニキスは可愛いな…
とっ、次の瞬間!
「ヴァン、一体どういう事だ。僕の可愛いオニキスが、野郎に顔を舐められているぞ!僕だってオニキスの頬に触れたことがないのに!ヴァン、今すぐ公爵家に向かうぞ。あいつを僕の婚約者に手を出した罪で捕えてやる!」
そのまま勢いよく部屋の外に出ようとする僕を、なぜかヴァンが止める。
「殿下…オニキス様の頬を舐めていらっしゃるのは、ジョンソン様が最近飼い始めた子犬でございます。異種に嫉妬するのはお止めください。さすがに見苦しいですよ…」
「たとえ犬でも、あいつはオスだと聞いている!」
「とにかく、落ち着いて下さい!ほら、子犬がオニキス様から離れましたよ。よかったですね」
「何が良かったんだ!今度は人間がオニキスの柔らかそうなバストに顔をうずめているではないか!今度こそ、僕の婚約者に手を出した不届き物だ。捕まえて牢にぶち込んでやる!クソ、僕だってまだオニキスの胸に触れたことがないんだぞ。それなのにあの野郎!」
「殿下、いい加減にしてください。あのお方はジョンソン様のご子息で、オニキス様の甥のランプ様でございます。御年1歳になられたばかりですよ。本当にあなたって方は」
「それでも男に変わりはない。それにしても、オニキスは本当に美しいな…僕もあの甥になりたい…」
「ランプ様になったら、オニキス様とは結婚できませんよ」
鋭い突っ込みが、ヴァンから飛ぶ。
「それは困る。あぁ、僕の可愛いオニキス。なんて可愛いんだ。そうだ、後ろから抱きしめたら、鼻血は出ないのではないのか?」
「たとえ後ろから抱きしめたところで、あなた様は興奮してしまい鼻血がぶっ飛ぶ事でしょう。本当に、いい加減オニキス様に慣れたらどうですか?もうこうなったら、あなた様の体質をオニキス様にお話して、触れる練習を成された方がよろしいのではありませんか?」
「それはダメだ。興奮して鼻血を出す男なんて、みっともないじゃないか。とにかく僕は、オニキスの前ではカッコよくて聡明で素敵な男性でいたいんだ」
オニキスにみっともない姿何て、絶対に見せられるものか。
「はぁ~、それではいつまでたっても、前に進めないではありませんか」
「だからこうやって、オニキスをいつも見て少しでも慣れようとしているのだろう。そういえば、明後日から貴族学院が始まるな。いいか、ヴァン。貴族学院が始まったら、オニキスに放課後、王宮に来るように伝えてくれ。僕が待っていると」
「そんなの、ご自分で言えばよいではありませんか?それに毎日だなんて、きっとオニキス様にも予定があるでしょう。彼女はクラスの人気者なのですから」
「だから言っているんだよ。もしかしたら、オニキスが僕と婚約破棄をしたがっていると嗅ぎつけた令息が、オニキスに協力するかもしれないだろう。オニキスは誰にも渡すものか。そうだ、オニキスの好きなカモミールティを準備しておかないと。それから、王都で人気のお菓子もリサーチしておいてくれ」
毎日一緒に過ごせば、さすがに少しは僕の体もオニキスになれるだろう。そうだ、後で医者を呼んで、鼻血が出にくくなる薬でも開発してもらおう。結婚まで後1年しかないんだ、少しでもオニキスに近づかないと。
第一僕たちは婚約してから、もう8年も経つのに、口づけどころか手すらろくに繋いでいないのだ。せいぜい夜会の時に腕を組むくらい。
とにかくオニキスの体は柔らかすぎる。前に一度ダンスの時に、オニキスの柔らかい体に触れてしまい、思いっきり鼻血を吹き出した事があるのだ。
あの時は、体調が悪かったとごまかしたが、正直恥ずかしくてたまらなかった。その様な失態は、二度と出来ない。
でも、このままではいけない。オニキスも寂しがっているし、僕もいい加減オニキスに触れたいし、もっと一緒にいたい。
「ヴァン、僕は考えたんだ。これ以上オニキスに寂しい思いをさせないために、もっとオニキスとの時間を大切にしようと」
「そうですね、でも、すぐに鼻血が出てしまうあなた様は、どうなさるおつもりなのですか?」
「少しでもオニキスになれる様、時間があるときはオニキスを眺めていようと思う」
「殿下…それではいつもと同じではありませんか」
はぁ~っと、ため息を付くヴァン。
「確かにそうだが…でも、もうオニキスに慣れていくしかないだろう。さあ、早速オニキスの様子を見よう」
早速モニターを付ける。どうやら今は、ジョンソンの屋敷に遊びに行っている様だ。公爵家の屋敷の隣に、息子夫婦が自分たちの屋敷を建てているのだ。
笑顔のオニキスがモニターに映る。やっぱりオニキスは可愛いな…
とっ、次の瞬間!
