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第30話:マイケル様はとてもいい人です
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「ローズ、私たちも今日は帰るわ。それにしてもマイケル様の件、あなたちょっと甘すぎるのではなくって。それにマイケル様、あなたに…いいえ、何でもないわ。私たちも出来るだけ様子を見にくるから。それじゃあね」
そう言って2人も帰って行った。なんだか今日は疲れたわ。少し休もうかしら。そう思っていたのだが、今度はティーナ様たちが来てくれたのだ。
「ティーナ様、グラス様、わざわざお見舞いに来ていただき、ありがとうございます」
2人にぺこりと頭を下げた。どうやらアデル様はいない様だ。昨日契約を解除されたのだから、私の顔はもう見たくないのかもしれない。あれほどまでに、ティーナ様を泣かせてしまったものね…
もしかしたら契約を解除されても、今まで通り4人で過ごせると思っていたけれど、それも厳しそうね…
「ローズ様、アデルの事、本当にごめんなさい。まさかあのタイミングであなたに別れを切り出すなんて…でもこれだけはわかって欲しいの、きっと何か理由があるはずなの。そうでなかったらきっと、ローズ様が怪我をしたタイミングで別れを切り出すなんて、そんな酷い事、絶対にしないと思うの。アデルはそんな薄情な子ではないわ」
必死にティーナ様がアデル様を庇っている。ティーナ様にとってもアデル様は、きっと大切な人なのだろう。
「ローズ嬢、ティーナの言う通り、アデルはとても真面目で薄情な事をするような人間ではない。僕もきっと何か理由があるのだと思っている。それに昨日はずっと部屋に閉じこもっていたし、今日も暗い顔をしていた。だから、どうかアデルの事を悪く思わないでくれ」
珍しくグラス様までアデル様を庇っている。
「私はアデル様の事を、酷いとか薄情何て思っておりませんわ。アデル様なりに考えて出された結論なので、私は素直に受け入れるまでです」
「ローズ嬢、ありがとう。実は今日もお見舞いに一緒に行かなかと誘ったのだが“ローズに合わせる顔がない”と言ってね。アデルは変なところで頑固で…もしローズ嬢さえよければ、またアデルも一緒にお見舞いに連れて来てもいいだろうか?」
「ええ、もちろんです。ただ、本人が行きたくないとおっしゃっているのなら、どうかその気持ちを尊重してあげて下さい。アデル様は人一倍責任感の強い方です。私がまだ包帯やガーゼを当てている姿を見るのもお辛いでしょう。私は包帯が取れるまで学院をお休みする予定ですので、傷が完治して学院への通学が始まってから、また4人で会えたらと思っておりますわ」
遠回しにまた4人で会いたいと伝えておいた。もちろん、アデル様に無理強いをするつもりはない。もしアデル様が私に会うのが嫌だというなら、素直に受け入れるつもりだ。それでも…もし許されるならアデル様の傍にいたい。
「ローズ嬢、アデルを気に掛けてくれてありがとう。あいつ、変に頑固なところがあるからな…」
グラス様が苦笑いをしている。この苦笑い、やっぱりアデル様は私に会うのが嫌なのかしら?なんだか不安になってきた。
「アデルは今回の件で、君に合わせる顔がないと思っているのだと思う。きっと君の事…いいや、何でもない。それからこれ、お見舞いだ」
グラス様が渡してくれたのは、立派なラベンダーの花束だ。
「まあ、こんな美しいお花を。わざわざありがとうございます。嬉しいですわ。早速部屋に飾りますね」
すぐに近くにいたメイドに花瓶を準備してもらう様に依頼した。
その後は少しお話をして帰って行った2人。アデル様が来てくれなかった事はショックだけれど、それでもみんなが心配して来てくれたのは嬉しい。
ティーナ様との関係も、壊れる事はなかったし。あまりたくさんの事を望んではダメよね。今ある幸せを、噛みしめよう。
