大好きだった人には振られましたが、なぜかヤンデレ王太子に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
42 / 56

第42話:次期王妃を殺そうとした罪は重いぞ【前編】~ワイアット視点~

しおりを挟む
アリアを見送った後、急いで馬に乗ろうとした時だった。

「あらお兄様、今からどこに行くの?」

話しかけてきたのはスカーレットだ。クソ、絶妙なタイミングで話しかけてきやがった!

「今ちょうどアリアを送り出したところだから、ちょっと夜風にでもあたりに行こうと思ってね。それじゃあまた」

そう言って馬に乗ろうとしたのだが

「夜の散歩か、いいわね。ねえ、たまには私も乗せてよ!」

何なんだこいつは!こうしている間にも、アリアの乗った馬車は進んでいる!

「悪いがまた今度でいいかな?今日は1人で思いっきり走らせたい気分なんだ!」

「あら、お兄様ったら意地悪ね。そうそう、アリア嬢とは最近うまくいっているの?」

一体どういうつもりだ!いつも俺になんて、ほとんど話しかけてこないくせに!

「ああ、いっているよ!それじゃあ俺はもう行くから」

「待ってよ!ちょっとぐらい兄妹の会話を楽しんだっていいじゃない!相変わらず冷たいわね」

そう言って頬を膨らませている。正直こんな女に構っている余裕はない。適当にあしらい、馬にまたがりアリアの元へと急ぐ。結局こいつのせいで、随分と時間を取られてしまった。

今アリアは何処にいるんだ?そう、アリアの居場所がいつでも分る様、アリアに贈ったルビーのネックレスに居場所を特定できる機械を取り付けているのだ。そのため、いつでもどこでもアリアがどこにいるか分かる。

クソ!随分と遠くまで行っているな!とにかく急ごう!

馬を全速力で飛ばす。どうやら目的地についた様で、アリアの動きが止まった。ヤバイ!このままだと間に合わない!さらに馬を飛ばす。しばらく走ると、アリアの姿が見えた。男が少しずつアリアに近付いている!このままではマズい!

「アリアから離れろ!」

自分でもびっくりする程、大きな声で叫んだ。すると男たちは俺に気がついた様で、こっちを見て固まっている。すぐに馬から飛び降りると、一気に男4人をなぎ倒す。

スカーレット、お前もうちょっと腕っぷしが良い奴を雇えなかったのかよ…そう思うくらい、こいつらは弱かった。俺の登場を待っていた護衛騎士たちが、一気に4人を縛り上げる。

もちろん、ここまで馬車でアリアを連れて来た御者も捕まえる。奴らを倒し、すぐにアリアの元へと向かった。よほど怖かったのか、ポロポロと涙を流し、俺に必死にしがみついて来るアリア。やっぱりアリアは可愛いな…ふとアリアの足元を見ると、血が出ていた。

嘘だろ…
俺の可愛いアリアが、怪我をしている…

もしかして、他にも怪我をしているのか?とにかく一度王宮に戻ろう。近くにいた騎士達に、伯爵家に事情を説明する様に伝えると同時に、一足先に王宮に戻り、医者を手配する様に指示を出す。

そしてアリアを抱きかかえ、馬車に乗り込んだ。アリアの話しでは、馬車が急ブレーキをかけた時、体をぶつけたとの事。クソ!まさか急ブレーキで怪我をさせられるなんて!

完全に俺の考えが甘かったんだ!アリアに怪我をさせてしまった事が物凄く申し訳なくて、ギューッとアリアを抱きしめた。王宮に着くと、すぐに医師に見せた。その結果、背中の打撲と足を捻挫している事が分かった。

あぁ、何て事だ…

まさかアリアにこんな酷い怪我をさせてしまうなんて…自分の浅はかな考えを、物凄く後悔した。それと同時に、スカーレットへの怒りが爆発する!あの女だけは許さない!

アリアを寝かせた後は、早速家臣たちと一緒にあの女が犯人だという証拠をまとめる。そう、明日にでもこの証拠を持って、父上と母上に話をするつもりだ。ただあの両親の事だ、きっと泣きながら

「スカーレットにチャンスを与えてやってくれ!」

何てふざけた事をほざくのだろう…そう、だから俺はある作戦を考えているんだ!

ある程度証拠をまとめたところで、アリアの部屋へと向かった。スースー眠るアリア。そんなアリアのベッドにそっと入る。そしてアリアを抱きしめた。アリア、おやすみ!君の仇は100倍返しにして返すからね。

そう伝えて、俺も眠りについた。

翌朝、先に目が覚めた俺は、アリアの寝顔を見つめる。長いまつ毛、すっと伸びた鼻、ぽってりとした赤い唇、ペロリと唇を舐めると、くすぐったかったのかくるりと反対側を向いてしまった。

一旦ベッドから出て、反対側に回った。しばらく眺めていると、ゆっくり瞼が上がり、ルビーの様な美しい瞳と目が合った。俺の顔を見ると、嬉しそうに微笑んだアリア。そしてギューッと抱き着いて来た。

あぁ…なんて可愛いいんだろう…今後はずっとアリアと一緒だ!ずっとこの可愛い姿を見て居られる…そう思うと、嬉しくてたまらない!アリアが起きたところで、2人で朝食を食べる。

食後は再びアリアをベッドに寝かせ、早速父上と母上、さらに大臣たちも呼び出した。大臣は基本的に公爵や侯爵たちがやっている。もちろん、アルフレッドの父親も大臣の1人だ!

さあ、あの女の悪事を裁こう!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】番(つがい)でした ~美しき竜人の王様の元を去った番の私が、再び彼に囚われるまでのお話~

tea
恋愛
かつて私を妻として番として乞い願ってくれたのは、宝石の様に美しい青い目をし冒険者に扮した、美しき竜人の王様でした。 番に選ばれたものの、一度は辛くて彼の元を去ったレーアが、番であるエーヴェルトラーシュと再び結ばれるまでのお話です。 ヒーローは普段穏やかですが、スイッチ入るとややドS。 そして安定のヤンデレさん☆ ちょっぴり切ない、でもちょっとした剣と魔法の冒険ありの(私とヒロイン的には)ハッピーエンド(執着心むき出しのヒーローに囚われてしまったので、見ようによってはメリバ?)のお話です。 別サイトに公開済の小説を編集し直して掲載しています。

【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない

朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。

「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。

海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。 アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。 しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。 「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」 聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。 ※本編は全7話で完結します。 ※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。

【完結】転生したら悪役継母でした

入魚ひえん@発売中◆巻き戻り冤罪令嬢◆
恋愛
聖女を優先する夫に避けられていたアルージュ。 その夜、夫が初めて寝室にやってきて命じたのは「聖女の隠し子を匿え」という理不尽なものだった。 しかも隠し子は、夫と同じ髪の色。 絶望するアルージュはよろめいて鏡にぶつかり、前世に読んだウェブ小説の悪妻に転生していることを思い出す。 記憶を取り戻すと、七年間も苦しんだ夫への愛は綺麗さっぱり消えた。 夫に奪われていたもの、不正の事実を着々と精算していく。 ◆愛されない悪妻が前世を思い出して転身したら、可愛い継子や最強の旦那様ができて、転生前の知識でスイーツやグルメ、家電を再現していく、異世界転生ファンタジー!◆ *旧題:転生したら悪妻でした

【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~

魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。 ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!  そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!? 「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」 初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。 でもなんだか様子がおかしくて……? 不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。 ※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます ※他サイトでも公開しています。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話

下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。 御都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...