24 / 53
第2章
第2話:旦那様はメイソン様に甘い様です
しおりを挟む
使用人を引き連れ、メイソン様が部屋を出て行こうとしている。
「コラ、待ちなさい!メイソン!」
お義母様が引き留めるのを無視し、さっさと部屋から出て行ってしまった。
「本当にごめんなさい。今すぐ連れて帰るから」
「お義母様、とりあえず旦那様の意見を聞いてからの方がいいかと…」
多分旦那様なら、あんな感じの悪い従兄弟なんて追い出してくれるだろう。そう思ったのだ。
「ローラちゃん、ありがとう。アーサーを立ててくれているのね。それじゃあ、私もアーサーが帰るまでここで待たせて頂くわね」
どうやらお義母様も、旦那様がメイソン様を追い出すと踏んだようだ。その後はお茶を楽しみながら、お義母様と話しに花を咲かせた。そして、ついに旦那様が帰って来た。
「おかえりなさいませ、旦那様」
「おかえり、アーサー」
「ただいま、ローラって、なんで母上がここに居るんだ!」
明らかに嫌そうな顔をする旦那様。いくら何でも、お義母様に失礼よ。
その時だった。
「アーサー兄さん、お帰り。待っていたんだ!」
嬉しそうに駆け寄ってきたのは、メイソン様だ。
「メイソンじゃないか。久しぶりだな。随分と大きくなって。元気にしていたか?」
「もちろんだよ。俺も兄さんみたいに強くなりたくて、この国に来たんだ。アーサー兄さんの騎士団に、入れてもらってもいいかな?それから、今日からここにお世話になりたいんだ」
顔だけはものすごく美しいメイソン様が、満面の笑みで旦那様に語り掛ける。
「わざわざ俺のいる騎士団に入りたくて来たのか。分かった、早速手続きをしよう。モカラ、メイソンの部屋を準備してくれ」
「部屋ならもう勝手に使わせてもらっているよ。それにしても、この屋敷はほとんどが男性の使用人なんだね。やっぱり使用人は男性が一番だ。さすがアーサー兄さん!」
「相変わらず可愛い奴だな。ローラ、こいつは俺の従兄弟のメイソンだ。歳は十六歳、悪いが仲良くしてやって欲しい」
えーーー!結局この無礼者をこの屋敷で預かるの?でも、旦那様が決めた事だ。嫌だとは言えない…
「アーサー兄さん。どうしてこの女を追い出さないの?やっぱり公爵家の嫡男として、世継ぎを残さないといけないから?」
私を睨みつけながら、旦那様に聞いているメイソン様。本当に感じが悪い!
「メイソン、ローラは俺が初めて心から愛した女性だ。ローラの事をこの女と呼ぶのは止めて欲しい。彼女は、お前が考えている様な女性ではない。どうか仲良くしてくれ」
旦那様の言葉を聞き、まだ不満そうではあるが、一応は納得するふりをした様だ。そう、ふりをね。
「せっかくだから、皆で食事にしよう。母上も食事をしてから帰るといい」
なぜかご機嫌の旦那様が、お義母様も誘っている。
「私はいいわ。それじゃあ、メイソンをよろしくね。ローラちゃん、もしメイソンがあなたに嫌がらせをしたら、すぐに報告してね」
そう言って帰って行ったお義母様。早速三人で食堂へと向かう。
なんだか気まずい雰囲気の中、食事がスタートした。嬉しそうに旦那様に話しかけるメイソン様。そんなメイソン様の話を、これまた嬉しそうに聞いている旦那様。そう、まるで私はいないものの様な扱いだ。
全く話に入れない話題をガンガン話すメイソン様が、勝ち誇った目をしてこちらをチラリとみて来た。
何なのよこいつは!話に入れない私に気が付いた旦那様が、私に話しかけて来てくれた。
「ローラ、ずっとメイソンとばかり話していてすまない。それで、今日は何をしていたんだ?」
「今日はこの前のお茶会で仲良くなった、マリーナ様が娘さんの為にぬいぐるみの依頼にいらしたの。それで、その打ち合わせをしておりましたのよ。一メートルくらいある、大きな犬のぬいぐるみを作る事になりましたわ」
「そんなに大きなぬいぐるみを作るのか。それは大変そうだな。あまり無理をするなよ。お前は集中すると、無理をする癖があるからな」
「はい、ありがとうございます。期間はまだありますので、大丈夫ですわ」
私たちの話を不満そうに聞いていたメイソン様。
「もしかして、この変なクマとウサギもあんたが作ったのか?」
「おいメイソン、変とは何だ!これはローラの自信作だぞ」
すかさず反論してくれた旦那様。
「変だから変だと言ったんだ!そもそも食堂にこんな物を飾るなんて、悪趣味もいいところだ」
そう旦那様に、メイソン様が抗議をしている。そう言えば、旦那様も最初クマを飾った時、ものすごく不機嫌な顔をしていたわね。そう思ったら、なんだか可笑しくなって笑ってしまった。
「何が可笑しいんだ」
すかさず私に怒鳴るメイソン様。怒った顔も旦那様によく似ている。
「ごめんさない。私がここに来たばかりの頃の旦那様とメイソン様が、あまりにもよく似ていたので、つい…」
本当に眉間にシワを寄せて、私を睨んでいる顔なんてそっくりだ。
「俺とメイソンは、顔もよく似ているらしいからな。それにしてもメイソン、ローラは俺の大切な妻だ。あまり酷い事を言うなよ」
そう言ってメイソン様の頭を撫でた旦那様。どうやらメイソン様は、私の事が嫌いな様だ。これから一緒に生活するみたいだけれど、大丈夫かしら?