そう自分に言い聞かせる。とはいえ…やっぱり気になるのは、アデル様の事。
結局その日は、アデル様の事を色々と考えすぎて、中々寝付く事が出来なかった。
翌日から、授業がある時間は家庭教師と一緒に勉強した。正直学院で勉強するより、マンツーマンで勉強するほうが、私には身に入って行く。午後、本でも読みながらお茶をお飲んでいると
「お嬢様、マイケル・クラステーヌ様がいらっしゃいました」
「まあ、マイケル様が?」
どうやら昨日、“お見舞いに来る”と言っていたのは本当だったのね。そう思いつつ、急いで彼が待つ客間へと向かった。
「マイケル様、わざわざお見舞いに来てくださったのですね。ありがとうございます」
「ローズ嬢、顔色もいいみたいでよかったよ。これ、街で有名なケーキ屋さんのケーキだ。よかったら食べて欲しい。それから、君の友人たちからノートを預かって来たよ」
「まあ、ありがとうございます。私、このお店のケーキ、大好きなのです。そうですわ、せっかくなので、一緒に食べませんか?もちろん、無理にとは言いませんが」
「いいのかい?それじゃあ、頂くよ」
近くにいたメイドに指示を出し、早速ケーキを頂く事にした。
「この桃のケーキ、みずみずしくてとっても美味しいですわ」
「こっちのマスカットのケーキも美味しいよ。そうだ、せっかくだからシェアしよう」
ケーキをナイフで半分に切って、私に分けてくれたマイケル様。私も自分のケーキを半分切り、マイケル様に渡す。
その後も色々な話をした。
実はマイケル様、騎士団に所属しているとの事。あの日も仲間と一緒に稽古をしていたらしい。そして、改めて謝ってくれた。
その後もたわいもない話しをした。マイケル様は実は甘いものが好きのだとか。
それでもお店にケーキを食べに行くのは恥ずかしいらしい。その為、怪我が治ったら、一緒にケーキを食べに行って欲しいと誘われた。どうやらマイケル様、女友達がおらず、ケーキを食べに行ってくれる人がいないらしい。
ケーキは私も好きなので、ぜひお供したいと伝えたら、それはそれは嬉しそうに笑ってくれた。その後も、ケーキやお菓子の話で盛り上がった。
彼とならきっと、良き友人になれる、そんな気がした。
そう言って2人も帰って行った。なんだか今日は疲れたわ。少し休もうかしら。そう思っていたのだが、今度はティーナ様たちが来てくれたのだ。
「ティーナ様、グラス様、わざわざお見舞いに来ていただき、ありがとうございます」
2人にぺこりと頭を下げた。どうやらアデル様はいない様だ。昨日契約を解除されたのだから、私の顔はもう見たくないのかもしれない。あれほどまでに、ティーナ様を泣かせてしまったものね…
もしかしたら契約を解除されても、今まで通り4人で過ごせると思っていたけれど、それも厳しそうね…
「ローズ様、アデルの事、本当にごめんなさい。まさかあのタイミングであなたに別れを切り出すなんて…でもこれだけはわかって欲しいの、きっと何か理由があるはずなの。そうでなかったらきっと、ローズ様が怪我をしたタイミングで別れを切り出すなんて、そんな酷い事、絶対にしないと思うの。アデルはそんな薄情な子ではないわ」
必死にティーナ様がアデル様を庇っている。ティーナ様にとってもアデル様は、きっと大切な人なのだろう。
「ローズ嬢、ティーナの言う通り、アデルはとても真面目で薄情な事をするような人間ではない。僕もきっと何か理由があるのだと思っている。それに昨日はずっと部屋に閉じこもっていたし、今日も暗い顔をしていた。だから、どうかアデルの事を悪く思わないでくれ」
珍しくグラス様までアデル様を庇っている。
「私はアデル様の事を、酷いとか薄情何て思っておりませんわ。アデル様なりに考えて出された結論なので、私は素直に受け入れるまでです」
「ローズ嬢、ありがとう。実は今日もお見舞いに一緒に行かなかと誘ったのだが“ローズに合わせる顔がない”と言ってね。アデルは変なところで頑固で…もしローズ嬢さえよければ、またアデルも一緒にお見舞いに連れて来てもいいだろうか?」