「ヴァン、一体どういう事だ。僕の可愛いオニキスが、野郎に顔を舐められているぞ!僕だってオニキスの頬に触れたことがないのに!ヴァン、今すぐ公爵家に向かうぞ。あいつを僕の婚約者に手を出した罪で捕えてやる!」
そのまま勢いよく部屋の外に出ようとする僕を、なぜかヴァンが止める。
「殿下…オニキス様の頬を舐めていらっしゃるのは、ジョンソン様が最近飼い始めた子犬でございます。異種に嫉妬するのはお止めください。さすがに見苦しいですよ…」
「たとえ犬でも、あいつはオスだと聞いている!」
「とにかく、落ち着いて下さい!ほら、子犬がオニキス様から離れましたよ。よかったですね」
「何が良かったんだ!今度は人間がオニキスの柔らかそうなバストに顔をうずめているではないか!今度こそ、僕の婚約者に手を出した不届き物だ。捕まえて牢にぶち込んでやる!クソ、僕だってまだオニキスの胸に触れたことがないんだぞ。それなのにあの野郎!」
「殿下、いい加減にしてください。あのお方はジョンソン様のご子息で、オニキス様の甥のランプ様でございます。御年1歳になられたばかりですよ。本当にあなたって方は」
「それでも男に変わりはない。それにしても、オニキスは本当に美しいな…僕もあの甥になりたい…」
「ランプ様になったら、オニキス様とは結婚できませんよ」
鋭い突っ込みが、ヴァンから飛ぶ。
「それは困る。あぁ、僕の可愛いオニキス。なんて可愛いんだ。そうだ、後ろから抱きしめたら、鼻血は出ないのではないのか?」
「たとえ後ろから抱きしめたところで、あなた様は興奮してしまい鼻血がぶっ飛ぶ事でしょう。本当に、いい加減オニキス様に慣れたらどうですか?もうこうなったら、あなた様の体質をオニキス様にお話して、触れる練習を成された方がよろしいのではありませんか?」
「それはダメだ。興奮して鼻血を出す男なんて、みっともないじゃないか。とにかく僕は、オニキスの前ではカッコよくて聡明で素敵な男性でいたいんだ」
オニキスにみっともない姿何て、絶対に見せられるものか。
「はぁ~、それではいつまでたっても、前に進めないではありませんか」
「だからこうやって、オニキスをいつも見て少しでも慣れようとしているのだろう。そういえば、明後日から貴族学院が始まるな。いいか、ヴァン。貴族学院が始まったら、オニキスに放課後、王宮に来るように伝えてくれ。僕が待っていると」
「そんなの、ご自分で言えばよいではありませんか?それに毎日だなんて、きっとオニキス様にも予定があるでしょう。彼女はクラスの人気者なのですから」
「だから言っているんだよ。もしかしたら、オニキスが僕と婚約破棄をしたがっていると嗅ぎつけた令息が、オニキスに協力するかもしれないだろう。オニキスは誰にも渡すものか。そうだ、オニキスの好きなカモミールティを準備しておかないと。それから、王都で人気のお菓子もリサーチしておいてくれ」
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