離縁前提で嫁いだのにいつの間にか旦那様に愛されていました

Karamimi

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第2章

第4話:メイソン様に嫉妬してしまいました

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メイソン様を部屋に連れて行く使用人たち。とにかくもう一度しっかり怪我の状況をお医者様に診てもらった方がいい。そう思い、急いでお医者様を呼んだ。

そして私もメイソン様の部屋へと向かう。

「おい、何でお前が俺の部屋に入って来るんだ。さては俺が怪我をして動けないのをいい事に、襲いに来たな。卑猥な女め!」

相変わらず口が悪いわね!でも、こんな奴でも旦那様の大切な従兄弟だ。放っておく訳にはいかない。

「だから何度も申し上げているでしょう?私はあなたには微塵も興味が無いと。とにかくもうすぐお医者様が来ますから、まずは治療に専念して下さい」

そう伝え、一旦部屋から出た。その後お医師様が来て診察を行ってもらった結果、右腕は骨折、左足は捻挫しているとの事。しばらくは絶対安静で。そう言われたそうだ。

という事は、しばらくは屋敷にずっといるのよね…なんだかものすごく気が重い…

お医者様の診察が終わった頃、旦那様が急いで帰って来た。

「メイソン、大丈夫か?すまない、お前が怪我をしたと言うのに、一緒に帰ってやれなくて」

「アーサー兄さん、心配かけてごめんね。俺は大丈夫だよ。ただ腕は骨折しているし、足は捻挫したからしばらく動けないんだ。ねぇ、兄さん。部屋に鍵を付けてくれないかな?万が一、女が襲ってきたら嫌だし…」

私の方をチラチラ見ながら、旦那様に訴えている。

「家の警備はかなりしっかりしているから大丈夫だよ、そんなに気になるなら、扉の前に護衛騎士を付けよう。それなら安心だろう?」

「まあ…それなら…」

若干不満そうなメイソン様。どうやら私がメイソン様を襲うと思っている様だ。本当に失礼な男ね。こっちだって、頼まれても御免よ。さあ、こんな我が儘男に構っている暇はないわ。早くぬいぐるみを作らないと。

まだ二ヶ月程度あるとはいえ、今回は大きなぬいぐるみだ。あまりゆっくりしている時間はない。とにかく時間がある時は進めて行かないと。部屋で集中して作業を行っていると、モカラが晩ご飯の時間だと呼びに来てくれた。

早速食堂へと向かうが、旦那様の姿はどこにもない。

「ローラ様、アーサー様はメイソン様の部屋で一緒に食事を摂っております」

申し訳なさそうにモカラが教えてくれた。優しい旦那様は、怪我をした従兄弟を放っておけなかったのね。でも…

一人で食べる食事は何とも味気ない。結局黙って一人で食事を済ませ、再び自室に戻りぬいぐるみ作りを再開させた。でも…

旦那様の事が気になって、中々進まない。今までずっと一緒だったのに、メイソン様が来てから、メイソン様の事も気に掛ける様になった。なんだか旦那様をメイソン様に取られてしまったみたいだわ…

それにしても、メイソン様はいつまでここに居るつもりなのかしら…もしかして、ずっと三人で暮らすのかしら…このまま、旦那様をメイソン様に取られたらどうしよう…

そう思ったら、瞳からポロポロと涙が流れて来た。ダメよ、こんな事で泣くなんて。それも相手は旦那様の従兄弟で、男性なのよ!男性に嫉妬するなんて、私はいつからこんなにも器が小さな人間になったのかしら…でも…

その時だった。

「ローラ、どうしたんだい?」

部屋にやって来た旦那様が、慌てて私の元に飛んできた。

「何でもありませんわ。ちょっとゴミが目に入っただけです」

そう言って急いで目をこすった。さすがに旦那様には、メイソン様に嫉妬して泣いていたなんて恥ずかしくて言えない。

「それは大変だ!すぐに水で洗い流さないと。そうそう、今日はメイソンの部屋で休む事にしたんだ。万が一メイソンが熱を出すと大変だからね。ローラ、悪いが今日は一人で寝てくれるかい?」

え?寝るのも別々なの?それは嫌…でも、そんな事は言えない…

「…分かりましたわ。では今日はここで寝ますね…」

「本当にすまない。そうだ、キーキを出してやろう」

そう言うと、左手を上げた旦那様。

「もう、アーサー。こんな時ばかり私を使うのだから」

ふくれっ面のキーキが目の前に現れた。どうやらキーキは、この状況を分かっているみたいだ。

「キーキ、悪いが今日はローラの傍にいてやってくれ」

「別にいいけれど、後で魔力を頂戴よ」

「お前…ちゃっかりしているな。わかった、後で好きなだけやろう。それじゃあ、俺はもう行くから」

そう言い残し、旦那様は出て行った。

「ローラ、大丈夫?本当にアーサーは鈍いわね。それにしてもあのアーサーの従兄弟、本当に感じが悪いわ。ローラに暴言を吐くなんて。昔のアーサーの様ね」

まるで今までの出来事を知っているかのような口ぶりのキーキ。

「あなた、随分と今の状況を理解しているのね」

「妖精界から人間界というか、アーサーの様子が見られるのよ。暇なときは定期的に見ているからね」

なるほど、だから色々と旦那様の事を知っているのね。

「それよりローラ、あなた、泣いていたでしょう。目が赤いわ。大丈夫?」

「ありがとう、キーキ。私、どうやらメイソン様に嫉妬知っちゃったみたい…年下の、それも男性に嫉妬するなんて、変よね」

「変じゃないわ。第一、いつもローラローラと言っているくせに、ローラが寂しい思いをしている事すら気が付かないアーサーが悪いのよ。本当にアーサーは、肝心なところが抜けているのよ」

私の為に、プリプリと怒ってくれるキーキ。それが嬉しくてたまらない。

「とにかく、あまり気にする必要は無いわ。アーサーは本当にローラが好きだし。でもね、自分の気持ちはしっかり口にしないと伝わらないわよ。あなた達は本当の夫婦になったのでしょう?それなら、言いたい事ははっきりと言わないと」

本当の夫婦になったか…

「そうよね。言いたい事は言わないとね。ありがとう、キーキ」

「どういたしまして。さあ、一緒に寝ましょう」

キーキと一緒にベットに入った。キーキにはハンカチを掛けてあげる。

「こうやってキーキと寝るのって、私が家出した時以来ね」

「そうね。あの時もこうやって、ローラがハンカチを掛けてくれたのよね」

「ねえ、キーキ。あの時は迎えに来てくれてありがとう。それから、今日も…」

「どういたしまして」

にっこりとほほ笑んだキーキ。そのまま目を閉じてしまった。

キーキ、ありがとう。私が困っている時、いつも助けてくれるキーキ。少し我が儘なところがあるけれど、それもまた可愛いのよね。キーキ、大好きよ。

眠るキーキの頬に、そっと口づけを落とし、私も眠りに付いたのだった。
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