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第10話:殿下の魅了魔法が解けたそうです
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「それでは私はこれで」
「もう帰っちゃうの?せっかくだから、夕ご飯も食べて行って。お父様も今日は、パレスティ侯爵家で食事をして来るそうだし」
「ありがとう、でもさすがにこれ以上長居は出来ないわ。また我が家にも遊びに来てね」
ルミナとルミナのお母様に挨拶をして、馬車に乗り込んだ。辺りは少し薄暗くなってきている。ちょっと長居しすぎたわね。急いで家に帰ると…
「リリアーナ!!」
馬車から降りると、あり得ない人物が私の目の前に現れたのだ。一瞬にして固まる。
「殿下、まだいらしたのですか?リリアーナはあなた様のお顔など見たくはありません。どうかお帰り下さい」
そう、私の目の前に現れたのは、アレホ殿下だ。一体何しに来たのだろう。もしかして昨日の件に関して、直接抗議に来たとか?
そんな殿下を必死に止めようとしているお父様。やっぱり抗議に来たのね。でも私は悪くはないわ!背筋をピシッと伸ばし、殿下の方を真っすぐと見た。
「殿下、昨日の件で文句を言いにいらっしゃったのなら、お門違いもいいところです。私は被害者ですので、文句を言われたところで困ります。それでは失礼いたします」
もう二度とこの人には関わりたくはない。そう思い殿下に一礼して、屋敷に入ろうとしたのだが…
「待ってくれ、違うんだ。僕は君に謝りに来たんだ。今まで君に酷い事をして、本当にすまなかった。この程度の謝罪で許してもらえるとは思っていない。それでも、いてもたってもいられなくて」
そう言うと、すごい勢いで頭を下げたのだ。もしかして…
スッとお父様の方を見ると、コクリと頷いている。そうか、魅了魔法が解けたのね。でも、今更どうでもいいわ。
「殿下の謝罪、承知いたしました。それでは失礼いたします」
そう伝え、再び屋敷に戻ろうとしたのだが…
「待ってくれ、リリアーナ。僕は…」
「イヤ!離してください」
ふいに私の腕を掴んだ殿下を、思いっきり振りほどいてしまった。
「申し訳ございません。どうかもう、私には構わないで下さい、お願いします」
深々と殿下に頭を下げ、そのまま急いで屋敷に入った。後ろで殿下が何か叫んでいたのが聞こえたが、もう顔も見たくないのだ。
「リリアーナ、大丈夫?」
「姉上」
お母様とリヒトが飛んできた。
「…ええ、大丈夫ですわ。ただ…殿下が…」
「殿下はまだ帰っていなかったの?あの人、午後一番にいらしたのよ。まだいただなんて…」
そんなに前からいらしていたのね。殿下は元々根は真面目な人だ。魅了魔法に掛かってしまった事、さらに一応婚約者でもあった私を傷つけたことを悔いているのだろう。でも、悔いてもらう必要は無い。
とにかく私は、もう殿下には関わりたくはないのだから。
「リリアーナ、大丈夫か?殿下にはすぐに帰ってもらったから、もう大丈夫だよ。すまない、まだ殿下が待っていただなんて思わなくて…」
「お父様、殿下の魅了魔法が解けたのですね」
「ああ、どうやら殿下は自力で解いた様だ…昨日マルティ嬢の醜態を目の当たりにして、正気に戻ったみたいで。まさか自力で解くだなんて思わなかったよ。ただ、マルティ嬢とガレイズ伯爵家の逮捕状を手配するのに時間が掛かっていて、明日の朝、一気にガレイズ伯爵家に向かう事になっている。逃げられたりしたら厄介だからね」
正直殿下の魅了魔法が解けようが、もう私には関係ない。
「お父様、殿下が今まで私に行った事を悔いている様ですが、過ぎた事ですし、何より魔法によって操られていたのですから、どうか気にしないで欲しいと伝えて下さい。正直に申しますと、罪の意識から今後も謝罪に来られたら迷惑ですので。どうかもう、私には関わらないで欲しいのです」
魅了魔法のせいでかなり残念な人になっていたが、本来の殿下は責任感が強く、曲がった事が大嫌いな性格なのだ。きっと私に悪い事をしたと思って、今後も謝罪に来そうな気がする。
はっきり言って、もう私は殿下には関わりたくはない。謝罪も必要ないのだ。
「わかったよ、リリアーナに悪いと思っているのなら、もう二度と関わらないで欲しいと伝えておくよ」
「そうして頂けると嬉しいですわ。もう私は、殿下の事を忘れて前を向いて歩き始めているのですから」
そう、もう殿下に振り回されるのは御免だ。私はまだ15歳、素敵な殿方を見つけて、私だけを見て下さる方と婚約したい。ルミナの様に…
※次回、アレホ視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
「もう帰っちゃうの?せっかくだから、夕ご飯も食べて行って。お父様も今日は、パレスティ侯爵家で食事をして来るそうだし」
「ありがとう、でもさすがにこれ以上長居は出来ないわ。また我が家にも遊びに来てね」
ルミナとルミナのお母様に挨拶をして、馬車に乗り込んだ。辺りは少し薄暗くなってきている。ちょっと長居しすぎたわね。急いで家に帰ると…
「リリアーナ!!」
馬車から降りると、あり得ない人物が私の目の前に現れたのだ。一瞬にして固まる。
「殿下、まだいらしたのですか?リリアーナはあなた様のお顔など見たくはありません。どうかお帰り下さい」
そう、私の目の前に現れたのは、アレホ殿下だ。一体何しに来たのだろう。もしかして昨日の件に関して、直接抗議に来たとか?
