大好きだった人には振られましたが、なぜかヤンデレ王太子に溺愛されました

Karamimi

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第41話:我が妹ながら恐ろしい女だ~ワイアット視点~

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貴族学院を卒業してからすぐ、妹のスカーレットがおかしな連中と交流を持ち始めたとの連絡が入った。そう、俺は妹にスパイを付けている。あの女は、必ずアリアを傷つけようとするだろう。

そうさせない為にも、しっかり見張りを付けているのだ。それにしても、スカーレットはどうやら色々な男と関係を持っている様だ。この国の貴族界では、男性も女性も結婚するまでは異性と繋がる事はタブーとされている。

ただ男の場合、初夜で失敗しない様ある程度の練習はするらしい。もちろん、俺も知識としては持っている。それなのに、スカーレットは色々な男と関係を持っているのだ。男もどうしようもないが、何より問題はスカーレットだ。

このままだと、王族の品格も危ぶまれる。そう思った俺は、早速父上と母上に報告したが

「まあ、何て事なの!注意するわ!」

そう言ってお終いだ!結局両親が注意しても、もちろんあのスカーレットが聞く訳がない。父上も母上もスカーレットに甘すぎるんだ!本当にあの女と血が繋がっていると思うと、吐き気がする!

そしてついに貴族学院が始まった。もちろん、アリアには護衛騎士や俺の家臣たちを側に置いている。さらにバービレス嬢を筆頭に、令嬢たちがずっと側にいるらしい。

ただ、カーターが何かとアリアに近付こうと試みているらしい。あの男、スカーレットと婚約したのにまだアリアに未練があるのか!

カーターの話を聞いた瞬間、怒りが込み上げて来た。ただ令嬢たちが少しでもカーターがアリアに近付こうとすると、鬼の形相で睨んでいる様で、全く近付けていないらしい。

さらにアリアはもうカーターには見向きもしていないらしい。でも、学院内では時折寂しそうにしているとの事。まさかまだカーターを!そう思ったのだが、家臣の話しによると俺に会えないのが寂しいと、バービレス嬢に漏らしていたのを聞いたらしい。

「殿下は随分と愛されていますね」

と、満面の笑みで報告された。そう言えば、最近俺が門まで迎えに行くと、いつも飼い主を見つけた子犬の様に、それはそれは嬉しそうに飛びついて来るもんな。

随分とアリアも俺に懐いて来たものだ!正直アリア1人を貴族学院に行かせるのは不安だったが、どうやら良い方向に転んだみたいだ。

そして新学期が始まってしばらく経ってから、スカーレットが動き始めた。盗賊たちを雇い、アリアを襲う計画を立てていると言う情報が入って来たのだ。

「いい、必ずあの女を仕留めなさい!銀色の髪に赤い瞳をした女よ!ただ殺すだけだと調査が入るかもしれないから、金品目的に見せかけるのよ!伯爵家にも私側の人間を忍ばせているから、そいつが森まで馬車を誘導してくるわ。そこであの女を仕留めるのよ!決行日は明後日。王宮の帰り道に、森へ向かわせるから!いいわね、絶対に成功させるのよ!」

スパイが録音した音声を聞かされた。まさかアリアの命まで狙うなんて!我が妹ながら、恐ろしい女だ!この女は始末しておく必要があるな!

スカーレットと盗賊たちの会話によると、森にアリアをおびき寄せ、馬車から引きずり出したところを仕留めると言う事らしい。という事は、馬車を脱輪させるという事は無さそうだな。

「殿下、どうしますか?この内容を陛下と王妃様に話して、事前に防ぎますか?」

「いいや、そんな事をしても、スカーレットに激アマの両親の事だ。有耶無耶にして終わるだけだ!ここはスカーレットの作戦を実行させよう!さすがに王太子の婚約者に手を出したとなれば、スカーレットもただでは済まない!ただし、アリアが怪我をしては大変だ!しっかり見張りは付けよう。それから、俺がアリアを助ける!俺もアリアを見送った後、すぐに馬でアリアの馬車を追うからそのつもりで。一応皆通信機を持っておくように!」

「「「承知いたしました!」」」」

とりあえずこれでアリアは守れるだろう。少し怖い思いをさせてしまうが、それは仕方がない。そもそも、あの時アリアが王宮で暮らすと決めていれば、恐怖を味わう事は無いんだ。

そう、アリアが俺の提案を拒否し、王宮で生活する事を選ばなかった事を根に持っている。やっぱり、少しお仕置きは必要だよね…

そうだな、今回伯爵家に帰る途中で盗賊に襲われる予定だ。その事を理由に、アリアを王宮に住まわせる方向で話を進めよう。さすがにアリアが襲われたとなれば、伯爵も王宮での生活を認めるだろう。

もし認めなくても
「アリアを守る為だ!」
と、強く言って押し進めてしまえばいいか。


翌々日、今日はアリアが襲われる予定の日だ。いつも通り学院が終わるのに合わせて、アリアが王宮に来るのを待つ。しばらく待っていると、アリアを乗せた馬車がやって来た。馬車が停まるや否や、俺に飛びついて来るアリア。

やっぱりアリアは可愛いな…いつもの様に王妃教育の前に、アリアとお茶をする。嬉しそうに今日の出来事を話すアリア。俺の話しも、真剣に聞いてくれる。ティータイムを楽しんだ後は、アリアを王妃教育の部屋まで送って行く。

その後、再度家臣を集めて今日の計画の最終確認を行う。とにかくアリアを傷つけては大変だ!そんな思いから、細かな指示を出す。

結局最終確認に時間が掛かってしまい、気が付くと夕食の時間だ!急いでアリアと晩ご飯を食べる。そして、アリアを門の前で見送った。

「それじゃあアリア、また明日」

俺の言葉を聞いたアリアは、寂しそうな顔をして

「はい…また明日」

と言った。全身から寂しいオーラが出ている。こんなにも可愛らしいアリアが、これから盗賊に襲われるのか…

そう思ったら、無意識に馬車に乗り込み、アリアを抱きしめていた。やっぱりアリアに怖い思いをさせたくはない!でも…

俺の中で激しい葛藤が襲う。ダメだ!しっかりしないと!

アリアの唇に口付けをして馬車から降りようと思ったのだが、アリアが俺の首に手を回し、口付けに答えてくれる。これはまずい…

再び俺の決心が揺らぐ!ダメだ!とにかく今はアリアから離れないと!何とかアリアから離れ、馬車から降りた。

馬車がゆっくり走り出す。俺に向かって手を振るアリアに答えた。アリア、ごめんね…でも必ず助けるから、待っていて欲しい…
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