「ええ、もちろんです。ただ、本人が行きたくないとおっしゃっているのなら、どうかその気持ちを尊重してあげて下さい。アデル様は人一倍責任感の強い方です。私がまだ包帯やガーゼを当てている姿を見るのもお辛いでしょう。私は包帯が取れるまで学院をお休みする予定ですので、傷が完治して学院への通学が始まってから、また4人で会えたらと思っておりますわ」
遠回しにまた4人で会いたいと伝えておいた。もちろん、アデル様に無理強いをするつもりはない。もしアデル様が私に会うのが嫌だというなら、素直に受け入れるつもりだ。それでも…もし許されるならアデル様の傍にいたい。
「ローズ嬢、アデルを気に掛けてくれてありがとう。あいつ、変に頑固なところがあるからな…」
グラス様が苦笑いをしている。この苦笑い、やっぱりアデル様は私に会うのが嫌なのかしら?なんだか不安になってきた。
「アデルは今回の件で、君に合わせる顔がないと思っているのだと思う。きっと君の事…いいや、何でもない。それからこれ、お見舞いだ」
グラス様が渡してくれたのは、立派なラベンダーの花束だ。
「まあ、こんな美しいお花を。わざわざありがとうございます。嬉しいですわ。早速部屋に飾りますね」
すぐに近くにいたメイドに花瓶を準備してもらう様に依頼した。
その後は少しお話をして帰って行った2人。アデル様が来てくれなかった事はショックだけれど、それでもみんなが心配して来てくれたのは嬉しい。
ティーナ様との関係も、壊れる事はなかったし。あまりたくさんの事を望んではダメよね。今ある幸せを、噛みしめよう。
そう自分に言い聞かせる。とはいえ…やっぱり気になるのは、アデル様の事。
結局その日は、アデル様の事を色々と考えすぎて、中々寝付く事が出来なかった。
翌日から、授業がある時間は家庭教師と一緒に勉強した。正直学院で勉強するより、マンツーマンで勉強するほうが、私には身に入って行く。午後、本でも読みながらお茶をお飲んでいると
「お嬢様、マイケル・クラステーヌ様がいらっしゃいました」
「まあ、マイケル様が?」
どうやら昨日、“お見舞いに来る”と言っていたのは本当だったのね。そう思いつつ、急いで彼が待つ客間へと向かった。
「マイケル様、わざわざお見舞いに来てくださったのですね。ありがとうございます」
「ローズ嬢、顔色もいいみたいでよかったよ。これ、街で有名なケーキ屋さんのケーキだ。よかったら食べて欲しい。それから、君の友人たちからノートを預かって来たよ」
「まあ、ありがとうございます。私、このお店のケーキ、大好きなのです。そうですわ、せっかくなので、一緒に食べませんか?もちろん、無理にとは言いませんが」
「いいのかい?それじゃあ、頂くよ」
近くにいたメイドに指示を出し、早速ケーキを頂く事にした。
「この桃のケーキ、みずみずしくてとっても美味しいですわ」
「こっちのマスカットのケーキも美味しいよ。そうだ、せっかくだからシェアしよう」
ケーキをナイフで半分に切って、私に分けてくれたマイケル様。私も自分のケーキを半分切り、マイケル様に渡す。
その後も色々な話をした。
実はマイケル様、騎士団に所属しているとの事。あの日も仲間と一緒に稽古をしていたらしい。そして、改めて謝ってくれた。
その後もたわいもない話しをした。マイケル様は実は甘いものが好きのだとか。
それでもお店にケーキを食べに行くのは恥ずかしいらしい。その為、怪我が治ったら、一緒にケーキを食べに行って欲しいと誘われた。どうやらマイケル様、女友達がおらず、ケーキを食べに行ってくれる人がいないらしい。
ケーキは私も好きなので、ぜひお供したいと伝えたら、それはそれは嬉しそうに笑ってくれた。その後も、ケーキやお菓子の話で盛り上がった。
彼とならきっと、良き友人になれる、そんな気がした。
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