そんな殿下を必死に止めようとしているお父様。やっぱり抗議に来たのね。でも私は悪くはないわ!背筋をピシッと伸ばし、殿下の方を真っすぐと見た。
「殿下、昨日の件で文句を言いにいらっしゃったのなら、お門違いもいいところです。私は被害者ですので、文句を言われたところで困ります。それでは失礼いたします」
もう二度とこの人には関わりたくはない。そう思い殿下に一礼して、屋敷に入ろうとしたのだが…
「待ってくれ、違うんだ。僕は君に謝りに来たんだ。今まで君に酷い事をして、本当にすまなかった。この程度の謝罪で許してもらえるとは思っていない。それでも、いてもたってもいられなくて」
そう言うと、すごい勢いで頭を下げたのだ。もしかして…
スッとお父様の方を見ると、コクリと頷いている。そうか、魅了魔法が解けたのね。でも、今更どうでもいいわ。
「殿下の謝罪、承知いたしました。それでは失礼いたします」
そう伝え、再び屋敷に戻ろうとしたのだが…
「待ってくれ、リリアーナ。僕は…」
「イヤ!離してください」
ふいに私の腕を掴んだ殿下を、思いっきり振りほどいてしまった。
「申し訳ございません。どうかもう、私には構わないで下さい、お願いします」
深々と殿下に頭を下げ、そのまま急いで屋敷に入った。後ろで殿下が何か叫んでいたのが聞こえたが、もう顔も見たくないのだ。
「リリアーナ、大丈夫?」
「姉上」
お母様とリヒトが飛んできた。
「…ええ、大丈夫ですわ。ただ…殿下が…」
「殿下はまだ帰っていなかったの?あの人、午後一番にいらしたのよ。まだいただなんて…」
そんなに前からいらしていたのね。殿下は元々根は真面目な人だ。魅了魔法に掛かってしまった事、さらに一応婚約者でもあった私を傷つけたことを悔いているのだろう。でも、悔いてもらう必要は無い。
とにかく私は、もう殿下には関わりたくはないのだから。
「リリアーナ、大丈夫か?殿下にはすぐに帰ってもらったから、もう大丈夫だよ。すまない、まだ殿下が待っていただなんて思わなくて…」
「お父様、殿下の魅了魔法が解けたのですね」
「ああ、どうやら殿下は自力で解いた様だ…昨日マルティ嬢の醜態を目の当たりにして、正気に戻ったみたいで。まさか自力で解くだなんて思わなかったよ。ただ、マルティ嬢とガレイズ伯爵家の逮捕状を手配するのに時間が掛かっていて、明日の朝、一気にガレイズ伯爵家に向かう事になっている。逃げられたりしたら厄介だからね」
正直殿下の魅了魔法が解けようが、もう私には関係ない。
「お父様、殿下が今まで私に行った事を悔いている様ですが、過ぎた事ですし、何より魔法によって操られていたのですから、どうか気にしないで欲しいと伝えて下さい。正直に申しますと、罪の意識から今後も謝罪に来られたら迷惑ですので。どうかもう、私には関わらないで欲しいのです」
魅了魔法のせいでかなり残念な人になっていたが、本来の殿下は責任感が強く、曲がった事が大嫌いな性格なのだ。きっと私に悪い事をしたと思って、今後も謝罪に来そうな気がする。
はっきり言って、もう私は殿下には関わりたくはない。謝罪も必要ないのだ。
「わかったよ、リリアーナに悪いと思っているのなら、もう二度と関わらないで欲しいと伝えておくよ」
「そうして頂けると嬉しいですわ。もう私は、殿下の事を忘れて前を向いて歩き始めているのですから」
そう、もう殿下に振り回されるのは御免だ。私はまだ15歳、素敵な殿方を見つけて、私だけを見て下さる方と婚約したい。ルミナの様に…
※次回、アレホ視点です。
よろしくお願いしますm(__)m
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