「コラ、待ちなさい!メイソン!」
お義母様が引き留めるのを無視し、さっさと部屋から出て行ってしまった。
「本当にごめんなさい。今すぐ連れて帰るから」
「お義母様、とりあえず旦那様の意見を聞いてからの方がいいかと…」
多分旦那様なら、あんな感じの悪い従兄弟なんて追い出してくれるだろう。そう思ったのだ。
「ローラちゃん、ありがとう。アーサーを立ててくれているのね。それじゃあ、私もアーサーが帰るまでここで待たせて頂くわね」
どうやらお義母様も、旦那様がメイソン様を追い出すと踏んだようだ。その後はお茶を楽しみながら、お義母様と話しに花を咲かせた。そして、ついに旦那様が帰って来た。
「おかえりなさいませ、旦那様」
「おかえり、アーサー」
「ただいま、ローラって、なんで母上がここに居るんだ!」
明らかに嫌そうな顔をする旦那様。いくら何でも、お義母様に失礼よ。
その時だった。
「アーサー兄さん、お帰り。待っていたんだ!」
嬉しそうに駆け寄ってきたのは、メイソン様だ。
「メイソンじゃないか。久しぶりだな。随分と大きくなって。元気にしていたか?」
「もちろんだよ。俺も兄さんみたいに強くなりたくて、この国に来たんだ。アーサー兄さんの騎士団に、入れてもらってもいいかな?それから、今日からここにお世話になりたいんだ」
顔だけはものすごく美しいメイソン様が、満面の笑みで旦那様に語り掛ける。
「わざわざ俺のいる騎士団に入りたくて来たのか。分かった、早速手続きをしよう。モカラ、メイソンの部屋を準備してくれ」
「部屋ならもう勝手に使わせてもらっているよ。それにしても、この屋敷はほとんどが男性の使用人なんだね。やっぱり使用人は男性が一番だ。さすがアーサー兄さん!」
「相変わらず可愛い奴だな。ローラ、こいつは俺の従兄弟のメイソンだ。歳は十六歳、悪いが仲良くしてやって欲しい」
えーーー!結局この無礼者をこの屋敷で預かるの?でも、旦那様が決めた事だ。嫌だとは言えない…
「アーサー兄さん。どうしてこの女を追い出さないの?やっぱり公爵家の嫡男として、世継ぎを残さないといけないから?」
私を睨みつけながら、旦那様に聞いているメイソン様。本当に感じが悪い!
「メイソン、ローラは俺が初めて心から愛した女性だ。ローラの事をこの女と呼ぶのは止めて欲しい。彼女は、お前が考えている様な女性ではない。どうか仲良くしてくれ」
旦那様の言葉を聞き、まだ不満そうではあるが、一応は納得するふりをした様だ。そう、ふりをね。
「せっかくだから、皆で食事にしよう。母上も食事をしてから帰るといい」
なぜかご機嫌の旦那様が、お義母様も誘っている。
「私はいいわ。それじゃあ、メイソンをよろしくね。ローラちゃん、もしメイソンがあなたに嫌がらせをしたら、すぐに報告してね」
そう言って帰って行ったお義母様。早速三人で食堂へと向かう。
なんだか気まずい雰囲気の中、食事がスタートした。嬉しそうに旦那様に話しかけるメイソン様。そんなメイソン様の話を、これまた嬉しそうに聞いている旦那様。そう、まるで私はいないものの様な扱いだ。
全く話に入れない話題をガンガン話すメイソン様が、勝ち誇った目をしてこちらをチラリとみて来た。
何なのよこいつは!話に入れない私に気が付いた旦那様が、私に話しかけて来てくれた。
「ローラ、ずっとメイソンとばかり話していてすまない。それで、今日は何をしていたんだ?」
「今日はこの前のお茶会で仲良くなった、マリーナ様が娘さんの為にぬいぐるみの依頼にいらしたの。それで、その打ち合わせをしておりましたのよ。一メートルくらいある、大きな犬のぬいぐるみを作る事になりましたわ」
「そんなに大きなぬいぐるみを作るのか。それは大変そうだな。あまり無理をするなよ。お前は集中すると、無理をする癖があるからな」
「はい、ありがとうございます。期間はまだありますので、大丈夫ですわ」
私たちの話を不満そうに聞いていたメイソン様。
「もしかして、この変なクマとウサギもあんたが作ったのか?」
「おいメイソン、変とは何だ!これはローラの自信作だぞ」
すかさず反論してくれた旦那様。
「変だから変だと言ったんだ!そもそも食堂にこんな物を飾るなんて、悪趣味もいいところだ」
そう旦那様に、メイソン様が抗議をしている。そう言えば、旦那様も最初クマを飾った時、ものすごく不機嫌な顔をしていたわね。そう思ったら、なんだか可笑しくなって笑ってしまった。
「何が可笑しいんだ」
すかさず私に怒鳴るメイソン様。怒った顔も旦那様によく似ている。
「ごめんさない。私がここに来たばかりの頃の旦那様とメイソン様が、あまりにもよく似ていたので、つい…」
本当に眉間にシワを寄せて、私を睨んでいる顔なんてそっくりだ。
「俺とメイソンは、顔もよく似ているらしいからな。それにしてもメイソン、ローラは俺の大切な妻だ。あまり酷い事を言うなよ」
そう言ってメイソン様の頭を撫でた旦那様。どうやらメイソン様は、私の事が嫌いな様だ。これから一緒に生活するみたいだけれど、大丈夫かしら?
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
6,387
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。